いよいよ開演時間が近付いてくると、会場の中は幕が上がる瞬間を待つ独特の空気に包まれ始めた。
俺はそれを一番後ろからぼんやりと眺めている。隣には卯月ちゃんが立っていて、目を合わせないようパンフレットに視線を落としていた。
途中でアイドル仲間が何人か来て、場所を移動したりする内に、俺、卯月ちゃん、凛ちゃん、未央ちゃんの並びになっていた。もしかしたら、未央ちゃんがわざとそうしたのかもしれない。俺にサービスしてくれたわけではなく、単に面白そうだからだろう。先程までの会話で、俺のことを認めてくれたのもあるのかもしれない。
プツッとマイクの入る音とともに、音楽が小さくなった。「あー、あー」とマイクのテストをするような声がした後、ホールにみくちゃんの声が響いた。
「えー、本日はご来場いただき、ありがとにゃ。もうじき開演なので、ロビーにいる子猫チャンは、早く中に入るように。もう少しお待ちください」
出演者本人のアナウンスに会場が沸き立つ。それを見ながら、卯月ちゃんがぽつりと呟いた。
「これ、結構盛り上がりますね」
「ニュージェネもたまにやるじゃん」
「こっちから見てると、臨場感が違いますね」
もちろん、本人たちのアナウンスというのはライブの定番であり、卯月ちゃんも客席から聞いたことは何度もあるだろう。ただ、俺と二人でこうして並んで聞くのは初めてだ。いつも舞台の上にいる人と一緒にいるのは、なんだか不思議な気持ちがする。
やがてホールが暗くなり、静かに幕が上がる。オレンジと紫を基調としたステージは、カボチャやらお化けやらコウモリやらが、今一つ統一感なく飾り付けられ、中央にやはりオレンジの衣装で、魔女を意識したような帽子を被った二人が立っていた。
1曲目は『メッセージ』。会場が一気にヒートアップする。
意外な選曲だった。シンデレラガールズの曲というイメージが強いが、オリジナルメンバーはニュージェネの3人に智絵里ちゃんと菜々ちゃんの曲で、アスタリスクの二人は歌っていない。ニュージェネのライブでは定番曲の1つだが、まさかこの二人が歌うとは思わなかった。
「これは予想外ですね」
俺にだけ聞こえるように卯月ちゃんが言って、俺は大きく頷いた。事前にカフェで予想した時、口にすらしなかった曲だ。
続けて『Take me☆Take you』。これもニュージェネのライブの定番曲だが、こちらはオリジナルメンバーにみくちゃんが入っている。ハロウィンかはともかく、明るくて爽やかな曲なので恐らくやるだろうと話していた。
それにしても、いつも卯月ちゃんたちが舞台で歌っている曲を、別のアイドルが歌っている光景は、なんだかとても不思議だった。二人のペンライトを振っていたら、卯月ちゃんがクスッと笑った。
「それ、買ったんですか?」
「まあ、せっかくだから」
「じゃあ、握手会に参加できますね」
封印しようと思っていた握手券の話を振ってくる。曲の途中だったので、一旦返事は保留にして舞台に目をやった。
3曲目は俺の知らない曲だったが、会場が異様な熱気に包まれ、悲鳴のような歓声が上がった。
「『Sweet Witches' Night』、これは驚いた」
凛ちゃんが唖然としたように目を見開く。俺が説明を求めるように見ると、凛ちゃんは小さく口の端を上げて笑った。
「かな子たちが5人で歌ってる曲だよ。確かにハロウィンのステージにはぴったりだけど、まさか二人でやるとは思わなかった」
実際、ハロウィンに合う不思議な曲調で、パーティーを歌った歌のようだった。初めて聴くので歌詞を全部は聴き取れないが、少し怖い歌なのだろうか。
3曲歌い終わると、割れんばかりの拍手と自分たちの名前を叫ぶ声に手を振りつつ、二人が舞台の中央に並んで立った。李衣菜ちゃんがぺこりと頭を下げてマイクを口に近付ける。
「3曲続けて聴いてもらいました。ハロウィンをテーマにお届けしてきたこのライブも、いよいよ次が最後の曲です」
李衣菜ちゃんが残念そうにそう言うと、会場がしーんと静まり返った。一体何事かとみんながみくちゃんを見るが、ステージ上の相方も真顔で李衣菜ちゃんを見つめていた。李衣菜ちゃんが困ったように頭を掻く。
「えっと、冗談だから何か突っ込んでよ」
「李衣菜ちゃんがそういうよくわからない冗談を言うとは思わなくて、みくは自分の対応力の無さに少なからずショックを受けてるにゃ」
「突っ込みやすい冗談だと思ったけど」
「台本にないことはしないで」
「そもそも台本がないから!」
二人のやりとりに、会場が笑い声に包まれた。隣で卯月ちゃんも楽しそうに顔を綻ばせている。本当に台本がないのか、すべて台本通りなのか、まるでわからない。
「改めまして、アスタリスクのツッコミ担当、前川みくです」
「ボケとかツッコミとかないから! 漫才コンビじゃないから!」
「李衣菜ちゃんも早く挨拶して! 今日初めての人もいるんだから。たぶん」
「あー、アスタリスクのロック担当、多田李衣菜です。今日はハロウィンの週末ってことで、みくと二人でハロウィンなステージをお届けします」
パチパチパチと拍手が起きる。みくちゃんが明るい笑顔で手を広げて、ステージをグルッと見渡した。
「この可愛く飾られたステージ! すごくロックにゃ」
「えっ? そう?」
「このハロウィン仕様の猫チャンのぬいぐるみ! もうロックすぎて、ずっと抱きしめていたいにゃ」
みくちゃんがステージ上の猫のぬいぐるみを抱きしめて頬を寄せる。李衣菜ちゃんが半眼で睨んで、低い声で言った。
「もしかして、なんでもロックって言ってれば、私が喜ぶと思ってる?」
「いつもなんでもロックだって言ってるのは、李衣菜ちゃんにゃ」
「いや、私はロックなものにしかロックって言わないし!」
「じゃあ、早速次の曲に行きます」
「私の話を聞いて!」
李衣菜ちゃんの言葉を無視して、みくちゃんがポーズを作る。李衣菜ちゃんも諦めたように肩を落として、隣で同じポーズを取った。
二人のライブは初めて見るが、歌よりもトークが面白い。
「いつもこんな感じなの?」
隣の女の子に声をひそめて尋ねると、卯月ちゃんは舞台を見たまま頷いた。
「そうですね。ついでに言えば、事務所でもプライベートでもずっとあんな感じです」
「あー」
一緒に学園祭を回った時のことを思い出して、思わず苦笑した。確かに、すごく仲良しなのにいつも何かしら言い合っていた気がする。喧嘩するほど仲がいいと言うが、俺は仲が良ければ喧嘩などしないと思っている。二人の口論は恐らく喧嘩ではなく、じゃれ合いに近いものなのだろう。
4曲目は『ゴキゲンParty Night』。ハロウィンパーティーの開幕にふさわしい曲だ。
次の曲は聴いたことがなかったが、卯月ちゃんが『恋が咲く季節』という、比較的新しい曲だと教えてくれた。
6曲目もわからなかったが、こちらは卯月ちゃんも知らなかった。凛ちゃんによると、『秋めいてDing Dong Dang!』というやはり新しい秋のナンバーらしい。
それにしても、学園祭を一緒に回っていた時は、アイドルということを忘れて、ちょっと我が儘な高校生二人を相手にしていた気分だったが、その二人がこうしてステージで踊って、何百というファンが熱狂しているのは感慨深い。特に優越感はなかったが、見守るような気持ちでペンライトを振った。3曲終わると、再び少しだけステージが明るくなってトークが始まる。みくちゃんが水をひと口飲んでから、世間話でもするように李衣菜ちゃんに話しかけた。
「そう言えば、李衣菜ちゃんはハロウィンの思い出って何かあるにゃ?」
好奇心に目を輝かせるみくちゃんに、李衣菜ちゃんが肩をすくめる。
「何もないかな。みくは?」
「みくもないにゃ」
平然とみくちゃんが答えて、10秒ほど沈黙する。会場から忍び笑いが漏れて、みくちゃんが大きなため息をついた。
「全然盛り上がらないにゃ!」
「そう言われても、ないものはないし、みくだってないじゃん!」
「李衣菜ちゃんはみくより先輩なんだから、あって然るべきにゃ!」
「意味わかんないし。何その突然の後輩アピール!」
「この際捏造でもいいから何か話して! ライブが30分で終わっちゃうにゃ!」
「そんなこと言われても……」
李衣菜ちゃんが狼狽えたように眉をひそめる。すでに30分経っているが、ものの喩えだろう。会場は笑いに包まれ、隣を見るとニュージェネの3人も楽しそうに舞台を見つめていた。
不意に、李衣菜ちゃんが「そういえば」と明るい声を出して、みくちゃんが嬉しそうに身を乗り出した。
「何かあるにゃ?」
「小学生の低学年の時なんだけど、うちの近所は割と前からハロウィンの習慣っていうか、お祭りがあったんだよ」
「低学年! その頃の李衣菜ちゃんは可愛かったの?」
「えっ? 何その、今は可愛くないみたいな反応」
「誰もそんなこと言ってないにゃ」
「なんか引っかかるなぁ」
李衣菜ちゃんが首を傾げると、客席から「まだ可愛いよー!」と大きな声が飛んだ。李衣菜ちゃんが慌てた様子で客席を見る。
「何その、もうじき可愛くなくなるみたいなフォロー!」
「李衣菜ちゃん、被害妄想にゃ。早く続きを話して。みくは猫なのにキリンになりそう」
「ああ、それで、子供たちが仮装してお菓子をもらったりするんだけど、一人仮面をつけてる子がいて、誰かわからなかったんだよね」
李衣菜ちゃんが立てた人差し指を顎に当てる。なかなか可愛らしい仕草だ。みくちゃんが不思議そうに尋ねた。
「男の子? 女の子? 学校の子?」
「男の子だけど、喋らなかったし、同じ学校の子かもわからなかった。学区のお祭りだから、同じ学校だと思うけど、それなら誰もわからないってことはないと思うし」
「その時だけおばあちゃんの家に帰省してたとか」
「可能性はあるね。初めて見たのは1年生の時だったと思うけど、それから毎年来てたんだよ。喋らない以外、変なことをする子でもなかったし、まだ派閥とか面倒なこともない歳だったから、普通にみんなで仲良くしてたんだけどね」
派閥とはまた物騒なことを言い出した。快活で友達が多そうな李衣菜ちゃんも、そういう女子高生らしい人間関係に悩んだりするのだろうか。俺がぼんやりそんなことを考えていると、みくちゃんがにやにやしながら李衣菜ちゃんの顔を下から覗き込んだ。
「派閥かー。李衣菜ちゃんはアイドル仲間で嫌いな子とかいるの? みくにだけこっそり教えて」
唐突な質問に、李衣菜ちゃんが身をのけ反らせて首を振る。
「こっそりも何も、みんないるし!」
「じゃあ後で楽屋で教えて」
「いないから! みんな大好きだから!」
「そういう上辺の言葉は、みくには不要にゃ。大丈夫。誰にも言わないから」
「本当に! 346は女の子ばかりなのに、みんな仲良しでいい事務所だと思うな!」
「はい、事務所のヨイショをいただきました」
慌てふためく李衣菜ちゃんを放置して、みくちゃんが紹介するように手を広げると、客席からパラパラと拍手が起きた。本当に漫才ライブのようだ。ニュージェネのイベントとは内容も空気も全然違う。
「それで、その子がどうしたの? 何か初恋みたいな話になるの?」
さらりとみくちゃんが話を戻す。初恋などという、アイドルにはNGワードが飛び出して、李衣菜ちゃんがブンブンと首を振った。
「いや、そういうのじゃないんだけどね。ただ、結局3年生くらいまで毎年会ってたけど、誰かわからず終いで。親も友達も誰もわからなくて、私の人生に永遠に残る謎の一つだよ」
李衣菜ちゃんが笑顔で話を締めくくると、会場はどことなくしっとりした空気になった。みくちゃんもどうコメントをしたらいいか迷うように李衣菜ちゃんを見つめてから、優しい眼差しで微笑んだ。
「きっとお友達が欲しかったんだろうね。李衣菜ちゃんたちとお祭りを一緒に過ごせて、きっとその子も楽しかったと思うにゃ」
「そうだといいんだけど」
李衣菜ちゃんがそう呟いてから、じっとみくちゃんを見つめる。みくちゃんはしばらく目を合わせていたが、その内照れたように俯いた。
「な、何? 恥ずかしいにゃ」
「次はみくの番だよ。何かハロウィンのエピソード話してよ」
「みくは何もないにゃ。残念だけど」
「いや、私も何もないから。捏造してでも話せって言ったのはみくだよ?」
李衣菜ちゃんが咎めるようにそう言って、わざとらしく腰に手を当てた。客席がザワッとする。みくちゃんも驚いたように眉を上げて、訝しげに相棒を見つめた。
「えっと、さっきの話は本当なんだよね?」
「えっ? なんで? 私、何もないって最初に言ったじゃん」
しれっとそう言って、李衣菜ちゃんが不思議そうに目を見張る。俺は思わず息をのんだが、本当の話だと思って聞いていたのは俺だけではなかったようで、客席から複雑な声が漏れた。
みくちゃんがわなわなと手を震わせて、ずいっと一歩詰め寄った。
「全部嘘だったにゃ!?」
「なんで怒るの? 捏造してでも話せって言ったのはみくだよ?」
「そういうことじゃないにゃ!」
「どういうことだよ。全然わかんない!」
「んにゃー! もういいにゃ! 解散にゃ!」
みくちゃんが頬を膨らませてそう叫ぶと、たったと走って舞台の袖に消えて行った。取り残された李衣菜ちゃんが困ったように頭を掻くと、客席から「追いかけて!」とか、「今日最初の解散!」とか、様々な声がステージに飛んだ。これはハプニングなのか、定番のやり取りなのか、さっぱりわからない。
コメントを求めるように隣を見ると、卯月ちゃんが体の前で手を組んで、小さく首をひねった。
「どこまで台本通りなんでしょうね」
「いつもこんな感じなの?」
「大抵1回は解散しますね。だからたぶん、台本通りなんだと思いますけど、それにしてはみくちゃんの驚き方とかがすごく自然で」
「演技派なのか、話の内容までは決まってなかったのか」
「後者かもしれませんね。私だったら、李衣菜ちゃんが真顔で話してるところで笑っちゃう自信があります」
ステージで李衣菜ちゃんが何やら一人芝居をしている間、卯月ちゃんと小声であれこれ推測していると、不意に凛ちゃんが興味深そうに口を開いた。
「なんか、すごく自然だよね」
「さっきのみくちゃんですか?」
卯月ちゃんが聞くと、凛ちゃんは静かに首を振った。
「いや、二人が」
気が付くと、未央ちゃんも俺たちの方を覗き込んでいて、俺はどうしたものかと思案した。ついいつも通り話してしまったが、確かに憧れのアイドルとファンの空気ではなかったかもしれない。
さっきみたいに「そんなことないっすよー」と軽く流そうとしたら、それより先に卯月ちゃんが平然と言った。
「この人、私の従兄弟なんです」
にこりと笑う卯月ちゃんとは対照的に、二人が唖然とした顔で目を見開いた。俺もごくりと息をのんだが、なるべく表情には出さないようにして成り行きを見守る。
もちろん、俺が卯月ちゃんの従兄弟のはずがない。ニュージェネの握手会で初めましてと挨拶しているのも、興奮しながら話しているのも、二人は知っている。卯月ちゃん自身も、駆け出しの頃に二人と俺のことを話す機会もあっただろうし、どう考えても俺と卯月ちゃんが従兄弟同士というのは無理がある。
ほとんど面識のないアスタリスクの二人だから通用したのだ。どうして卯月ちゃんは俺に相談もせず、平気な顔でそんなことを言い出したのか、まるで理解できない。
「い、いやいやいやいや!」
案の定未央ちゃんが顔の前で手を振ったところで、次の曲が始まった。李衣菜ちゃんのソロ曲、『Sparkling Girl』だ。
「じゃあ、みくがいなくなっちゃったから、ここからは私のワンマンショーを楽しんでもらうね!」
歌声と歓声で会話が途切れる。卯月ちゃんが何事もなかったようにステージに目をやって、二人も一旦保留と言わんばかりにペンライトを取った。
一体どういうつもりなのだろう。ペンライトを振りながらちらりと横目で卯月ちゃんを見ると、最愛の彼女は同じように俺を見て困ったように微笑んだ。まるで意味がわからないが、考えてもしょうがないので俺もひとまず保留にした。
上の空で曲を聴き終える。拍手していると、ステージの袖から先程とは違う衣装でみくちゃんが現れた。紫を基調としたドレスで、ほっそりした肩が剥き出しになっている。首にはリボン、頭にはネコミミ。お尻からは尻尾が伸びているが、一体どうやってついているのだろう。
「お帰り。着替えてきたの?」
「ただいまにゃ。お色直しにゃ」
「じゃあ、私も着替えて来よっと」
そう言いながら、李衣菜ちゃんが手を振りながらステージを後にする。やはり先程の流れはすべて予定通りだったのだ。もちろん、卯月ちゃんの言う通り、みくちゃんの驚き方はあまりにも自然だったから、会話のすべてに台本があるかはわからない。
「みくちゃん、すごいなぁ」
卯月ちゃんが独り言のように呟いて、俺は「そうだね」と無難に相槌を打った。本当に、先程の爆弾発言などまるで気にしていない様子だ。隣で凛ちゃんが釈然としない顔をしているが、卯月ちゃんは気にした素振りを見せない。
みくちゃんがしばらく一人で喋ってから『おねだりShall We~?』を披露する。その後は李衣菜ちゃんが、みくちゃんと同じようなデザインの青色の衣装を身につけてステージに現れた。もちろん尻尾はついていない。ネコミミではなくヘッドホンをしているが、イヤモニの代わりというわけではないだろう。
二人で『OωOver!!』を熱唱して、会場がヒートアップする。アスタリスクのデビュー曲で、俺もCINDERELLA PARTY!の予習で何度も聴いた。
曲が終わって拍手も鳴り止むと、二人でまた話を始める。今度はハロウィンとは関係ないが、秋にちなんだ話だ。
みくちゃんが先日松茸を食べた話をすると、李衣菜ちゃんが大げさに羨ましがり、みくちゃんが得意げに胸を張る。客席にも松茸の話を振って、たくさんの声が飛ぶのが新鮮だ。ニュージェネのライブでは、ステージの3人が客席に声をかけることは滅多にないし、そもそもトークショーでもなければこんなにたくさん喋らない。
最後にまた話をハロウィンに戻してから、次の曲の紹介する。いよいよみくちゃんが、聴かなければ人生の損失とまで言った『Halloween Code』だ。
これは実際可愛かった。この曲にはよほど思い入れがあるのか、1曲だけで再びMCを挟む。みくちゃんが『Halloween Code』収録の裏話などをしつつ、ロビーでCDを売っているから買うよう強く勧めると、李衣菜ちゃんも握手券がついてくると笑顔で宣伝した。
これはそろそろライブが終わる流れだ。この後さらに握手会もあることを考えると、盛りだくさんの内容である。
ハロウィンイベント用に練習したという『さよならアンドロメダ』と『アンデッド・ダンスロック』が披露されるが、どちらもわからなかった。予習不足を悔やんでいると、「どっちも新しい曲だしね」と、凛ちゃんがフォローしてくれた。
最後はシンデレラガールズの定番曲である『夕映えプレゼント』を歌って、拍手に包まれながら二人がステージを後にする。アンコールはないのかと思ったが、もちろんそんなはずはなく、拍手に包まれながらもう一度二人並んでステージに立った。
「アンコールありがとにゃ。今日はみくたちのハロウィンパーティー、楽しんでもらえたかにゃ?」
みくちゃんが客席にマイクを向けると、野太い歓声が上がった。そういえばニュージェネよりも男性比率が高いのは、みくちゃんのキャラ付けの影響だろうか。あざといと言えばあざとく、女の子ウケする感じではない。個人的には、一緒に学園祭を回っていた素のみくちゃんの方が好みだ。
アンコールに『M@GIC☆』を歌って、ハロウィンイベントは熱気に包まれたまま終了した。手が痛くなるくらい拍手をしながら隣を見ると、卯月ちゃんも楽しそうに手を叩いていた。