※この作品はR-18です。

悪夢の転身   作:花木 悠

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惹かれ合う二人

  33-041

「もしかしたら衣川の孫は、北条菜穂に惚れているのか?」有藤が言う。

「困った事に成るわね、一度あの爺さんに確認をしなければ困った事に成りますわ」咲江にもそう言われて困惑の表情に成ってしまう。

今日の撮影が終わると明日から大道具さんが入って、色々なセットを組み立てる予定だ。

特に中条流の町医者のセット、大きなプールの設置等大がかりなセットを組み撮影の準備に成る予定だ。

明日、有藤が衣川老人に最終確認をする事で話が終わった。

咲江には今更中止は大変困る事だから、何とか当初の計画を実行したいのだ。

 

食事が終わって、自宅に向かうと菜穂は衣川老人の豪邸に驚く。

「凄い豪邸ですね!」見上げて閑静な住宅街に一際大きな家の門をくぐる。

「この家にお祖父様だけが住んでいらっしゃるの?」

「住み込みのお手伝いさん二人と、運転手が住んでいますよ」

「それだけ?」不思議そうに尋ねる菜穂に「親父とお爺さん仲が悪かったからね」と説明をした。

事前に電話をしていたのか?お手伝いが応接に案内するがこの応接間が広い。

大きな絵画が壁に飾られて、有名な画家の作品だと直ぐに判った。

しばらくして拓次郎が入って来て開口一番「こん。。。。。。」で止った。

「その髪は?切ってしまったのか?」驚きの表情に成って尋ねる。

切るなら自分が見ている時にして貰わないと困ると、憮然とした雰囲気が伝わってきた。

「お爺さん、これは鬘だよ!切ってないよ!撮影の為に鬘を切ってボブにしたのだよ」と丈が説明すると急に笑顔に変わって「そうか、そうか!中々上手にカットしたな!これがCMに流れるのか?」と尋ねた。

コーヒーを家政婦が持参して「お美しいですね」じろじろと菜穂を見て、テレビのワイドショーの様な事をしているのに丈様を誘惑しているの?その様な目で見ていた。

「中々ショートも似合うじゃないか!」と安心したのか褒めて笑いながらコーヒーを飲み始める拓次郎。

「この度CMの撮影が終わりましたので、ご挨拶に参りました。どうもありがとうございました」立ち上がって深々とお辞儀をした菜穂。

「丁寧に御礼に来てくれたのか?気にしなくても良いのだよ、良いCMが完成してのK&Cのイメージが上がれば良いのだよ」そう言いながら笑った。

しばらくの雑談の後、丈が菜穂を自宅まで送ると行って出かけた。

お手伝いの渋井が「上品な顔をしてもの凄い事をしているのですよね」と片付けに来て話す。

「中々裏の顔は判らないものだよ」拓次郎もそう言った。

「会長様、丈様があの女に興味が有るのでは無いでしょうか?私が見ました感じでは骨抜きにされてしまいますよ!相手は恐ろしい雌猫ですからね」渋井が拓次郎にけしかける。

「そうなのか?丈が興味を持っているのか?」

「私の目は確かでございます」自信が有る様に話した。

「もう少しすれば化けの皮が剥ける、そうすれば丈も気が付くから大丈夫だ」

「そうでございますか?気を付けて下さいませ」渋井に言われて多少は気に成ったが、後一ヶ月程で、闇プロの惨撮DVDの撮影に成ると、逆に先程の姿と裸を思いだして興奮する拓次郎だった。

 

自宅付近で停車すると「今日は本当にありがとうございました」御礼を述べて別れ様とした菜穂に「菜穂さん、僕と結婚を前提にお付き合いをして頂けませんか?」といきなりの告白をしてしまった丈。

「えー、突然言われましても、家庭環境も違いますか。。。。」と言い始めた時、いきなり抱きしめられて、唇に丈の唇が覆い被さった。

シートベルトをしている菜穂は、咄嗟に身体が動かせなくて受け入れてしまう。

丈が自分のシートベルトを先に外していたのに、気が付かなかった菜穂。

久々のキスは木原の時とは全く異なる感触で、菜穂の心に残って丈は紳士的に離れた。

「お願いします」と言われて、頷いてしまった菜穂に「来週の火曜日、お暇ですか?」と尋ねられて返事を躊躇う。

「撮影の台本を覚えないと」と言うと「復帰作ですね、良かった!」と笑顔に成って「取り敢えず電話します」と答えると嬉しそうに帰って行った。

まさか自分の祖父の仕掛けた罠が、復帰作だとは考えもしていない丈だ。

久々のキスの余韻に酔いながら、自宅に戻った菜穂が確かめる様に自分のショートボブを見て「意外と可愛いわ」と口走っていた。

 

翌日有藤は最終確認の為に、衣川拓次郎に電話をした。

「今日から撮影の大道具を運び込むのですが、予定に変更はございませんね」と尋ねると「どう言う意味だ?」と反対に聞かれる。

「実は昨日の撮影でお孫さまの丈さんが、北条菜穂さんに好意を持たれているのでは?とスタッフが言いますので確認をと思いまして」

「丈の嫁に?冗談だろう?木原とか言う俳優とSMホテルで密会をする様な女を丈と付き合わせる訳にはいかんよ!絶対に駄目だ!」強い調子で否定する。

「判りました!会長様の考えがよく判りました、予定通り進めさせて頂きます」

「そうだよ、あの清楚な顔の裏側を見てみたいのじゃ、楽しみだ!」改めて菜穂のDVDの制作に力を入れた。

有藤は予定通りに大道具の運び込みを開始して、一番大変な道具は大きなアクリルの水槽の様だ。

再び魚を泳がせて、菜穂の皮膚を攻撃する為なのか制作に取りかかった。

 

翌日丈は仕事の合間をみて、菜穂にラブコールを送る。

菜穂も昨夜のキスの余韻から、悪い気分では無いので雑談をすると「僕は長い間美容師をしていますが、菜穂さんの様な長くて綺麗な髪は見た事が有りません、だから切れなかった!」と告白したので、菜穂は感動してしまって「来週の火曜日、時間を作ります」と答えていた。

拓次郎の思惑と全く異なる世界で二人の愛ははぐくまれ様としていた。

 

木原は逮捕された今田達が自分の事を喋らなかった事に感謝して、再び水野芽生を狙おうとしていた。

恭子も安達も事件が起ったので、木原はもう水原芽生を狙わないと考えて新しい餌を探す事にしていたのだ。

 

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