33-048
闇プロで食事の最中、漸く水野芽生は失意の中ホテルをチェックアウトして、渋谷から品川に向かい始めた。
大失敗を後悔しながら足取りは重く成っている。
もう一つのボイスレコーダーは、店から部屋までの間で抱きかかえられた時に落としてしまったのだろう。
誰かが拾って聞いても和食料理店の会話だけで、誰の会話なのかも判らないので消去で終りだと思う。
フロントで一応ボイスレコーダーを無くしましたと伝えて、出て来ても意味が無いと思った。
山の手線のホームで、若者が声をかけて来たが「五月蠅い!」と大声で怒鳴ってしまう芽生。
「可愛い顔して、恐い」と二人の若者は逃げる様に立ち去った。
「さあ、午後の撮影に入りましょう」放送でスタジオの中に有藤の声が響いた。
第二スタジオの前の席に小柳と衣川が座って、始まる前の様子を見ている。
「菊乃が、町医者に連れ込まれる場面からに成りますので準備をして下さい」有藤がメガホンで叫ぶ。
「ここで準備をして下さい」と係が入って来た菜穂に伝えて、梶原が来て「貴方はあの時の。。」と時代劇の撮影の時を思いだした。
「よろしくお願いします」と軽く会釈をすると「梶原君、準備してくれ、強く結んでくれよ」有藤が指示をすると、既に日本手拭いを中央で結んで猿轡の準備をしている。
「口を開いて貰えますか?」申し訳なさそうに言う梶原。
ゆっくりと口を開くと、後ろから梶原が結んだ部分を菜穂の口に放り込むと後ろに一杯引っ張った。
「うぅ」とうめき声を上げる程強く縛られて、口の中にすっぽりと結び目が入って喋る事が困難に成る菜穂。
手首を後ろ手に紐で結ぶと「準備終わりました」と有藤に伝える。
先程に比べて強く猿轡をされているのは、菜穂自身が一番驚きを感じている。
「準備出来ました、三人の武士に連れ込まれるシーン二十三、スタート」駕籠から降ろされて、男達に抱きかかえられる菊乃は、暴れる仕草を見せると足を持たれて運び込まれる。
裾が乱れて、水色の裾よけが見えて白い足先から向う脛が衣川の目の前を通り過ぎた。
「おお!」色気が衣川の脳裏を掠めて、セットの中に連れ込まれた菊乃。
「先生、手筈通りよろしくお願いします」と金子を渡す山本の演技「うぅ、うぅ」とうなり声を出すだけの演技の菜穂。
「カット」の声に全員の気が抜けると「次の準備に入って下さい」と有藤が伝えるが「連続カットにしますので、菊乃をその台に載せてしまうシーンにします」と打ち合わせと変更する。
「菊乃は暴れて下さい、お袖は菊乃の頬を叩いて大人しくさせて下さい」と指示を出した。
台本ではここで手術台に寝かされると麻酔をされて、意識を失って手術の前に助けられる事に成っている。
「それではシーン二十四、スタート」
「もうじたばたしても無理よ、大人しくするのよ!」
「バシー」と本気の平手打ちが菊乃の頬に炸裂して、驚きの顔に成った菜穂。
手首の紐を解いて、男達が抱き上げて木の手術台に載せる。
手首を持たれて紐で頭上の頑丈な棒を握らせて縛り付ける。
台本通りだが、先程の平手打ちは強烈だったと考えている間に、手は完全に固定されて動かせない状態に成った。
「手術が終わりましたら連絡します」と咲江が話して、山本と男達は手術部屋を出て行く。
「そんなに恐い顔をしなくても、眠っている間に終わる」千田が顔の側で話す。
「お袖殿、この女子は子供を産んだ事が有るのかな?」隣の部屋に確かめる様に尋ねた。
「ございませぬ」と答えるお袖。
こんな台詞有ったかな?縛られて天井を見ている菜穂に天井のカメラのレンズが光った。
上にもカメラが有るのだわ、気を付けないと下着が無いから映ってしまうと考える菜穂。
「それじゃあ初産だな、随喜を準備しなさい」咲江が前田に命じる。
「痛くない様にゆっくり広げて上げるからね、安心をしなさい」千田が意味不明の言葉を発する。
天井から縄が数本降りている事に気が付く菜穂。
縄の先には革で作った鐙の様な物が付けられているので、不思議そうに見ていると「準備を始めて」と咲江が言うと、いきなり寝所着の前を開く杉本。
水色の裾よけの中に手を入れると、鐙の様な物を菜穂の膝に巻き付けると、同じ様に片方の足の膝にも巻き付ける。
裾を捲られただけでも見えそうに成るのに、と足に力を入れた菜穂。
次の瞬間天井の縄がぴんと張って、天井に巻き上げられ始めた。
驚きの顔に変わった菜穂だが、誰も表情も変えずに縄が天井に巻き上げられて行く。
「うぅうぅ」首を大きく振って訴える菜穂をあざ笑うかの様に「手術の準備の為に邪魔な恥毛を剃りましょう」と言い始める咲江。
足が膝から吊り上げられて、着物からはみ出して来ると思わず手を叩きそうに成って止める衣川。
両方の足が同じ早さでゆっくりと引っ張り上げられるが、菜穂は驚きで暴れる事をしなかった。
多分もう止って「カット」の声がかかると思っていたからだ。
しかし縄の動きが変わって、徐々に足が開き始めたので「うぅうぅ」と驚きに変わってしまった。
目の前に金属の洗面器が見えて、剃刀が並べられているのも見えている。
「裾よけが邪魔で足が上がらないわ、取り払って!」の言葉に恐怖が一段と増大した。
千田が腰に手を持って行くと、寝所着の腰紐を解いて緩めると、手を入れて裾よけの紐も直ぐに緩めてしまう。
前が広がった寝所着から、足がどんどんはみ出して左右に開いて止る。
白い太股が丸見えになって両膝が吊り下げられて、膝から下は菜穂が足をぶらぶらと抵抗の意思を示している。
「麻酔の準備」この言葉は台本の通りだが?辛うじて股間は裾よけが隠している状態で見えてはいない。
次の瞬間鼻と口を何かが覆って風が口元に来る。
咄嗟に息を止める菜穂だが、苦しくなって一気に吸い込んでしまった。