絵の女性と生身の女性、どちらがいいか? 〜現代のピカソが三次元に恋をするまで〜 作:チャンドラ=グプタ
「き、記憶にございません……」
俺はシラを切るべく、陽毬に対し記憶にないと告げた。
「これを見てもそんなことが言える?」
陽毬はポケットからスマホを取り出した。スマホには俺が全裸姿の澪を描いている写真が映し出されていた。
「う……」
「ちなみに動画バージョンもあるけど見る?」
「え、遠慮しておきます……」
これは全くもって言い逃れできない。この人、一体何が望みだろうか。金か? やっぱり金だろうか。
「一応言っておけど、このことを教師に告げる気はないよ。もっとも、君の出方次第だけどね……」
陽毬はフフッと不気味に微笑んだ。
「一体、何が望みですか?」
「それは後で伝えるよ。明日の午後五時頃、校門の前で待ってもらえるかな?」
「わ、分かりました」
明日は部活に行こうと思っていたが仕方ない。別に行かなくても怒られることはないし、陽毬の約束を優先することにしよう。
「それじゃ、また明日」
あっさりと陽毬は店から出て行った。
「湊くん!」
背後から声がした。振り向くと、服を着た美咲さんがいた。
「美咲さん……」
「ごめんね、お店任せちゃって。さっきの子って湊くんと同じ学校の子?」
「はい」
「何を話してたの?」
美咲さんにどう説明すべきか。あまり話をややこしくしたくないし、ここは適当に誤魔化すか。
「えっと、明日何か用事があるから待ち合わせ場所に来て欲しいと……」
断片的に陽毬から言われたことを美咲さんに伝えた。
「え!? それ、もしかして告白するつもりなんじゃない?」
美咲さんは俺の肩を掴み、ガンガンと身体を揺らしてきた。
「それにかなり綺麗な子だったし……告白されたら受け入れるの?」
「こ、断りますよ……それに多分告白じゃないと思いますし……」
しかし、美咲さんは納得いかないのか、なおも訝しんだ様子で俺のことを見つめた。
「え〜。本当?」
「本当ですって。信じてください」
「ふふっ、分かった」
納得してくれた美咲さんは営業中だというのに、俺の頬にキスしてきた。
「照れた?」
「はい。すごく照れました」
「ふふ……嘘ばっかり」
その後、俺と美咲さんは交代交代で店番をしたのだが、誰もやってくることはなかった。
▽▽▽
バイトを終えた俺は寄り道せずにまっすぐ家に帰宅した。
「ただいまー」
俺は靴を脱ぎ、リビングに向かった。リビングでは妹がジャージ姿でソファーでくつろいでいた。
俺の帰宅に気づいた妹は俺の方に顔を向けた。
「あ、おかえりお兄ちゃん」
妹の鹿屋明梨(かのみやあかり)は今年で中学三年生となる。明梨は金髪のツインテールを弄りながら、テレビを視聴していた。
現在、訳あってこの家には両親がおらず、俺と明梨で二人暮らしをしている状態である。
料理は基本的に交代制で行っているが、部活などで忙しい時は弁当や出前を頼むことが多い。
今日は明梨がちゃんと料理しており、テーブルにはカレーライスが置かれていた。
「いただきます」
俺は明梨が作ってくれたカレーライスを食べた。ルーは水っぽくなくドロッとしており、辛さも丁度よく美味しかった。
無言で食べていると、突然、明梨は俺の隣に座り、じっと俺のことを見つめてきた。
「ど、どうした明梨?」
「美味しいかどうか感想を言ってくれてもいいと思うんだけど」
どうやら美味しいと言って欲しいようである。
「ああ。美味しいよ」
素直に褒めると明梨は少し嬉しそうな表情を見せた。
「そうでしょ」
俺はスプーンでもう一口カレーライスを食べようとした。すると明梨は俺が持っていたスプーンを取り、カレーライスを掬うと俺の口元に近づけてきた。
「お兄ちゃん。口を開けて。あーん……」
「あ、あぁ……」
明梨の言う通り口を開けると、スプーンを口の中に突っ込んできた。
一口食べさせると明梨は満足そうな表情でソファーに戻っていった。
ご飯を食べ終えた俺は皿を洗い、お風呂場へと向かった。
脱衣所にて俺は制服を脱ぎ、バスカゴに入れた。下着は洗濯機の中に入れた。洗濯機の中には明梨の下着などが入っているが、俺は別にシスコンではないので全く気にしない。
もう一度言っておくが、俺はシスコンではない。
全裸になった俺はお風呂場へと入った。
シャンプーとボディソープで身体全体を清めた後、浴槽に浸かった。
「はぁ〜極楽極楽、極楽浄土」
全身リラックスした俺は我ながら訳の分からない単語を呟いた。
お風呂は安らぎを得ることが出来る最高の場所である。
忙しい現代において、完全に一人になることが出来る場所はあまりないと言っても過言でない。
お風呂場にはたくさんの湯気が立ち込めており、気を抜くとノボせてしまいそうだ。
「お兄ちゃん」
ほら、ノボせたせいか明梨の幻聴まで聞こえてきた。
というか幻覚まで見えてきた。
若干肌が黒く焼け、中学三年生にも関わらず、美咲さんを超えるほどの二つの物体を持つ明梨の幻覚は腕を後ろに回し、少し恥ずかしそうに俺に生まれたままの姿を見せていた。
いや、ちょっと待て……
幻覚?
「お兄ちゃん……そんなにジロジロ見られたら恥ずかしいよ……」
俺、それ幻覚やない。モノホンや。
「明梨、なんでお風呂に?」
「お兄ちゃんと入りたかったから! 隣、失礼するね」
明梨は強引に浴槽に入ってきた。浴槽の広さはあまり広くないため、大量のお湯が溢れ出てしまった。
「はぁ〜、極楽極楽。極楽と◯ぼ」
それ芸人だよな。
ちらっと俺は視線を下に移した。暴力的な二つの物体はお湯に浮かんでいた。
そんな俺の視線に気づいたのか、明梨は自身の胸を指差した。
「おっぱい触りたい? 今のはちょっと視線がいやらしかったよお兄ちゃん」
世界広しと言えど、実の兄に対して、こんなセリフを吐く妹はそうそういないだろう。
「い、いや。いいよ……」
断った俺であったが、明梨は俺の手首を掴み、強引に胸に誘導させた。自分の指がムニュっと豊満な膨らみに沈んでいく。
「おぉ……」
「どう?」
「お、おぉ……わ、悪くない……」
気がつくと、勝手に指を動かしていた。なかなか素晴らしい触り心地である。
「でしょ? それにしてもすごい肩凝ったな〜」
明梨はぐるんぐるんと右肩を回し始めた。
「なぁ……もしかして、また大きくなったのか?」
「うん、そうだよ」
「ち、ちなみに今どれくらい?」
俺が胸の大きさを尋ねると、明梨は水面から上半身を出し、俺に見せつけるように手で自身の胸を持ち上げた。
「さぁ〜? いくつだったかな〜。思い出せないや。けど、お兄ちゃんが私の言うことを聞いてくれたら思い出すかもしれない」
こいつ、なかなか頭が切れるようになったようである。
「ちなみに何をすればいい?」
「今日、私を描いてくれる? もちろんヌードで!」
明梨は俺にヌードデッサンして欲しいと頼んできた。
「ああ、いいぞ」
「それじゃ、交渉成立だね。90㎝のGだよ!」
「おぉ……すげぇな」
想定外の大きさでそんな感想しか出てこなかった。