微グロあり。
戦争が始まった、という知らせが届いたのは傭兵登録を済ませてから1週間後のことだった。
朝食を終え、30分程したときに騎士達が村中を駆け回り、大声で叫んだ。
戦争が始まった、仕事の時間だ――
「秋の日のーヴィオロンの溜息のー」
プラチナは機嫌良く鼻歌を歌う。
リズムも音程もめちゃくちゃだが、そんなことを今更気にするような間柄でもない。
プラチナ達をはじめ、あの村にいた傭兵達が割り当てられた任務は簡単だ。
森と森の間にある道を通って、レンテイへ侵入せよ――
可能であれば国境沿いの村を占領せよ――
とはいえ、軍事的な専門教育を受けたわけではないプラチナにだって分かる。
「明らかにこれ、奇襲されるよね?」
エルフは森の民と呼ばれ、森の中は基本的に彼らの庭だ。
無論、森以外にも山とか草原とか砂漠とか、そういうところを好むエルフ――ダークエルフではなくエルフである――もいたりするのだが、今回はそういう特殊なエルフではない。
幸いにもプラチナ達の通る場所は森の中ではないが、それでも左右から攻撃され放題だろう。
エルフは剣を扱う者もいたりするが、剣士であっても例外なく魔法や弓術に優れているという。
遠距離から狙撃されたら、たまらなかった。
「うん。私もそう思う」
プラチナの問いに真っ先に答えたのはファナだった。
彼女はプラチナの横を歩いている。
2人の前には舞華が先頭を歩き、後方はアリアが警戒している。
何かがありそうな気がするが、しかし実力は確かであるので、ファナはプラチナの横という位置取りとなった。
プラチナの話し相手であり、助言役で、なおかつ左右からの奇襲への対応役だ。
「プラチナだったら、どう対処する?」
「森を焼けばエルフが隠れる場所が無くなると思うんだけど、どう?」
「難しいかな。エルフは戦いとなったら、それを防ぐ為に水系統の魔法で森を濡らすから」
そりゃそうだ、とプラチナは納得する。
エルフだって、いいようにやられっぱなしであるわけがない。
そろそろ森が見え始めているが、何だか雨でも降ったかのように地面が濡れているのが見えた。
当然、この1週間、雨が降ったということはない。
「穴を掘って森の下を通るとか?」
「時間がかかりすぎるよ」
「空を飛ぶ」
「ここらだとたぶん、変な目で見られる。有効なんだけどね」
空を飛ぶというのはわりかしポピュラーな移動手段であり、空を飛んで移動する種族は多数存在し、また飛べない種族であっても、飛べるようになる魔法や道具もある。
だが、ここらの国々では残念ながらそれは一般的ではなかった。
理由としては、空を飛んで移動する種族がこの近辺にはおらず、空から一方的に攻撃されるという脅威が滅多にない。
また、空を飛ぶというのは非常に便利であるのだが、当然ながら飛行可能な時間や飛行速度は使用者の魔力に依存する。
脅威がないなら、無理して使えるようになる必要はないというのが一般的な考えだが、傭兵の中にはもしもの場合の逃走手段として、飛行魔法を習得していたり、飛行ができるようになる道具を持っていたりする者も多かった。
「うーん、やっぱり索敵系の魔法を使って、潰していくとかかな。あるいは魔力量にモノを言わせて森を吹き飛ばす。あとは魔力放出による高速移動とか」
プラチナの答えにファナは小さく頷く。
表面的には大した反応を示していないが、彼女の内心は非常に満足していた。
そしてプラチナ達は道の入り口に到着するのだが、他の傭兵達は中々、入ろうとしなかった。
下手をすれば最初に死ぬ可能性すらある為、妙な譲り合い――声に出したりはしないが、仕草などで――が行われている。
屈強なアマゾネスや凶暴そうなオーク、あるいはダークエルフや人間、レンテイ所属ではないエルフなど色んな種族が先頭を譲り合っている光景に、プラチナは呆れてしまう。
もっとも、プラチナとてその気持ちが分からないわけではない。
戦場で先頭に立つ、というのは勇気が必要だ。
事前にプラチナはアリアや舞華から、普通にやっているだけで一方的に敵が死ぬというようなことを言われていたが、それでも怖さはあるし、緊張もしている。
ちらり、とプラチナは横に立つファナを見る。
彼女は特に怖さを感じていないようであった。
ここはかっこいいところを見せないと、男が……いや、ふたなりが廃る――!
そんな覚悟と共にプラチナは歩き始める。
譲り合っている傭兵達の隙間を抜けて、彼女は進む。
その後ろにアリア達を引き連れて。
入ってすぐに攻撃は無かった。
この道を30分程歩いていくと森はやがて草原へとなるらしい。
プラチナは色んな障害物が道の上に置かれていることに気がついた。
障害物は丸太や岩など様々だ。
明らかにこちらの足止めで、横から狙い撃ちする魂胆だろう。
すると、後ろから雄叫びが聞こえてきた。
プラチナは思わず驚いて、後ろを見ると、オークやらアマゾネスやらが駆け足で進んできた。
あっという間に、プラチナ達を追い越し、障害物を粉砕したり、飛び越えたりしていく。
その迫力は凄まじく、プラチナは目を輝かせてしまう。
しかし、そこへ無数の風切り音が響き渡る。
大気を切り裂きながら、数多の矢が左右の森の中から飛んできた。
それは予期されたことだ。
盾で防いだり、奴隷を肉盾に使ったり、魔法で軌道を逸らしたり――
伊達に傭兵をやっているわけではないらしく、その動きは洗練されていた。
しかし、矢の数は圧倒的で、障害物の除去は遅々として進まない。
棒立ちしている上、結果として最後尾になってしまったプラチナ達のところへは矢が一本も飛んでこない。
戦力を少しでも削ることを優先すれば、ともすればいつでも逃げ出しそうにも見える位置取りのプラチナ達は後回しであった。
徐々にだが、矢が身体に突き刺さり、動きが鈍り、そこへ更に矢が突き刺さって――という悪循環に陥る傭兵が出始める。
遠からず、このままでは彼らは全滅するだろう。
左右からの攻撃に、逃げることも進むこともできない。
だからこそ、プラチナはちょっと試してみることにした。
魔力の物質化は第一段階であったが、そこに至るまでに多種多様な魔法を舞華とアリアに教え込まれている。
「焼くのがダメ? だったら、凍らせればいい!」
頭の悪いことを言いながら、プラチナはそれぞれの手を左右の森へと向けた。
そして、そこから膨大な冷気が一瞬で発生し、左右の森へと押し寄せる。
もともとエルフ達の魔法により湿り気を帯びていた森はあっという間に凍りついていく。
ここらの地方は温暖な気候であり、さらに季節は春の終わりといった時期であるのに、肌寒さを感じるくらいにまで気温が急激に低下した。
当然ながら、矢は一本も飛んでこない。
何が起こったのか、アリアと舞華、そしてやらかしたプラチナを除いて、誰もが呆気に取られていた。
しかし、最初に我に返ったのはファナだった。
彼女はアリアや舞華を除けば、この場にいる傭兵達の中でもっとも場数を踏んでおり、また潜り抜けてきた戦場も半端なものではなかった。
言っては悪いが、所詮は片田舎の戦争で、ファナは1人で今回の任務程度なら楽にこなせる。
これがエリュエント大陸における大国同士の戦争となると、プラチナがやったような広域魔法は勿論のこと、地域を丸ごと吹き飛ばすような戦略魔法まで飛び交うくらいだ。
1人で国を落とせるような魔導師や万夫不当の戦士がゴロゴロおり、魔境と言っても過言ではない。
ヴェレスターレ帝国なんぞ、その最たるものだ。
ファナはそのような激しい戦場を傭兵として潜り抜け、着実に力を伸ばし、大きな戦果を上げてきた。
彼女から見て、プラチナは広域魔法を使用して、息一つ乱していない。
限界か、あるいは魔力の大半を使うようならば、この魔法を使用しただけで疲労困憊になるはずだ。
ファナはプラチナの実力については詳しくは知らなかった。
それもそのはずで、他人ことを事細かに聞くのは傭兵にとって、よろしくない行為であり、そういうことを詮索しないのが暗黙のルールだ。
実際の戦闘でどのくらいの実力があるか、推し量る必要があったのだが――ファナにとっては嬉しい誤算だ。
プラチナの魔力は広域魔法を1回使った程度では、苦にもならない。
そして、広域魔法の発動速度も中々のものだ。
ファナから見て、プラチナの実力は十分合格ラインだった。
ファナは嬉しそうな顔でプラチナを見ながら、告げる。
「プラチナ、あなたは……強いんだね」
「それほどでもない」
プラチナはアリアと舞華を見ながら、そう告げた。
彼女からすれば、アリアと舞華とかいうちょっと強さの桁が違う2人が傍にいる為、強くなったような感覚がなかった。
「ううん、強いよ。こっちに来て良かった」
そう言ってファナは微笑んだ。
大国同士の戦場ではファナが仕えたいと思う強者が大勢いた。
しかし、彼らはファナの致命的な欠点を見て、主となることを拒んだ。
失意に暮れた彼女は、少し羽を休めようと、田舎のぬるい戦争へストレス発散の為に参加しにきたのだが――それは良い出会いをもたらした。
プラチナは優しくて、強い――
私の主になってほしい――
ファナはプラチナへ熱のこもった視線を向ける。
鎧に隠れてパッと見では分からないが、彼女は黒いミニスカートを履いている。
そのスカートの中にある黒い下着、そこでは彼女の感情に比例するかのように、男根が大きくなりつつあった。
やがて、完全に勃起したのだが、男根の長さは下着から皮を被った亀頭部分がぎりぎり外へ出るかどうかというところであり、またその太さも細かった。
ふたなりとは思えない程に、短小な男根で、しかも早漏であり、更には射精時の精液量も少ないこと。
それがファナの持つ致命的な欠点であり、両親を含めて色んな輩に嘲笑された原因だ。
才能があるのに、早漏で男みたいに短小で精液も少ないなんて――
面と向かって、そう言われたことは数知れず、ファナに劣等感を抱かせるには十分だった。
ファナとしては確かに早漏で短小だが、継戦能力は並のふたなりよりも優れている、と主張した。
ファナは早漏の為に1時間あたりの射精回数は多いが、それだけ多く射精しても萎えたりはしなかった。
だが、それでも誰にも受け入れられなかった。
ファナは不安だ。
プラチナにもし、自分の男根を拒まれたら、と。
しかし、期待はある。
プラチナは村にいた傭兵が連れていた奴隷の男のモノ――ふたなりと比べて短小なモノを見て、大きく自らのモノを勃起させていたからだ。
この世界の男は地球における男とは全く違うもので、見た目も声も性格も仕草も体格も全てが女そのもので、マンコがなくてちんこがあるだけ、という魅力的な存在だ。
とはいえ、これはプラチナにしか分からないものであり、ファナは当然知らない。
ファナにとって、重要なところはプラチナは短小ちんこでも興奮してくれるということだ。
「あ、左から生き残りが」
盛り上がるファナを尻目に、こちらへとやってくる生き残ったエルフ達を舞華が発見した。
左から3人だ。
「どうしますか?」
アリアが問いかけた直後だ。
舞華とアリアの間を黒いものが駆け抜けた。
2人は目で追えたが、プラチナは何が何だか分からない。
真横にいたファナが消えていたのだ。
どこだとプラチナが視線を巡らせると、何かが倒れる音が聞こえた。
そちらへと彼女は視線を向けて――目を丸くした。
エルフの首無し死体が3つ、地面に倒れていたからだ。
その横には巨大な戦鎌を持ち、その刃の部分に首が3つ載っていた。
色々とツッコミどころはあったが、とりあえずプラチナはファナへと歩み寄っていき、問いかける。
「ファナって実は手品師?」
「えっ……ち、違うけど……」
まさかの言葉にファナは困惑しながら否定する。
するとプラチナは疑わしい目を彼女へと向け、更に問いかける。
「だって、剣しか持っていなかったのに……」
「これはヴァルキュリア族が使うマジックウェポンで、魔力を込めることでどんな武器にも変化させることができるんだ」
ほら見て、とファナは戦鎌に魔力を込め、長剣へと変化させてみせる。
首が落ちるが、そんなことはファナもプラチナも気にしない。
「ずるい! それ私も欲しい!」
「えっ、ご、ごめん……これ、ヴァルキュリア族じゃないと扱えないから……特殊な術式が込められていて……」
そんなことをストレートに言われたのは初めてだったので、ファナは思わず反射的に謝ってしまいつつも、理由を説明しながら、元の長剣へと変化させ、鞘へとしまった。
この間に傭兵達も態勢を立て直した。
彼らはプラチナが森を凍りつかせていくのに驚きながらも、自分達の傷の治療を優先していたのだ。
何だかよく分からないが、強力な味方がいるのは確か――そういう認識だった。
負傷者はいるが、死者はいない。
草原に出てさえしまえば、エルフ達に隠れる場所はない。
だからこそ、傭兵達は最初とは打って変わって、我先にと道を走っていった。
彼らを見送ったところで、アリアは問いかける。
「ところでプラチナ、どうですか? こう言うのもなんですが、初めて殺しをして」
アリアの問いにプラチナは渋い顔となる。
舞華は勿論、ファナもどんな答えが返ってくるのか、興味津々だ。
「ハッキリ言っていい?」
「ええ、勿論です」
プラチナは深呼吸して、叫んだ。
「もったいない! 綺麗なエルフ、可愛いエルフ、そんなエルフをヤらずに殺しちゃった! もったいない! 本当にもったいない!」
これでもかと悔しがるプラチナにアリアと舞華は思わず笑ってしまう。
ファナは知らなかったが、アリアと舞華の2人はプラチナが元々は異世界の人間であったことを知っている。
だからこそ、アリアは妻として夫がどのように思っているか、それこそ大きな罪悪感を抱いたりしていないか、という思いから尋ねたものだ。
しかし、プラチナの答えは、ふたなりらしいものだった。
「それじゃプラチナ様。ヤりますか? まだ温かいですよ?」
「死姦はさすがにちょっとレベルが高い……」
「プラチナ、戦場ではよくあることなので。腐る前にヤッた方が気持ちいいらしいですよ?」
堂々と死姦を進めてくるが、さすがにまだプラチナにはハードルが高かった。
地球にいた頃はそういう系でもよく抜いたものだが、それはあくまで二次元の話だ。
もっとも、アリアも舞華も確信がある。
プラチナは将来的に死姦だってヤるようになると。
魔族とは基本的に背徳的なこと、猟奇的なことを好む種族であったからだ。
そこで舞華はふと気がついた。
「ところでプラチナ様。ファナさんに魔族であることを教えてありますか?」
「ううん、言ってない。ファナ、私、こう見えても魔族だから」
一般的なヴァルキュリアならば魔族を主にする、というと心理的な抵抗がある。
ヴァルキュリアの倫理や道徳を重視する姿勢と魔族の価値観は真っ向からぶつかる為だ。
主を諌めます、とかそういう具合に熱意に満ちて魔族を主とするヴァルキュリア族もそれなりにいるのだが――
「そうなんだ」
ファナはそれだけで流してしまった。
アリアと舞華は確定ではないか、と互いに顔を見合わせる。
ファナの表情にも変化はない。
死姦を勧めたときだって、一般的なヴァルキュリアなら顔を真っ赤にして怒ってくるのだが、そんなことはなかった。
ファナはただ微笑んでいただけだ。
「ヴァルキュリアとして、よろしいのですか?」
アリアの問いかけにファナは小首を傾げてみせる。
「プラチナはプラチナだよ? 魔族でも、私は気にしないけど……」
確かにそうだが、聞きたかった答えはそうではない。
「あ、ちょっとトイレに行ってくるね」
ファナはそう言って、3人から離れていった。
ファナは森の中へ入った。
周囲に人の気配は全く無い。
彼女は3人が見えないところまで離れ、屈み込んで、黒い下着をずり下ろした。
そして、おもむろに完全に勃起している自らの男根を、その白い手で握る。
トイレではない。
性欲を我慢できなくなったのだ。
頬を上気させながら、3人には聞こえないように小さく喘ぎつつ、短く小さい男根を扱き始める。
頭に浮かべるのはプラチナの顔だ。
扱き上げていると程なくして射精感が込み上げ、そのまま精を放つ。
出された精液は男と同じくらいの量でしかないが、ファナはそれには目もくれずそのまま扱き続ける。
3分とせず、2発目をファナの男根は吐き出す。
しかし、彼女の扱く手は止まることはなく、玉袋の下にあるクリトリスももう一方の手で弄り始める。
そのようにして、プラチナの名を小さく呼びながら、彼女は自慰に耽るのだった。
ファナはそれなりの距離を取っていたが、残念ながらアリアと舞華の鼻は誤魔化せなかった。
2人はファナの濃厚な精の臭いを嗅ぎ取っており、互いに顔を見合わせる。
「主への思いが溢れてイケナイことをするヴァルキュリアはよくありますが……」
「死姦にも反応しなかったですから、確定かと」
アリアと舞華の会話にファナのことらしいとあたりをつけて、プラチナが問いかける。
「つまり、どういうこと?」
「プラチナ、率直に言いますと……ファナは面倒くさいヴァルキュリアである可能性が高いです」
「あー、真面目過ぎてしまうっていう?」
「ええ。どうしますか?」
どうしますか、と問われてもプラチナの答えは決まっている。
実年齢はともかく、見た目は同年代であり、ファナの容姿をプラチナは密かに気に入っている。
早い話がファナとヤりたかった。
「ファナが欲しい。あんな子が仕えてくれるなんて……最高だと思う」
欲望一直線のプラチナの答えにアリアと舞華は微笑みながら、頷いたのだった。