麻雀において、最初から役満を狙う者は『馬鹿』である。
正確に言うなら、最初から特定の役を狙う者は愚かである。
麻雀とは、その時々──配られた手牌、河の状況や自分と相手の点数を考慮し、山から牌をツモりながら、その時の最善を尽くす競技である。
故に最初から特定の役を狙うのは、賢い行いではない。それは素人の、もしくはルールや役をあまり理解していない者の行動だ。
手牌が配られてから、その手牌から最も近い役満を狙うのであれば話は変わる──が、それでも愚かと言わざるを得ない。
役満の点数は麻雀という競技の中で最大の破壊力を秘めている。その威力は、一撃で相手を粉砕し、こちらの勝利を決定づけるもの。その難易度は推して知るべし。試しにやってみると良いだろう。
役満の中で比較的和了りやすい役は三つあるが、その中で、どうしても役満を狙うのであれば、大三元をお勧めする。
大三元は字牌の、白・発・中を三枚揃えてしまいさえすれば、残りの一面子と雀頭は何でもよい。鳴いて集めることも出来るので、役満の中では比較的和了りやすい方だろう。
だが、それは相手を考慮しない場合の話。役満に限らないが、麻雀とは四人で対局する競技である。
相手だって、それは当然警戒する。白発中の内、どれか一つだけ鳴くだけならそれほど警戒はされないかもしれないが、二つ鳴けば、最後の一つを捨てる者などいない。役満を直撃させられる可能性があるのだ。鳴いて集めるとしても、現実的には一つ。残りは自力でツモれるというなら二つでも鳴いてみるといいだろうが、一定以上の実力を持つ相手だと、安い手で流される可能性が高い。
他にも、国士無双と四暗刻が役満の中では和了りやすいだろう。国士無双は言わずもがな、一九字牌を揃え、頭を一つ作ればいい。四暗刻は、暗刻を四つ揃える単純にして麻雀で最も美しい形の役満。これらは初心者でも分かりやすい役であるが故に、麻雀を始めたての頃であれば自然と狙ってしまう役なのかもしれない。それもいいだろう。初心者であれば、まずは好きに打ってみるといい。
だが中級者以上であれば、もしくはそれ以上を目指すのであれば、やはり役満を狙うのはお勧めしない。
麻雀とは四人でやる競技。確率を単純に計算しても、半荘一回では二回しか上がれない。
無論、実際には偏りがあるため、一度も和了れない時や、逆に連荘しまくって5本場、6本場。気がついたらそのまま相手を飛ばしていた……なんてこともよくある話である。
だが、何千局と打てば、確率は収束していくとも言われている。何千局と打っても、和了れる回数は2割から3割ほど。プロであれば4割に届くか否か、というところである。
そして点数の高い役、難易度の高い役であればあるほど、和了れる確率は相応に低い。
3,900点を三回刻むか、満貫を一度和了るか。この辺りはプロでも意見が別れるところだが、そのどちらもが最善で、賢い打ち方だと言える。勝つだけなら相手の点数を上回るだけでいいのだから、それ以上の無駄な点数は必要ない。
しかし、私は敢えてこうも言いたい。──役満の可能性を捨てるなと。
役満とは、試合を一撃で終わらせる破壊力を持っている。それまでどれだけ自分が、チームが負けていようとも、役満を和了れば、それだけで逆転が可能だ。例え自分とトップの点差が7万あり、それがオーラスであっても、役満を直撃させれば試合はひっくり返る。
謂わば、役満こそが、麻雀という競技の幅広さを担っていると言えるのかもしれない。
~著 大沼秋一郎 『火薬の美学』から一部抜粋~
『──到着便のご案内をいたします。○○○、496便は、ただいま到着いたしました……Ladies and gentlemen,……』
「…………ふぅ」
通りのいいアナウンスが耳に届き、俺はその本を閉じた。
時間を潰そうと少し読み返すだけのつもりだったが、久しぶりに読むと止まらなかった。
いやぁ、さすがは大沼さん。中々に読ませてくれる。本を沢山出してるだけはあるというか、やっぱり大御所は違うな。貫禄がある。何度か飲みに行ったこともある人だが、凄みがあるんだよな、やっぱ。
と、本を自分の横に置いていたスーツケースにしまうと、俺は息を入れて立ち上がった。いつもの服装にマフラー。サングラス。そろそろ移動するかと思い、そういえば携帯を機内モードから切り替えようと変えてみると、幾つかチャットが来ていた。
『そろそろ着いた? 頑張ってねっ☆ はやり、応援してるから!』
『お土産、よろしくお願いします』
二人からのチャット。それに返信しておく。あの日から、連絡──こういった軽い感じのものはよく届くようになっていた。まあ、やはり仕事が忙しいのか、返しても直ぐに返信は来なかったが。
「寒っ……」
ガラガラとスーツケースを押しながら俺が今いる場所、空港内から外に出ると、飛行機を降りた時以上の冷気が押し寄せてきた。
そうして、不意に大きく息を吐く。吐く息は白い。この吐息はちょっとした後悔というか、何してんだ俺、という意味が含まれている。何故なら、
「北海道……来ちまったな……」
日本最北の地。試される大地こと、北海道。
新千歳空港からの景色。その寒空を見て、俺は北海道に来たこと。来てしまったことに頭を抱えたのだ。
自分で航空券を取って、誰に強制されるでもなく自分の足でやってきたというのに、若干の後悔が襲っているのは、その目的が目的だからだ。
自分のSNSを見て依頼した北海道の女子高生だと言うその相手に、俺はあの後連絡を入れ、日取りを調整してやって来てしまったのだ。
一日5000円で麻雀を打つ。教える。まだプロをクビになったことが世間一般に知られていない俺が、プロとして受けた安すぎる割りに合わない依頼。
ただその目的は別にある。それは相手が女子高生だということ。
俺は女子高生をオカルトで落とし、エロいことをする──ただそれを目当てにやって来てしまったのだ。
……俺、馬鹿なのか?
思わず自問自答。いや、よく考えなくても馬鹿な気がする。
別に国内を多少旅行するくらいの貯金は普通に残っているが、とはいえ今の俺はプロをクビになった無職。お金は出来るかぎり節約した方がいいに決まっている。
それなのに女子高生という文面に踊らされ、こんな北の地までのこのことやって来てしまった。よく考えたら、相手が本当に女子高生かどうかなんて怪しいものだし、それが可愛い相手である保障はない。一応、どこの高校なのかを尋ねてみたが、えーと、確か……
「有珠山高校……聞いたことねー……」
小声で呟く。一応、インターハイは毎年見てるし、Weekly麻雀TODAYなんかもちゃんと購読している。俺がプロをクビになったことが書かれているかどうか確認するためにも、今週分もちゃんと買って見てみた。まだ書かれてはいなかった。
そもそも、二年……三年前までは俺も高校生だったし、有名校くらいは知っている。男子だろうと女子だろうと。北海道で言うと、琴似栄なんかが有名だったはずだ。
ただ、有珠山高校というのは聞いたことがない。調べてみればミッション系の学校らしい。有珠山、及び、洞爺湖の近くにある学校っぽかった。
ただまあ、いきなり強豪校に行くってのも確かに困る。目的を考えると。高校生とはいえ、強豪校のエース級の選手、インターハイで活躍する選手には、プロになっても即戦力になるような魔物もいるのだ。そこらの高校生、インターハイに出るような選手でも、普通にやれば普通に勝てるだろうが、極一部にはほんと化け物がいる。
最近だと、永水女子。うちの従姉妹、良子とは別の従姉妹が今年入学する俺の地元の高校や、龍門渕なんかが有名になった。他にも大阪の千里山に姫松。広島の鹿老渡高校や、福岡の新道寺女子とか。
後はまぁ……白糸台……もそうだが、正直あまり考えたくはない。プロをクビになったことが知れたらOB連中がうるさそうだし、後輩にも……って、そういやあいつは今年卒業だったか。あいつもあいつでまた……あー、失敗した。行くなら東京行った方が近場だし、麻雀打とうって言えば打ってくれそうな相手がいるじゃん。なんで今思い出すんだ俺……。
まあこれが終わったらその辺も考えてみよう。そもそも、今回の北海道遠征(?)は実験みたいなものだ。
そもそも本当に通用するのか、半信半疑ではある。まだ一度しか使ったことがないからな。一度だけなら何かの間違いって可能性もなくはない。二回、三回と成功するようなら、それはもう疑う余地のないものだ。
とはいえ、可愛くなかったりすれば役満を和了ることはしないだろうし、通用しなかったらしなかったで……まぁ、北海道旅行だと思おう。北海道まで来るのはプロの試合で遠征していた頃以来なのだ。旅行だと思うとそれなりに気分は良い。北海道は飯も美味いしな。もし収穫がなくても、普通に女子高生に指導して、はやりさん達へのお土産でも買って帰ろう。
そうと決まればまずはレンタカーを借りに行く。目的地の洞爺湖周辺までは車で──って、二時間くらい掛かるのか。さすがは北海道。近そうに見えて、結構距離がある。ただ、これでもマシなんだろうな。札幌から東の……ぶっちゃけ北海道の地理はよく分からないが、某ドラマで有名な富良野とかそれよりもっと東に行くのとか凄く面倒くさそう。最北端の稚内とかも。一回くらい行ってみたくはあるんだが。
後、寒いが害虫とかいなさそうだし、台風とかも、南に比べたらあまり来ないだろうし、過ごしやすそうだよな。その辺のところ、北海道在住の人に聞いてみたいところである。ぶっちゃけ、俺は地元の九州とか、西日本。住んでいたこともある関東くらいまでは良く訪れるので知ってはいるが、東北とか北海道については遠征で来るくらいなので知識はそれほどないのだ。
故に異国感はあるので、ちょっと楽しみといえば楽しみである。というわけで、ロータリーで市内に降りて、レンタカーでも借りてくか。一応、八人乗りくらいのセレナで。お昼くらいには着くだろ。洞爺湖周辺の美味しい店でも調べとくか。
「はぁーん……海鮮にラーメンにそばに……お、洋食屋もあるのか……どれにすっかなぁ」
とまあ、そんな訳で高速道路を使うこと、二時間。目的地の洞爺湖町までやってきた訳だが、
「ううん……でかいな、北海道……」
行ったつもりで、北海道、でっかいどう。日○のラーメン屋さん──と、昔やっていたインスタントラーメンのCMを思い出してしまう。昔、あの歌を替え歌にしてた友人がいてだな……くそくだらないのに大笑いしていた思い出があるのでよく憶えてしまっている。
とはいえさすが北海道。広い大地。洞爺湖の大きさ。聳え立つ有珠山。雄大な自然を感じる。
うーん、なんかもう、このまま普通に旅行でもしたい気分だが、これからは一応、建前としてはプロとしてちゃんとしなければ。
予約していたビジネスホテルにチェックインし、荷物を部屋に置くと、車でそのまま有珠山高校へ……と思ったが思ったより近いようなので歩きで向かう。車が必要になれば取りに戻れるくらいだ。
そうして高校の前までやって来たのだが、これ、どっかに許可取らないと駄目だよな? 多分。事務室か職員室はどこだ……?
「ああ、そうだ」
と、思い立ち、俺は携帯を操作してある電話番号に掛ける。数秒して繋がった。
「もしもし」
『あ、もしもしーどちらさん?』
「東郷ですけど、獅子原さんの電話で合ってるかな」
『お、早い! もう来た! 上がって上がってー! 部室は特別棟の奥ね! 入ったら分かるから!』
「……いや、許可──」
ツー、ツーと、虚しい音が耳に届く。
「……学生ってこんなもんだったっけか……」
別に怒ることもないが、なんというか、ノリが若い。元気だな、というのが純粋な感想だ。人の話を聞かないとも言える。
でもよく考えたら学生の頃なんか、先生なんかには気軽にタメ口で、友達感覚で話しかけてたような気がする。そういう感覚なんだろうか。まあ今の俺は、先生、ってことになるだろうからな。
と、おそるおそる校内をうろつき、特別棟とやらを見つける。部室なんかがあるっぽいな、とスリッパに履き替えて中に入り、見渡しながら奥へ。つーか、許可は? 取ってるんだろうな? 事前に伝えてたとしても、俺が直接なんか書くこととかあるんじゃないのか?
なんかいまさらながらドキドキしてくる──が、やましいことはないので問題ない──とも言い切れない。目的はやましいものだった。
「部室あるし……」
しかも部室を見つけてしまう。もういい。一度入って、彼女らに連れて行って貰えばいいだろう。それくらいは許されるはずだ。
と、俺は部屋の扉をノックする。すると、中から「どうぞー」という声が聞こえたので扉を開く。すると、
「──ようこそ、有珠山高校麻雀部へ!」
「ま、麻雀部へ!」
「…………」
と、元気な声と、戸惑うような様子で歓迎されてしまった。
俺はどう反応していいか分からず、無言となってしまう。なんだその横断幕は。でっかい紙に、今急いで書きました、って感じがありありと伝わるミミズ文字で、ようこそ! と書かれている。本当に今書いたんじゃないだろうな。
と、思っているとだ。そこにいた2人の内1人──髪をサイドに結った快活そうな印象の少女が、
「……どうも。
「……東郷仁だ」
「えっ、流すんだ……」
と、礼儀正しくお辞儀をして自己紹介をしてきた。突然すぎて、俺まで普通に挨拶してしまう。
奥にいる金髪のストレートロング。お嬢様のような見た目の少女のツッコミが部屋に響く。
とはいえ、微妙な空気感でやるのはなんか悪い気がするので、俺は大人として話をすすめることにした。
「麻雀を打って欲しいって依頼されてやって来たんだが……合ってるか?」
「そうそう。私が呼んだ!」
ビシっと自分に指を立てて言う獅子原爽という女子高生。なんかこの子、ノリが女子高生っぽくないな……いや、ある意味女子高生っぽいのか? 分からん。
するとフォローなのか、後ろからもう1人が進み出てきて、
「なんかすいません……
「ああ、いや、気にしなくていいが」
「ようし、早速打とう! せっかくプロが来てくれてるんだからな! 私のお年玉の犠牲を無駄には出来ない!」
「爽が勝手に払って勝手に呼んだんだけどね……」
なんだか、一瞬でこの二人の関係性が分かった気がする。苦労させる爽と苦労する誓子。うん、まあよくあるよな。そういう関係。
「打つのはいいんだが……人が少ないな?」
「あ、今ちょっと買い出しに出てて……もう少しで戻ってくると思いますので、どうぞ」
「ああ、悪い」
自動卓の近くにある椅子を差し出されたので、俺はその気遣いを受け取ってそこに腰掛ける。はぁ、部室の中は温かい。何気に外の寒さが応えていたからな。
「あれ? また調子が悪いな。チカー、機嫌直してー」
「な……その言い方だと私が機嫌悪いみたいだからやめてよもう」
獅子原が自動卓の下でしゃがみ込んで、自動卓のスイッチを入れようとしていたが──入らないのか、それを桧森を呼んで直させる。桧森は微妙に恥ずかしそうだったが、俺は微妙な表情で、
「……別に、誰が入れても壊れてるなら動かないんじゃないか?」
「いや、これがね。チカ入れ直すと動くんだ。──ほら!」
「ほんと、システムがわかんない……」
えぇ……なんだそれ。本当に桧森がスイッチを入れると動き出した。訳分かんなくて困惑してしまう。
そして二人を見て、俺は心の中で思う──レベル高いな、と。
無論、打つ前から麻雀の実力の高さを感じ取った訳ではない。ただの容姿のレベルだ。
獅子原爽と桧森誓子。長いスカートに赤いブレザーの制服に身を包んだ彼女達の容姿は、正直、美少女と言っても全く文句がない。
獅子原は身長が150くらいか。桧森は結構高い。良子よりは大きいから165とかそれくらいか? スラッとしてて綺麗である。どちらも胸はない──いや、桧森はそれなりにあるな。獅子原の方は女子高生として相応という感じか。だが、どちらも女子高生らしい魅力を放っていた。
というか、なんだろうな。数年前までは俺も高校生であり、その頃は特にどうとも思っていなかったはずなのに……JKという事実や、彼女達の制服が妙にキラキラとして見えるのは。
やっぱ、大人になって見ると違うというか、もう届かないという意味でレア感でも感じてしまっているのだろうか──後、今のは良い表現をしたが、悪い表現をすると、ちょっとフェチズムを感じる。
制服のスカートがヒラヒラと動いたり、獅子原と桧森が自動卓の下を覗こうとしゃがみ込んだ時の仕草とスカートを折り曲げる仕草なんかが、こう、なんか……学生の頃に同級生に感じた異性への高鳴りを思い出すようだ。
こうなってくると、やはり期待してしまう。仮にオカルトが成功すれば、現役JKに惚れられ、そういうことを出来る可能性があるということだ。
いや、なんだろう。それが出来るという事実のせいか、更に魅力的に見えてくるから不思議だ。まるで料理のカタログなんかを眺めてる気分。クズい表現だが、実物が目の前にあって、食べようと思えば食べれる。そして匂いなんかが漂ってくると、食欲を唆るじゃん? 腹が減るじゃん? 食べたくなるじゃん? ──つまりそういうことだよ。
正直、大きいおっぱいが大好きでしょうがない俺も、こう、たまには趣を感じてみたくなるというか、大人になってから美味しく感じるものもあるというか……女子高生って最高なのでは?
これは思わぬ収穫だなぁ、と思う。今後、雑誌で見るような有名選手──俺の好みの相手とかを実際に見た時、自分を抑えられない気がする。今でさえ、使えたら使ってヤッちまいたくなるというか、据え膳食わぬは男の恥って言うし、ヤれるならヤるよね? って感じの心境になってしまっているし。
そんなクズクズした思考をしていると、部室の扉が開いて、外から別の子達が入ってきた。おそらく、同じ麻雀部の──
「たっだいまー……って、うわ!? ほんとにプロ来てる!?」
「わぁ……プロの先生が来るなんて素敵です!」
まず入ってきたのは、黒髪ポニーテールの長身。身長は大きい。俺より少し小さいくらいの制服を着崩したおしゃれっぽい女の子と、身長がかなり小さい、右目を前髪で隠した小柄で可愛らしい女の子だった。
二人が俺を見て驚く。そんな彼女達に獅子原が近づいて、
「だから言ったじゃん。プロ呼んだよって」
「いや、爽のいつもの冗談かと思った……」
「どうやって呼んだんですか?」
「一日5000円で来てくれるって書いてたから連絡したら来てくれた。おかげで私のお年玉は無くなった」
「安っ……え、プロってそんなに安いの……?」
黒髪ポニーテールの方が困惑しているが、まあそうだろう。俺だって引いたもん。プロ5000円で呼べるとか安い。というか、一日計算にしたせいで、時給に換算したら酷いことになると思う。仮に24時間頼むって言われたらヤバい。時給208円とか死ねるな。
「……まあ、普通は呼べないけどな。俺はプロの中でも二軍の、暇な方だし。自分の特訓にもなるかと思って来させて貰った」
「あー、そうなんですか……」
「なんだか武者修行みたいですね」
ポニテが微妙そうな顔を、前髪隠れの子が純粋そうにそんなことを言う。
だが、そこで、もう1人も部屋に入ってきて、声を出したのだが──
「──二軍でもプロと5000円で打てるならコスパ良いですね」
「コスパって、言い方……」
「お買い得だったしね」
もう1人の少女の声に、桧森が苦笑いしたツッコミを入れると、獅子原がまたしても得意気な顔をする。
俺はその時、ちょっとした衝撃を受けているところだったが、なんとか持ち直し、ごほんと、咳払いをして、
「あ、あー……改めて、名古屋ドラグーンズの東郷仁だ。3日間、この有珠山高校麻雀部の指導をさせて貰うが……そこの三人も、名前を教えてもらってもいいか?」
指導対局なんかをする時のように挨拶すると、他の三人も名前を教えてくれた。
俺は彼女達を視界に映しながら、その印象を頭の中で声にする。
「ええっと……一年の
「一年の
黒髪ポニーテールの長身、岩館揺杏と、右目を前髪で隠した小柄な少女、本内成香。
有珠山高校の制服を身に着けた二人の自己紹介に、俺はよろしくと返しながら……もうひとりに視線を向けて、平常心を保って疑問を問いかける。
「……そっちの子は……中学生、か……?」
「ああ、ユキは4月からここに通うんだ。新一年生で、前からここに遊びに来てる後輩」
「まだ入学はしていませんが……受験はしました」
「合格発表は3月だっけ?」
「まー、ユキなら大丈夫でしょ。模試だとA判定だし」
「揺杏や私、チカも入れたんだから大丈夫だね」
「な、なんでそこに私もっ!?」
賑やかなやり取りが行われる中、俺は目を細めてその子を見た。
中学生の制服を来た眼鏡の、黒髪ポニーテールの、身長140センチほどと思われる本内よりも背の低い可愛らしい子の、
「……つまり、ここの5人の指導をすればいいんだな」
「お願いしまーす!」
「
ぺこり、とその最後の真屋由暉子と名乗った中学生も、そのミステリアスな真顔のまま礼儀正しく挨拶をしてくれる。
先生、と呼ばれたことに対しては、またしても獅子原達が反応し、
「先生ではないけどな」
「? プロの先生ですよね?」
「あー、まあそういう呼び方もあるか……よし! それじゃあ頼む先生! うちらをインターハイまで連れて行ってくれ!」
「そしてユキを有名に! 目指せ、ポスト瑞原はやり!」
「いや、3日じゃ無理でしょ……」
「ユキちゃんのプロデュースまで任せるんですか……?」
女三人寄れば姦しい──とは言うが、5人もいればそれはもう賑やかだった。
「ああ……よろしくな」
俺はそのやり取りを見ながら、内心でそのレベルの高さに頭を抱えるしかない。
獅子原と桧森だけで、残りは微妙である可能性も考えていたが、岩館や本内も、それぞれ違うタイプの美少女だった。
そして俺が一番心を震わせたのは、その最後の、女子中学生。高校生ですらない。もう少しで卒業も近いが、現役JCの美少女。
真屋由暉子。ユキと皆に呼ばれた少女は、ただでさえ美少女揃いの5人の中でもかなりレベルの高い美少女だった。
やぼったい眼鏡と長くて綺麗な黒髪を後ろでひとつ結びにした彼女だが、その背丈はかなり小柄で、俺の肩にも届かない華奢な少女だ。
だがそれでいて──特徴的な、真っ先に目に入るのは、その胸だった。
身長が140センチもないかもしれないそのロリ中学生の胸元は、その制服を大きく押し上げていた。
その大きさは、ぱっと見でも、良子よりも大きいだろう。打倒はやりさんと言っていたが、確かにはやりさんに迫る大きさだった。純朴そうな可愛い顔立ちをしていながら、その胸元は窮屈そうである。G? H? I? ――いやそれくらいじゃ収まらない。
ロリ巨乳──いや、ロリ爆乳という語句が頭に浮かぶ。まさかこれほどの、こんな子が、存在するとは。俺より20センチ近く低いはやりさんよりも更に20センチ近く小柄なロリ美少女のその乳は、俺の中の欲望を再燃させるのに十分なものである。
……ヤバい、な……。
喉がゴクリと鳴る。表向きで平静を保ち、麻雀の準備をしながら、俺はもう──
次回から対局。というわけで有珠山高校に到着。さて、3日間以内に落とすことが出来るのか。有珠山編の始まりです。
あと、話には関係ないけど、参考までにアンケート置いとくね。うん、多分、関係ないけど。
皆の熱い感想、待ってる
【参考程度に】有珠山高校で好みの子は誰?
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本内成香
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桧森誓子
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岩館揺杏
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真屋由暉子
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獅子原爽