絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
――選択してください。 【一緒に寝る】【一緒に寝ない】
俺は【一緒に寝ない】を選択する。前までの俺がもしも真琴の立場ならば、【一緒に寝る】という選択肢を選んでいたことだろう。
俺の場合は一緒に寝るだけではなく、ヌードデッサンもお願いすることになるだろうが。
だが、今の俺は違う。おそらく俺はもう――
『悪い麻衣子。俺は一緒には寝れない……』
『どうして?』
『どうしてって……そりゃあ……』
『私が妹だから? けど、お兄さん。優香姉さんと桜姉さんとエッチしたんでしょ?』
『そ、それは……』
――麻衣子のやつ、知っていたのか。しばらく黙っていると、麻衣子はベッドから出てきた。ゆっくりと立ち上がり、そして着ている服を脱ぎ出した。
『お、おい……麻衣子……』
――麻衣子は躊躇いもなく下着も脱ぎ去り、全裸になった。
――日に焼けた褐色の肌、中学生とは思えないほどの巨大な胸、胸とは逆にまだあどけなさを感じさせる淡い毛の生えた秘所が目に映る。
『お兄さん。私のこと、どう思う?』
『麻衣子……俺は……』
『私って魅力ないかな?』
――麻衣子が俺に近づいてきた。歩くたびに麻衣子の胸がプルンプルンと揺れる。
『いや……麻衣子。お前はすごく可愛いよ。正直三人の中じゃ、お前が一番可愛いと思う』
『だったら……』
『だけど優香と……桜とエッチしていて気づいたんだ。俺は二人とエッチしていて少なからず罪悪感を持った。俺はやっぱり、お前のこと……いや、お前達のことを今まで通り妹として接したい』
――自分の思いをはっきりと伝えたが、麻衣子は納得していないのか全く表情を変えなかった。
『それは無理だよお兄ちゃん。もうお兄ちゃんは戻れないよ。だって優香姉さんと桜姉さんとエッチしちゃったんだもん。私……お父さんにこのこと言っちゃおうかな〜』
――サーと自分の血の気が引いていくのが感じた。そんなこと、父さんに話されたら間違いなく絶縁させられるだろう。
『た、頼む……麻衣子。それだけは勘弁してくれ』
『それじゃ、私ともエッチしてよ』
『わ、分かった』
なんだ、真琴のやつ。結局麻衣子とエッチするのか。エッチせずにそのままエンディングに入るものだと思っていた。
しかし、陽毬さんのシナリオ……ちょっと闇を感じるな。
――俺は自分の着ている服を脱いだ。自分の股間はガチガチに屹立している。勃起している俺の股間を見た麻衣子は意地悪く微笑む。
『ふふ。口ではあんなこと言ってもやっぱり身体は正直だね、お兄さん。私の裸を見てこんなに勃起してるじゃん……』
『あ……』
――明梨は右手で俺の股間をぎゅっと握り出した。ゆっくりと右手で上下に動かし、股間に刺激を与えてくる。
――気持ち良い……なんで麻衣子のやつ、こんなに上手いんだ。全身のドス黒い血が股間に集まり、浄化されていくようであった。
さらに、そこからフェラが始まり、エッチへと続いた。概ね予想通りの内容である。
『気持ちよかったね、お兄さん』
『あ、あぁ……』
――脅されたとはいえ、結局俺は麻衣子と一線を越えてしまった。性欲を出し切り疲れ果てた俺はベッドの上に横たわる。
――なんとなく扉の方を眺めていると、誰かが部屋の中に入ってくるのが確認できた。
『お、お兄ちゃん……』
『……』
――なんと部屋の中に入ってきたのは優香と桜であった。驚きのあまり声が出なくなる。
『ふ、二人とも! いつから私たちのこと見てたの?』
『二人がエッチしていたところからだよ』
――桜が答えた。桜は顔を赤くし、スカートの裾を弄っている。考えられる限り、最悪なところを見られてしまった。
あちゃー、これは主人公やってしまったな。また刺されて死ぬパターンじゃないのか。
『お兄ちゃん! 次は私としよう!』
――優香は服を脱ぎ出した。下着も脱ぎと全裸になり、押し倒すように俺の覆い被さってくる。
『あ、ずるい! 私も!』
――桜も服を脱ぎ、全裸になると優香と同じように覆いかぶさってきた。
『お兄さん、まだ私としたりないよね?』
――さらに麻衣子も再びエッチを迫ってきた。三人の様々な大きさの胸が俺の顔に迫ってくる。
『ちょっと麻衣子、ずるいよ! さっきエッチしてたじゃん!』
『いいじゃん! 二人だってもう一回お兄さんとしてたでしょ!』
『兄さん、私としたいよね?』
――ええい、もうどうにでもなれ。シスコンだろうとなんだろうと言われても構わない。
――可愛い妹達が喜んでくれるなら俺はエッチでもなんだってやってやる。
『三人とも喧嘩はやめるんだ。全員まとめて相手してやるから』
こうして、突然3Pが始まり、綺麗なイラストとともに真琴が三人とエッチする様が描かれる。
エッチが終わると、レトロチックな音楽とともにエンディングが流れる。すごく良い曲である。
この3Pがトゥルーエンドというわけか。
エンディングを見終えると、パソコンを閉じた。
「ふー、ダメだなこりゃ」
決して、このゲームがつまらないとかそういうわけじゃないがあまりにもエロシーンが多い。
これじゃただのエロゲーである。高校生である俺たちが販売して良い代物ではない。
陽毬に頼んで、シナリオの改稿をお願いするか。
ちょっと気分がてらテレビでも思い、リビングへと向かう。
リビングには明梨がソファーに座り、音楽番組を視聴していた。
明梨の隣に座り、テレビを視聴する。人気歌手が初めて聞く曲を歌っていた。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「今日、掃除終わったらさ……しない?」
「……」
『しない?』というのはヌードデッサンとエッチのことを指している。
ヌードデッサンした後、明梨とエッチするというのがいつもの流れだ。
「悪い……できない」
「そっか……明日は?」
明梨は余程我慢できないのか、明日できるか訊いてきた。これははっきりと言っておかなければならない。
「明梨、聞いて欲しいことがある」
テレビの画面を見つめていた俺は明梨の方に顔を向けた。
「何?」
俺は今まで絵の女性に興味がなかった。エッチにはそれなりの快楽を感じるのだが、すごくしたいと思ったことは実は全くない。
しかし、今まさに俺の体質が変化を遂げようとしている。
「俺、しばらくヌードデッサン止めようと思うんだ」
「ど、どうして? 今まであんなに楽しそうに描いていたじゃん!」
ヌードデッサンを止めることを告げると、明梨は狼狽した。確かにヌードデッサンをするのは楽しかった。
その気持ちに偽りなどない。だが――
「その通りだ。だが、俺は変われそうなんだ」
「変われそうって……普通の女の人に興味を持てそうって人?」
「まぁ……そうだな」
俺が答えると、明梨はプルプルと身体を震わせ、立ち上がった。
「誰なの? お兄ちゃんが好きな人は。前に家に来てた澪って人?」
「悪いが……今は言えない」
なぜなら、今の段階で本当に好きなのかどうかは断定できないからだ。本当に好きなのかどうかはもう少し時間を掛けて確かめていきたい。
「そっか。分かった。一応訊くけど、父さんが帰ってくるのは関係ないんだよね」
「ああ、勿論だ」
「なら……いいや」
明梨は目を赤くし、部屋に戻っていこうとした。悪いことをしたという実感はある。明梨は多分、俺のことを兄ではなく、一人の男性として好意を持っていたのだろう。だからこそ、今までヌードデッサンのモデルになってくれた。
「ちょっと待ってくれ」
部屋に戻ろうとする明梨を呼び止めると明梨はこちらの方を見ず立ち止まった。
「何? お兄ちゃん」
「ヌードデッサンじゃなくて……普段の明梨を描かせてもらいたい。ダメかな?」
我ながら勝手なお願いだと思っている。
だが、今ならヌード絵以外でものすごい絵が描けそうな気がするのである。
「一時間後」
「え?」
「気持ちリセットするから一時間後に私の部屋に来て」
「あ、あぁ……分かった」
明梨はそう言い残すと、明梨は今度こそ自分の部屋に戻っていった。
リビングで一人きりになった俺はスマホを取り出し、ある人物へ電話を掛ける。
『もしもし、どうした? ピカソくん』
俺が電話を掛け相手はゲームのシナリオ担当、陽毬である。
『すみません。ちょっとゲームのことで相談したいことがあるんですけど明日時間ありますか?』
『ああ。別に構わんぞ。明日の十時に私の家に来てもらえるか?』
『分かりました』
『ちなみにどんな用かあらかじめ聞いておいてもいいか?』
『はい。シナリオのことでちょっと相談が』
ちょっとというか、陽毬には大幅にシナリオを改稿してもらおうと思っていた。エロ描写の削除、そして『新しいエンド』の追加。これらを行ってもらう予定である。
『なるほど……それじゃ、由衣夏のデモをプレイしたんだな?』
陽毬は俺がこうやって電話してきた経緯を理解したようである。流石に頭の回転が早いな。
『はい、そうです』
『そうか……ゲームの感想を聞きたいところではあるが、明日聞かせてもらうとするか。それじゃ、また明日』
『はい。よろしくお願いします』
俺は電話を切った。テレビの電源を落とし、部屋に戻る。俺がやるべきことはただ一つ。
『さてと……それじゃ、描くか』
ヌードデッサン以外の絵を描く――まるで自分が新しい何かに生まれ変わったようである。