※この作品はR-18です。

悪夢の転身   作:花木 悠

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混乱のプロダクション

33-015

望は印刷会社に探りを入れて、中吊りの内容を確認して日頃から親交の有る安藤に連絡をした。

安藤が菜穂にフリーを勧めた事も、今の状況もよく知っていたから驚いて連絡をしたのだ。

記事の内容はどうしても教えられないと、印刷会社は拒否をした。

トピックから、念押しの電話が印刷会社にされている事は明白だった。

連絡の時「相手に問題が有るのかも知れませんね、大物俳優とか?」望が安藤に尋ねる様に話した。

「私は菜穂の事を一番知っているけれど、男性の影は絶対に無いわ!」

「でも、嘘は書かないと思うわ、もう少し調べてまた連絡します」で一報は終わった。

その後直ぐに菜穂に連絡をした安藤、彼女も一度スクープ記事に追い掛けられた経験が有るので敏速な対応だ。

結局、恋はその記事を切っ掛けに消えてしまって、失恋に成った苦い思い出を持っていた。

 

夕方、身の回りの物を持って菜穂は(千鳥)の玄関に入った。

小振りの温泉旅館は、少し郊外に在って部屋数も二十程で、湯河原の温泉街からは少し離れている。

女将の北山が挨拶に来て「恭子さんから聞いていますよ、安心して過ごして下さい」と言った。

訳が判らない菜穂は、挨拶だけして安藤恭子を待つ事にした。

 

記事の内容が判らないけれど、竹本プロには芸能記者、スポーツ紙の記者が大勢やって来た。

「ここには、北条菜穂は居ません、私も事情は判りません、何もお答え出来ません!」

大きな声で、竹本康三が記者に話す。

「何処に行けば、彼女に会えますか?」記者の一人が大きな声で質問した。

「我々も捜しているのですが、現在行方不明です」竹本が答える。

「付き人の方は?連絡出来ましたか?」

「彼女は連絡出来ました、もう直ぐここに来ます」

「そうか、それではもう少し待とう」の声が聞こえる。

 

社長室に戻った竹本は「北条君に限って、不倫は考えられないな」妻の澄江に話す。

「沢山のタレント、歌手、俳優を見てきたけれど北条さんの様な人は少ないわ、不倫なんて絶対に無いわ、何かの間違いよ」澄江も信じられない表情で話す。

「連絡が無いのか?」

「はい、携帯電話が切れています」

「ここで、この騒ぎだ、本人の電話を知っている人は一斉にかけるな」

「もう直ぐ、付き人の近藤さんが戻るから、判るわ」

 

その近藤早代は、記者に囲まれて有名人気取りで「北条菜穂さんは、今どちらですか?」の質問に「逃げているのでしょう?大変な騒ぎに成りましたからね」平然と話して「何かご存じの事有りますか?」の質問に「渋谷のSMホテルに行った事?」と話してしまった。

「えーー!」響めく記者の声、早速社に一報を送る面々。

「相手は何方ですか?俳優さん歌手?」と矢継ぎ早の質問にスターに成った気分で答えている早代。

事務所から竹本が出て来て早代に気づくと、腕を握って事務所の社長室に引きずり込む。

「お前が何を話したか知らないが、事務所の許可無く喋るな!」厳しく怒る竹本。

「社長さん、もう話してしまいましたし、明日の週刊誌に載るから良いのでは?」開き直る早代。

「馬鹿者、お前は何を話したのだ!」

「北条菜穂が渋谷のSMホテルに行った事は本当ですからね」

「何!新宿のSMホテル?北条君が?冗談だろう?」全く信用をしていない。

「社長渋谷ですよ!そんな話信じられないわ」澄江も大きく否定する。

「安藤さんに聞いて見なさい」と竹本が慌てて指示をする。

「君の発言が会社を窮地に陥れるとは考えないのか?」竹本の怒りは収まらない。

しばらくして澄江が「この子が芸能記者に情報を流して、大変な事に成っているらしいですよ、安藤さんが話していました」

「お前、何を話したのだ!」今にも殴りかかる勢いの竹本。

「そうよ、週刊誌には付き人の証言も有ると書いてあるそうよ!」澄江が付け加えた。

「事実を話して何が悪いのよ、こんなプロダクションは今日限りで辞めるわ!」それだけ言うと社長室を飛び出して行った。

外に出ると数人の記者がまだ残っている。

「私の情報買わない?面白いわよ!」と売り込みを始めた。

「幾らだ!」

「良い情報なら買うぞ!」

「付き人が情報売ると首になるぞ!」口々に色々な言葉が飛ぶ。

「もう首に成ったわ、何でも喋るわよ!」嬉しそうに、近くの喫茶店に数人の記者を引き連れて向かった。

 

本の内容が時間の経過とともに、徐々に判明をしてくる。

安藤はその情報を望から受け取りながら、湯河原に向かう。

菜穂も竹本の元に旅館の固定電話から、何度もかけていたが話し中で繋がらない状況。

社長の携帯も専務の携帯も切られて繋がらない。

竹本プロダクションは開店休業状態に成ってしまった。

 

早代は数社の記者からの質問に答える為、喫茶店の奥の席に陣取って、お金を徴収して質問を受け付け始めた。

「ズバリ、相手の男性は?」

「はい、木原良純さんです」

「えー、プレイボーイに引っかけられたのか?」記者の一人が言う。

「渋谷のラブホは何処ですか?」

「ホテル欄です!ご存じでしょうが?SMホテルです」

「えー!」その場に居た記者全員が大きな驚きの声を上げた。

「先程の話は、本当だったのか!」騒然とする。

 

 

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