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その頃、レストランに安達に連れられて水野芽生が木原を待っていた。
約束の時間を少し遅れてやって来た木原は、期待もしていなかったのか不機嫌そうな顔で現れて、芽生を一目見る成り「やあ!僕のファンって本当?」急に態度が変化した。
「はい、昔から木原さんの大ファンです」と笑顔を振りまいた。
「何食べる?ここの料理は最高だよ」と急に話し出して「私ハンバーグが大好きです」と芽生が言うと「そう、ここのハンバーグは最高!安達君この子の事は僕が何とかしてあげるから、お任せ有れ!」と態度が大きく変化した。
明らかに好みだと態度が示していて、北条菜穂の様な頭の良い女性に比べて、この芽生が木原には合っていると安達が見ても判る程だ。
北条菜穂が美しくて一時の気の迷いがあの様な事を巻き起こして、全くSEXに鈍感な北条菜穂が騙されて強姦されてしまった事は明らかに思えた。
この子が上手に木原を騙してくれるのを祈るだけだが、後は天に祈るのみだ。
恭子は火曜日に久々に竹本プロを訪ねて、澄江から菜穂のCMの話を聞いて驚いたのだ。
一億のCM出演料に、何か変な事が再び起る予感がした。
だが澄江の話では、先程小柳と社長が一緒に撮影の現場に向かったと言うので、嘘では無いと思った。
「菜穂さんもよく思い切ったわ、あのトレードマークの黒髪を切ってショートにするのだからね」
「えー、それ本当なの?」
「イメージチェンジで、立ち直る為の美容院がテーマとか話していたわ」
「成る程ね、彼女もこの半年大変だったからね」と話しながら木原の顔を思い出す。
撮影現場では洋服を着替えて、K&Cの美容室に入る菜穂が撮影されて「次、椅子に座って、イメージチェンジを頼む場面を撮影します」と有藤が話した時、竹本と小柳が到着して会釈をした。
「お客様、どの様に致しましょうか?美しい髪で惚れ惚れ致しますが」顔は丈だが声は小松が担当して、菜穂の髪を触る丈は緊張気味に成っていた。
「私、イメージチェンジがしたいのです、大胆な髪型にお願いします」
「それは?短くされるという意味でしょうか?」
「はい、それも含めて大胆にお願いします」
「はい判りました!お任せ下さい、では先ずはシャンプーから行います」
「カット!」有藤が大きな声で言う。
CMは二分物、一分物、三十秒物、の三種類の構成に成っていると有藤が説明して、一番長い二分物は入店から水着までだと説明していた。
「創業者の会長が、シャンプーをされるカットの撮影をします。これは社内用ですから、CMには出ませんのでよろしくお願いします」
菜穂が長い黒髪を、洗髪台に流して仰向けに座る。
拓次郎の至福の時が訪れてカメラが回ると、菜穂の顔に薄い布が被せられて、シャワーの湯が黒髪を濡らすとカラスの羽の様な光沢を放って、シャンプーが髪に付けられる。
老人の手が菜穂の黒髪に触って洗い始める。
夢を見ている様な顔に成っている拓次郎はしばらく触っていたが、やがて「丈、後を頼む」と言って場所を譲った。
「失礼します」と言うと今度は丈が菜穂の髪を洗うが、カメラは撮影を終わって片付けの準備に入った。
突然「ご両親は、どちらのお店に?」菜穂が撮影の終りを知って声をかけた。
「父は、何処に居るか知りません、母はもう随分昔に亡くなりました」と答えた丈に「すみません」と謝る菜穂。
「スキャンダルで大変でしたね」と今度は丈が話しかけると「濡れ衣ですわ、私はSMなんて興味も何も有りません、言い訳には成りますが木原さんの罠に引っかかったのと、付き人の子が悪い子で。。。。」と話して涙ぐんだ。
「すみません」と謝る丈、撮影の人は後片付け、有藤と小柳、竹本は拓次郎に呼ばれて、奥でコーヒーを飲んで雑談を始めている。
不思議と二人の廻りには人が居なく成っていた。
「もったいないですね、こんなに綺麗な髪を切るのは?」
「でも今回この様な事に成って、応援して頂いて助かりましたので、私もイメージを変えたいのです」と話した菜穂に感動する丈。
しばらくして洗い終わると、元の椅子に戻って長い髪を乾かしながら丈は「今後は過去を忘れて頑張って下さい、僕も応援をさせて頂きます」と気持ちを伝えた。
「ありがとうございます、私も必ず立ち直ります」と好印象を持った菜穂だった。
木原も完全に芽生に興味を持ったので、安達は急用を装ってレストランを後にした。
しかし、その行為が木原の警戒心を呼び起こし、自分の行動を安達に見られて、スクープにされると困ると思って、しばらくの後芽生と電話番号とメール交換のみで別れて帰ってしまった。
別れた芽生が、安達に「叔父さん帰ってしまったわ」と残念そうに電話をしてきた。
「仕方ない、また必ず誘ってくるから、その時まで気長に待とう」と慰めた。
翌日「間近で見たが、本当に綺麗な髪だったな」拓次郎は、松宮美容整形の院長室で松宮に話している。
「昨日は、髪が綺麗で今日は陰毛が楽しみですわね」咲江がコーヒーをテーブルに置いて話した。
松宮が「会長それにしても早いでのでは?」時計を見て微笑む。
「昨日は興奮で眠れなかったよ、本当は直ぐにでもあの髪を切りたい衝動に成ったが、辛うじて我慢したよ!孫に色々言われたからな」話に力が入る。
「有藤さんから聞きましたが、本当に綺麗な髪で切るのが惜しいと言われていましたよ!どうしても坊主にしてしまいますか?」咲江が尋ねる。
「あの清楚な顔の裏にマゾの顔が隠れて居るのが、許せんから炙り出してやりたいのですよ、昨日は孫に切らしてやると話しましたが、まだ正直決めていませんがね」
異なる話をして、今からの楽しみを紛らわしていた拓次郎。