傭兵の登録を済ませ、ファナというヴァルキュリア族をパーティーに迎えたプラチナ達であったが、すぐに戦場へ移動開始というわけではなかった。
まだ戦争が始まっておらず、デラントの騎士達が戦争開始を知らせてくれる予定だ。
その知らせが来たら、各々割り当てられた場所へと移動となる。
プラチナは暇だったので傭兵の数を大雑把に数えてみたところ、200人程しかいなかった。
いくら何でも少なすぎるので、こういうことに詳しそうなアリアに尋ねたところ、傭兵の集合地点とされている村は、ここだけではなく複数箇所あります、という返答だった。
補給的な意味で、一箇所に大部隊を集めると大変なことになる為、分散しているらしい。
ましてや正規軍ではなく、各々が好き勝手に動く傭兵が多数集まると、碌でもないことになるそうだ。
補給に関してアリアに尋ねてみたところ、領土から馬車やら何やらで物資を運搬する場合もあるにはあるが、現地調達が基本ということらしい。
現地調達には略奪も含まれるとのことだ。
プラチナからすれば、21世紀の地球と比べてもぶっ飛んだ魔法技術があるので、そういう面でも何かとんでもない魔法が使われているかと思いきや、そうでもなかった。
高度な魔法技術が使用された道具類もあるが、そういうものは基本的に一品物で、値段は高価であり、予算的な意味で量産できないか、できたとしても少数で、軍隊で使うには数が足りなさすぎるとのことだ。
とはいえ例外もある。
少数精鋭の部隊とかでは、そういう高価な道具類がふんだんに使われたりもするそうだ。
そんな感じで、この世界のことを学びつつ、プラチナはファナとの交流を深める。
どこにどんな地雷が隠れているか分からない為、プラチナは基本的に話の内容はファナに任せている。
具体的にこれを聞かせて欲しいとは言わず、何か聞かせて、という大雑把な問いかけだ。
ファナは色々とプラチナへと話したが、両親のことや母国のこと、主を探しているかどうかについては話さなかった。
「ファナさん、何かありそうな気がするんですよね。私の勘がビンビンです」
舞華はプラチナに男根を咥えてもらいながら、そう告げる。
ファナがいると中々セックスができない――と思いきや、舞華とアリアは高速で移動できるので、プラチナを背負って村からそれなりに離れたところでセックスして、戻ってくるという芸当が可能だった。
ここは村から離れた山の中であり、2人以外に人気はない。
「そうなの?」
「ええ。昔から色んな輩を見てきたので、そういう嗅覚は鍛えられています。両親と母国、主探し……普通のヴァルキュリアなら別に問題なく話すことなんですけど、本当に言わない感じですか?」
「うん。普通なら真っ先に出てもおかしくはない話題だと思うけど、今のところ出てないかな」
プラチナはそう答え、舞華への奉仕を再開する。
与えられる刺激に彼女は身を震わせ、プラチナの頭をしっかりと両手で掴んで、思いっきりその巨根を口内の奥へ。
プラチナは咽ることもなく、それを受け入れ、そのまま舞華の精を口の中で、受け止め、ゆっくりと嚥下する。
「過去に何かしらがあって、劣等感を抱いているとかそういう感じですかね。ありえるとしたら」
「劣等感?」
「はい。両親と死別したとかなら、まあ話題に出したくないのも分かりますが、それでも母国や主探しに関しては出しても全く問題はありませんし……劣等感というと才能がないとかなんですけど、あの子は才能があると思いますよ」
舞華の言葉にプラチナは悩む。
「それにアリアさんも、あの子は才能があるって言ってましたし……今も中々の強さですけど、鍛えればもっと強くなると思うんですよ」
「才能がありすぎて、妬まれていじめられたとか?」
「それはないと思いますよ。あの種族は基本的にお行儀が良いんです。だから、才能があるからといっていじめられるなんてことはまずないと思いますし、私も長いこと生きていますが、いじめられたという話は聞いたこともないですね」
何でなんだろう、とプラチナと舞華は一緒になって首を傾げるのだった。
一方その頃、ファナは期待と不安という2つの感情に心が満たされていた。
もしかしたら、プラチナは自分の主になってくれるかもしれない、という期待。
でも、プラチナもこれまでの主としようとした人達や、両親、同級生などと同じように、自分のことを拒み、嘲笑うかもしれない、という不安。
ヴァルキュリアとして優れた才能がファナにはあった。
学生時代は常に首席であり、卒業後はヴァルキュリアの習わしとして、主を探すべく傭兵として各地を渡り歩き、数々の実戦を潜り抜けてきたが、全て大きな戦果を上げている。
だが、彼女には致命的な欠点が存在し、それにより主として仕えたい者がいても、断られ続けていた。
色々と頑張ってみたものの、どうしようもできないものだ。
理性が壊れる覚悟で危険な薬や魔法に手を出せば、それは改善されるだろうが、それでは意味がなかった。
「……プラチナは優しい」
勇気を出して、声を掛けたら快くパーティーに迎え入れてくれた。
基本的に単独で動いているファナがプラチナへ話しかけたのは、こんな田舎では珍しい同年代の傭兵だったからだ。
プラチナ達のパーティーメンバーになって、4日目だが、これまでプラチナは積極的にファナに話しかけてきている。
それはファナにとって、何だか新鮮だった。
実際のところ、実年齢ではどうやらプラチナは生まれて50年も経っていないらしく、本当に子供と言ってもよかった。
ファナの実年齢は800歳を超えており――とはいえ、これを地球の人間にあてはめると10代後半程度――彼女の方がお姉さんだった。
これまでの傭兵生活の中で同年代ではなくても話しかけてくる者も、それなりにいたが、基本的にはファナとのセックス目当てだった。
だが、ヴァルキュリアは主に童貞や処女を捧げることで、永遠の忠誠を誓う為、ファナは性的な知識はあり、戦場などで他人がヤッているのを見たこともよくあるが、経験はない。
「今回の戦争が終わるまでには……見極める」
ファナは決意する。
彼女はプラチナのことが気になっている。
その理由としては、ファナが求める主の条件は自分を拒まず、受け入れてくれることであるからだ。
ファナの勘はプラチナが受け入れてくれる可能性が高いと囁いている。
勿論、それは前提で、更に強いことも必要だ。
加点要素としては優しいことで、ファナのプラチナへの心象はかなり良い。
プラチナはファナに色んな話を聞かせて欲しい、というものの、ファナが触れていないこと――両親や母国、主探し――について、プラチナは一切聞いてこなかった。
そういう配慮をしてくれるのはファナとしても有り難い。
「プラチナが強いといいな……」
ファナの言葉は本心から出たものだった。