2019年(平成31年)4月7日
~大分・宇佐神宮~
時刻は夜の十時。
翔たち三人は誰もいない神橋を、人目を
三人が背にしたリュックは、ダニエルが厳選したサバイバルグッズと武器でパンパンだ。
崇継にも、念のためサイレンサー付きのジグ・ザウエルを持たせてある。
翔とダニエルは、その上さらに近接戦用の武器を携帯していた、翔が持っているのは
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戦国時代に活躍の場を置いていた忍者は、特殊技術ばかりが注目されるが、
そこが弱くては話にならない。
翔も子供のころから両親から手ほどきを受けていたし、忍術同様にその天秤を褒めはやされていた。
なにより、他の忍術と違って、剣道の授業というクラスメイトと競い合える場があるのが、励みだった。
剣道の授業が始まる小学6年生を心待ちに練習に励んでいた翔は、授業が始まると愕然とした。
両親から教わったのは、
・相手の隙を付け!
・相手の急所を狙え!
あくまでも相手を倒すための技術だ。
だが、学校の授業で習う剣道は、純然たるスポーツだ。
礼に始まり礼に終わる。
かくして、スポーツ剣道に馴染めない翔は、さしたる活躍を見せる事もできずに、失望のまま剣術の修行にも身が入らなくなっていった…。
だが、今回は違う。
両親が想定して教え込んでいたのは、まさに今回のような場面なのだ。
それに、翔は拳銃を撃った事がなかった。
いざという時に、初めての事を正確にやるのは難しい。
それなら刀の方が頼りになるだろう。
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三人は、神橋を渡ると、ついに静かに眠る宇佐神宮に潜入した。
…と言っても、広大な敷地には塀も門もなく、警備があるのは貴重な文化財などが保管されている一部の建物だけなので、人目を忍んでコソコソとしているだけだ。
それも、一旦神橋を渡って境内に入ってしまえば、人目自体がないのでその必要すらない。
…はずだった。
神橋を渡って参道を前に進むと、朱色の大鳥居が出迎える。
その手前に狛犬が向かい合わせに立っているのだが、向かって右側の
(こんな人のいない時間に、普通の托鉢僧など居るはずがない。)
三人は最大級の警戒心で、その托鉢僧を観察する。
巨体のダニエルを一回り大きくしたようなその托鉢僧は、お経を唱えながら手にした鉢を地面に置くと、狛犬に立てかけていた
「動くな!」
ダニエルが、有無を言わさずジグ・ザウエルを構える。
翔はその隣でゆっくりと抜刀し、崇継も恐る恐る銃を抜く。
托鉢僧は
その瞬間、風圧のようなものが翔たち三人を突き抜けて行ったような感覚に襲われ、我に返ったダニエルが引き金を引こうとするが、指が動かない。
翔も正面に構えた刀を動かせず、崇継もその場に固まったまま動けない。
「こ、こら、なんね、
「いや、違う、
不意に動きを封じられ、焦ってもがく三人を他所に、托鉢僧はゆっくりとした動きで錫杖を抜き取り、中段に構えて先端を一振りした。
すると、輪型の
その切っ先を翔たちに向けたまま、傍らに置いていた巨大なズタ袋を、足で自分の前に動かすと、袋の口を逆さまにした。
「よう見ておけ、谷本、お前を辱めた男が刻まれるサマをな。」
袋から転げ出て来たのは、小柄な全裸の女だ。
翔たちに気づいて、慌てて膝を立て、両手を組むようにして胸を隠したその女は、アマンディーで翔たちを襲撃してきた谷本早耶香だった。