※この作品はR-18です。

雀野さんはドスケベビッチ   作:モブガサ

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Stand♥ and♥ Fight♥

 雀野にとって橘淳之介は目が離せない、危なっかしい男の子である。

 炊事洗濯の才能はからっきしで特に料理は酷いものだ。塩と砂糖を間違えるのは日常茶飯事、気を抜けば食材が真っ黒に、味付けが極端になってたり。何故か見知らぬモノが混入していたり。

 漫画に出てくる料理オンチなキャラそのものだと、指導する立場の少女は頭が痛くなった。

 

 そういう星の下に生まれたからか、彼は荒事に巻き込まれやすい。

 淳之介は危害を加えられそうな人間が目の前にいれば、後先考えず戦力差も考慮しないで突っ込んでいくきらいがある。きっと彼は嫌いな島の人間であろうと手を差し伸べようとするだろう。

 人としては好感が持てるが、友人としてはその捨て身な姿勢を看過することができなかった。

 雀野が率先して蹴散らせばいい話ではあるが、常日頃彼と同行しているわけじゃない。

 

 だからこそ少女は淳之介に戦い方も教えることにした。一人でいる彼が誰かに手を伸ばし、少しでも安全に、少しでも遠くにいる人へ手が届くように。

 格闘のセンスもあるとは言えない。だが、彼は雀野の想定を遥かに超えた努力家だった。

 日々の修練で疲労が蓄積し体を動かすことも億劫だったろう。しかし彼は気合でそうした素振りを見せず、逆に素人相手だからと気を遣わず練習量を増やしてほしいと頼み込む始末。

 家事についても、よく頑張っていた。毎回問題点を洗い出し、改善点をまとめ上げ牛歩だが確実に成長を遂げていく。一カ月かけてまともなチャーハンを完成させた際には、橘家に雇われている家事代行サービスのアルバイター奈々瀬と肩を抱き合ったものだ。

 

 だが淳之介には紛れもなくリーダーとしての、司令塔としての資質があった。

 目まぐるしく変遷する戦況を冷静に見極めながら的確な指示を送り、いざとなれば仲間を守るため躊躇なく自身を賭けのテーブルに載せ囮役を買って出る思い切りの良さ。

 そんな仲間想いの彼だからこそ雀野は、NLNSのメンバーは支えたくなったのだろう。

 

 淳之介は、雀野が絶対的窮地に立たされた時にいつだって駆けつけた。

 白馬の王子様のように美しく颯爽と現れるわけじゃない。地に這い蹲り服を身体を土で汚しながら死に物狂いで助けようとする姿はみっともないと敵に嘲笑されることもあったが。

 雀野にとってはその泥臭いヒーローが、たまらなく格好良く映っていた。

 

 手のかかる弟を見る眼差しが、いつしか変わる。

 目が離せない、から目が離せないへ。言葉は同じなれど意味の変化に気付いた瞬間。

 

 ────雀野薙帆は、橘淳之介への恋心を自覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだかな?」

 

「わ、わかっている」

 

 想い人の青年に睥睨され、雀野は自由の利かない体を芋虫のように這わせ進みながら、蒼眼を前方に戻す。乱した清廉な白服を纏う女の眼前には巨大な塔が、聳え立っていた。

 このようなデカブツが体内へ入ったことがあるのか──ゴクリと唾を呑む。

 

 どうしてこんなことに。そもそも雀野から言い出したことで完全な自業自得だが、記憶を手ずから消去した少女はそれに思い至ることなどできずただ嘆く。

 目覚める前の会話がすっかり抜け落ちた少女からしてみれば、淳之介に突然SM部屋に拉致され拘束されマゾでないかと疑われ襲われているのだ。たまったものではない。自業自得だが。 

 

 いくら体力を回復するまでの短い時間だからといって、軽々しくどんな命令に従うなど言うべきでなかったと少女は後悔する。だが、やると口にしたからには嫌でもやる。

 雀野はそういう女だった。

 

「早くしゃぶれよ」

 

「ぁっ……待て、急かすな……!」

 

 せめてものと睨もうとしたが、その行動は正しくないと人体が訂正を促すように、女体の芯から脳髄へ妖しい電流が駆け回る。結果的に鋭い目尻は垂れ下がり熱を帯びて、淳之介の一物を愛おしげに見つめる形となってしまった。

 蠱惑的な瞳に、彼の股間から噎せ返る雄臭が溢れ出す。生臭さに眉を顰めるが、男の手に持つ小型の機械をチラつかされて、雀野は慌てて顎を突き出した。

 

 ──この痺れは、ただの脳の錯覚だ。

 NLNSとして淳之介の号令の下、作戦を見事遂行した際はいつだって爽快な気分になれた。

 指揮官の手足となっていた時の高揚感が性的刺激と紐付けられてしまうという、バグが発生しているのだろう。決して彼に隷属する悦びを見出しているわけではない。

 そう少女は言い聞かせ、一瞬意地の悪い笑みを浮かべては、膨張した肉を咥え込む。

 

「ぐうぅ……!」

 

 雀野の舌先が、最も敏感でデリケートな茎肉の先端をチロチロと舐め回す。

 生暖かさに包み込まれた直後の鋭利な刺激に淳之介は唸った。

 女の唇は埋没し頬を窄め、肉を吸引しながら元いた地点へ戻ろうとするがしかし追い打ちはまだ終わらない。彼女の薄桃舌が、竿と頬粘膜の合間を縫うように踊っているのだ。

 規則的な頭部の上下運動と、不規則な舌運動による同時攻撃に、男の腰が浮いた。

 

「だらしない顔になっているぞ(だりゃちにゃいかほひはっているお)……なさけないな(ばじゃげだににゃ)……」

 

 信じられないかもしれないが、雀野にフェラの経験はない。

 だが稀に水乃月学園で行われるビデオによるテクニック学習授業。

 男性視点、口腔内、多角的な視点で映し出される解説映像を聞いているだけで、肉体操作において天稟を発揮する雀野はどう動かせば殿方が気持ちよくなるのかを理解した。

 未経験なのに青藍島有数のフェラチオマスターへ。

『初めてだからうまくできるか分からないけどジュルッジュボボッジュボボボオ』現象を完璧にこなせる女なのであった。

 

「くっ……!」

 

 拙い。あっという間に限界へと達してしまう。淳之介は雀野をイカせたのち、追撃に何度も絶頂を肢体に覚えさせ体力を奪った上で口奉仕を強要していた。

 猶予は十二分に確保しているが、呆気なくイカされたとあっては彼女により勢いを与えることになり、そうなってしまえば現在の明確な上下関係に綻びが生じる。

 薙帆はそれが狙いなのだ。先手を打たねば大局が変わってしまう──!

 暴力的な快楽に翻弄されながらも、淳之介は握り締めていたスイッチを指で押し上げた。

 

「はぁふぃ!?」

 

 カチッとスライド音が鳴り雀野は口撃を止める。原因はテープで胸元に貼り付けられたカプセルだ。興味はあったが、この手のアイテムを買ったら何らかの一線を越えてしまう気がして購入を控えていた──俗に言うピンクローターである。

 淳之介と再会して半年、その間に一回り大きくなった乳房が性具によって揺らされる。

 

「ふぅぅ……! ふぅ……!」

 

 振動は微弱だ、しかし昇り詰めさせられた発情体はそれを無防備に受け入れる。未体験のバイブレーション快楽は、雀野にとっては恐ろしい毒だった。

 伝播していく熱に身を焦がされながらも、熱肉掃除を再開する。

 ここでイッてしまえば益々淳之介をつけ上がらせる──それより先に出させなければ。 

 恋人と同じ思考で、雀野は更に肉茎を咥え込もうとした。

 

「……ぅ! ち、薙帆は俺のチンポが大好きなんだなぁ!

 精液を早く味わいたいって貪欲さがビンビンに伝わってくるよ」

 

「んぅ!? 違う(ぢぎゃぶ)、そうじゃない(ぞうじゃない)!」

 

 冷静でいれば淳之介の意図を察して聞き流せていたことだろう。

 だがいくら優れた技巧があろうと雀野にとっては初フェラだ。射精させるのに手一杯で考える余裕がなく、すっとぼけた台詞を真に受けてしまう。

 

「いいぞ、お前がそんなに俺のを飲みたいって言うのなら仕方ない。

 望み通りくれてやるよ! このスケベ女が!」

 

「やめ……んぎぃ!?」

 

 淳之介に後頭部を掴まれ、喉奥まで男根を呑み込まされる雀野。

 精神的優位に立ちたいがための積極性を肉棒愛へ勝手に捉えられ貶されて、まるで性処理道具のように扱われているというのに、下腹部から発する切ない疼きが止まらない。

 胸の先から常に広がる淡い快美も相俟って、早くも少女は限界へと訪れようとしていた。

 

「んじゅぅっ、じゅぼっ、あぐぅぅ、じゅじゅっ!」

 

「くぅぅぅ……!」

 

 けれど、少女の奉仕もまた止まらない。

 強引に肉勃起を押し込まれる息苦しさに相反する心地良さ、そして淫悦。

 頭は霞みがかっていたが、持ち前の運動センスが彼女をオートパイロットで動かしていた。

 根元から鈴口まで縦横無尽に暴れることで生まれる擦過快楽は最初の比ではなく、青年が歯を食い縛り淫撃に耐える。しかしもう長くは持たないことは淳之介もよくわかっていた。

 もう一度、手に持つ機器を同方向へ滑らせる。

 

「ふぅぅぅん!? んぼぉっぢゅぅっ、ぐぽっっ、ぁぁらめ!」

 

 ローターの振動設定が変更されたことで、下から響く鈍い機械音に比例し、媚電も増していく。

 口内に含まれる先走り汁の分泌量が増加し肉が戦慄いて、破裂しそうな程血管が浮き出ていた。

 終着点はすぐ先だ──雀野がラストスパートに入ったその時。

 

 淳之介の指が彼女の充血した肉の蕾を、ローターごと押し潰した。

 

「んぼぉぉぉぉぉぉふぐぅっぁあああああ!!」

 

 少女の頭の中が真っ白に染まり。

 

「出るぞ! 命令だ! 全て飲め!」

 

 熱い液体が雀野へと迸る。凶悪な竿肉が脈打つたびに淳之介の子種が注がれて、言われた通りコクリコクリと喉を鳴らし内側に送り込むがその量は膨大だ。

 唇から一滴も零れぬよう時間をかけてゆっくりと嚥下し、男汁を飲み干した少女はひどく息を乱していたが、授業で習ったマナーを守るため無意識的に口の中を淳之介に見せつけ、完飲した証拠を示していた。

 

 武装した兵隊たちを相手に無双し、人外でしかない動きを見せていた、父であり師匠を破り。

 平行世界では空飛ぶ鉄のハメドリ君を拳で撃ち落とし、その亡骸で山を築いた。

 負けず嫌いの女部田郁子をして、殺しはご法度、正々堂々戦うならいざ知らず、何でもありの殺し合いという条件下なら勝てる気がしないとまで言わしめた──一騎当千の女傑が。

 

 自分の掌で転がり、奴隷のように傅いている。

 

「っふぅ、あっんんっ、くぅふぁぁ!」

 

 至ったところで無機物は人間を気にも留めず、ただ与えられた電気信号のまま作業を続ける。

 無慈悲にも送られてくる快電に丸腰の雀野は浸食され、ついには表情を取り繕うこともできなくなり、顔を真っ赤にして嬌声を漏らした。

 あの何事にも動じず泰然として微笑む武人が、こうもはしたなく喘いでいる。

 

「く、ぁぁん……はぁ、はなせぇ……あぅぅう」

 

 こんな彼女を知っているのは世界に俺一人だけ。優越感と征服感に、ゾクゾクと背筋から何かが込み上げてきた。もっと穢して、もっと淫らな彼女を知りたい。もっともっと。

 肉棒と脳が直結し、淳之介は少女を押し倒す。

 緋色の袴を持ち上げて、中を凝視し──橘淳之介はピタリと動きを停止した。

 

「薙帆。これはなんだ」

 

「な、んぅ何だって、何の話をしてんぅぅ、いる、んだぁ!」 

  

 どことなく含み所があるように聞こえる真面目な口調に、思わずビクリと肩を震わせる。

 しかし彼の問いそのものが見当もつかず、疑問を投げ返す雀野。

 仕方なしに淳之介が粘着テープを剥がし、彼女を蝕む性玩具から解放した。

 青年の先にあるのは、雀野が穿いている繊細なレースをふんだんに使用した高級な黒のショーツ。

 艶やかな黒髪と同色の光沢布は見栄えよく彼女の玉の肌を素晴らしく引き立たせていた。

 メガネをクイッと上げ整え直し、真剣な面構えで質問を投げかける。

 

 

 

「どうして上はさらし巻いてたのに下はふんどしじゃないんだ──!?」

 

「ふぅ……はぁ、はぁ、はぁ!? 知るか! あ、貴方が私をこの装束に着替えさせたんだろう!?」

 

「あぁそうか……ならこう考えてみてくれ。

 もし巫女服エッチがしてみたいと思ったら下着はどうする? これにするか?」

 

「勝手に脱がすな……! まぁ、その下着を選ぶかな。

 我が言うのもなんだが似合っていると思うし」

 

「うん凄く似合ってて綺麗だけどさ……ふんどしを選ぶという選択肢は?」

 

「ふんどしって……いやそれはないな。…………エッチじゃないだろ?」

 

「エッチだろうが────!」

 

「ひぃ、申し訳ありません……?」

 

「ええい、そのスケベボディに常識というものを教え込んでやる!」

 

「滅茶苦茶だ──!」

 

「でも黒パンツとさらしの組み合わせも趣があってそれはそれでありだと思います」

 

「そのようなところはやはり兄妹だな……」

 

 淳之介が袴を捲り、下肢を持ち上げては彼女に向かって押す。

 少女は足を下ろすことも叶わず、強制されたのはまんぐり返し。

 大きな角度で折り畳まれたため、雀野は目と鼻の先に自身の恥部を突き付けられた。

 閉じがちだった乙女の聖域は言い訳のしようがないほどドロドロに蕩けており、外部からの訪問者を歓迎するかのように城門が左右に開いている。

 

「フン……胸を弄んだ次はクンニリングスか……あ、安直な流れだな」

 

 我はこんなやり方で興奮するような女ではない。雀野は未だそう信じて疑わないが、目の前の花蜜溢れる肉穴は何よりも雄弁だった。

 そんな痴態から目を逸らすため、上から見下ろす眼鏡男に冷めた態度を取り話しかける少女だったが──男の眼球が想定していた箇所とズレた方向へ向いていることに、雀野は気がつく。

 じっと見つめていた淳之介が、ボソリと呟いた。

 

「薙帆ってアナル弱そうだよな」

 

「おい、やめろ。それはやめろ!」

 

「洗ってないのか?」

 

「しっかり洗ってはいるが! 尻だぞ!? 便を出し入れするだめの穴だぞ!?」

 

「出し入れは普通しないんだよなぁ」

 

 男の視線は勝負下着に隠されていた秘園──ではなく、その手前にある菊穴へ注がれていた。

 早一年以上、この島に移り住んで久しい雀野はそれが何を示しているのかわからぬほど初心ではない。アナルとはやり方次第によって第二の性器成り得る性感帯の一種──と。

 しかし適切な開発やプレイでなければかなりの危険性を伴うそれは、セックスパートナーとの信頼関係が何よりも肝要である。

 誰でも彼でもセックスすることが前提条件だった、この性の乱れる青藍島においてもアナルセックスを許容する女性は意外にも数少ないのだ。

 当然雀野は断固拒否するつもりだったのだが──

 

「薙帆が感じちゃうならそりゃ必死にもなるよな。またイって振出しに戻るんだからなぁ」

 

「──感じるわけないだろやれるものならやってみろぉ! あっ」

 

 この子青藍島でよく誰の毒牙にもかからなかったなぁ、と見え見えの挑発に飛びつく少女に内心呆れながらも、指で愛液を掬い取り、潤滑油にして雀野の肉皺へと近づけていく。

 だがこれは所詮、彼女を困らせる一環に過ぎない。アナル開発とはセンズリの道も一指から。

 よほどの素質がなければ初めはくすぐったいか異物感で苦い顔になるだけ、とは雀野の友人談。

 そしていいんちょさんに匹敵する程の潜在能力を秘めているから薙帆ちゃんもアナル沼に嵌りましょうとアナル怪人がよく勧めていたが──それはあくまで、勧誘の謳い文句なのだろう。

 

 気の強い女はアナルが弱い。雀野は糺川礼と並びアナルが弱そうな見た目をしている。

 くっころヒロインのアナルが弱い──ロマンである。しかし、ロマンでしかないのだ。

 そう都合よく性感帯として機能するはずがない。

 わかっていながらも淳之介は豊満な尻肉、その中心を二本の指で押し広げ。

 ツプン、と人差し指を尻蕾に埋めた。

 

「ひんっ」

 

「えっ」

 

 淳之介は鳩が豆鉄砲を食ったようになり、雀野もまた同様だった。

 目が点になりパチクリと瞬きを繰り返し、キリリと結ばれていた桜色の唇は上下に離れている。

 可愛らしい声を上げてしまったことで、少女の耳までもが紅に燃えた。

  

「……違、う。驚いただけだ」

 

「そうだよな、あり得ないよな。何もしてないのに尻で感じるなんて。

 元々独りで開発してたわけじゃないだろ?」

 

「やるか馬鹿! ……ふん、そうだ。ありえん。そんな女ただの変態だ。淫売だ」

 

 だからその無益な行動を今すぐ止めろ。

 焦りからか乳首弄り時に行っていたやり取りを忘れ、無自覚に再現していた雀野は。

 尻の上からニイッとサディスティックな笑顔を見せる男に血の気が引いた。

 

「じゃあもし。薙帆がアナルだけを責められてイったりしたら……どうなるかな?」

 

「やめぐ……くぁ……かっ……ぁっ!」

 

 残忍な発想をする男に反抗しようとするものの、丸められた腰に男の体を添えられただけで雀野は重量により身動きが取れなくなってしまっていた。

 圧迫されることで嫌でも下半身を意識させられる。雀野の機微を読み取っているような絶妙のタイミングで、淳之介は指を入れた。

 排泄物を体外へ排出するための一方通行な出口をこじ開けられる、日常生活では絶対に起こり得ない背徳的行為。

 気持ち悪い、痛い。嫌悪感を発信することさえできれば、淳之介は手を止めてくれるだろう。

 理不尽な目に遭っている──つもりの──雀野も彼に信頼を置き、そう確信していたのだが。

 

「ぃはぁあっ、んんぅ、ひゃぅぅっん!」

 

 確かに不愉快ではあった。しかしそれと一緒に流れ込んでくる、何倍もの肛悦の波に負の感情はいとも容易く押し流されていく。

 桃割れに指が深く潜り込む度に拒絶ではなく官能的な声が漏れ、どうあっても動かせない総身が反射的に捩れ狂った。第三関節まで沈んだことで媚刺激の供給が一時的に中断される。

 しかしそれで終わりではない。入ったということは、出なければならないということ。

 

「っ、はぁぁんっ! やっ、はひっんぅぅっ……いぁぁぁ!」

 

 肛門には神経がある。これは体内に不要な物質が残留しているから早く除去しろと人間に訴える役割を果たしており、そのために不快感を脳へ伝達させ排便を煽る。

 それが取り除かれることで、人は爽快感や快さを覚えるのだ。

 

「ふあぁ、ぬ、抜くなぁぁっ! それ以上はぁぁぁ!」

 

 本来であれば少女が肛虐でここまで身を捩ることはなかった。

 しかし幾度もオーガズムを強いられたことで、異物が抜け出ようとする解放感を性の悦びとして認識してしまい、肉の窄まりから指が遠ざかっていくほど雀野の頭に紫電が貫いていく。

 黒髪少女の頼みを聞き入れて淳之介の指の逆走が終了し。二度目の侵入が開始した。

 

「や、ぁぁあああああ! あひぃっぁっうぅぅぅぅぅぅ!」

 

 押して、引く。類稀なる肉体はあらゆる状況に対応する順応性を秘めており、筋肉の集合体である肛門は指にあっさりと馴染んでいった。

 筋が雀野の反発心を差し置き柔らかく解れ、淳之介の抽送を受け入れる。スムーズに行き来できるようになったことで肉悦は津波となり荒れて、暴虐に虐げられていく乙女。

 寝台に押し付けられていた少女の背が、大きく跳ね上がった。露骨なまでの前兆である。

 

「ここでイったらお前はただの変態だぞ! 頭美岬になっちゃうぞ!」

 

「やだ! あたまみさきやらぁ! イきたくないぃ……! んあぁっ! ほんろにダメぇ!」 

 

「イけーっ淫売の雀野!!」

 

 滂沱の悦楽を叩きつけられ、思考停止に陥る雀野には淳之介の言葉が頭に入っていないが、なんとなく人間的尊厳を愚弄された気がして遮二無二首を横に振る。 

 指関節が尻中で屈曲し、これまでとは異なる別種の淫熱に焼かれ、呂律も回らず子供の癇癪のように嫌々するが──一息に。指を引き抜かれたことで、雀野は咆哮した。

 

「やあぁぁあああああああああああああぁああぁあ!」

 

 はち切れんばかりの健康的な太腿がブルンと震え、ピンと伸びるは純白の足袋に覆われた爪先。

 絶叫と共に、少女の顔面が半透明な液体で濡れる。噴射口は他ならぬ雀野の股間だった。

 弾かれたかのように腰が跳ね上がり、滴る淫汁を飛び散らせたのだ。

 

 人生初の肛門開発でエクスタシーに達し、潮吹きにも似た行為で自らを汚す。

 精神を淫蕩に染められ下品に喘ぎ、前述の変態的所業をしでかしてしまったという現実を、雀野は呼吸を整えることで直視した。

 

「あ、ぅ、ふぁ……、はぁ……こんな、こんなこと……」

 

 屈辱で視界は滲み、脳内で多数の自己弁護が流れ星のように振っては消える。

 この現状を素直に受け入れるのは、自分がどうしようもない淫乱女と認めるのも同義だから。

 雀野はまだ踏み荒らされていない膣道から来る淫疼に身震いしつつ、呆けた頭を鼓舞し一心不乱に外的要因を捻り出そうとする。

 そうしてふと思い出したのは──昼間、後輩から渡されたプレゼント。

 

「も、もしや……貴方、我に媚薬を盛ったか……?」

 

 強力な淫毒に蝕まれていたから、嘗てない淫獄に苛まれただけ。だが口にした本人は、恐らくそうではないと勘付いていた。

 そう、推測や推理でも何でもない、そうであってほしいという雀野の縋りつきたい願望である。

 しかし淳之介は──笑っていた。

 

「まさか……!」 

 

 暫しの沈黙のあと、さながら正体を見破られた悪役が如く高らかに。

 それは肯定しているも同然の反応だった。

 

「桐香が薙帆に渡したものがあるって、誰かさんから聞いたなぁ……!」

 

「そう、か」

 

 視野の片隅に置かれていたのは、少女お気に入りのトートバッグ。

 食事会にも利用していた鞄の中身は変わらないはず。変わらないはず、というのは帰宅してから何をしていたかを雀野は全く思い出せないからだ。だがそんなことは重要でない。

 

 淳之介が名前を挙げた少女から受け取った、媚薬がその中に存在していることに比べれば、雀野にとって些事でしかなかった。

 

「さぁ……そろそろお待ちかねの場所を責めてやろう」

 

 淳之介がチャックを下ろし、隙間から仕舞っていた息子を取り出した。

 ついさっき盛大に白濁汁を放出したにも拘わらず、その砲台からは僅かな陰りすら見られない。

 寧ろ一層の興奮で一回り成長しているような。誰もがそう思わざるを得ない剛健ぶりだった。

 雀野の斜め上に配置された足をそれぞれの腕で固定する。抵抗の意思が微塵も感じられず小首を傾げる淳之介であったが、少女の艶やかな裸身は臨戦態勢に入った雄にとってはそれだけで毒。

 恥骨と恥骨をぶつけるべく雀野の膣穴に、男の象徴を差し込もうとして。

 

「あれ?」

 

 先ほどより淳之介は首根を曲げた。肉槍が、奥に進まない。

 経験不足、童貞特有の入れるべき膣口位置を勘違いしているというわけでもなく、見えない壁に正解の道を阻まれているかのような不思議な感覚だった。

 

「……るさない」

 

「……!」

 

 瞳を閉じていた少女がぼそぼそと何かを呟いた。と思えば、男の肌は一瞬にして総毛立つ。

 淳之介がこのプレイを始めてすぐに食らった、圧倒的な威圧感の再臨だ。

 これは不味い。何かが起こる。淳之介が雀野の変化に汗を滲ませるとほぼ同時。

 牡棒が全角度から尋常でない負荷がかかり──淳之介は空を舞った。

 

「許さない!」

 

「ぐおおおおおおっ!?」

 

 錐揉み状に回転し、青年の網膜に投影される映像が次々と切り変わっていく。

 わけもわからず吹き飛ばされたが数多くの修羅場を潜り抜けてきたのは伊達ではない。

 荒れ狂う風景の中、淳之介は平静を保ちつつ地面に勃起肉を叩きつける。

 落下衝撃を局部で吸収し、し切れなかった分は跳躍という形に変換させられたが怒涛は見る影もなくなった。

 腕と足そしてチンコ。五点着地により、淳之介は無傷で生還を遂げる。

 

「今のは?」

 

 問いに、押し黙っていた少女が口を開く。

 淳之介の気狂い的行動も、その結果も見越していたようで慌てる素振りもなかった。

 

「……膣周りの筋肉を総動員してチンポの挿入を防ぎ、投げ・極め・折る……それらを1アクションで成立させ、本来はチンポを膣圧で制御し焦らせることを目的とした静乱流奥義が一つ。

 名をパーフェクト・ディマンコー」

 

 今のは当然手加減していたがなと告げる少女の対男性技にゾッとするも、どうしても気になることがあって再度質問。

 

「何で横文字なんだ。他の技は漢字だったよな?」

 

「……我が作った、我だけのオリジナル技だからだ」

 

「あぁうん」

 

「色々な事情や葛藤があったんだよその可哀想な子を見るような目やめろ。

 ……それはともかく、許さんぞ淳之介!」

 

 鋭く言い放ち、雀野は跳んだ。淳之介では視認できない位置で爆音が轟いたかと思えば、複数に分かたれた鉄塊がマットレスに沈む。

 

「また俺なんかやらかしちゃいました?」

 

 白を切る淳之介に、少女は美しく整った眉根を寄せて瞼を見開き吊り上げ、まさに怒り心頭といった形相であった。

 縛られていたはずの片腕を突き出して、雀野が吠える。

 

「やらかしまくりだわ! クスリを使って我を騙し篭絡しようなどと……!

 誉れなきアクメを我は認めん!」

 

「誉れなきアクメってなんだよ」

 

「あのンホォ人(ド)を窘めた伯父上の名台詞を知らないのか? この島では鉄板ネタだぞ」

 

 大昔も大昔、青藍島が女海賊の手に落ちようとした時、一人の侍盛理(さかり)珍(ちん)は勃ち上がった。

 ケツ闘で3人を真正面からチン敗けさせる、海賊たちの視姦を潜り抜け一人一人をバックからの膣討ちと無双神話は数知れず。男はムラムラを解消しつつ占拠された村々を解放していった。

 そして乗っ取られた城で開かれた宴に性欲増強剤を仕込み、錯乱レズセにおいて無ケツ開城。

 だが武人らしからぬ非道の数々に領主からも百姓からもお侍様の腰振りじゃないと非難轟々。

 本人もどこからか流れた性欲増強剤レシピによって女海賊たちにより逆レ拷問を受ける淫芽オホォ♡な憂き目に遭うこととなった。

 

「媚薬と聞いて青藍島民の真っ先に思い浮かべる歴史的人物が英雄パコウ人(ド)なのだ」

 

「異名変わってない?」

 

「まぁそんな話どうでもいい。これ以上貴方の指図は受けんし手出しもさせん!」

 

「俺を投げ飛ばしたからと言って急に強気だなぁ薙帆ちゃん!

 陸奥圓明流のパチモンみたいな技を使えたのは言わば火事場の馬鹿力、もう力は使い尽くしただろう!」

 

「グヌヌ……!」

 

 維持することもままならず伸ばした腕を下ろし跪く完全な脱力状態を指摘されて、雪肌に戻りつつあった雀野の頬が再びカアッと朱に彩られる。

 しかし少女は首を小刻みに揺らして、羞恥を振り払うように。

 

「……きちんとごめんなさいできたら、罰としてデート1回で許してやらんこともない」

 

「罰要素一切ないよな。ふっ。これからごめんなさいするのは薙帆の方だ──!」

 

「それが答えか、淳之介よ」

 

 ああ! 力強く返答して、淳之介は屹立する己の分身と同調し地面から尻を離した。

 激情の赴くまま地狼を使ったのだろう、砕け散った手錠の残骸を目にした淳之介は顔を引き攣らせながらも、危ないからひとまず欠片を床に全部集め下ろす。

 ベッドへ上りにじり寄り、男を誘う卑猥なポーズに今一度戻し、中央に咲かせたいやらしい花を摘もうとする淳之介だったが。

 

 しかし。

 

 対する雀野の瞳は、煌々と輝いていた──異常なまでに。

 

「頭(こうべ)  を  垂  れ  よ」

 

 どこか懐かしさを感じさせる、得体の知れぬナニカが男の骨身に染み込んでいった。




オマケ『初めて』

「初めてのデートに失敗したくない?」
「ああそうだ! 奈々瀬並びにNLNSの同志諸君! 俺にアドバイスをくれ!」
「……淳の好きなようにすれば結果的に一番あの子は喜ぶと思うけどねぇ」
「顎クイッ! 壁ドン! だよ淳くん!」
「顎クイ……!? 薄い壁をドン……!?」
「ネラークソメガネぜってー違う意味で考えてるだろ」
「お前に言われたくないわ……!」
「まぁ確かに薙帆は少女漫画的なシチュエーションに憧れてる所あるから、多少ぐだぐだになっていても一発で空気を変えられそうよね」
「そーそー、薙帆ちゃんは乙女なんだから!」
「皆さん正気ですか!? 壁ドンなんてしたらそれだけで薙帆ちゃんは頭ドスケベに染まっちゃいますよ!? 壁ドン!からの!膣ドン!!」
「ワケわかんねぇこと口走ってんじゃないやいこの図鑑No.143」


「どうした? 路地裏に何か用でもあるのか?」
(デートは皆の助言もあってか順調……! ここから壁ドンで更にムードを盛り上げる──!)
「…………淳之介。そういった行為には、相応しい場というものがあるものだ」
「えっ」


「先に身を清めさせてもらった……何をボンヤリとしている。次は貴方だ」
「えっ」



「そんなわけで淳之介が我を強く求めてきてな……ふふふ」
「ええ……えぇ……」
「ん? どうした奈々瀬」
「美岬の薙帆理解度に驚きと恐怖を隠せないのだわ……」
「……?」
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