プラチナはこれがイケメンか、と感心してしまった。
アリアのエスコートは完璧で、また物知りで話題が尽きることはない。
また、彼女はプラチナが浮浪児であるということを気遣って、この都市や自分の出身地、その他色んな常識とされていることを教えてくれた。
異世界ファンタジー、ただしエロバージョン――
というのがそれらを聞いてプラチナが出した結論だ。
なお男についてプラチナが尋ねてみれば、アリアは道端で見世物にされている奴隷達を指差した。
その奴隷達は首から値札を下げており、ゼロの数が少ないことから安いことがプラチナにも分かった。
プラチナには奴隷達は成人女性のふたなり――巨乳から貧乳までいたが、全員の男根が小さめーーにしか見えなかったが、アリアが言うにはあれは男だという。
首を傾げるプラチナにアリアは奴隷商人に声を掛け、実際に示すようお願いした。
すると奴隷商は笑みを浮かべ、頷いて、その奴隷達に四つん這いになり、尻を広げてみせるよう命令する。
そして、プラチナは見た、
その奴隷達には女陰が無かった。
見られてひくついている尻穴だけだ。
買う気は無かったが、見せてもらったお礼として、アリアが幾分か硬貨を奴隷商に渡していた。
奴隷商は残念そうだったが、それでも手間賃をもらえたので文句を言うことはなかった。
男は安く、女は男よりはやや高め、ふたなりは高いんですよ、とプラチナにアリアが教えた。
そんな寄り道をしつつも、アリアの案内で何やら高級そうな店へとプラチナは入った。
素人である彼女が見ても、そこにあった衣類の数々は品質が良いことが一目で分かった。
「あ、あの、アリアさん……こんなに高いところでなくて……」
一般庶民のところで十分です、とプラチナが言おうとすると、アリアは首を左右に振り、屈んでプラチナの瞳を見つめる。
「あなたは今のままでも、とても美しい。ですが、あなたが着飾ったら、もっと美しくなります。私が保証します」
真剣にそう言われてしまい、プラチナは何も言えなくなってしまう。
何だか恥ずかしくなって俯けば、そこにあったのはアリアの勃起した馬並な男根だ。
最初のときよりも、臭いが強くなっているような気がする。
興奮しているのかな、とプラチナは思いつつ、再度、軽く撫でてあげた。
すると、アリアはプラチナの頭に手をのせ、優しく撫でる。
「ふふ、そうしてくれると、とても嬉しいです。それと、私のことはアリアで構いませんし、敬語もいりません。私の方から誘ったので」
イケメンだなぁ、とつくづくプラチナは思ってしまう。
何で自分に声を掛けたんだろう、と彼女は考える。
奴隷にして売るつもりならこんなに手間は掛けないはずで、さっぱり分からない。
そうこうしているうちに、アリアは店員を呼び、プラチナに似合う服を持ってきて欲しいと告げる。
「お連れ様はふたなりですか?」
「そういえばプラチナ、あなたはふたなりですか?」
「あ、はい。ふたなりです」
問われるがままに答えると、店員が告げる。
「玉ブラはどうしますか?」
「是非お願いします」
アリアが即答した。
玉ブラと聞いて、プラチナは首を傾げるが、すぐに思い当たる。
あ、玉ブラってエロ漫画で見たやつだ――
そんなことを考えていると、別の店員が両手に大量の衣類を抱えてやってきた。
「さぁ、プラチナ。じっくりと選びましょう」
わくわくとした顔のアリア。
着せ替え人形になりそう、と思ったプラチナの予感は見事に的中した。
2時間程、着せ替え人形になったプラチナであったが、アリアの審美眼は確かなようで、プラチナに洋服から下着、靴などに至るまで全てが似合っていた。
プラチナの髪色や肌色には何でも似合いますが、ここは黒で統一していきましょうというアリアの意向である。
タイツとブーツなんて初めて履いたが、早くも結構蒸れているのをプラチナは感じていた。
しかし、ヤる前にはシャワーを浴びるだろうし、大丈夫だと彼女は楽観的だ。
そして、衣類一式を調達した後、アリアの案内で、これまた何やら高級そうな料理店に到着した。
ドレスコードとか大丈夫だろうか、とかなんとかプラチナが思っていたが、特には問題にならなかった。
2人が案内されたのは個室であったが、明らかにVIPが使用するような場所であった。
全体的に、凄く高そう――
個室にある調度品の数々を見て、プラチナは素直にそう思った。
「食事のマナーなどは気にしなくて構いません。私しかいませんし、何より、あるがままのプラチナが見たいので」
「あ、うん……」
何なんだろう、このイケメンという感想しかもはやプラチナは抱けなかった。
普通に玉の輿ではないか、という思いしかない。
そして、プラチナはあることに気がついた。
「そういえば、アリアもふたなりなの?」
「ええ、そうですよ」
あっさりと肯定した。
隠すものでもないのだろうが、プラチナとしては何となく気恥ずかしい気持ちが湧いてくる。
「アリアって、どうして私を? あなたみたいな気遣いができて、綺麗で、美しいなら、私よりももっといい人が……」
自分で言っていて、何だか情けなくなったプラチナはどんどん言葉が尻すぼみになっていった。
すると、アリアは真剣な表情で告げる。
「プラチナ、今まで短い時間ですが、こうして過ごして分かりました。最初はちょっと気になったので、声を掛けたのですが……今、私はハッキリと胸を張って言えます」
そして、アリアはゆっくりと告げる。
「私はあなたのことが好きです。いえ、もはや愛していると言っても過言ではありません」
真正面からの告白にプラチナは完全に固まってしまう。
そんな彼女を尻目に、アリアは流れるようにプラチナの良いところや、好きなところを挙げていく。
それは中々途切れることがなく、極めて細かく観察していなければ分からないようなことまでもあった。
5分程して、ようやくアリアの口は止まった。
プラチナは完全に混乱していた。
当然であるが、こんな風な告白をされたことなんてない。
「あ、えっと、その、私……」
言葉が出てこないプラチナにアリアは優しく微笑む。
「返事は後で構いませんよ。ただ、私は本気です。私の思いに応えてくれたならば、私はこの身を全てあなたの為に永遠に捧げましょう」
アリアの言葉にプラチナが何かを言う前に、ドアが叩かれた。
プラチナにとっては天の助けだ。
入ってきたのはウェイトレス達であり、彼女達は幾つもの台車に料理を載せて運んできた。
どんどん大きなテーブルの上に並べられていく料理の数々。
肉料理が中心であり、種類は勿論だが、量もまた多い。
「食べられるだけ、たくさん食べてください」
アリアはそう言ったので、プラチナは恐る恐るフライドチキンにそっくりなものを手にとって食べた。
やや濃いめの味付けであったが、美味しかった。
「あ、お米もあるんだ……」
並べられたものの中に見慣れた白米が入ったどんぶりがあった。
「米は東方大陸からの輸入品です。基本的にパンが主食なのですが、最近人気なんですよ」
「アリアって何の職業を?」
「騎士ですよ。こう見えても、それなりの地位です」
「アリアでも、それなりの地位にしか就けないんだ……なんとなくだけど、もっと偉い人に見える」
プラチナのいい加減な予想だった。
こんなに美人で気遣いができるし、色々知っているので、凄い人だろうという理由だ。
アリアは微笑む。
「プラチナ、ますますあなたのことを愛してしまうかもしれません……あなたは私の運命の人かも……」
今のやり取りで、どういう評価がアリアの中でなされたのか、プラチナにはさっぱり分からなかった。