※この作品はR-18です。

悪夢の転身   作:花木 悠

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記者会見

  33-021

三月初旬、東京のホテルの会見場に、いつもは白い服が多い北条菜穂。

今日は黒い色の服を着て会見場に入って来た。

竹本プロの社長竹本康三と妻で専務の澄江に付き添われて、会場に入るといきなり深々とお辞儀をする三人。

長い髪を後ろで束ねているが、前に落ちて床に着きそうに成る程のお辞儀から始まった。

「この度は我が社のタレント北条菜穂が、世間をお騒がせ致しまして申し訳御座いません」康三が口上を述べてから菜穂が「私の為に各方面に多大なご迷惑をおかけしました事をお詫び致します」と話すと三人が前のテーブル席に座った。

「これからの質疑に付きましては、私司会をさせて頂きます下田が進行させて頂きます」

と挨拶をした。

質問を受け付けると早速「一連の報道の、木原良純さんとの不倫は本当ですか?」の質問が飛ぶ。

「不倫と呼ばれる行為は本当ですが、もう二度とお会いする事は無いと思います」気丈に答える菜穂を見て、その場の誰一人SM趣味の女性には見えないと思った。

次の記者が「木原さんとはいつからのお付き合いですか?」と質問をする。

「時代劇の打ち上げの時です、二回お会いしただけです、もう二度と会いません」同じ事を強調する菜穂。

「それは、今回の事件が起ったからでしょうか?」

「違います!仕方なく会いました。もう二度と会いません」

「渋谷のSMホテルに行かれたのは本当ですか?」

「。。。。。。。はい」と答えると大きな響めきが起る。

「でも、そのホテルがその様なホテルだとは知りませんでした」と答えた菜穂。

「木原さんは、北条さんに迫られたと証言されていますが?」

「それは違います、私は知らずに入ってしまいました」

「時代劇で縛られるシーンが有りましたが?好きだったのですか?芝居は好きですか?」

「はい、芝居は楽しかったですが、あのシーンは正直苦痛でしたが芝居は好きです」と答えたので翌日の新聞に北条菜穂は、緊縛が好きだった!と大きく書かれてしまった。

その後も延々と質問が続いたが、結局会見で出た結論は、木原にはもう二度と会わない、今回の様な事が無くても会う気が無く成ったのは、飽きたからだで結論された。

SM行為を北条菜穂は好きだと決めつけられてしまった。

お詫びの会見に長い髪を床に着ける程お辞儀をしたが、今後は大きなイメージチェンジは必死か?と書かれた。

これまでの知的、清楚は通用しないと新聞では評された。

一応の会見で一段落はなされた格好だが、仕事は皆無で引き続き謹慎状態に成った。

木原は会見で自分が矢面に出なかった事に安堵していた。

菜穂も木原を責めると、色々な事を話さなければ成らないし、警察問題にするには証拠が必要で中々揃えられない。

結局泣き寝入り状態で、菜穂が全面的に損をした事に成ってしまった。

 

最初の記事を書いた安達はこの状況に成っても、自分の書いた記事に自信が無かった。

それはこの日の会見の場で北条菜穂を見ていて、尚更その気持ちが強く成っていた。

何度も何度も、もう二度と会いませんと叫んでいたのは?何か他の事を言いたいのを我慢していた現れでは無いのか?大きな不信感が支配した会見に聞こえたのだ。

 

会見の翌日安達は竹本プロに取材を申し込みに向かった。

事務所には澄江が、恭子と今後の仕事で話をしていた。

態々出向いた安達に澄江は「菜穂さんの取材なら無理ですよ、昨日のお詫び会見で疲れて、近日中に海外旅行に行く事に成っています」と答えた。

「私が最初に記事を書いた者です」と言うと「えーーー貴方が?その様な方がまた傷口に塩を塗り込むのですか?」怒る澄江。

「違います、私は自分の記事が間違いでは無かったのか?と今でも思っています!。。。」そこまで話した時、恭子が出て来て「私がお話を伺うわ」と話した。

「恭子さん、そんな恐い記者に話をしたら駄目よ」澄江が止めるのを制して、安達を応接室に招き入れて、澄江は呆れて自分の机に向かう。

恭子は部屋に入るといきなり「今から話す事を信用されるか、されないかは貴方の良心にお任せします」と切り出した。

菜穂から聞いた一連の事件の経緯と付き人近藤早代の行動を話して、最後に自分が暴力団にレイプされた事実も訴えた。

安達は最初は本気で聞いていなかったが、自分のレイプを切々と話す姿に、この話は総て本当の事だと確信した。

そして、恭子は木原の悪行と暴力団を捕まえたいから、協力して欲しいと訴えた。

安達は涙ながらに訴えた恭子に感動をして、協力して木原を追い詰めようと心を決めたが、簡単に動くとまた恭子の二の舞に成るので慎重に考える事にした。

今後は連絡を密にして、時間がかかっても追い詰める事に成った。

 

菜穂の記者会見で自分の話が否定されなかった早代は、最近仕事が無く成ったのと世間の注目が減った事に苛立ちを感じて、新たな暴露をして注目を浴び様としていた。

それは信じられない仕業で、週刊誌三社に売り込む作戦を立てた。

「面白い物を持っています、北条菜穂の付き人時代に彼女の私物の中に見つけた物です」と電話をして買い取らせ様とした。

安達の週刊トピック、佐々木望の映好も含まれていたが、安達も佐々木も知らない間に社が情報を買ってしまった。

翌週の三社の週刊誌に記事付きで(今明かされる北条菜穂の秘密の道具の数々、SMの愛用品)と銘打った、縄、バイブ、浣腸器等の写真が、北条菜穂のネーム入りのバッグと一緒に紹介された。

「何!あのバッグ!」菜穂が驚いて声を上げる。

自分の事務所のロッカーに、置いていたお気に入りの有名ブランドのバッグが、いつの間にか持ち出されて使われたのだ。

以前公共放送の時代に、ロケ先で特別に作って貰った物でテレビでも紹介された品物。

勿論菜穂の名前が刺繍された物。

「バッグを盗んでいたのだな」竹本社長も呆れて週刊誌を読んでいた。

「卑劣な子ですね!これで益々北条さんは窮地に立ったわ」澄江も呆れていた。

 

 

 

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