※この作品はR-18です。

役満で上がると惚れられる   作:黒岩

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長野県予選1日目

 ──6月4日。土曜日。

 

 この日は麻雀ファンにとって読んで字の如く、待ち望んだ待望の日である。

 ……まあ別に6月4日そのものが特別な日という訳じゃないけどな。日程は毎年違うし、そもそも1番の期待度で言うなら本戦の開始日の方が盛り上がる気もする。

 とはいえ、本戦も先んじてこれを行わなければ始まらない。それが、

 

 ──全国高等学校麻雀選手権大会予選。

 

 全国各地で開催される高校生の頂点を決める大会──インターハイの予選。

 その中の団体戦。長野県予選が、今まさに俺の眼の前の会場で行われようとしている──。

 

 ……そういう訳なのだが、今の俺の感想としては率直に、

 

「あっつ……人多っ」

 

 予選会場にいつもの服装とサングラスを身に着けて来たのだが……思ったより暑いし人も多い。

 だがこれは俺が馬鹿だったというか、忘れていただけだ。地区予選に真正面から観戦に来るのなんて久し振り過ぎて忘れていた。

 予選とはいえ、インターハイが始まるんだからそりゃ人も多いわなと。

 何しろ団体戦ってことでそこら中に様々な学校の制服を着た女の子がいる。

 選手だけではなく応援だってあるからな。それがまず50校分いる訳で、単純に250人以上は確実にいる訳だ。

 それに加えて、近隣住民。出場選手の親族、友人なんかも集まってるだろうし、地区予選では他の観戦客に比べて比率こそ少ないが、コアめな麻雀ファンなんかも普通に観戦しに来ているだろう。

 そして、俺としては地味に関わりたくないのが……やはり記者だ。

 こちらも地区予選では本戦に比べて数こそ少ないが、それでも一定数の記者はいる。予選とはいえ有力校や有力選手が出場するし、そうでなくともどの学校も本戦に出場する可能性も活躍する可能性もあるとして見逃せない。

 麻雀ファンからすればそういった新しい選手を発掘するのが楽しみでもあるが、それは記者も供給する立場としては同じという訳だ。

 なので、そういう奴らは麻雀に詳しい──いや、正確に言うなら、選手とか学校、チームの事情とかに詳しいと言うべきか。

 だからこそ、俺はサングラスなんかを身に着けて会場入りしてる訳だ。

 ぶっちゃけ元プロの俺なんかを知ってる奴は少ないだろうし、自意識過剰な気もするが、やはり知ってる奴は知ってるだろうし、記者に目をつけられるのも面倒だからな。だからまあ、やらないよりはマシな身バレ防止としてサングラスって訳だ。つーかやり過ぎると目立つし。これくらいがちょうどいい塩梅だ。

 

「……はぁ、さっさと中入るか……」

 

 無駄に気を回しているようで酷く馬鹿らしく感じる時もあるが、それを無視して俺は歩みを進める。

 

「ん……」

 

 だがその途中、携帯が震えたので俺は携帯をタップしてそのメッセージを見る。

 そこに書かれているのはついさっきまで一緒にいた相手からのチャットだ。そう、俺は高校生相手に3日程になるか。夜に麻雀の指導を行い、昨日など俺が泊まっている旅館の部屋に泊めてしまった。

 ここまで言えば分かるだろう。そう、俺が泊めた相手は──

 

『東郷さん!! 3日間俺の無理な願いに付き合っていただいてありがとうございました! どこまで出来るかわかりませんが、精一杯頑張ってきます!』

 

 ……京太郎。そう、男だった。

 俺は指を動かして返信する。

 

『そりゃ依頼だったからな。でもまあ頑張ってこい。麻雀ってのは運の要素が強いんだからよ。諦めなきゃ予選突破も出来るかもな』

 

『! はい! そうっすね! やれるだけやってみます!』

 

『後で応援に行く。……つっても男子で個人戦のお前の応援じゃないけどな』

 

『笑 了解です! それじゃまた後で応援お願いします!』

 

 と、既読にして携帯を閉じる。そして息を吐いた。

 ……いやまさかインターハイ直前に京太郎から依頼が来るとは思わなかったな……。

 そう、俺はインターハイが始まるまで、ゆっくりとする予定だった。

 一応観戦しに行く約束は色んな相手としてるし、もうしばらくは長野に留まるつもりだったのだが、とはいえ大会直前に……やっぱ身体に負担を掛けるのもあれだし、会ったりするのはどうかとさすがの俺も思うわけだ。

 だから俺から会おうとするのは自重した。

 ……しかしまあ、向こうから会ってと言われるならそれはもうしょうがないことだと思い、悶々とした気分を旅館のベッドで浮かべていた時──遂に連絡が来た。

 だがそれは京太郎からのもので……何でも、今度の大会で勝ち進みたいということで、俺に依頼がしたいとのことだった。

 どういう心境の変化があったのかはわからないが、金も払うし、少しの時間でもいいから見て欲しい。ほんのちょっとでも構わない。無理な願いかもしれませんが……とまで言われて……さすがの俺もそれを突っぱねるほど薄情でもないので、了承して3日程麻雀を見てやった。

 部活終わりに京太郎だけを迎えに行き、雀荘に連れて行ってアドバイスを交えながら打つ。あるいは俺のパソコンを使ってのネトマで後ろからアドバイスしつつ打つ。

 そして終われば負け越して凹んでる京太郎の肩を叩き、ラーメンでも食うかとラーメンを奢って、ラーメン屋で他愛もない会話や意味深な会話をしつつ、きちんと替え玉まで奢ってやり、家まで送ってやって、親御さんに挨拶する──なんていうマジで麻雀のコーチみたいな健全な3日間を送ってしまった。

 そしてそのせいで、他の女の子達と絡むことが一切なかった。……いやまあ元々会わないようにしようと思ったけどな? 連絡されても会わなかった……そう、大会前にそういうことするのは良くない。

 だからしょうがない。しょうがないと思うことにした。……くそ……帰る前に全員抱いて帰ってやる……。

 

「さて……中は……やっぱ記者が多いな……」

 

 会場に入るとそこそこの数の記者がいたので、俺は思わず舌打ちしそうになるが我慢する。

 サングラスを掛けてきて正解だったか。いやまあ元プロの俺がいたところでそこまで騒がれるかと言ったら微妙なところだし、自意識過剰かもしれないが慎重に動くに越したことはない。

 何しろ自分が応援する相手の中にはこの会場で最も騒がれる連中が半分程。麻雀のガチのジャーナリストになると俺の顔を知ってる奴もいるだろうし、一々ゴシップになることもない。

 

「──あ、東郷さん!」

 

「──お」

 

 と、俺が会場の隅で選手達が待機している様や記者達の動きを見て試合までの時間を潰していると、俺を見つけて声を掛ける奴等がいた。

 清澄高校だ。京太郎が俺を見つけて手を挙げ──

 

「──仁さん……!! 応援に来てくれたんですね!!」

 

「うおっ……和……!!」

 

 京太郎を追い越して凄い勢いで俺の元まで駆け寄ってきたのは原村和だった。顔を輝かせ、俺の目の前まで抱きつかんばかりに近づくがさすがに止まる。──しかし近い。後名前で呼ぶのは色々と勘ぐられるんだが……。

 

「まあ約束したしな。和は……絶好調みたいだが」

 

「はいっ……♡ 仁さんが応援に来てくれたから……ですよ……!!」

 

「のどちゃん、勢いがすごいじぇ」

 

「あはは……お久しぶりです、東郷さん」

 

「先日はありがとうございました」

 

「ん、一年生ズも久し振りだな」

 

 動揺しないように極めて平静に片岡、宮永、京太郎にも応える。何で動揺しないようにしてるかって? ──そりゃ、和がその暴力的な乳を俺に当ててきてるからだ。他のところは当たってないし、こちらを見上げて我慢でもしてるのか抱きついてはいないが、制服越しに乳房がぴとっと当たっている。いや堪らん……が、ここでそんなことをされても困る。周囲には人が大勢。というか記者までいるってのに……おかげで俺は性欲と理性の狭間で戦いつつ何とか他の清澄メンバーと話して平静を保つ羽目に。

 

「わざわざ応援に来てくれてありがとね~」

 

「おう……まあ他の用事もあったからな。今日と明日は観戦してやるから頑張れよ」

 

「あら、個人戦は来ないのかしら」

 

「行けたら行く。予定が入るかもしれないからまだわからん」

 

 今度は遅れてきた竹井が気安く話しかけてくる。染谷も一緒だ。清澄高校麻雀部の6名。全員気合十分といった感じだな。……まあ京太郎の試合はまた来週だし、若干一名ほど気合いというか別のやる気見せてるような気もするが……いやほんと、いい加減離れないとこっちまで変な気分になるので、俺は自然に和の横に逸れて皆の前に立つようにする。

 

「あ、せっかくだし一緒に観戦する? 予選は控え室とかもないし」

 

「! 良い考えです、部長。仁さん、そうしませんか?」

 

「ん……あー……そうだな。一回戦だけなら構わないぞ」

 

「一回戦だけ? 何か予定でもあるんですか?」

 

 と、そのまま話してると竹井がそんな提案をしてくるので、俺は一回戦だけならいいと答える。染谷が何か予定があるのかと尋ねてきたが、もちろんある。というかありすぎて困るのだ。

 

「いや……他にもお前らと同じ様に指導した学校があってな。そっちの試合も見に来て欲しいって頼まれてる」

 

「なぬっ!? 裏切りおったか!!」

 

「裏切りもクソもねーよ」

 

 片岡のオーバーリアクションというかふざけた調子も相変わらずだな……と、そう思ってると和は俺を見上げてやや間を置いてから、

 

「……でもその学校が2回戦まで勝ち進むとは限らないのでは?」

 

「確かに。それもそうね。先にそっちの学校から見てきたら?」

 

「こらこら、失礼かよお前ら」

 

 和の発言に竹井が悪ノリして同意する……が、まあそれはそうなんだよな。二回戦や決勝は見に来てと言うが、勝てなければその約束も叶えられない。

 ただまあ、俺が指導した清澄を含む4校はどれも中々に骨がある連中というか、わりかし強い奴等ばかりなので勝ち進むだろう。多分。まあ予想外のダークホースがいる可能性もゼロではないので確実ではないが、4校とも別の山にいるしな。

 ちなみに決勝を見に来てほしいと言ったのは第一、第二シードのあいつらで、2回戦に見に行くのは消去法でもう1校だ。

 まあ決勝をその4校で戦うなら全員観戦することになるので、ある意味明日が1番の楽しみではあるのだが。

 

「それじゃ行きます?」

 

「ああ……あっ、いや、少し挨拶してくるから待っててくれ」

 

「挨拶……他の学校の生徒ですか?」

 

 そんなところだ、と和の質問にも答えて俺は行く──が、背後からまだ視線を感じる……これはバレるな……だがまあ向こうから来るだろうし、避けきれないな……と俺は手を挙げて軽く挨拶をする。

 

「よう」

 

「! 東郷さん! お久しぶりです!」

 

「げっ、来たな目つき悪い元プロ」

 

 ──風越女子高校。キャプテンの福路美穂子と……池田ァッ!! 誰が目つき悪い元プロだァ!! と、俺が言う前に、

 

「──池田ァッ!! 指導して貰った目上にその言葉遣いはなんだァ!!」

 

「ヒッ……す、すみません!! コーチ!!」

 

 久保さんに怒られていた。相変わらずだな、この人も……怒ってる時の恐さは中々だし、池田相手への厳しさも相変わらず。

 

「いやまあ、別に構わないですけどね」

 

「そういう訳にはいきません。──ご無沙汰してます、東郷さん。1ヶ月振りくらいですか」

 

「そんなところですね」

 

 と、久保さんと一応大人として普通に挨拶をする。久保さんも同じ大人相手だと普通……というか強豪校のコーチってこういうところあるよね。野球とかのスポーツとかでもそうだけど、厳しいのは教え子にだけって感じで……まあそりゃ対等な大人には大人の対応をするのは当然なんだが、今の時代では中々珍しいやり方でもある。

 

「お久しぶりです東郷さん!」

 

「東郷先生! この間はご指導いただいてありがとうございました!」

 

「おう。お前らも頑張れよ。明日も見に来るからな」

 

「──はい。私達は勝ちます。私も精一杯頑張りますので……東郷さん、見ていてくださいね?」

 

 風越女子のレギュラー陣や他の生徒達とも会話し、頑張れと伝えてやる。特に美穂子が意味深だ。いや、俺が勝手に意味深に感じてるだけかもしれないが、美穂子の対応は普通の生徒と指導者の関係性に相応しい物に見えて……よく見れば違う。両目開いてるし、その視線も妙に色っぽく感じるというか……これ大丈夫か? 気づかれてないよな? 全体的に美穂子の雰囲気が初めて会った時のお母さんのようなそれから、また大人っぽくなってるというか、色気を感じる。学校とかで噂になってないだろうか。俺は池田にひそひそと皆に聞こえないように。

 

「……おい、池田……」

 

「あっ、東郷さんも気づいたし。最近、キャプテンがますます母性に溢れて……ふふん、これはきっと華菜ちゃんのおかげだし。最近はよく練習後にお話したり相談も受けるからなー」

 

「相談?」

 

「お洒落した方がいいのかとか、女子力がどうとかそんな相談だし。ふふん、いいだろ? これは華菜ちゃんが信頼されてる証だし!」

 

 いや池田……自慢気に言ってるがそれを俺に喋っていいのか……? しかしお洒落や女子力……もしかしてそのせいか? 以前よりも色気が出てる気がするのは。とはいえだ。

 

「……福路は元々女子力もある方じゃないか? お洒落かどうかはそこまで知らないが……」

 

「そう、キャプテンは元々完璧だし! だからそこまで変える必要はないと思ったけど……キャプテンのやりたいことを否定する華菜ちゃんではない!」

 

「……さよか」

 

 ……まあ池田のアホっぷりは置いておくとして……周囲のアドバイスでもあったか。細かい変化があるように思える。

 しかもそういった相談をした理由は……十中八九俺だ。

 

「……では東郷さん。私達はもう行きますね」

 

「……ああ。それじゃあな」

 

「はい──また今度」

 

 と、美穂子と普通に挨拶をして風越と別れる──うーん、やっぱり美穂子は自然だな。俺との関係など微塵も匂わせない。……だが俺にだけ分かるような意味深な行動がなんとも……エロいな。いや、気のせいかもしれないが去り際に目配せされてちょっと柄にもなくドキッとしてしまった。

 だがまあどんだけムラっとしたところで今日明日は何かするわけにもいかないし、そろそろ大人しく清澄と合流──げっ。

 

「──お久しぶりですわっ!!」

 

「…………おう。相変わらず声がデカいな、透華は」

 

「あー、すっごいわかる。ボク、目立つの苦手だからこういう場所だとちょっと困るよね……」

 

「なにをおっしゃいますの!? 目立ってなんぼ! 目立ってなんぼですわっっ!!」

 

「……国広も相変わらず大変だな」

 

「あはは……まあ」

 

 と、視界の端で捉えた連中から逃げようとしたが、声のデカいお嬢様に補捉されてしまい、俺は諦めてため息と共に会話に応じる。あまり目立ちたくはなかったので今ここで話すのはちょっと嫌だったが、目立ちたがりのお嬢様は俺の気持ちなど知る由もない。

 

「ははは、諦めろよ。国広君に東郷さんも。透華が今更言って聞くわけないだろ?」

 

「昔から変わらない……」

 

「純に智紀まで何を言っていますの! 我らは前年の優勝校! 長野の覇者龍門渕!! 今年の優勝候補筆頭でもあり、こんなにもマスコミが集まっているのですからスマイルですわスマイル! 真のアイドルになるためにも!」

 

「お前らアイドルを目指してんのか? 紹介してやろうか?」

 

「目指してないよ……っていうか紹介って何? 怖いんだけど」

 

 龍門渕高校──透華を筆頭に国広、沢村、井上と、龍門渕の四天王と呼ばれる連中が騒がしくやって来る。もう全然目立ってて困るな……帽子とマスクも持ってくりゃ良かったぜ。……つーかもう1人いないな。

 

「というか衣はどうした?」

 

「あいつなら寝坊だ。多分な」

 

「ええ……いいのか?」

 

「まあ予選は副将まででトバしてしまうしかないかな……」

 

「わたくし達なら余裕のよっちゃんですわ!! 衣はハギヨシに任せてありますので無問題!」

 

 という訳で衣は子供らしく寝坊らしい。これで弄ったら「こどもじゃない! ころもだ!」とまた怒りそうだ。

 だがまあ確かに透華達4人なら予選くらいは問題ないんだろうな。全員が全国クラスの打ち手だし、そこらの奴らに負ける筈もない。

 それにいざとなればハギヨシが衣を連れてくるだろう。ハギヨシはメチャクチャだしな。瞬間移動使えるし。いや、冗談じゃなくてマジで使えるから。漫画の執事キャラかよってな。

 

「そうですわ。1回戦はお暇ですし、わたくし達と一緒にお暇をつぶしませんこと?」

 

「あー……そうしたいのは山々だが、別の試合を観戦する予定があってな」

 

「別の試合?」

 

「どこの山ですの?」

 

「ん、Eブロックだ」

 

 Eブロックは東福寺、今宮女子、清澄、千曲東の試合。つまり清澄だ。

 それに気づいたのか、彼女達は僅かに眉根を上げ、

 

「Eブロックって……」

 

「──清澄高校」

 

「あ、もしかして……原村和?」

 

「原村っていうか……まあ」

 

 清澄の応援に行くだけなんだけどな。とか言葉を曖昧にしてると透華が薄く笑みを浮かべ、

 

「ふふふ……なるほど。やはり東郷さんも気になりますのね」

 

「気になるっていうか……」

 

「いえいえ、何も言わなくて構いません。──では、()()()()。……ほら行きますわよ!!」

 

「あっ、ちょっと待ってよ透華!」

 

 と、今度は透華が意味深に笑って行ってしまった。また後で……? どういう意味だ。

 しかし考えても仕方ないな……龍門渕も行ってしまったし、今は清澄と合流して──あ? 

 

「……後ろから近づいて来てもわかるからな?」

 

「! ~~~っ! さっすが東郷さんっす~~!!」

 

「っ!!? おいバカ……!! こんなところで抱きつくな……!!」

 

 俺は背後に気配を感じたので機先を制するように話しかけると、後ろから思い切り抱きついてくる誰か。むにゅんっ♡ と超高校級の柔らかさを感じる。もう最初っから大体わかってる。こんなことをする奴は1人しかいない。

 

「モモ……お前、1人か? 加治木達はどうした?」

 

「加治木先輩達ならあっちにいるっすよ? 私はちょっと東郷さんを見つけたので、ちょっと挨拶に来ました」

 

「そうか。……ならちょっと離れてくれないか? お前、今周り見えてるのか? 見えてるならこんなところで抱きつかれたら社会的に死ぬんだが」

 

「大丈夫っすよ。変に隠すからいやらしく感じるっす。堂々と抱きついてたら兄妹か親戚か、そうじゃなくてもそういう関係には見えないと思うっす。──それとも……抱きついてたら、ここが反応しちゃうっすか♡」

 

「っ……」

 

 モモが正面に回り、周囲から俺を隠すようにして抱きついてくるが……俺は気が気じゃない。見えてはない……とは思うが、それでも俺からすればバレバレだからな。今のようにモモに抱きつかれ、ズボンの上から股間をスリスリとモモの手で擦られると困る。くっ……このステルス痴女め……いやまあ俺のせいなんだけど、惚れたからといってここまで迫られると……ぐっ。

 

「お前、こんなことしてる場合じゃないだろ……? 加治木達のところに戻って試合前のミーティングとかそういうのはないのか?」

 

「心配してくれるんすね。それじゃ一緒に来ます? そしたら……後でサービスしてあげるっす♡」

 

「この……」

 

 胸を更に押し付けてそんなことを囁くような声で言われると、思わずついていきそうになる……ただでさえ久し振りの女の感触。この女子高生の制服越しの爆乳と肢体を擦りつけられて反応しない筈がないのだ。

 だが今はこれから試合の観戦があるし、モモも本当はやってる場合ではないだろう。モモのオカルトならそういう行動も可能かもしれないし、魅力的過ぎる誘いではあるのだが──

 

「……今はやめとけ。また今度だ……」

 

「あんっ♡ いけずっすね。ふふ、それじゃまた後で楽しめるように頑張ってくるっす♪」

 

「おう……頑張ってこい。加治木達にもよろしくな」

 

 と、俺が鋼の理性で試合に行ってこいと告げると意外にもあっさりとモモは身体を引いた。その表情はいたずらが成功した時のような小悪魔的な笑顔を浮かべているが……くそ……長野で落とした女の中で1番エロいのは、いや、積極的なのはモモかもしれない。ステルスを悪用してくるからな。公共の場でもアタックしてくるのがヤバい。

 だが何とか耐えきった。マスコミにも……気づかれてるかもしれないが、気づかれてないと信じてさっさと清澄と合流しよう。そうすればマスコミもそこまで追いかけてこないはず──

 

「──少しいいか?」

 

「!!?」

 

 とか思っているとまた背後から声。今度は油断していたのでちょっとビビってしまう。だ、誰だ? もう全員と話したぞ? まさか加治木が今のを見ていたとか? もしくはポリスメンか? もしくはマスゴミ? 1番良いのは俺が気づかずに落としていた女の一人だったりしたらいいし、落としていなくても新しい巨乳の美女との出会いだったらいいのだが──

 

「私は藤田靖子。麻雀プロだ。──()()()()そうだろう?」

 

 ──あ、チェンジで。

 




お久しぶりです。リハビリがてらちょこっと投稿。続きも来週くらいには投稿したい

感想、評価、良ければお待ちしております。

【参考程度に】阿知賀女子学院で好みの子は?

  • 松実玄
  • 松実宥
  • 新子憧
  • 鷺森灼
  • 高鴨穏乃
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