※この作品はR-18です。

悪夢の転身   作:花木 悠

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涙の再会

 33-057

警察が闇プロに到着して事情を尋ねて、有藤は「K&CのCM撮影の最終段階の撮影中に、発作を起こされて亡く成られた」と説明した。

そして「近くの医師を呼んで診察を頼んだが時既に遅く、亡くなられました」と付け加えた。

警察は遺体を見て「綺麗な長い髪を握りしめられていますが?どなたの髪ですか?」と尋ねると「北条菜穂さんです」と平然と答えた。

「話題の木原に薬で強姦された美人さんですね、でもあの長い髪は?」警察もニュースで知っていた。

「実はK&CのCMで、彼女はスキンヘッドに成ったのです」

「えー、スキンヘッドに?あの長い髪を剃ってしまったのかね?」

「はい、CM契約でご覧に成りますか?出来上がったCMを」と尋ねると頷いて、モニターを見始める。

K&Cの店に入って、大胆な髪型に変わりたいと言う菜穂の姿。

そして、丈のカットで短くショートボブの可愛い髪型に変わって、その後に「貴女はここまで変われますか?」とスキンヘッドの北条菜穂が一瞬現れた。

「おお、凄いCMですね」

「成る程、これはインパクトが凄いですね」と警官が口々に驚いて言った。

「唯、残念だったのは、衣川会長は昔から髪フェチだった様です、それで北条菜穂さんのスキンヘッドとその長い髪を貰って興奮された様です」

「その様な事が、過去に有るのか調べてみましょう」直ぐさま警視庁に連絡をする警官。

「肝心の北条菜穂さんは?どちらに?」

「それが、会長の死のショックで倒れられて、今近くの病院で眠られています」

「何処の病院ですか?」

「松宮婦人科に、緊急に運びました」

警察の鑑識も監察医も、心臓麻痺に間違い無いと確認して、髪を握りしめている事も有藤が行った事の証明に成った。

死亡後には、握らせる事が出来ない程強く握っていて、外せる状態では無かったからだ。

その時、闇プロに駆け込んできた衣川丈は「祖父は、ここで何をしていたのでしょうか?」いきなり尋ねた。

「ご遺体は、あちらです」と案内をした。

ベッドに眠る拓次郎の顔は穏やかな微笑みすら感じさせる死に顔に成っていた。

身体に被せられている白い布に、黒い物を見つけて、丈が捲り上げると「わーーーー」と大きな声で泣き始める。

その場に居た人全員が祖父の死に悲しみ始めたと思って気の毒な顔をした。

警察もその場を出て行った時「菜穂は菜穂さんは何処ですか?何と惨い事を、貴方は鬼ですか!」と遺体に縋り付いて泣く衣川丈を見て、仙道と馬淵のカメラマンは、この男性が北条菜穂を愛していると確信をした。

しばらくして警視庁から、過去に何度か店で髪の事で告訴を受けた事実が判明した。

警察が一応衣川丈に確認をすると、その場を去って行った。

 

丈が「菜穂さんは何処に居るのでしょうか?教えて下さい」と有藤に詰め寄る。

「近くの松宮婦人科で眠っています、衣川さんの死のショックで体調を壊されたので。。。。」と言う有藤の言葉を遮って「嘘だ、菜穂を騙して、あの綺麗な髪を坊主にしてしまっただろう!あなた方は悪魔だ!狂った祖父の言葉に乗って菜穂を。。。。。」再び泣き崩れる衣川丈。

「馬淵、案内してあげてくれ」有藤は自分の間違いに気づいていた。

この話を持ってきた小柳も、本当の事を知らなくてこの様な事に成ってしまったのだと漸く判った。

テレビは、どのチャンネルでも木原の悪行を大きく取り上げて、被害者の北条菜穂を哀れむ言葉を流していたが、まさか北条菜穂が闇プロの手で、この様な哀れな姿にされた事実はまだ誰も知らない。

 

深夜の松宮婦人科の少ない病棟の一室に案内された衣川丈。

看護師の前田が菜穂を見守っていたが、丈が入ってくるとその異様な面持ちに驚いて病室を出て行った。

咲江と他の看護師も、恐い形相の丈には近づかない事にしている。

自分達は関与していない事を装っていたのだ。

病室の菜穂は、長い鬘を被っているので全く変わらない表情で眠っている。

「菜穂さん、ごめんなさい!僕がもう少し注意していたら、この様な事には成らなかった」とベッドに泣き崩れる。

枕元には、撮影に着て行った簡単な服と鞄、そして携帯が置いて在った。

その時、携帯が着信を告げるが、マナーモードに成っているので音は鳴らない。

丈はその携帯を手に持って「一杯電話も、メールもしたのに」と嘆き悲しむ。

「僕が、読んであげるよ」そう言いながら、菜穂の指に携帯を持って行くとロックを解除した。

沢山の着信とメールの山の中から、自分のメールを探し始める。

丈はその中に、自分に送る為に書いた菜穂の文章を見つける。

(先日はごめんなさい!貴方の事は好きですが、結婚が決まるまでは関係は持ちたくなかったのでお断りしました。今スタジオでの撮影が終わりました。時間が有れば是非お会いしたいのですが?迎えに来て頂けませんか?愛する丈さんへ菜穂より~)

それは撮影が終わって迎えに来て欲しいと言う内容で、自分に会いたい気持ちが込められていた。

「菜穂さん!会いに来たよ!でも遅かったよ。。。。。。」と菜穂の愛情を知って泣き崩れてしまう丈。

携帯に連絡が来て、祖父の遺体は自宅に送られる事に成ったが丈は全く関知していない。

菜穂の側から離れる事をしない。

「あの人離れないよ」前田が杉本に話す。

「もう直ぐ麻酔が切れるわね、どうなるのかしら?」

「私もあの様な男性に惚れて貰いたいな」

「でもあの痴態を見たら、愛せるかしら?お爺さんが死ぬ程の場面だったからね」

枕元に頭を置いて眠る丈、いつの間にか疲れて眠ってしまったのだ。

 

「丈!丈!」耳元に名前を呼ぶ小さな声が聞こえて目を覚ますと「菜穂さん!」と菜穂が目覚めて丈を見ている。

「私、夢を見ていたの?変な夢だったのよ!」とまだ放心状態の菜穂。

「大丈夫か?君のメールで迎えに来たよ!」と言うと「届いたの?」と喜ぶ。

直ぐにその口を塞ぐキスをする丈に抱きつく菜穂はまだ何も知らなかった。

 

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