絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
【挿れない】を選択する。果たしてどうなるのだろうか。
『すまないな……優香。お前の気持ちは本当に嬉しいよ。だけど、俺たちは兄妹なんだ。だから、お前の気持ちには答えることができない』
――俺はそう優香に言い聞かせた。兄妹にも関わらず一線を超えてしまう。そんなのは絶対にダメだろう。悩んだ末、俺はそう答えを出した。
『お兄ちゃん……私を女性としては見れない?』
――優香は泣きそうな表情で訊いた。優香の顔を見るのが辛い。だが、ここは意を決して伝えねばならない。
「ああ」
――俺が大きく頷くと、優香は「そっか」と言いつつ、そのまま立ち上がるとリビングから出ていった。部屋に戻ったのだろうか? 俺は服を着て、優香の様子を見に行こうと思った。
――すると、『ガチャッ』とリビングの扉を開く音が聞こえた。
『優香! って……え?』
――優香の右手には包丁が握られていた。鋭い刃先を俺の方に向けて、優香がゆっくりと近づいてきた。
『お、おい! 優香、何をする気だ?』
『私ね……お兄ちゃんが本当に大好きなんだよ。それこそ世界で一番ね。けど、お兄ちゃんは私を受け入れてはくれないんだよね。だったら……』
――優香は包丁を両手で握りしめ、力強く踏み込んだ。
『一緒に死のう?』
『お、おい! 落ちつ……ぐふ!』
次の瞬間、パソコンの画面には腹部を刺された真琴のイラストが表示された。
おいおいおい、刺されたぞ。
どうやら俺が選んだ選択は間違いだったようだ。腹部から大量の血を流し、床に倒れている真琴のイラストは実に生々しい。こんなのコミケで販売できるわけねぇだろ。
さらにBGMは『タンターン タターン タターンタターン』というどこぞのデイズで流れたメロディそっくりであった。
いや、著作権的にダメだろこのBGMは。
真っ暗な画面と共に赤い文字で『BAD END1』と表示された。
BAD END1ということは恐らく他にもBAD ENDが存在するのだろう。
「どうでしたか? 湊さん」
由衣夏がゲームの感想を訊いてきた。なぜか由衣夏はとても期待しているように目を輝かせていた。
どうもこうもない。
「どうって……普通に驚いたよ。まさか、挿れないを選択すると妹に刺されるなんてな」
「そうでしょう。驚きですよね! それじゃ、今度は選択肢を変えてもう一度プレイしてみてください」
由衣夏のやつ、どうしてそんなに嬉しそうなんだ。
普通に考えてダメだろ、このシナリオは。後で陽毬にシナリオの修正を提言せねば。
俺は気を取り直して、再びプレイを開始することにした。
セーブしていないため、最初からゲームが始まることになった。優香と同じやり取りを繰り返し、再び例の選択肢がやってくる。
――選択してください。 【挿れる】【挿れない】
考えるまでもない。俺は【挿れる】を選択した。さもなければ刺される。
『ほ、本当に挿れるぞ。優香。いいんだな?』
『うん。いいよ』
――俺は大きく剃り立っている股間をゆっくりと優香の挿入した。
『うん……』
――優香は痛そうな表情を見せた。
『痛いか? 優香』
『うん、ちょっと……けど、大丈夫』
――俺はゆっくりと腰を動かした。優香は「ん、ん……」と小さな声を上げる。優香の中はとても暖かく股間に密着してくるようでとても気持ちよかった。
『お兄ちゃん、イキそう?』
『あ、あぁ……』
『いいよ? 私の中で出しても……』
目が半開きの状態でそう言い聞かせてきた。
『分かった。だ、出すぞ……!』
絶頂に達する二人のイラストが表示された。人物だけでなく、背景もかなり力を込めて描かれており、かなりクオリティの高いイラストである。
優香の表情は快楽の波に溺れているようで、イラストの参考にさせてもらおうと思った。
ゆったりとしたBGMと共に『チャプター1 終了』と表示された。
「これでチャプター1の終了です。どうでした?」
「そうだな……エロ描写とグロ描写が多いから少し自重した方がいいかもしれないな」
「いやぁ、これくらい大丈夫ですよ!」
「そ、そうなのか?」
少なくとも高校生の俺たちがこんなエログロ有のゲームを販売していたら、コミケの規約違反的にまずい気がするのだが。
「それより、チャプター2もプレイしてみてください」
「分かった」
『セーブしますか?』と質問が出たので、セーブしチャプター2をプレイすることにした。
――優香と一線を超えてしまった日から三日が経った。今日は土曜日。優香と麻衣子は部活で学校に行っている。俺は一人、リビングでテレビを見てゆっくりと過ごしていた。すると、桜がリビングにやってきた。
――桜は美術部に所属しており、美術部は基本的に土曜日は部活がない。そのため、桜は基本的に休日は家にいるか、友人と遊びに行くかのどちらかであるが、今日は前者である。
『兄さん、今暇だよね?』
『ああ、まぁそうだな』
『それじゃ、ちょっと掃除手伝って! 私はリビングを掃除するから兄さんはトイレとお風呂お願いね!』
――桜の勢いに押され、渋々と掃除をすることになった。
――まずはトイレ掃除から。洗剤とトイレブラシを使って、便器を磨き上げる。トイレ掃除を終えた後、風呂場へと向かった。
『さてと……掃除するかな』
――まずはスポンジとカビ取ったるハイターで浴槽と床を綺麗にすることにした。排水溝を確認すると髪が詰まっており、ティッシュで髪を取り除く。
――二十分ほど掛けて風呂掃除を完了させ、リビングへと戻った。リビングでは桜がテーブルを布巾で拭いていた。
『兄さん、トイレ掃除と風呂掃除終わった?』
『ああ、終わったよ』
『そっか、ありがとう』
――桜から素直にお礼を言われて、少し戸惑った。いつもならそっけない態度を取ってくるのだが。
『ねぇ、兄さん。最近さ……優香となんかあった?』
――突然、桜から質問され、ドキッとした。
『いや……別に何もないが。どうしてだ?』
『最近……いや、数日前くらいから兄さん、なんか優香と気まずそうにしてるからもしかして喧嘩でもしてるのかなって……』
――鋭いな優香のやつ。もっとも、俺と優香が気まずい状態なのは三日前に一線を超えてしまったからなのだが。
『気のせいだ。本当に何もないから安心しろ』
『そっか。ならいいんだけどさ……掃除したらちょっと汗かいちゃった。私、シャワー浴びてくるけど兄さん絶対に覗かないでね!』
――桜が俺に対し、ビシッと指差してきた。
『の、覗かねぇよ……』
――優香は風呂場へと向かっていた。俺は一度足りとも桜の入浴を覗きたいと思ってことはない。
――しかしながら今日の自分……いや、優香と一線を超えて以来からおかしかった。妹達に対して、性的興味が芽生え始めている。心の奥底で『覗きたい』という思いが湧き上がってくるようであった。
――覗きに行きますか? 【行く】【行かない】
「また選択肢か……」
ここで選択肢を間違えれば再び真琴が死んでしまうことになるのだろう。
前の選択肢から考えて、おそらくここは【行く】を選択肢した方がいいな。
俺は躊躇うことなく【行く】を選択した。
――自分の欲望に負けてしまった俺は風呂場へと足を運んだ。脱衣所にあるカゴには桜の下着や服が置かれている。風呂場からはシャワーの音が聞こえてくる。
――扉に手を掛け、ゆっくりと扉を開ける。
――扉の隙間から桜が気持ち良さそうにシャワーを浴びているのが見えた。優香と比べて控えめな胸をしていたが、それがあどけなさと背徳感を感じさせとても興奮する。
――食い入るように桜のことを見ていた俺であったが、桜はシャワーを止め、後ろを振り返った。バッチリ目があってしまった。桜は『うわ!』と声を上げ、口元を抑えた。
『に、兄さん……何してるの!』
『え、えっとこれはその……』
――弁明しようと思った俺であったが、桜は恥ずかしそうに顔を赤くし、洗面器を俺に投げつけてきた。
『兄さんの変態!』
『ぐわ!』
――洗面器は見事に俺の頭部に命中した。思いのほか威力が強く、段々と意識が遠のいていった。
『ちょ、ちょっと兄さん!?』
画面には泡を吹き出しながら仰向けになって倒れこむ真琴のイラストとともに『BAD END2』という文字が表示された。
どうやらまた俺は選択肢を間違えてしまったようだ。
「エルフ・サイ・ジャングル……これがシュ○インズゲートの選択か……」
ポツリとそんな独り言を呟いた。