※この作品はR-18です。

悪夢の転身   作:花木 悠

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清楚美人アナウンサー

     33-01

公共放送局の玄関を笑顔で出て行く美しい女性。

背中まで長く伸びた黒い髪を、玄関先で思わず春の風が黒髪を大きく揺らせて乱れさせたので、纏めて括ってヘアーバンドで留めて改めて出て行った。

北条菜穂は、今この放送局に別れを告げて、三週間後から民放のアナウンサー&タレントに変身予定に成っていた。

有名な国立大学を卒業して、アナウンサーとして入社して約六年、転機が訪れたのだ。

清楚で知的美人として人気に成って、去年の同局恒例の歌合戦の司会を担当した程で、人気は頂点に達していた。

退職と同時に数社のCMに登場予定で、撮影も既に終わってオンエアーを待つのみに成っていた。

その後も数社のCM契約も終了して、撮影を数日後に行う予定に成っている。

人気の原因のひとつに、全く男性の存在が見えない事も有るのだが、菜穂には少し寂しい気持ちがしている。

民放に入れば色々な意味での制約も外れるので、恋と仕事に頑張ろうと考えている。

もう大台は直ぐそこだ!三十歳までには恋愛をして、結婚までの道筋を付けたい菜穂。

先日局のマンションを退去して、品川の高級マンションに引っ越しも終わって準備が整った。

菜穂は兄妹で、大阪市の生まれ大学生の時から東京で住んでいるが、勉強一筋で男性には目も向けないで今日に至っている。

唯一高校の同級生青山京介と交際が有り、東京で再会の時に関係が有った程度、その後彼は海外の仕事で離れ離れに成り自然消滅に成った。

その後は華やかな芸能界に席を置きながら、噂とは縁遠い存在に成っていた。

大阪から時々両親が訪れるが、人前に出るのが昔から苦手で、娘の仕事には口を挟まない。

兄は大阪の役所勤め、父は長年郵便局に勤めて居るので、家族揃って堅い仕事なので、菜穂の行動もこの様な環境がもたらしたのだろう?

色白で身長も高く百六十八センチ、スタイルも出るところが出て腰も括れて理想的なスタイルで、公式サイトにはバスト八十五、ウエスト五十七、ヒップ八十五との記載で、世の男性には知的美人の俗称で呼ばれた人気アナウンサーだった。

 

翌日早速解禁に成ったCMがテレビに流れて、勿論化粧品のCM、飲料水の爽やかCM、生保のCMの三社の放映が始まった。

今日も午後から、自慢の髪をイメージしたシャンプーのCM撮影が入っている。

子供の頃から母が、父の好みだったのか長く伸ばす様に成って、いつの間にか背中の真ん中位までのストレートが定着してしまった。

この後、タレントとしてドラマ出演も決まり、年始の時代劇でのヒロイン役が決定して、今月末から撮影の予定が入って順風満帆の船出に成っていた。

民放に変わりタレント事務所に所属する事に成って、竹本プロダクションにマネージメントを委ねる事に成った。

大きなプロダクションでは無い処を希望したので、局の先輩が所属しているこのプロダクションに成った。

プロダクションが仕事を決めるのでは無く、選べるのが良いと先輩安藤恭子が勧めたのでここに成った。

社長は竹本康三、五十八歳、妻の澄江が専務をして、数十人の社員を抱える小さなプロダクションの部類に入る。

それでも所属タレント、歌手は有名な人も抱えて、順風満帆に経営は行われていた。

 

その順風満帆な経営が、突如危機を迎える事に成るとは、その日の朝竹本は予想もしていなかった。

スタジオQで午後から、菜穂を伴ってシャンプーのCM撮影の為に訪れた。

スタジオQはCM専門のスタジオで、毎日の様にタレントとか歌手が出入りをして、一般人も毎日の様に情報を手に入れて、スタジオ前に陣取って待っている時も有った。

今日も、タレント木原良純と歌手の黒田美樹がCM撮影に来ていた。

二人は親友なのかライバルなのかよく判らない関係で、時には今日の様に一緒のCMに登場をする。

撮影が遅れて、待合のホールで黒田美樹が、丁度入ってきた菜穂に出会した。

テレビで一度、歌番組で一度遠くから見た事が有るが、これ程間近で見た事が無かった美樹は思わず会釈をした。

菜穂も面識が有るので、会釈はしたがタイプ的には嫌いな男の部類に入る。

不真面目そうな不良タイプが菜穂には嫌いな男に成った。

遅れてシャワーを浴びて、木原良純が黒田の処にやって来て「お待たせ!」と言って菜穂に目が行く。

軽く会釈をして「今度の時代劇で、ご一緒する木原です」と挨拶をした。

菜穂も会釈をして「よろしくお願いします」とは言うが、共演者の顔まではこの時点で把握していなかった。

菜穂が中に入って行くと、黒田が「すげー、俺のタイプだ、二回程遠くで見たけれど、今日見ると格別だ!シャンプーのCMって書いて有ったのは、彼女だな!見学に潜り込まないか?」黒田が乗り気に成ってしまって、仕方なく付いて行く木原。

スタッフに紛れ込んで、始まった撮影を見守る黒田と木原。

風に黒髪が揺れる様の撮影を見て、感動する二人「良いな!あの黒髪」と木原が言うと、黒田が「俺、あの黒髪に射精したいよ!」と耳打ちをした黒田。

木原がまじまじと黒田の顔を見て呆れる。

また病気が始まったのか?気に入った女性が出来るのと、当分の間熱心なアタックが続くのか?心配に成った木原。

木原良純三十二歳は、二年前に結婚して一児の父親に成っているが、最近は妻涼花とは若干隙間風が吹き始めていた。

妊娠中の軽い浮気が原因で、涼花が臍をまげているのが主な要因だった。

 

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