33-013
シャワーから出て来た菜穂に「すまない」一言謝った木原。
菜穂にはSEXを行った事を謝っているのだと思って「これで最後ですよ」と念を押しただけで、ドライヤーをする為に洗面台に向かった。
しばらくして、長い髪を乾かして戻った菜穂、木原は既に衣服を着て「もし、妊娠しても産まないで欲しい、手術の費用も内緒で堕せる医者も捜すからな」恐ろしい事を伝えられたので初めて、妊娠の恐怖を感じた菜穂。
「えー、妊娠?」と尋ね返した。
「すまない、その様にする予定は無かったが、外に出せなかったので許して欲しい、もしも妊娠したら連絡を下さい、本当に申し訳ない!誰かに見られたら困るので先に出る」お辞儀をすると、逃げる様に外に出て行った木原。
その言葉を聞いて初めて妊娠の言葉が大きくのしかかった菜穂。
「妊娠」と呟くと、自分も衣服を着る準備を始める。
今まで妊娠の事は全く考えもしていなかった菜穂は、木原とのSEXが早く終わってここから帰る事のみを考えていたからだ。
木原の携帯を捜すが何処にも見当たらないので、木原が持って帰ったと考える菜穂。
しばらくして衣服を着て、髪を丸めて帽子を被った時(大変だ、芸能記者に捕まった、気を付けろ)のメールが携帯に送られてきた。
(どうしたの?詳しく教えて)返信をするが全く反応が無く成った。
入り口で見たあの男が、ここで見張っていたの?菜穂は今まで一度も芸能記者に追い掛けられた経験が無かったので、それ程の恐怖は感じていなかったが、ラブホテルから木原と一緒に出る事は週刊誌ネタに成る事は確実だと思って、出来るだけ時間を遅らせ様と考えた。
「木原さん、もうそろそろ彼女も出て来るでしょう?認めたらどう?ネタは掴んでいるのですよ」安達に捕まって、近くの喫茶店の隅で話している二人。
「ネタ元は何処だ?」
「彼女の関係者ですから間違いないですよ、木原さんには不利な記事は書きませんから、本当の事を教えて下さいよ」木原には全く興味が無い安達は北条菜穂の事が聞きたいのだ。
早代が話した時代劇の撮影中から恋愛に成った事、彼女がSM好きで時代劇の中でも縛られる役を進んで希望したとかを裏付けを取りたいのだった。
「そう言う事か?それなら本当だ!知的で清楚な北条菜穂がSM好きだったのは意外だったよ!」木原は自分が助かる為に、早代の話した事に尾びれを付けてしまった。
「それでは、このホテルでも?その様な事を?」興味津々尋ねる安達。
「僕はその様な事には殆ど興味が無いので、迫られて困ってしまいましたよ、美人の本当の顔が判らないので、誘われて喜んだのですが?意外でした」全く予想もしていない話の成り行きに、自分の擁護の事に終始した話をしてしまった木原。
「木原さんには、奥様も子供さんもいらっしゃるのに、この様な事に成って何か?言葉は有りませんか?」安達が家庭の事に触れる。
「涼花には、出来心と言って許して貰えるとは思っては居ませんが、今回は少し違う様に思います、迫られて恐くなって逃げ出してきました」
「木原さんはこれまでにも、何度も浮気の現場を見てきましたが、今回は過去の浮気とは異なる?そうなのですね!」
「はい、清楚で美人の北条菜穂の正体が恐くなったと言う事ですよ!異常なSEX愛好者ですね、一言で言えばね」
「それは、興味が湧きますね」安達も木原の発言に驚きを隠せない。
「私が逃げ出したから、怒ってまだ部屋に居ますよ」そう言って笑うと「妻には、今夜に説明しますよ、それじゃあね!」そう言うと笑顔で、タクシーに乗り込んで雑踏に消えた。
遅れてホテルを出た菜穂を撮影していたのは早代。
安達に頼まれて、カメラで菜穂が部屋から出る瞬間の撮影に成功していた。
帽子を深く被りマスクをして、菜穂は逃げる様にホテルの部屋を後にした。
安達が話を聞いて喫茶店を出て、ホテルに戻るのと数秒違いでお互いは顔を合わさずに終わった。
「安達さん、写真撮影出来たわよ、これ見て!」カメラの画像を見せる。
三枚の写真の一枚が菜穂の顔を識別出来ると、安達が見て大いに喜んだ。
安達は早代の助けで写真と重要な話を手に入れて満足に成ったが、木原の話を信用していないので菜穂の取材を行いたいと考えていた。
早代と相談して、時期を考える事にしてその場を離れて帰路についた。
早代は沢山の小遣いを貰えて上機嫌だったが、数日後予想もしていない出来事が起って驚く事に成ってしまう。
翌日「北条さん、週刊トピックの安達さんって記者さんから取材の申し込みが来ていますが?」と早代が菜穂に伝えた。
「週刊トピック?何の話かしら?今日は誰とも会いたくないわ」
「明日以降なら良いですか?良い話かも知れませんよ」
「不倫の記事が多い雑誌でしょう?興味無いわ、不倫何て最低よ」吐き捨てる様に言う菜穂。
早代は、貴女の木原さんとのホテルに行ったのは?不倫では無いと言うの?スポーツなの?心の中で怒る早代。
機嫌の悪い菜穂と一緒に、テレビ局に向かうと小柳プロデュサーが「北条さん、次のドラマ決めるから、また出演頼むよ!今度は連ドラ予定して、作品捜しているから頼むよ」と声をかけられて、多少機嫌が良く成る菜穂。
その頃週刊トピックの編集局に木原の妻涼花が電話をして、夫の言葉の裏付けを聞こうとした。
木原は浮気が多かったから涼花が常に警戒していたが、タイプの異なる北条菜穂との関係を自分から告白したので不審に思った涼花が電話をした。
木原は週刊誌に載る前に涼花に告白する事で、自分を正当化してしまおうと画策したのだ。
「安達さんって記者の人呼んでよ」
「安達は今、取材で外出していますが?ご用件は?」
「北条菜穂の不倫の話よ!」勢いの有る話に驚く井尻記者。
安達はまだ誰にも話していなかったので、井尻も初耳の話に「誰と不倫ですか?」井尻が聞き返す。