※この作品はR-18です。

国防☆仮面のエロ配信を、四国随一に成り上がらせる話   作:毒蛇

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第四話 『炎上配信』

「ねえ、亮くん」

 

「……亮くんだからセクハラは良いとしても、挿れるのは止めてくれない?」

 

 今でも思い出せる少女との会話。

 肉体は年頃の少年、相手も年頃のうら若き乙女だ。触れれば柔らかく、すれ違えば良い香りが鼻腔をくすぐる。花は愛で、触れたいと、自らの物にしたいという欲望が湧く。

 

 それは何も花であれば良いという訳ではない。

 選り好み出来る立場ではないが、それでも有象無象よりも自らを見てくれる花を愛で、その蜜を啜り、枯れ落ちる瞬間まで寄り添いたいと思う。――後悔だけはしたくはないのだから。

 

「きっと、古い考えだって亮くんは笑うかもしれないけど」

 

 そんな思考の男が傍にいるならば、いずれどうなるか分かるだろう。

 聡明な彼女は、普段からのスキンシップを受け入れつつも、ある一線だけは引いていた。

 

「私の……、初めては将来の旦那様に捧げたいって思うのよ」

 

 奥ゆかしくも確固たる自我は、周囲に流されることは無い。

 そういう空気になった時に、なんとなくで彼女とそういう展開になった時の事だ。

 

「亮くんは、私の旦那様になってくれる? ……一生、私と添い遂げてくれる?」

 

 薄暗い部屋で、二人になった時に囁かれた甘言。

 愛を囁くように告げられた東郷の言葉に、その時、何と答えたのだったか――

 

 

 

 +

 

 

 

 神世紀のゲームというのは、亮之佑が知っているゲームと大差は無い。

 具体的に言えば前世の『男』であった頃、社会人となって辞めたゲームと似たような物しか販売していない。バーテックスの侵攻が始まって300年前。それから全く進化していないのだ。

 

 人間は常に進化を果たしてきた。 

 病という大敵、戦闘という悪。それらと向き合い抗う度に、一歩一歩鼻で嗤われるような世迷言を現実にしてきた。空を飛び、宇宙へ駆けた。その科学力は、一体どこに注がれているのか。

 

『それは当然、勇者システムの強化だよ』

 

 ある茶会で黒髪の少女がポツリと告げた。

 愛用のコーヒーの入ったマグカップを持ち、小首を傾げる姿はまるで人形。

 黙っていれば精巧な人形と間違える程の美少女は、血紅色の瞳を歪めて告げる。

 

『300年、人類は全く進歩を遂げていない。――遂げる事を許されなかった』

 

 四国を一歩出れば敵しかいない。

 控え目に言って、人類の生存権はこの四国内にしか存在できない状況。

 優秀な人間も技術も最初の襲撃で途絶えた。食われた。壊された。

 

 神という最強の盾が敵を退けると同時に、人類の壁ともなる。

 表面上は停滞を、その最奥で人類の叡智は、遠き勝利の為に注がれ続けているのだ。

 

 

 

 +

 

 

 

 それはともかく。

 途絶えたゲームのリメイク版は、全て四国製に再作成されたのだという。

 著作権など知ったことではない。何だかんだで大赦の力は凄まじく、人気の作品は大抵一枚噛んでいるとかいないとか。だがしかし今回重要な事はそこではないのだ。

 

「はい、結論から申し上げますと、配信気づけば49回目、今日はモイクラしまーす」

 

『草』『お前が仕切るんかい!』『おっぱいどこー? ここ?』『←胸板だぞ』『相変わらず良い声』『声マネして~』『FPSから切り替えたか……』『あれは酷かったw』『3回目か』『国防仮面は?』『乗っ取り?』『( ゚Д゚)ぼた餅は?』

 

「えー、ごほん。『……国防仮面は今着替え中なんよ~。コスチュームチェンジ中なのだぜ』」

 

『おっと?』『竿役さんの声が……』『変声だけで食っていけそう』

 

「『期間限定、一日だけの国防仮面だから、みんな目を見開くように~』」

 

『ずっとその声でいて』『素敵』『エッチな声とかやってみて』『お前ら気を付けろ。奴は男だ……男なのか?』『←何も問題ないが?』『仮面いなくても面白い件について』『もう竿だけでいいのでは?』

 

 声を変える程度はお手の物だ。

 その程度で驚くリスナー達にドヤ顔を見せたいが、マスクが邪魔だ。

 配信時間直前に着替えを渡したのは悪かったが、意外と時間が掛かるらしい。これで着てこなかったらリスナーの前で公開生着替えをさせるつもりである。なお冗談ではない。

 

「『ぁ……、あぁ、んっ、駄目だよ、か……んんっ、くっきー。そういうのはお家でシよ?』」

 

「『や、やぁ、今メモ中だから……、えっ? お前がメモになるんだよって、ふわぁ……ッ』」

 

「『べ、別にアンタの為に作った訳じゃないんだから!!』」

 

「『えへへ、ご主人様! ぎゅー』」

 

『Foooo!!』『やはり天才か』『ちょっと言っている意味分かんないけどエロいのは確かだ』『元ネタは?』『(。-`ω-)かっきー許さん』『←くっきーな、犬かな?』『妄想が広がリング』『ASMRとかやったら買う』『仮面遅いな』『トイレかな?』『俺がトイレだ』『←〇ね』

 

「モイクラについての説明、いる人は? いない、おっけ」

 

 ブロックを用いて家や道路、川、城、要塞などを作成するゲームだ。

 サバイバルモードで最初から生成されているマップを探索するも良し。クリエイティブモードで様々なブロックを用いて建築を行うのも良しだ。

 亮之佑は、東郷の美的センスに関しては素晴らしい物があると思う。だからこその選択だ。

 

「取り敢えず今日は……おっ、きた」

 

「お待たせ……」

 

 着替えに手こずるような物では無かったはずだ。

 彼女に似合うように仕立てたのだが、どうしてこんなに遅れたのだろうか。

 そう考える亮之佑から目を背けるようにして部屋に入ってきた少女は、白かった。

 

 全体的に白色で統一されている。

 唯一の色彩は黒色と深緑色の瞳だけだろうか。

 白い着物の丈は短く、すらりとした白皙の腿が際どいラインまでを見せている。

 

 キチンと頭部に白い三角の布を巻いている少女は、やはり着物が似合う。

 白い布地に垂れる長い漆黒の髪は対照的で、首元は鎖骨まで惜しげもなく晒されている。

 

 着物越しに主張する豊かな双丘はこちらに歩み寄る度にふるふると震えている。

 まるで触って欲しいと懇願するような少女の乳房の下、腰付近には小さな白い帯が。

 脱がしやすそうな、ともすれば簡単に着脱が容易そうな衣服は、東郷に似合っていた。

 

「~~~~っ」

 

 亮之佑の視線から自らを守るように、股を押さえるように腰元の丈付近を小さく掴む。

 ぎゅっと掴まれた生地は僅かに皺を寄せ、自然とリスナーと竿役は少女の脚を注力する。

 視線に力を籠めれば、その生地の奥を見ることが出来るのではないのかと。

 

 帽子ではなく白いマスクのみを着用した少女は羞恥に悶える。

 ほんのりと鎖骨付近を朱色に染める姿は扇情的で、天然の娼婦の如く性的だ。

 視姦されているのを理解しているのだろう。国防仮面の時の男っぽさが鳴りを潜めている。

 

「それは何ですか……?」

 

「……お化け」

 

 出来の悪い英語の和訳のような会話だ。

 しかし意味は通じるし、キチンと着て貰えた事に満足である。

 普段は黒タイツで隠される少女の白い太腿は染みも何もなく、程良い脂が乗っている。

 

 そうして東郷は定位置に座る。

 胡坐で座る亮之佑の脚の間、配信初期から定まっている定位置だ。

 隠そうとする仕草こそが淫魔な雰囲気を漂わせる事を、カメラの前で座る少女は知らない。

 

『みえ』『貞子さんだ』『9枚の皿を武器にしそう』『みえ』『みえ』

 

 少女が座った瞬間、東郷が何故目を合わせないのかを亮之佑は悟った。

 いつもの制服姿ではなく、そういえばハロウィンだったなと思い急遽作った衣装、入浴中の彼女の衣服を隠し、この衣装のみで配信に出るようにというメモだけを残して配信を始めた。

 

 彼女が選ぶ選択肢は二つだった。

 亮之佑が隠した衣服及び下着を見つけ出し、速やかな報復を行うか。

 全てを諦め、自作らしい着物を着用し、せめてお化けらしく振る舞うか。

 

「ん……っ! ん゛ん゛っ……、こんばんは、憂国の戦士、国防仮面。見参!!」

 

 彼女の選択の結果は、普段よりも僅かに柔らかく感じる尻肉の感触から伝わる。

 どこか恥ずかし気に、しかし普段通りに振る舞おうとする少女に何かを感じたのか、或いは亮之佑の、竿役として、同士としての目線に何かを感じたのか、コメントは少女を褒め称える。

 

『可愛い』『かわいい』『似合うよ』『少しエッチだけど似合うよ』『流石国防仮面』『国防の戦士だね』『ナイス国防』『凄く似合うよ!』『エロかわかわ』『可愛いよ国防仮面』『万歳して』『かわいいよわっしー』『(^ω^)ペロペロ』

 

「こう……? 祖国にばんざーい!!」

 

 ゆったりとした着物の袖から覗く白い東郷の腕。

 本当に死んでいるのではないかと思わせるが、少女の背中から伝わる鼓動がその考えを否定する。コメントに踊らされ普段の国防少女として万歳をするが、和服故に腋も見えているのか。

 ふわりとシャンプーが漂う少女の髪の毛の顔を埋めつつ、適度に指示を出す。

 

「えっと、じゃあ皆さん。今日はモイクラ配信を始めますね」

 

 少女のコスプレは好評だった。

 僅かにだが、東郷の露出への拒絶度も減少してきているように感じる。

 定位置につき、背中を胸板に当てる少女は、ようやく落ち着いたように告げた。

 

「さて、始めましょうか」

 

 彼女は、東郷は、何か一つに拘ると物凄かった。

 ネット上に上がっている建築に関するノウハウを吸収し、一軒の家を作った。

 ちなみに彼女とプレイしてるのはサバイバルモードだが、今後は一人でもクリエイティブモードでガンガン戦艦や城を作成するつもりらしい。せっかくなので四国の街でも作ろうと思う。

 

「……東郷さんって一回嵌ると凄そうだもんね」

 

 エッチとか。

 

「もう……そんな風に言ってもぼた餅は無いわよ」

 

 マイクが声を拾わない程度の声量で会話をしながら、二人で肌を触れ合わせながらゲームをプレイしていく。サバイバルという事で、当然お腹は減り、体力も減る。死んでしまえば装備も道具も全てを無くしてしまう。

 だが、生成された世界の広大な光景は素晴らしいというのは四国民の総意だ。

 

 どこまで歩いても果ての無い世界だ。

 雨も、雪も、台風も来る世界で、彼女が建設した和洋折衷の建物は素晴らしい。

 

「寒いわね。……そうだ、暖炉を作らない?」

 

 そんな感じで試行錯誤して出来た家はそれなりである。

 途中敵が矢を放ったり、爆発して東郷が涙目になる事もあったが、ここまで何だかんだで生き残っているのは彼女が勇者だからか。心なしか彼女の操るプレイヤーは活き活きとしている。

 

「楽しいわね」

 

「そうだな。ゲームなんてやるの十数年ぶりかな」

 

「亮くん、生まれてないじゃない」

 

「――そうだな」

 

 十数年前ならば、確かに『加賀亮之佑』は生まれていない。

 その事を指摘されたようで苦笑する亮之佑は自らの膝を叩いて身体を揺らす。

 そうする竿役の動きに僅かに頬を膨れ上がらせるマスク姿のお化けにリスナー達が一言。

 

『イチャイチャ』『( ゚Д゚)ぺっ』『壁持ってこい』『( ..)φメモメモ』『ぼた餅が揺れてらっしゃる』『素顔見たいなー』『嘘だろ? これ、中身がやべー奴なんだぜ』『燃えろ』『爆発しろ』

 

「いちゃ!? そんな事してないわ!」

 

「そうだぞ」

 

 両手を振り身体を揺らす少女に股間が刺激される。

 テーブルの下で動きを止めるようにと少女の腿肉に触れると、ビクリと硬直した。

 何事かと問うコメントを誤魔化す東郷の剥き出しの腿を手のひらで撫でて愛でる。

 

「ん……ぁ……、匠! 殺さなきゃ」

 

 弓矢を構え、矢を放つがどうしても当たらない。

 僅かに手が震えているのか、微細なコントロールが制御出来ず、華麗に避けられる。

 

 必死の攻防を繰り広げる少女と爆発魔――匠。

 敵mobの匠はプレイヤーが家らしき物を完成させた瞬間、或いは作成中にピンポイントで破壊工作を行う。彼女が必死に作成した家が破壊され、家畜が死滅したのは前回の配信だったか。

 

「くっ……、……! ァ……っ」

 

 懸命に戦う少女の後頭部しか亮之佑は現在見ることかできない。

 このゲームは基本的に一人でも四人でもプレイ出来る。だが現在亮之佑の操作するプレイヤーは無言で少女と緑の敵の戦いを見ているばかりだ。もっと言うと、コントローラはテーブルの上である。

 

「……! ……ふくっ、ぁ、ぁ」

 

 尚、リスナー達は既に悟っている。

 悟りつつも、竿役が自らの女神を汚し啼かす瞬間を愉しみにしているのだ。

 

 少女の両手は黒いコントローラから離れることは出来ない。

 離れれば即座に爆殺、そして背後の家も爆発されるだろう。全プレイヤーが最も警戒する敵、ラスボスよりも警戒度は高い緑のmobは、油断するとすぐ背後に回ろうとしてくる。

 

 そうして抗う少女の肌を堪能するのは亮之佑の両手だ。

 散々触ってなお飽きる事はなく、寧ろその触り心地に溺れるばかりだ。

 

 閉じていた両脚を無理やり開かせ自らの脚で固定しながら、丁寧に彼女を解していく。直接恥部を触る事はしない。その周囲、焦らすように、誰も見ていないテーブルの下でがばりと白い着物の丈を捲り、汗ばむ身体を弄び、少女の反応と表情をリスナーと愉しむのだ。

 

 ――ちゃりん。

 

 ――ちゃりん。

 

 動画の隅で女神に贈られるお布施。

 お布施をするリスナー達は、しかし無茶な要求を行う訳ではない。無言だ。

 この世界は道徳的教育の所為か、基本的に男達は皆草食系の紳士で、無茶な要求はない。

 

 だが、だからこそ、亮之佑は彼らの意志を汲み取るのだ。

 そうしてセクハラ行為に励む彼を、リスナー達は悪魔とも神とも呼ぶ。

 

「ふわふわですね~。抜いていい?」

 

「っ」

 

 大胆に、羞恥を煽るように少女を辱める。

 直接恥部を触らずとも、少しずつ少年に虐められた身体は熱を帯びる。

 無意識に左右に身じろぎする少女の帯が緩み、背後の首筋の白さが雄の目に付く。

 

 ――汗が珠となる首筋を舐めた。

 

「はンっ! ぅ、ぁ~~~っ」

 

 ふるりと身を震わせ達する少女。

 艶のある唇を開閉し、恍惚の呼吸を漏らす東郷。

 

 その手に持つコントローラを通じて放たれた矢が辛うじて匠を撃退するが、ぎゅっと目を閉じる東郷も、その反応を見つめるリスナーも、誰も見てはいなかった。

 それも、少女の指先が狂ったのか、視界が家の方を向くまでだったが。

 

『燃えてね?』『炎上』『草燃える』『【悲報】愛の巣、燃える』『ヒャッハー』『配信映えしますね~』『( ゚Д゚)ー水』『これは駄目ですね』『火元は多分暖炉だろうな』『炎上なう』

 

「ぁー……は!? えっ、いやあああぁあっっ!!」

 

 木造建築だったのが裏目に出たのだろう。よく燃える。

 消しても消しても火の勢いは止まらず、彼女が初めて作った家は炎上した。

 動画映えする展開ではあるが、涙ぐむ東郷は呆然と、自作した家が燃える様を見ていた。

 

「じゃあみんな、そんな訳でまた次回」

 

「……亮くん」

 

「良く燃えるね。ふこ――」

 

「わぁあああああ……ッ!!」

 

 掴み掛かる東郷は自分がどんな格好をしているのか理解出来ないらしい。

 着物一枚だけの彼女、しかし自らのあられもない姿が映ろうが背後の人間を吊るす気である事は、鬼気迫る姿から予想できた。逃れる術はない。既にガッチリと身体を掴まれている。

 

『あっ』『この後絶対修羅場不可避』『楽しかったぜ、竿役』『お前は良い奴だった』『強く生きろ』『富国強兵』『ぼた餅荒ぶる』『これは延長希望』『自業自得』『富国強兵』『みえ』

 

 

 

 ――それからしばらく、配信は無かった。

 

 

 

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