絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
澪とクリムト展を見に行った土曜日が終わり、次の日の日曜日は特に何もすることなく、ゆっくりと家で過ごした。
月曜日、俺はいつも通り登校し、教室に向かおうとした。
すると背後から『ポン』と肩を叩かれた。
「おはよう! 湊くん」
話しかけてきたのは澪であった。
「ああ、おはよう」
「ねぇ、今日さ……付き合って欲しいことがあるんだけど、放課後教室で待ってもらっててもいいかな?」
「今日部活だけど、澪は行かないのか?」
「うん。行かなくても特に何も言われないし。もしかして、湊くんは部活に行く予定だった?」
確かにうちの部活はかなりゆるいため、サボっても咎められることは全くない。
「いや、そういう訳じゃない。それじゃ、放課後教室で待ってるわ」
「うん! ありがとう!」
授業を受け終えたあと、俺は教室でボーと、窓の外を見つめていた。
外にはグラウンドで部活動に勤しんでいる生徒がたくさんいる。みんな、真面目だなぁ。
ふと、教室の扉の方に目を向けると、教室に澪が入ってくるのが見えた。
俺の姿を確認すると、駆け足で俺の元へ近づいてくる。
「湊くん! お待たせ」
「お、おお……それじゃ、行くか」
「うん!」
俺たちは教室から出て、玄関へと向かうことにした。
歩きながら澪が今日俺を誘い出した目的を訊いてみることにした。
「それで付き合って欲しいことっていうのは?」
「んっと、ええっとね……」
澪はモジモジとしながら、何か言うのを躊躇っていた。
「土曜日さ……一緒に主人公のデザインについて話し合ったじゃん?」
「ああ、そうだな」
「それでネットとか、いろんな資料を参考に何枚か描いてみたんだけど、どうもしっくりとこなくてね」
「そうなのか」
ゲーム作りに関してかなり前向きになってものだなと心の中で感心した。
「だから湊くんにモデルになって欲しいんだよね」
「え?」
俺がモデルだと? ゲームのキャラクターの?
「ど、どうして俺がモデルなんだ?」
「頼めそうな男の友達もいないし、それに主人公の体格とか、結構湊くんに近いと思うんだよね」
確かに身長とか体重とか、俺と近いかもしれない。
そういえば主人公の容姿とか積極的に提案してきたのは澪であったが、まさかこのためか?
「あ、あぁ……いいけど、モデルってどんなことすればいいんだ?」
俺が訊くと、澪はモジモジと何か言いづらそうな態度をし始めた。
「え、えぇっとね……ヌードデッサンしてくれないかな?」
「ぬ、ヌードデッサン!?」
「しー! 声が大きいよ、湊くん!」
「す、すまん……」
驚きのあまり声を上げてしまった。澪に何度かヌードデッサンを行なったが、まさか自分が頼まれることになるとは思っていなかった。
「お願い! これもいい絵を描くためなの!」
手を合わせ、必死にお願いしてきた。
最初は嫌々ながらゲーム作りをしていた澪がここまでやる気になっているのだ。
これといって協力しない理由はない。
「分かった。それじゃ、どこでデッサンする? また、澪の家か?」
「え、えーとね……今日は家にお母さんがいるから別の場所がいいなーなんて……」
今日は親がいるのか。それじゃ、澪の家でヌードデッサンをするのは難しそうだ。
「そうか、なら俺の家でやるか」
「湊くんの家で?」
「ああ」
「湊くんの家は親大丈夫なの?」
「大丈夫だ。俺と妹の二人暮らしだからな」
「ええ!?」
澪は素っ頓狂な声を出して驚いた。もう何年も二人暮らししているから麻痺していたが、妹と二人暮らしというのは世間的にはかなり珍しいことであった。
「そ、そうなの?」
「まぁな」
「両親は? 一緒に住んでないの?」
「母さんは小さい頃に亡くなってるし、父さんは海外で単身赴任してる」
「そうなんだ……ごめんね、辛いこと聞いちゃって」
「別に大したことじゃない。それじゃ、家に行こうか」
学校の最寄駅から電車に乗り、三つ目の駅で降りる。
そこからさらに十分ほど歩くと、自宅が見えてきた。
持っている鍵を使って、扉を開けた。
「お、お邪魔します……」
澪は誰もいない家に挨拶し、靴を脱いで家の中に上がった。
階段を上がり、俺の部屋の中へと案内した。
「ここが湊くんの部屋か……」
澪はキョロキョロと部屋の中を見渡した。生憎だが、俺の部屋には変なものは置かれていない。
ベッドの下にエロ本を隠しているとか、そんなベタなオチは用意していないのである。
「ベッドの下に何かないかな?」
澪はベッドの下に何かないか探し始めた。本当にやりやがった。
「おい、澪。パンツ見えてるぞ」
白である。
「きゃ!」
澪は顔を真っ赤にさせ、慌てた様子でスカートを手で抑えた。こいつ、ヌードデッサンのモデルはするのにそういうのは普通に恥ずかしいのか。
「もう! 湊くんのエッチ!」
「そんな理不尽な……それにベッドの下には何もないから安心しろ」
「エッチな本とか隠してないの?」
「ないよ、そういうのは」
「そっか……」
なんでそんなに残念そうなのだろうか。理由がよく分からない。
「ちょっと飲み物持ってくるわ」
俺は部屋から出て、リビングに向かった。キッチンにある冷蔵庫を開け、その中にあるペットボトルのお茶とコップを二つ持って部屋に戻った。
部屋に戻ると、澪は一冊の本を開けようとしていた。その本は家族とのアルバム写真であった。
「あ、それ……」
「ごめん、気になって勝手に……」
「いや、別に見てもいいぞ」
「そう? それじゃ、見るね」
アルバムの中には小さい頃の家族との写真がたくさん収められていた。
「この人が湊くんのお母さん?」
「ああ」
カメラに向かって優しく微笑んでいる茶色い長髪の女性は十年近く前に亡くなった母親である。
「へー! 綺麗な人だね」
母親が亡くなってからは家族で写真を撮ることは無くなった。このアルバムもしばらく見ていなかった。
母親の写真を見ると、罵られた記憶が蘇るからである。
「この子が妹さん?」
「ああ」
「すっごい可愛いね! 妹さん、何時に帰ってくる?」
「部活があるから八時くらいになると思うが……」
「帰ってきたら挨拶しようかな。湊くんの妹さん、見てみたいし」
「あー、まぁ……そうだな……」
部屋に女友達を呼んでいることを明梨に知られたら、あいつ怒るかもしれないな。なんとなくそんな予感がした。
「それより、早速デッサンしないか?」
「うん、そうだね!」
澪は鞄からスケッチブック、鉛筆、筆といった画材を取り出した。
「それじゃ、早速だけど脱いでもらってもいい?」
「ああ……ここでか?」
「うん」
しょうがなく、俺は澪がいるこの場で服を脱ぐことにした。
制服上下、シャツ、トランクス、靴下と脱いでいき、全裸になった。
「それじゃ、まず普通に立っててくれる?」
「ああ」
俺は澪の前に全裸で立った。澪にじっと見られていて、なんだか落ち着かない。ヌードデッサンのモデルっていつもこんな感じなのか。いつも描く側だから気づかなかった。
澪は真剣な様子で筆を動かした。澪は立ち上がり、俺に近づくと、グッと顔を股間に近づけた。
とても深刻そうな表情で俺の息子を見つめている。澪は実物の股間を見つめながら正確にスケッチブックに描き写していった。
やがて、澪はパラっとページを捲った。
「湊くん。腕を頭の後ろに回してくれる?」
「こ、こんな感じか?」
「そのままじっとしてて」
新しい白紙のページにまた描き始めた。再び座って絵を描き始めた澪だったが、立ち上がり顔を近づけ、じっと股間を見つめた。
「ちょっと勃起させてくれる?」
「へ? い、いきなりそんなこと言われても……」
こんな状況で勃ちそうにない。すると、澪が手で俺の股間を弄ってきた。
「うわ……!」
繊細な手つきで弄られ、先ほど勃起できなかったのが嘘のように大きくなっていった。
「よし」
澪は勃起した股間をものすごい速さで筆を動かし、写実していった。
やがて描き終えたのか、澪はページを捲った。
「湊くん、ちょっと、壁にもたれかかってくれる?」
「こ、こうか……?」
背中を壁につけてもたれかかった。なんだこのポーズは……
「そう。そして、腰を突き出して両手で自分の股間を抑えて。おしっこするみたいに」
「ぐ……」
俺は澪の言う通りに従った。なんだこれはとても恥ずかしい……だが、これも澪の絵の為だ。
澪は不様な俺の姿をスケッチブックに描いていった。それにしても、ものすごい集中力だ。
スケッチブックをチラ見したが、今まで見たどの澪の絵よりも迫力がある絵なのは間違いない。
人は自分が本当に描きたいものを描いてる時、凄まじいものを作り上げてしまうのかもしれない。
澪は立ち上がると、俺に近づき、こんな指示をしてきた。
「ちょっと、オナニーしてくれる?」
「そ、それはちょっと……」
「主人公が気持ち良さそうな表情の絵を描きたいんだよね。お願い」
くそ……澪の前でオナニーするなんて……それにこんな状況ではとてもじゃないがオナニーできそうもない。
あ、そうだ。
「分かった。ちょっと俺の鞄の中にある黒いスケッチブック取ってくれるか?」
「うん、分かった」
澪は俺の鞄の中からヌード絵が描かれているスケッチブックを取り出した。
「ちょっと貸してくれ」
澪からスケッチブックを受け取り、澪のヌードが描かれているページを開いた。
始業式の日に描いた絵である。スケッチブックを俺の足元に置く。
澪のヌード絵を見ながらオナニーすることにした。
「はぁ……はぁ……澪……」
澪はオナニーしている俺の様子をじっと真顔で見つめていた。
澪が見ている目の前で、澪のヌード絵をオカズにしてオナニーする。
とんでもないシチュエーションである。
スケッチブックに描かれている澪はとても美しく、情欲的であった。
扱く手を早めると、あっという間に射精欲が最高潮に達した。
「うぁ! い、イく……!」
ドピュドピュ――ちょうど射精する瞬間、部屋の扉が開いた。
「お兄ちゃん! 家に誰か来てるの? って、え?」
考えられる中で最悪のタイミングで明梨が部屋に入ってきた。
明梨はポカーンと口を開けながら、全裸姿の俺とデッサンしている澪を見つめていた。
「な、何してるのお兄ちゃん……それにその人は誰?」