絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
「な、何してるのお兄ちゃん……それに、その人は誰?」
射精する瞬間をバッチリと明梨に見られてしまった。一体、どう説明したらいいだろうか。
「あ、明梨……どうしてこんな時間に」
てっきりまだ部活をしている時間だと思っていた。
「今日は部活休みだったから……それより、二人して一体何をしてたの?」
真顔で俺たちが何をしていたか訊いてくる明梨は並々ならぬ迫力があり、控えめに言ってとても怖い。
「えっと、だな……ちょっとデッサンしてたんだよ」
「そっか。ヌードデッサンをね……」
「ああ。モデルは俺でな」
「ふーん……それで射精したんだ」
すると、俺たちのやりとりを黙って聞いていた澪がゆっくりと明梨に近づき、軽く頭を下げた。
「は、初めまして! 澪くんと同じ美術部の奄美澪って言います」
「初めまして。妹の鹿屋明梨です。いつも兄がお世話になってます」
明梨は淡々と自己紹介するものの、澪とは全く視線を合わせようとはしなかった。
「えっと、明梨ちゃん。これはね……」
明梨は澪の言葉を聞く前にパクッと射精が終わった股間をしゃぶってきた。
「ちょ……お前、こんなところで……」
「え、えぇ……!」
澪が驚きの声を上げた。しかし、明梨は全く止める様子を見せず、それどころかまるで見せつけるように激しく顔を上下に動かし、股間を刺激してきた。
「あ、明梨……澪が見てるだろ?」
「うふ!」
明梨は嬉しそうに笑い声のような声を出すと、目の形が三日月型になった。
さらに、陰囊の部分を軽く右手で弄り、刺激する。
さすがに普段からフェラしているだけあって、俺が気持ちの良い部分を知り尽くしている
「う、で、出る……」
先ほど射精したにも関わらず、明梨の口内にたくさん精液を吐き出してしまった。
明梨は股間から口を離し、口の中の性液を俺と澪に見せつけた後、ごくんと飲み込んだ。
「いっぱい出たね、お兄ちゃん。さっきよりもたくさん出たんじゃないかな?」
「そ、そうかもな……」
「それじゃ、澪さん。ごゆっくり。あ、そうだ! お兄ちゃん、今日は私がヌードデッサンのモデルしてあげるから楽しみに待っててね」
「あ、あぁ……」
断ったら怒られそうなので了解することにした。明梨は部屋から出て行った。
「私、妹さんに嫌われたかな?」
「だ、大丈夫だよきっと。いや、多分……」
ヌードデッサンのモデルを終えた俺は服を着た。
気を取り直し、先ほど澪が描き上げた何枚かの絵を見せてもらうことにした。
「おお、上手いな……」
澪の絵に感激を覚えた。線一本一本に魂が込められているようで、筋肉は彫刻のような美しさが感じられる。
筋肉の描写が凄過ぎて、現実の俺とは似ても似つかぬ人物となっていた。だが、顔はまさに俺そのものだ。まるで鏡を見ているようである。
「そ、そうかな……」
「ああ。ちょっとマッチョ過ぎる気もするけど、こんな感じでいいんじゃないか?」
「そっか。湊くんにそう言ってもらえて嬉しいな……」
澪は俺に褒められて照れ臭いのか、顔を赤くした。
「澪はデジタル絵は描いたことないんだっけか?」
「うん、全くないよ」
「そうか。俺はちょくちょくデジタルで絵を描いたりするけど、やっぱりペンタブの使い方とか教えた方がいいよな?」
「うん! お願い!」
澪にデジタル絵の描き方を教えることにした。デジタルで絵を描く場合はペンタブレットと呼ばれる入力装置を使用する。
デジタルで絵を描く利点として、画材やイラストの保管場所に困らない、デジタルならではの色彩表現ができるといった点が上げられるが、ペンタブレットの使い方に慣れるまで時間がかかるというデメリットもある。
かくいう俺もペンタブレットを使いこなすまで、かなり時間を費やしたものである。
「あ! 線引き過ぎた!」
「あれ? は、はみ出ちゃった」
「なんで? どうして線がまっすぐに引けないの!」
澪は必死になってペンタブレットの使い方に慣れようとしていたが、案の定かなり苦戦を強いられた。
夢中でデジタル絵を描いていた澪であったが、気がつくと外はすっかり暗くなっていた。
「あ! もうこんな時間か。私、そろそろ帰るね! 遅くまで付き合ってくれてありがとう!」
「気にするな。あと駅まで送っていくよ」
澪を駅まで送り届けた後、自宅を目指し再び歩き始めた。
家に向かっている途中、スマホが軽く振動した。
スマホの画面を確認すると、由衣夏からLINEが来ていた。
――お疲れ様です湊さん! あの、今週の土曜日付き合ってほしいことがあるんですが、ご都合いかがでしょうか?
内容を確認すると、思わず動揺した。
付き合ってほしいことっていうのは一体何だろうか。まさかヌードデッサンとかじゃないだろうな。
昂ぶる気分を抑え、由衣夏に返信することにした。
――別にいいぞ。ちなみに付き合ってほしいことっていうのは?
返信した後、スマホをポケットに入れ、特に寄り道もせず真っ直ぐ帰宅した。
「ただいまー」
リビングの中に入ると、明梨がソファーに座っていた。明梨はちらっと俺の方を見た。
真顔である。怖い。
「お帰りなさい。お兄ちゃん、隣に座って」
俺は無言のまま頷き、明梨の隣に座った。
「あの……明梨……」
「ずばりお兄ちゃん。あの人は彼女さんなんでしょうか?」
「いや、違うぞ」
「本当?」
明梨の瞳孔が開いている。今すぐこの場から逃げ出したいが、何とかその思いを抑えた。
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……わー!
「本当です」
なぜか敬語で答えてしまった。明梨は立ち上がると、俺の手首を掴んだ。
「ちょっと、お兄ちゃん来て」
「お、おい……どこに行くんだ?」
「私の部屋。ご飯を食べる前にちょっとお兄ちゃんをいただくことにする。さっきお兄ちゃんの性液を飲んだらスイッチ入ちゃった」
半ば強引に明梨の部屋に連れて行かれた。明梨の部屋は綺麗に片付けられているが、部屋の中には隠し撮りされた俺の写真が至る所に飾られている。
お風呂での写真、寝ている写真、デッサンしている時の写真など実にバラエティ豊富だ。
「相変わらずすごい写真の量だな」
「いやいや、こんなのまだまだだよ。これからもっと飾るんだから」
友達が家に来た時とかどうするつもりなのだろうか。見られたらドン引きとかそういうレベルじゃないぞ。
俺たちはベッドの上に並んで座った。
部屋の照明を落とし、静寂と闇が包み込むこの部屋の中で俺たちは向き合った。
「ん……」「うふ……」
唇と唇を重ね合い、互いの舌を絡み合わせた。明梨の甘い香りとねっとりとした舌と唇の感触が脳内を支配する。
明梨は身体を引き寄せ、耳元を舐めてきた。
身体に電撃が流れるような衝撃が走った。ズボン越しから股間を弄ってきたため、俺も制服越しから胸を揉むことにした。
「お兄ちゃん。私……お兄ちゃんが大好き」
「うん」
「お兄ちゃんは?」
「俺は……」
「やっぱりリアルの私よりも紙に描かれた私の方が好き?」
俺は無言のまま頷いた。どれほど生身の女性に触れても、やはり俺はまだ三次元の女性に恋できてはいない。
明梨は一瞬寂しそうな表情をするも、俺の顔に胸を押し当てるように抱きついてきた。
「そっか。でもいつかリアルの私を好きにさせてみるから覚悟しててね。お兄ちゃん」
「あぁ……気持ち良かったね……お兄ちゃん」
「そ、そうだな……」
明梨はベッドに横たわり、うっとりとした表情で感想を述べた。
結局、あの後たくさん交わることとなった。さすがにもうクタクタである。たくさん汗をかいてしまった。
「明梨、ちょっとシャワー浴びてくる」
「うん、分かった」
脱いだ服を着た後、自分の部屋から着替えを持って、シャワー室へと向かうことにした。
「あ、そうだ」
由衣夏に返信した後、スマホを確認するのを忘れていた。すぐにスマホの電源を入れると、由衣夏から返事が来ていた。
――ヌードデッサン展を見てみたいので一緒に来てもらえないでしょうか? 陽毬さんから湊さんはヌードデッサンに精通していると伺いました。ぜひ、湊さんと一緒にヌードデッサン展を見たいと思います。
「へぇ……ヌードデッサン展。そんなものがあるのか」
俺も是非とも見てみたい。断る理由は特になかった。俺はすぐさま了解の旨の返事をした。