絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
「な、何してるの? 湊くん……」
澪は口元を抑え、驚愕した様子で股間を露出させている俺のことを見つめていた。
「えっと、これはその……」
俺は急いで自分の愚息をしまい、立ち上がった。
「も、もしかしてオナニーしてたの? その絵で」
澪は性液が汚された絵を指差した。
「あ、あぁ……」
認めると澪は俺に近づき、ズボン越しから股間を弄ってきた。
「湊くんって……想像以上に変態さんだね」
澪は意味ありげに微笑んできた。
「うぁ……」
俺の息子はたちまちムクムクと大きく膨らんでいった。ちなみに澪のやつ、まだ服は着ておらず全裸である。澪は秘所を自分の指で広げた。トロトロとした透明な汁が滴っている。
「湊くんのせいで私、こんなに興奮しちゃったんだから責任取ってよね……」
澪は俺にキスしようとしてきた。
「ま、待て! 澪。落ち着くんだ」
俺が澪のキスを食い止めると、澪は不服そうな表情で俺を見つめた。
「湊くん。もしかして私とエッチしたくないの?」
「いや、そういうわけじゃない……けど、澪。お前初めてなんだろ? 大丈夫か?」
「う、うん……」
「なら、せめて学校じゃなくて家でしないか?」
「わ、分かった! それじゃ、今日これから家に来れる?」
「澪の家は今日、誰もいないのか?」
「うん! ちょうど今新婚旅行中なんだ!」
なんと図ったかのように都合の良いタイミングなのだろうか。
「そうか……それじゃ、行こうか」
こうして、俺は澪の家に向かうことにしたのだが、諸事情により、澪の家での様子はここでは割愛させてもらう。
▽▽▽
次の日、いつも通り俺は登校した。
澪は昨日のことが気まずいのか俺に対し、話しかけてくることはなかった。
授業を終えた俺は今日は部活には行かずにそのままアルバイトに向かった。
今日はシフトが入っており、午後五時から午後九時まで勤務する予定である。
といっても俺のバイト先はほとんど客が来ることがなく、暇なことが多い。
学校を出てからおよそ二十分後、バイト先の『アンティーク曽於』に到着した。
アンティーク曽於は骨董屋であり、俺はここでバイトをしている。
「お疲れ様です」
お店のボロい戸を開けて挨拶すると、曽於美咲(そおみさき)さんが俺の方を見た。
「お疲れ様、湊くん」
美咲さんは可憐な笑みを向けた。美咲さんは店長の娘であり、現在、都内の大学に通っている。
俺にバイト先での仕事を丁寧に教えてくれ、プライベートでも良くしてくれるとても面倒見のいい人である。
美咲さんは長い黒髪をゴムで縛っており、手にはホウキを持っていた。
「ちょうど今掃除終わったんだ! どうせ、今日もお客さんほとんど来ないだろうし、上でセックスでもする?」
美咲さんは冗談めいた口調でセックスを持ちかけてきた。
「いえ、今日は遠慮しておきます」
美咲さんは軽い調子でセックスを持ちかけてきているが、今まで実際に何度か俺は美咲さんと交わったことがある。
さらに言うと、ヌードデッサンもさせてもらった。
「そっか」
美咲さんは俺との距離を詰め、品定めするように俺のことをじっと観察した。
「ねぇ、湊くん。私の予想なんだけど、もしかして昨日誰かとエッチしたりした?」
名探偵コ◯ンばりの鋭い推理? に俺は思わず動揺してしまった。
「ど、どうしてそう思うんですか?」
「なんとなく。女の勘ってやつかな」
すごいな、美咲さん。
「そ、そうですか。ご想像にお任せします」
「それはもうヤッたって言ってるようなもんだよ。ねぇ、ちょっと見て欲しいものがあるんだけど来てもらえる?」
美咲さんは俺を店の物置場に誘導した。カビ臭い物置場に入ると、タオルが掛けられている額縁が壁際に置いてあった。
「これは?」
「今日、お客さんが持ってきてくれた絵画なんだけど、こういうの湊くん好きじゃないかなと思って」
美咲さんはタオルを取った。
額縁の中には女性の裸体が書かれているのだが、いかんせんその絵は中世っぽい感じのタッチで描かれていた。
「あの、美咲さん。俺、女性の裸体ならなんでも良いってわけじゃないんですよ」
「そうなの? こういうにはイヤ?」
「イヤってわけじゃないですけど、これはあまり唆られませんね」
やはり自分で描く女性の裸体の方が一番興奮する。自分のことはやはり自分が一番分かっているということだろう。
「そっか。喜んでくれると思ったんだけど残念。それじゃ、私のヌード描く?」
「もうすぐ開店時間ですよ?」
「どうせ誰も来ないから大丈夫だよ」
そう言われると描きたくなってしまう。
「分かりました。それじゃ、お願いします」
「うん、任せて!」
美咲さんはドンと強く自身の胸を叩いた。豊満な胸がプルンと大きく振動する。
こうして、俺は美咲さんをデッサンすることになった。
「それじゃ、脱ぐね」
美咲さんは着ていた服を脱ぎ出した。
大人だけあって、上下ともセクシーなピンク色のセクシーな下着を着ている。
下着姿になった美咲さんは前屈みになり、豊満な胸を見せつけてきた。
深い胸の谷間はとても魅力的で、健全な男であればフルボッキすることであろう。だが俺は残念ながら健全な男ではない。
「どう? この下着、最近買ったんだけど似合う? すごく高かったんだ」
下の方の下着は若干透けており、濃いめのアンダーヘアが見えている。
「ええ、とても似合います」
しかし、美咲さんは不満そうに頬を膨らませた。
「ちぇ……少しは照れて欲しいんだけどな」
そして、美咲さんは下着もためらうことなく脱ぎ去った。
全裸になった美咲さんは近くにある椅子に座った。
「なんかポーズ取った方がいい?」
「そうですね。それじゃ、仰向けになってもらってもいいですか?」
「え〜? ここで?」
「はい。お願いします」
「しょうがないなぁ……」
美咲さんは冷たそうな床の上に寝転び、仰向けになった。
俺はスケッチブックに一心不乱に今の美咲さんの姿を描いた。
視線は自然と美咲さんの胸にいく。やっぱり美咲さんのロケット型のおっぱいは大きい。
少なくとも澪よりは大きいな。美咲さんが言うにはFカップあるという。
「湊くん。いま、おっぱい見たでしょ?」
「ええ、見ましたよ。デッサンするんですもん」
「けど、すごい真剣に見てた。湊くんもやっぱりおっぱい星人なんだね」
「まぁ……そうかもしれないですね」
もっとも俺はリアルの胸よりも、絵に描かれている胸の方が好きなわけだが。
「大学の同級生もよく私の胸見てくるんだよね〜。見てる本人はバレてないつもりだけど、バレバレだっての。本当見ないで欲しい」
「俺には見られても不快に思わないんですか?」
「うん。それに、湊くんってさ……私の胸、スケッチの時しかちゃんと見ないよね」
言われてみればそうかもしれない。
「そう……ですかね」
「前にも聞いたけど、湊くんは三次元の女性に興味はないの?」
「そんなことは……ないですよ」
全く三次元に興味がないわけではない。現に何回か美咲さんとセックスした時だって、ヌードデッサンの時ほどではないが普通にドキドキしたりした。
「そっか……けどさ、湊くんはリアルの私より、絵に描いてる私の方が好きだよね」
「まぁ、そうですね」
これは全く否定しようとは思わない。俺は二次元の女性が大好きである。
「やっぱり気持ち悪いと思いますか? 二次元の女性が好きだなんて、おかしいですよね」
「いや、私は別にそんなこと思わないよ」
「本当ですか?」
「うん、こんなに絵を愛しているなんてすごいことだと思う。素晴らしい才能だと思うよ」
美咲さんに褒められて少し照れくさいと思った。普通の女性なら、俺のような人間は気持ち悪いと思うのが普通であろう。
「あ、ありがとうございます……」
「まぁ、もう少し私に対して照れて欲しいなとは思うけどね」
まるでイタズラっこのように微笑む美咲さんであった。
以前、美咲さんは俺に付き合って欲しいと告白してきたことがある。
しかし、俺は断った。
今の自分にその資格はないと思った。
リアルの女性より二次元の女性の方が好きな俺になど、美咲さんの彼氏になる資格などない。
「すみませーん!」
店の方から声がした。
「え……あ、やば」
美咲さんは慌てて起き上がった。
「俺が行きます」
俺は物置き場から出て、店のカウンターへと移動した。店の中にはうちの高校の制服を着た人が立っていた。
セミロングのオレンジ色の髪をしたその女子生徒は俺の知り合いではないが、どこかで見たことがあるような気がした。
「えっと……」
「初めまして! 鹿屋湊くん!」
俺のことをフルネームで呼ぶ女子生徒は手を差し出してきた。
恐る恐る俺は女子生徒と握手した。
女子生徒は品定めするように俺のことを見つめた。この女子生徒の第一印象としては、綺麗な人という感じだ。
雰囲気的になんとなく美咲さんに近く、年上のような感じがする。
「えっと、どちら様でしょうか?」
そう尋ねると、女子生徒は俺に額に軽くデコピンしてきた。
「いて!」
「生徒会長の顔を覚えていないとはひどいな。私は姶良陽毬(ひいらひまり)。よろしく」
生徒会長か。どうりでどこかで見たことがあると思った。
「ど、どうも……それで今日はどういった用件でこのお店に? 買取希望ですか?」
「いや。湊くんに用があって来たんだ」
「お、俺に?」
直感的になんだか嫌な予感がした。
「昨日の夜、実は見ていたんだ。君が奄美澪と淫らな行為をしていたのを」
ニヤケながら衝撃の事実を述べる陽毬に対し、俺は戦慄せざるをいなかった。