33-024
安達から「情報が入りましたよ、北条菜穂は最近新宿のホテル(薔薇の扉)に通っているらしい」と早代に連絡が届いた。
「それは何ですか?」
「ニューハーフが集まって秘密で、SM調教を楽しんでいるらしいよ、それを有料で会員に見せている様です」安達が言うと「木原さんが相手にしないから、我慢が出来なく成ったのね?」と自分で解釈をする早代。
「相当なマゾなのでしょうね?」と話を振ると「先日の道具見せたけれど、もう少し確実な証拠が欲しいのよね、責められて喜ぶ姿を撮影出来るとかね」早代は自分の情報に必然性を付けたいと思っていた。
「近藤さん、実は内緒で会員の入場券が手に入るかも知れないのですよ」安達は話を振ってみた。
「安達さんが取材に行けば良いのでは?」
「それがニューハーフか女性のみなのですよ、北条さんが行くのは?それが原因なのでは?」
「成る程、それなら中々見つからないわね、でもその様な場所に行くなんて相当な好き者だわ!私が暴いてあげるわ」一気に乗り気に成った早代。
「日にちが判ったら連絡しますよ、スクープは一番に下さいよ!大きく取り上げますからね」
「判っているわ、高く買って下さいよ」早代は儲ける事も忘れていなかった。
竹本の損害賠償の請求の減額を調整していた弁護士の鈴木が、竹本プロを訪れて「社長色々交渉してきましたが、総ての会社の合計で一億の示談金迄、下がりましたがこれが限界です」と報告に来たのは四月の初めに成っていた。
「鈴木さん、頑張って頂いてありがとうございました、当初の半分に成って嬉しいですが、この竹本プロも終りかも知れません」と悲痛な表情で話した。
「そう言わずに、示談金は分割で大丈夫にして置きましたから頑張って下さい」鈴木はその足で、小柳の自宅にも行って事の成り行きを話して、竹本夫婦の状況も伝えた。
「雇った女の性癖まで判らないからな、気の毒だ!」小柳は竹本に大いに同情をして、鈴木の功績を褒め称えた。
「でも竹本さんを助ける方法は無いのか?気の毒ですね」鈴木が口走る。
「無い訳では無いが、交渉が上手く運ぶかが問題だ」
「どの様な、交渉ですか?私でお役に立てれば、頑張りますよ」鈴木が身を乗り出した。
「衣川拓次郎さんって老人知っているか?」小柳の問いに「あの爺さんか?K&Cの会長だろう?」簡単に答える。
「鈴木何故知っている?」不思議そうに尋ねる小柳。
「昔、弁護した事が有ったな!それから何度か仕事をさせて貰った」
「そうなのか?どの様な弁護をしたのだ?」
「今はもう歳で仕事していないだろう?でも十年程前は店に出ていたのだよ!」
「あれ程大きなチェーンの会長が自ら?髪を切るのか?」
「それが不思議だけれど、時々客に訴えられて俺が交渉に行ったよ」
小柳は「髪を切り過ぎて?」と言うと「何故?判った?」と驚いた。
「老人だから手先が狂ったとか?聞いていた長さを忘れてすみませんと示談金を払ったな」鈴木は思い出しながら話した。
小柳は鈴木に一度会わせて欲しいと頼み込んで、事情を説明して理解を求めた。
「お前は、K&CのCMに北条菜穂を使って欲しいと頼むのか?」
「このままでは竹本プロも北条菜穂も共倒れだろう?華麗なる変身はK&Cチェーンで!のキャッチなら、会長も乗ってくるだろう?」
「と言うと、北条菜穂のロングの黒髪をショートに変身させる?」
「その通りだよ、交渉次第だが先ずはスポンサーのOKが出れば、北条菜穂と竹本さんを説得するよ」そう話して目を輝かせた。
「スキャンダルの北条菜穂をCMに使うだろうか?」心配顔の鈴木。
「兎に角会わせてくれ、交渉してみる」小柳は自信を示した。
数日後、安達が近藤早代に「今週末に、集まりが有る様だ!先日渡した会員券を持って行けば入れる」と連絡すると「マンションに張り込むわ、何時に始まるの?」
「夕方四時だから、三時過ぎに自宅を出るだろう?」と事前に打ち合わせた時間を教える安達。
当日、念の為に二時過ぎからマンションの近くにやって来た早代。
小型カメラの良い物を買って、帽子を被ってマスクで変装している。
三時に予定通り大きな庇の帽子を深く被り、マスクをしてマンションを出る菜穂。
その姿を見て、情報の確かさを喜ぶと写真を写す早代が、態々顔の見える様にカメラの方に顔を向けた菜穂。
「良い写真が写せた」と口走って喜ぶ。
タクシーに乗り込むと直ぐに自分もタクシーに乗り込むが、場所が判っているので安心の表情で付いて行く。
方向も新宿に向かっているので、悠然と構えて運転手に「北条菜穂さんを、どの様に思う?」と尋ねる余裕を見せる。
「驚きましたよ!昔からファンだったけれど、最近は嫌に成りました」と聞いて喜ぶ早代。
車は新宿のホテル薔薇の扉の近くの路地に止る。
離れて車を降りると、ホテルの方に向かう菜穂を確認して路地を入って行く。
菜穂は顔が見える様に、早代の方向に顔を見せて写真を写させる仕草をした。
「良いポーズをしてくれるね、助かるわ」早代は自然と口走る程、良い写真が撮影出来たのだ。
ホテルに入る時も振り返って、エレベーターに乗り込む菜穂は態々帽子を脱いで、見せる様に笑顔に成って乗り込んだ。
止る階を確認して、エレベーターを待つ早代は、どの様なシーンが撮影出来るのだろう?間近で、菜穂のSMシーンに興奮を隠せない早代。
一度もその様な行為の現場を見た事が無いので、想像だけでも濡れてくるのを感じる。
八階に降りて部屋を捜すと八百二号室の扉に(薔薇の会)と小さな紙が貼り付けてあるので、扉をノックする。
「会員ですが」中に入ると小さな声で伝えると、急に腕を捕まれて引っ張られる。
「調教希望の女性が来た様だ」と伝えた女?男?見分けが出来ない。
「違います、けん。。。。。」と言い始めるのを、口を大きな手が塞いだ。