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菜穂の携帯に「私、松宮美容整形の前田と申します、闇プロ様からの依頼で北条様のエステの日程を調整をさせて頂きたくお電話をさせて頂きました」
「はい、聞いております」と答えると「水着撮影の為の脱毛とお聞きしましたが、お間違いございませんか?」
「はい、その様に聞いていますが、プライバシーは大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です、完全個室で先生と看護師二人程度で、全員女性ですよ、ご安心を!」
「良かったわ、恥ずかしいので心配していました」安堵の声に成った。
「水着撮影の場合、背中、脇、足、そしてVゾーンの脱毛、身体のシミが主な施術の場所に成ります、その為生理とかの場合は行えませんので、その辺りを考えて日程を決めたいと思いますが?」
「比較的正確で、来週の火曜日以外なら翌週一杯までは大丈夫ですが、何かそれまでにする事有りますか?それと時間はどれ位必要でしょうか?」不安な菜穂が尋ねると「別に何も有りませんが、体調が悪い時は出来ません、一応は毛根をレーザーで焼きますから、完全に脱毛までには時間が必要ですが、撮影時には、殆ど影響が無いと思います、時間は半日程度を考えていますが、実際は二時間程度かも知れません!北条さんの身体を先生が診察されてからの事に成ります」
「はい判りました、また日時を連絡下さい」で前田からの連絡が終わった。
前田から有藤に連絡がされると、衣川に問い合わせが行く。
「火曜日に触れたら私はもう我慢が出来ないから、早い時期に頼むよ!」
「実際の撮影は二ヶ月後を予定していますので、早い方が良いでしょう」
「闇プロでの撮影は、その後二ヶ月も待つのか?」不思議そうに尋ねる。
「はい、彼女の体調も考慮して六月末を予定しています」
「成る程、今度はSMプレーだから、体調が悪いと出来ないな!判った。その時間はわしには長いな!」そう言いながら渋々承諾した。
前田が翌日菜穂に「水曜日の午後を予定しますので、十一時過ぎに、プロダクションの車がお迎えに行きます、勿論お送り致します」と連絡をして、菜穂は迎えに来て貰えるなら変装も何も必要無いと喜ぶ。
「当日は施術着にお着替え頂きますので、簡単な服装でお越し下さい」と付け加えた。
火曜日撮影の為に、K&C品川店美容室に向かう為に自宅に迎えに来た闇プロの車。
付き人は最近仕事が無いので付いていないが、闇プロのメイキャップ係の鈴木と山本が同乗してきた。
ワゴン車の中で「北条さん!向こうに到着したら、この服にお着替え下さい」と菜穂の好きな白のワンピースを差し出した。
半袖の服を見て「もう暑いですから、半袖でも充分ですね」と微笑んだ。
鈴木も山本も、この女性が?不倫でSMホテルに行くの?信じられないと思っていた。
清楚、美しく知的、髪は背中の真ん中まで伸びて、今日は纏めていないので、ストレートに流してさらさら状態。
弾力が有る黒光りの光沢を放って、二人のメイク係も間近で見て美しい髪だと感動をしていた。
髪フェチの衣川老人が品川の店舗で、孫の丈に「わしが決めたCMは奇抜な発想だっただろう?スキャンダルを起こした女優が立ち直る為に、このK&Cでイメージチェンジをして、やり直すのは最高のCMに成るだろう?」にこやかに自慢する。
「お爺さんの趣味に合う美人の黒髪ロングだからだろう?」
「違う、それだけではない、あのスキャンダルが無ければお前の嫁にふさわしいと思う位だ」と自分の趣味では無いと言う。
丈には信じられない祖父の言葉、昔から何度か示談には成ったが、美人の髪を切りすぎた祖父だから、あの黒髪を見て我慢が出来る筈が無いと思う丈。
「わしは洗髪を少ししてCMに写して貰うだけだ!疑うならお前がカットするか?」と言い始める衣川拓次郎。
そこに有藤達スタッフが、エキストラの美人達を連れてやって来た。
五人程の美人モデルは、髪の長い人、少し長い人、短い人と様々で「この人達はカットモデルに使います、適当に配置させて店の雰囲気を出して下さい」と話したが、丈が「この人達が美人さんで髪も綺麗ですから、主役の北条さんが目立たないでしょう?」と危惧した。
「もう直ぐ到着しますから、本人をご覧に成ってから構成は行いましょう」有藤が話して、モデルの配置を考える。
ロビーで待つ人、カットされる人、パーマの人と振り分ける丈。
そこに「お待たせしました」と鈴木が言いながら入り口を入ってくる方向に全員の眼差しが向く。
長い髪をストレートに流し、元気よく店に入った菜穂に髪に釘付けの丈と拓次郎。
美容の仕事をしているので、髪に目が行くが美人の顔とのマッチングがもの凄く良いと見とれてしまう。
「こんにちは、よろしくお願いします」軽くお辞儀をする菜穂。
有藤も見るのは初めてで、清楚、黒髪、美人、知的がぴったり当てはまると、心で感嘆の声を上げていた。
「こちらが会長の衣川拓次郎さん、お孫さんの丈さんでこの店の店長さんです」と有藤が紹介をした。
「申し遅れました、私が闇プロの専務兼監督の有藤と申します、今日は小柳が遅れてしまいましてすみません」とお辞儀をする。
遅れて丈と拓次郎が慌ててお辞儀をして「よろしくお願いします」と言った。
「この度は、私をCMに使って頂きありがとうございました」と丁寧に拓次郎の前に行って、深々とお辞儀をした。
長い髪がお辞儀の時に、拓次郎の顔面を掠めて、シャンプーの香りが鼻に刺激を与えた。
もう、拓次郎の心臓が破裂する程の音で動いて居るのが自分でも判った。
丈も同じ様な興奮を感じて、この人がSMホテルで?信じられない?嘘だろう?
清楚で知的美人がSMホテルで?とても信じられない。
逆に拓次郎は、この清楚な仮面の下に隠れるマゾの血を暴いてやると思っていたが、信じたくは無かったのかも知れない。