記憶を失ってから取り戻す迄の僅かな時でさえ、ニューゲートは私を手放そうとはしなかったし、誕生日だって盛大に皆で祝ってくれた。でも……今は何だか忙しそうにしていて、だからこそ傍に居づらい。
船長とは〝何もしない者〟を示すなんて言われるくらいなのが本来あるべき姿なのに、ニューゲートは案外忙しい。息子にばかり任せてたら悪いだろうと笑うけど、本当は何かしてるのが好きなだけなのだと知っている。
だから私は時々自分から傍を離れるけど、少しするとオヤジが呼んでると言われてニューゲートの元へと戻されてしまう。それが嫌な訳は無いし、寧ろ邪魔にならないならずっと傍に居たいと思うんだけど……。
そんな事を思いながら新聞を読む時だけかける老眼鏡姿が好きだと言ったら、意味が解らねェと言われてしまった。でもね、なんか眼鏡かけてるニューゲートって可愛いのよ。
そんな時ここ暫く停泊してた海岸に、見慣れない船が近付いてくるのが見えて皆が僅かに緊張する。そもそもその船が、旗を掲げていないところが判断に困るのよね。
そう思っていたら、なんか見覚えのあるシルエットがその船に見えて……思わずニューゲートを仰ぎ見てしまう。それは私だけではなかったらしく、ニューゲートに皆の視線が集中する中で変な顔をしているのが見えた。
「ニューゲート?」
「俺に血の繋がった親族なんざいねェ筈だがな」
「でも、似てるわ」
「だから、困惑してんだろ」
そう言いながらニューゲートは私を抱き上げて、そっと宥めるように頭を撫でてくれた。それに笑うと、ニューゲートは嫌な予感がするから部屋に行ってろと言うけど、私はニューゲートが心配で頷けない。
そんな私に分かってるからと言って頷いてから、そっと首に付けている鈴に触れると、似合うななんて満足そうに言う。だから私は、本気で猫扱いしてんじゃないでしょうねと思わずジト目で見てしまった。
それが伝わったのか、ニューゲートは可笑しそうに笑うので、少し膨れながら部屋に向かう事にした。……今は、ニューゲートに余裕が無さそうだから。
書きかけの原稿もあるし、ニューゲートが言うなら仕方ないかな。でも私としては本当に、部屋に居るのが嫌なんじゃなくて、ニューゲートと似た雰囲気の女性が気になるのよ。
私はニューゲートがこれ迄、どんな生き方して来たのかなんて知らない。長く生きて来た彼の全てを知ろうなんて、そんな無謀な事は考えてないもの。
それでも……平穏な幼少期では無かった事を知ってる。私が幼少期に何をしてきたのかを知って、ニューゲートが少しだけ話してくれた事があったから。
ねぇニューゲート、私はそんなに頼りない?
苦しそうな瞳で見知らぬ女性を見ているニューゲートは、その巨大な身体からは想像できないくらいに、とてつもなく脆く見えた。だからこそ、傍にいたかったんだけどなぁなんて、言葉にもできない癖に思う。
部屋で海図や地図を描いて、それに集中する事でニューゲートでいっぱいになりそうな自分の意識を、自我を保つ。その勢いで執筆に入っていたら、突如頭に痛みが走り犯人に視線を向ける。
すると食事を持ってきてくれたらしいエースがいて、ほらと言ってお盆を渡された。妙に呆れたような顔をされているのが、納得出来ないけれど。
「ニューゲートは?」
「ん?あァ、今従姉妹だって名乗る女に対応してる。親父がそんなもんいる筈がねェって言いながら、でも突き放せなくて困ってるよ」
「ニューゲート……」
心配過ぎて、思わず胸元に入れてある笛を強く握る。ニューゲートは、優しいから、穏便に済ませようとして苦しんでたりするんじゃ無いかな。
「……それ食ったら少し寝とけよ。親父の事、支えられるのはナミだけだろ」
エースの言葉に驚いて視線を向けると、エースは困ったような顔で笑った。そして、細く息を吐き出すと微かにその瞳を揺らす。
「親父が相手じゃ、仕方ねェだろ。でも、親父に何かあったら、その後は俺がナミを貰い受ける」
「エース?」
「……親父は俺達を愛してくれて、守ってくれる。親父の事は守るまでも無いくらい強い。それは、変わらねェよ。でもさ……そんな親父がその心を休ませられる、甘えられる相手って今までいなかった気がするんだ」
「それは……」
言われてみれば確かに。そうなると、いつも私が甘やかされてるんだから、ニューゲートはいつどうやって休んでるんだろう?
心の疲弊はどうやって回復してるんだろう。私……今回だって遠ざけられてて、守られてて何も出来てないわ。
「そんな時さ、親父がナミに甘えてるの見て、仕方ねェなって思ったんだ」
「なに、言ってんの?明らかに、私が甘えてると思うんだけど?」
「自覚してねェのかよ?ナミは親父を甘やかしてる。それも、盛大にな」
そうかな。いつも、体のサイズ的な事もあって、満足させられてない気がするし、それに……ドロドロに甘やかされてると思うのよ。
そんな事は言えないけど、顔が赤くなった事でどうやら伝わってしまったらしくて、エースが呆れたような溜息を落とした後で不思議そうに私を見る。それに私が首を傾げると、エースは徐ろに口を開いた。
「ナミ……どうやって親父を受け入れてんだ?」
「五月蝿いわー!!」
羞恥から怒鳴って、部屋からエースを蹴り出してから、持ってきてもらった食事を済ませる。それからシャワーを浴びた私は、気持ちが落ち着くのと同時に食事とシャワー逆にするべきだったねと少し思う。
その上で素直にすぐ寝たら、胃腸を虐めてるにも程があるわと思いつつベッドに腰を降ろす。その時ドアの前が騒がしくなって何かなと視線を向けると、そのタイミングでニューゲートが疲れた様子で部屋に入って来た。
「……ニューゲート?」
「ナミ、風呂入ったのか」
「うん。だから今、頑張って髪絞ってたのよ」
「やってやるから、大人しくしてろ」
私の言葉に優しく笑ったニューゲートがベッドに腰を降ろしたので、私はそのニューゲートによじ登る勢いで上り、膝に座る。それを確認して、落ちないように支えてくれながら丁寧に髪を拭いてくれるのはいつもと同じなんだけど……。
いつもなら何か喋るのに、今日は何も言葉を口にしないからどうしたのかなと思う。そして、疲れてるんだなと分かり、よしっと1人頷く。
それにより頭が動いたのをニューゲートは不思議そうにするので、自分の体の向きをくるりと変えて、上半身だけ脱ぎ去るとニューゲートがその表情を変えた。そっと……多分いつも満足してないだろう場所の布地の膨らみに手を伸ばせば、動揺を見せるニューゲートに私はクスリと笑う。
「じっとしてて……疲れてるんでしょ?」
「疲れてるからこそ、加減できる気がしねェぞ」
「うん、だから……私がするの」
「…………おい?」
体格差があるなら、中に入れるよりも、もしかしたらこっちの方がニューゲートは楽しめるかも。……なんて気付いたのだ。
初めての事だし、緊張も羞恥もある。けど……私が本当にニューゲートを癒せるのだとしたら、それは嬉しいなって思ってしまったから。
震える指先で布から取り出せば、何もしてないのに既に雄々しく勃ち上がっているものに喉が自然と鳴る。それでも臆してる場合じゃないわ。
女は度胸!と、明らかに間違った事を思いながら雫を滲ませた先端に唇を寄せる。胸で熱くなっているそれを挟み、そっとその先端に舌を這わせればビクリと揺れるそれに確信を抱く。
胸で挟むのもあるから、こっちの方が多分経験を積めばだけど……ニューゲートをよくできる。舌先で苦味のある液体を舐め取りながら、徐々に太さを増してくるニューゲートのそれを下るようにして、胸で揉み込むように擦ると微かにくぐもった声がニューゲートから聞こえた。
それにより少し楽しくなってきて、口を大きく開けて先端を咥え込む。どうしたって収まりきらない質量を夢中で呑み込み、そのまま頭ごと動かせばちゅぶちゅぶと粘着質な音が唇の間から漏れる。
口腔内で響く音は、耳から伝わって来るそれと相俟って卑猥な色に染まっている。その間も胸で挟み込むそれはそのまま、私の頭の動きに当然合わせて動くので、ニューゲートが低く呻いた。
「ナミ、もういい……!」
ここで辞めたら、何の価値があると言うのか!と内心で怒鳴りつつニューゲートの言葉を無視して続ければ、口内で膨張したそれが熱いものを迸らせる。喉の奥にそれが突き刺さるように広がれば、流石に咳き込んで唇を離したけど、ニューゲートはそんな私に何処か困ったような顔を向けて来た。
「誰に習った?」
「誰にも。でも、中に入れるにはどうしても狭くて、ニューゲートに痛みがあるのかなって思ってたから、試してみたかったの」
「……ナミも、良くしてやるから口を濯いで来い」
「気にしなくて良いのに」
そう言いながらも口の中の苦味は辛いものがあるので、1度傍を離れて口を洗浄して戻る。するとニューゲートが当然のように私を抱き上げて、秘部の状態を確かめるように触れて来た。
それに体がビクッと揺れると、今度はニューゲートが愉しそうに笑った。この顔はヤバいぞと思っても、私に何ができる訳でもないんだけど。
どうやら突然主導権を奪われてイかされた事が、ニューゲートの中で宜しくなかったらしい。その為に、私の身体の為と言う名目でいつもの数倍の時間をかけて、前座と言う責苦を味合わせて来るのだ。
ひっきりなしに耳に届くのは、鼻にかかったような自分の甘い声と、羞恥心を煽る様な水音だけ。言葉を音にするのも、色々な意味で難しい中で必死に唇を戦慄かせる。
「ニューゲート、も……いかせ、て……」
必死の思いで紡いだ私の言葉にニューゲートは笑うと、そっと私のそこから指を引き抜いて己の熱く滾るものを宛てがう。それに私がホッとして笑うと、優しく旋毛にキスを落としながら入口を先端でなぶるように動かされる。
「はっ……んっ!や、ニューゲート……いじわる、しないで……」
「凶悪に可愛い奴だな。悪いが今回はナミが俺に火をつけたんでな、このまま奥まで突っ込んで抜かずに5発は放つから覚悟しとけ」
「なっ……!」
驚愕に、じりっと後退ろうとするけど、左手だけで軽々と腰を押さえられて、身動きひとつままならなくなる。そんな私をニューゲートは視姦してくるから、全身が真っ赤に染まっているのが自分で見なくても理解できてしまう。
視線で焼き殺されそうだと思う。それくらい、私を見て来るニューゲートの眼差しは熱い。
先に1度出してる筈なのに、いつも以上に堅く怒張した欲望が肉を裂き再奥を目指して打ち込まれる。ずん、と息さえ止まる程に強く内蔵を突き上げられれば、その衝撃は脳髄迄貫く様な衝撃を与えて来た。
瞼の裏が真っ白に明滅して意識さえも飛びそうになる。だけどそれも1瞬の事。
何度も受け入れた事のあるそれに、体は形を既に覚えている。なのですぐに身を穿つ圧倒的な質感と共に、凄まじい官能が目覚めて行く。
「……っ……あぁァ!」
ギリッと窄まる内壁が、悦びを与えてくれる剛直を逃すまいと、嬉々として絡まっていく。私の意思などもう、肉体には関係が無いと言わんばかりに。
「くっ……!」
僅かに眉根を寄せたニューゲートの顎から零れた汗が、ぱたりと私の頬に落ちる。身勝手に蠢く内部の、余りにも淫らな反応に恥じ入る余裕さえ今の私には無い。
覆い被さっているニューゲートに縋るように手を伸ばせば、鋼を思わせる筋肉質な肌の下で、柔軟な筋肉が弛緩と緊張を繰り返しながら身体いっぱいに私の中を抉る様が伝わって来る。必死な表情を間近に見て、胸が妖しく騒ぐ。
相手を気持ち良くさせたいと……そして、自らも気持ち良くなりたいと願う心が齎す、奇跡のような技の結果とでも言わんばかりに凄まじい愉悦が、私とニューゲートを襲う。激しい律動に翻弄され、あられもなく喘ぎながら、私は湧き上がる甘さの中に溶けていく。
「やっ……へ、変に……なる!ゃあ……!」
「馬鹿、変にしてるんだ……よ!」
高みを目指す為の抽送が始まれば、知らずに腰が痙攣し深く咥え込んだものを不規則な収縮でもって咀嚼する。それにより重なった唇の間から、ニューゲートの低い呻きが漏れる。
「やってくれたな」
間近で眇られた双眸が、お仕置きモードに入った危険な気配を漂わせている。何をされるのかと思うだけで、更に私の鼓動は加速していく。
大好きな声が、傲慢に言葉を響かせる。なのにそれさえ、私には愛しく感じられてしまうのだ。
「締めすぎだ……。悪戯するなら、お仕置きが必要だな」
零れる唾液の流れを追って、熱い舌が降りてくる。顎から首筋へ、そこまで来るともう視野の先には胸が見えている筈で……。
まるで飢餓に襲われた野獣のように食らいついて来たニューゲートの髪に、夢中で指を絡めながら、私は理性を放棄して艷めくばかりの嬌声を放つ。行為中の否定は、全身全霊の激しい抵抗で無ければ、YESの意味だと言うのは分かってる。
それでも極力拒絶に繋がる言葉を言わないようにしているのは、体格差でニューゲートが遠慮してるのを知ってるから。それなのに強過ぎる快楽に私の唇からは、拒絶を意味する甘い悲鳴が溢れ出す。
初めて受け入れた時だって、必死に唇を噛んで、苦痛と快楽の入り交じった長い時間を耐えたのは、ニューゲートのくれる熱に溺れていたから。ニューゲートは、初めて私から求めた、自分以外の体温なのだ。
慣れてしまってる今でも、私はニューゲートの熱を求め続けている。年齢や体格差を言い訳に出来ないくらい、私もニューゲートも互いを求めているのを自覚して腕を伸ばし合う。
「もっと感じろ……!俺の為だけに、泣け!」
男の色香をたっぷりと放ちながら、枯れる気配のない欲望を私に向けて来る。傲然と言い放つ姿に、目が眩む。
それに僅かな恐怖が生まれれば、それを見抜く優しくも賢い男は優しく問い掛けてくる。
「怖いか……?」
「……う、ううん……っ!ニューゲートに、される事には、何も、怖い事なんて、ない!」
頭を振って、両腕で太い首に縋り付く。私の全てはもう、ニューゲートにより作り替えられてしまった。
独占欲と、責任感と、行動力を全て貫ける肉体は、私の知る話とは変わり既に病魔等遠い彼方にある。そんな男が、今は病魔を撃退した礼だと何もしてない私を、全力で守ってくれている。
だから……その男にされる事なら、なんでも受け入れてしまえるだろう。守ってくれるこの腕にされる事なら、きっとなんでも受け入れられるから。
獰猛な迄の突き上げに翻弄され、嬌声に紛れた言葉は、既にろくな意味もなさない。少しでもニューゲートが気持ち良くなればと腰を動かせば、余計な事は考えるなとばかりに胸が苦しくなる程の快楽を与えられる。
そうなればもう、羞恥さえもが全て身の内を支配する灼熱に呑み込まれていく。想いは、言葉にはならず、はくはくと無様に口を開閉させるしか出来ない。
それなのに、もっともっとと求めるのは、この人の疲れを癒したいからだけだと本当に言えるのかな。私とは違って体格も近い美女の出現に、不安になってしまっていたとは言えないだろうか。
自ら強請るように唇を押し付ければ、待っていたとばかりに忍び込んで来た舌に口内をねぶられる。繋がっている下肢と同じ音に、うっとりと酔いしれてしまう。
恍惚の中からニューゲートの瞳を見れば、そこにあったのは望んだものを完全に支配した達成感では無く、胸が苦しくなる程に真摯な色。……もしかして、余裕とか、無いのかな?
いつもただ、翻弄されてると思ってた。ただ、甘やかされてると思ってたけど……。
「チッ……ナミ相手だと、ガキにでも戻った気分にさせられるな」
ニューゲートを写す私の瞳を見て、舌打ちと共に言葉を落としたそれに、まさかと息を呑む。……もしかして、ニューゲート、照れてる……?
疲労回復の為に欲望をぶつけてるだけだと思ってたのに、抱き合ってみれば伝わって来たのはニューゲートからの必死な想いばかり。捨てないでと願うのは、私ばかりではなかったの……?
いつも堂々として、クルーの前では父親として尊大に立ちはだかっているのに。私の前では、こんなにも情けない顔を見せてくれる。
「……可愛い……」
ポツリと、無意識で呟いたそれにニューゲートの双眸がかっと燃えた。それは怒りではなくて……。
「コノヤロウ!」
照れ隠しに吐き捨てたその言葉の可愛さと威力たるや。欲望ではない色で赤く染まるそれに、つい微笑んでしまえば余裕だなと低く声が降って来た。
その刹那、ただでさえ限界迄広げられていた膝を抱えられれば、否応無しに腰がベッドから浮き上がる。私の体を二つ折りにでもしようとしてるんじゃないかって勢いで、1際深く穿ってくるのだ。
胸が潰れる程の圧迫感と、全身を波立たせる官能に忙しい喘ぎを撒き散らす事しか、今の私には許されていない。背に届かない手は近くにある腕に縋り付き、強く爪を立ててしまう。
余裕なんてある筈も無い。痛みと紙一重の快感をこれでもかと送り込まれて、私は汗に濡れた髪でベッドを叩く。
互いにその時を確認し、体に僅かな隙間があるのも許さぬと言うように絡み合う。言葉で、身体で求め合い、それでも本当の意味でひとつになる事は出来ない。
明確なものなんてある筈もない。快感や想いをゲージにしたりして数字で見られる訳じゃないから、同じ想いを味わってるかなんて分かりはしない。
けれど、だからこそ、人はこうして体を繋ぐのかも知れない。全てが1点に集約し、絶頂の時を迎える。
二人大きく身震いしたと思うと、内部に痛い程に熱いものが広がる。それなのに体は最奥に居座るニューゲートを強く締め付け、逃がさないと言う。
「うっ……!搾り取る、気か!?」
呻いたニューゲートが大きく背を反らし、残滓の1滴迄も注ぎ込もうとするように、小刻みに腰を前後させる。それが、嬉しい。
自分の中に愛しい人の精が打ち込まれるこの1瞬が、堪らなく嬉しくて、心地好い。見上げればボヤけた視界の先に、満足そうなニューゲートの笑みが見えた。
埋め込まれたままのものは、全て放出した筈なのに、何故か衰える気配も無い。火照りの残った内壁を、ぴっちりと満たしている。
「まだ……ここからが本番だぞ」
ニューゲートがそう言ったのに、愚かにも頷いた時部屋のドアが破壊され、私とニューゲートが同時にそれに視線を向けた。そして、見えたのはニューゲートから髭を取り、1回り小さくした上で、それをホルホルで女にしたような感じの美女。
自分の状態をそこで思い出して悲鳴を上げたけど、それより早くニューゲートが私を抱えてその体で私をしっかりと隠してくれていた。その上でいつものコートで私を包むと、髪の毛さえ見せないとするかのように庇ってくれる。
「……欠片も靡かないと思ったら、女がいると言われて。話を聞いてみたら小人みたいな子だって言うから助けに来たら、ただイチャついてるだけで……!」
「冷静になれ。自分と似た女に欲情すると思うか?」
「……するわよ。私、いい女だもの」
強気に言い切った従姉妹さんは、欠片も見えなくなっている私に何を思ったのか、暫し黙ってから溜息を吐き出した。そして現実を突き付けて、去って行く。
「声がしっかり外まで聞こえてたから、今更だと思うけど……程々にしなさいよ。それと、ドア壊れてるから続きは諦めた方がいいわ。それと……私、無意味な事したくないから帰るわね」
「ドア直していけよ」
「嫌よ。当てが外れて私も落ち込んでるんだから。じゃァね」
そうして私が取り戻してしまった理性により羞恥に襲われて半狂乱となりかけた所で、ニューゲートに優しく口付けられてそのまま寝とけと言われてしまう。続きはドアが直ってからだなと微笑まれて、拒絶する事は出来そうにない。
そんな訳で私は結局、あの従姉妹さんの正体等を私は今も知らないままだ。その後ドアが直ってから、どれ程愛されたのかは……ご想像にお任せしようと思う。