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一方恭子は安達に「良い子見つかったわ!一度面接してみて」と連絡をしていた。
水野芽生と言う女の子は今年高校を卒業して、芸能界で人気グループのオーデションにやって来たが、年齢がオーバーとの理由で選に漏れたのだ。
その時の司会を担当したのが縁で、恭子はメールと電話では時々話するのだが、芽生は芸能界が諦めきれない。
チャンスが有れば、どの様な事をしても目立ちたいと言う様な女の子だった。
顔、スタイルが良くても、成功出来ないのが芸能界で、運が大きなウエイトを占める事は再三の話で教えていた。
先日、閃いた女の子がこの水野芽生だった。
早速、話をすると「有名に成れるのなら、何でもします」と声を弾ませて言った。
「でも危険な仕事よ、例の木原良純にレイプされるかもしれないのよ!それでも良いの?」と尋ねると「上手に逃げますよ!もしもレイプされても有名に成れるなら我慢します」と力強く話したので安達に連絡をしたのだ。
「使えそうな女の子だな、木原好みか?」
「従来の木原の好みだと思いますよ、奥さんの涼花の若い頃に似ていますから大丈夫だと思います」
「判った、一度会って話をしてみよう、早く木原を捕まえて北条菜穂さんの名誉の回復させてあげたい、私の記事で大きなダメージを与えてしまったので気が重い」
「明日、早速連れて行くわ、十一時に錦糸町の会社の近くで良いかな?」
「近くに来たら、メール下さい」で二人の作戦は進んだ。
有藤が品川の店に打ち合わせに行くと、衣川丈が名刺を差し出して挨拶をした。
名刺を受け取って「衣川?」と有藤が呟くと「会長の孫です」と挨拶をした。
「また、お爺さんが変な事をお願いしたのでしょう?」丈は申し訳無い様な顔で話した。
「いいえ、普通のCMの依頼ですが?」と話すと「変ですよ、あの数ヶ月前スキャンダルで話題に成った北条菜穂をCMに使うなんて、何か有りますよ」と疑う丈。
三十歳の丈は独身で、比較的二枚目の顔立ちで女性客には人気が有った。
日頃から女性客と接する機会が多く、理想の女性が中々見つからないのと、両親、祖父母の離婚を知っているので、結婚に対する拒否反応も有った。
「会長がこの店を使いたいとおっしゃって、打ち合わせに来ました」有藤が話すと「祖父の要求は?」と尋ねる。
「北条さんの髪を自分が洗いたいと、ここでは洗髪のみの撮影に成りますが駄目でしょうか?」
「予想はしていましたが、洗髪だけで我慢したのが不思議ですがね、祖父は昔から長い髪の美人に度々慰謝料を払う事件を起こしていますから心配でした。北条さんのあの髪で美人!スキャンダル!高額のCM出演料、不思議ですが、僕には祖父に逆らうだけの勇気も有りません」と話して有藤の段取りを聞いた。
北条菜穂がイメージチェンジをする為にこの店に現れて、超ロングの髪を切ってショートにして、新たな仕事に向かう設定を聞いて納得する丈。
実際のカットシーンはスタジオ撮影と聞いて怪しむが、金額から考えて祖父の手で行うのだろうと思った。
CMの意図を聞けば、理解が出来る部分も多く、北条菜穂が本当にSM好きなのかは知らないが、K&CのイメージCMは悪くは無いのかも知れないと思った丈だった。
店の定休日で来週の火曜日の撮影で一応合意に成って、当日はエキストラの女性を数人客にして、店の風景を撮影する事に決まった。
衣川に報告すると「丈に、わしの後を頼んでくれないか?洗髪は少ししたら、それで充分だからな!丈の顔も写して遣って欲しい」と意外な話をした。
自社のCMだから、有藤には文句の言う問題では無いので了承した。
錦糸町の喫茶店で、安達は水野芽生と面談をして「本当ですね、涼花の若い時に似ていますね、必ず成功しますよ!明日にでも私の地元岡崎の子だと紹介して、会える日を決めますよ」と嬉しそうに話した。
「芽生さん、気を付けるのよ!木原って相当な悪なのよ、暴力団の知り合いも居て恐いのよ」恭子が改めて忠告すると「木原さんって嫌いなタイプでは無いから、一度位SEXしても構わないわ!有名に成れるのでしょう?」と明るく言う。
呆れる安達が「変な薬を持っているらしい!気を付けた方が良い」
「でも叔父さん達、木原の尻尾を掴むのでしょう?私は有名に成りたいから、危険は覚悟よ!その代わり大きく取り上げて有名にしてよ!週刊トピックの巻頭を飾る様な感じでね」最近の若い子の考えが判らない安達と恭子は呆れて聞いていたが、この子なら木原を罠に落とせるのでは?の期待を抱かせた。
翌日安達が「お願いが有って電話をしました」と話すと「安達さん、スキャンダルも沈静化して、僕の廻りの記者も居なく成ったよ!どの様な話?」比較的機嫌が良かった。
「実は私の地元岡崎の女の子が、芸能界に興味が有って上京して私を頼っているのですが、私は記者ですから、本人には無理だと話したのですが、納得しないので木原さんが無理だと説得して貰えませんか?」
「僕にその様な事が出来るのかな?」
「実は水原と言う子ですが、木原さんのファンなのです!ですから木原さんの話は聞くと思います」
「そうなの?僕のファン?顔とかスタイルはどう?芸能界向き?」
「私には田舎の女の子に見えますが?本人は綺麗だと思っている様です、十八歳ですから、まだ何も判らないと思いますのでよろしくお願いします」
木原は、安達の頼みと十八歳に心引かれたのか?快諾をした。
最近全く、女性との接触が途絶えていた木原は、少しの期待も持っていた。
安達は電話の感触で、脈有りと判断して恭子に伝えると、芽生に直ぐさま連絡が届いて来週の火曜日に会う事に成った。
それぞれの思惑が、来週の火曜日に集中した。