ある日突然従姉妹だと名乗る女が現れ、無駄に色仕掛けをされた俺が疲労困憊でいた所をナミに癒された。そのまま調子に乗って甘えていたら、これからだと言う時に邪魔をされてしまう。
破壊されたドアの為に出来なくなった続きは、その後行う事にするとして、腕の中で羞恥のあまりに半狂乱になっているナミを宥める。泣きそうな顔で、縋るように俺に手を伸ばすそれを抱きしめると甘えたように擦り寄られ……煽られた俺が離れられたのは奇跡に近い。
その日はゆっくり寝かせて、ドアが直った後は煽られた分とその時満足出来なかったそれを合わせて貪った。俺にそういった事をされるのは、体格差もあるから痛みや苦痛も多い筈なのにナミは全て受け入れて微笑うのだから俺に勝てる筈もない。
「ナミ……愛してる」
「んっ……ニュー……ゲート……私も、あぃし、てるっ!!」
いくら貪っても足りない気がして、初めの内は甘やかに行われていた筈の行為が、いつの間にか単なる獣のそれに変わる。本能に流されるのが怖いと怯えを見せたナミに、たまには理性を休ませてやれと言って喰らい尽くそうとする己がいた。
本当に無意識なのか疑わしい程に俺を煽るナミの言動に、翻弄されているのは寧ろ俺の方だ。俺のそれを受けて尚、不安そうに瞳を揺らして小首を傾げるナミは俺をどうしたいのか。
「ニューゲートは、満足できてる?私、ばっかり、その……悦くして、貰ってて……」
「ナミは、どうやら本気で壊されたいらしいな」
「待って!!なんでそうな……!?ああぁぁあ!!」
望みは叶えてやると言ってその後ナミの声が掠れてからも行為を続けて居たら、部屋の外が突然騒がしくなった。何事だと思いながら声だけかけると、もう辞めてやってくれと言うマルコのそれに五月蝿いと1蹴する。
腕の中でナミは確かに疲れた様子を見せるが、拒む様子はない。つまり、もう少しなら……。
その時ドアが破壊されて入って来たのは、サッチ、マルコ、ジョズ、ビスタの四人。それに続いて呆れを隠さないイゾウが入って来て、俺は3人の息子に押さえられナミを奪われる。
すると勝手にナミを抱き上げたマルコが、ホッとした様子で息を吐き出した。そして俺を押さえている息子達に言う。
「まだ、生きてる。治療に入るよぃ!!」
「おいマルコ!そのまま連れて行く気か?ほら、これを使え」
そう言ってイゾウは自分が羽織っていた着物を差し出すとナミを包み、マルコがナミを抱き上げてそのまま去っていく。そんなナミを見送り、俺は何故邪魔してきたのかとサッチ、ジョズ、ビスタの3人に問い掛ける。
「親父……3日籠ってた自覚あるか?」
「飯も食わせて無かったんだぜ?ナミちゃん……いや、お袋が親父にヤり殺されるって大騒ぎだったんだぞ」
「親父が溺れているのはわかっているが、程々にしてやってくれ。エースを抑える人員も必要で、隊長総出の騒ぎだったんだぞ」
ジョズ、サッチ、ビスタの順に言われてはそうかと頷くしかない。すまなかったなと謝れば、それはナミに言うようにと言われてしまう。
それから風呂に入り、汗を流してからナミの様子を見に行けばナミも目覚めたところだったらしい。頬を朱に染めて、潤んだ瞳で見上げてくるそれに俺は理性を試されてる気分にさせられちまう。
「ニューゲートの、ばか……」
「ナミ?」
「も、無理って、言ったのに……」
確かに言われたが、言葉の他抵抗は無かった。そう考えたら止まれる筈がねェだろうに。
「録な抵抗しなかったじゃねェか」
「ニューゲートに抵抗なんて、出来ないもの……。無理って言ったら、無理なんだって、わかってよ。ニューゲートの意地悪……」
「ナミが欲しかったんだ。許せ」
「ニューゲートの馬鹿。ニューゲートは大っきいから、苦しいのわかってるでしょ。私がニューゲートの事大好きなの知ってる癖に狡い。馬鹿!」
これでナミは本気で怒ってるつもりか。これはただ、煽ってるって言うんだぞと言いたくなる。
その後も馬鹿馬鹿と繰り返すナミは、ひたすらに可愛い。そして怒ってると言っても嫌いだとかは絶対に言わないナミが、俺に爆弾を投下してきた。
「苦しくて、もう、壊れちゃうかと……思って……怖かった……!!ニューゲートなんか、もう、知らない!」
「お袋……もう、その辺で辞めてやってくれ。親父も、気持ちは分かるが……今手を出したら流石に、俺も本気で挑むからなぃ?」
プイっと顔を背けたナミに手を伸ばしかけた俺を止めたのは、冷たい声で笑顔を向けるマルコ。分かるなら止めるなと思うが、言えば恐らく冗談ではなく本気で挑んでくるだろう。
本気にさせると厄介なのはわかっている上に、こういう時は何故か他の息子達もマルコの肩を持つのをわかっている為、仕方なく頷いた。それからマルコに今日は熱が高いから、このまま医務室で休ませると言われちまえば、体力面の考慮が足りなかったと気付く。
「……悪かった。詫びに何かしてやる。何かして欲しいことはあるか?」
俺の問い掛けにナミは少し考えるような仕草を仕手から、悪戯に笑った。それは、俺の心を試してるとしか思えない願いで、マルコも顔を顰めてしまっている。
つまり、その程度には危険だ。手配書が出ているから海賊として扱われてるなんて思われては困る。
今でもナミは連れ戻せないかと画策されてるってのに……。自覚しないんだよな。
「1人で、ゆっくり買物したいわ」
「1人でってのは……」
心配だ。それなりに強いのは知ってるが、それでも心配なんだよ。
なのにナミは小首を傾げると、きゅるんとした顔をして来る。これは恐らく計算なのはわかっていて、抗えねェ!
「駄目?ナースのお姉様達と行くと、際どい服とか下着買わされちゃうし……私、たまにはゆっくりしたいのよ」
「……分かった。確かに、あの下着は不味いからな」
扱いに困ったらしい下着が入れられた引出しを思い出して言えば、ホッとした顔をされる。だが、そうかやはりナミの趣味じゃなかったか。
下着を付けたままでも出来るようなデザインの物や、それは既にただの紐だと言いたくなるような物があったのだ。だが、それを俺が見た事は気にしないらしいナミが、そうなのよと頷けば買物を1人で行くなとは言えなくなっちまう。
そして、1人なんて言わないでと騒ぐナース達と、心配だと騒ぐ息子達を振り切り、翌日に1人で買い物へ向かうナミは妙に軽い足取りで進んで行く。その直前に節分というイベントについて語って言ったので、ナース達は鬼の面を作り始めており、息子達は鬼役を誰がやるかで大騒ぎだ。
俺が鬼をやると言ったのに、それは認められなかったのが寂しい。……そういや、エースが見当たらないな。
覇気で探せば、シルクハットと燕尾服姿でコソコソとナミの後ろをついて歩いてるのに気付き、あの目立つ生き物に気づかない程に楽しんでるナミに呆れる。これでは、海軍に連れ去られるリスクが大きすぎるだろう。
しかし鬼が決まったと盛り上がる息子達により自然と意識は甲板の息子達に移り、笑ってしまう。その後ナミが買ったであろう荷物が届けば、中身はなんだと勝手に開ける姿に苦笑がもれる。
それをやられても怒らないナミは凄いと感心しつつ、届いた食材の山にコック達が色めき立つ。これは今夜から忙しくなりそうだなと笑いつつ、ナミの帰りを待つ事となった。
帰って来たナミが近くに巨大な豆が自生する島があるらしいと聞いてきたと言うので、肉と巨大豆を求めてモビーは移動させられる。動かされ到着した島で、恐らく日中は鬱憤晴らしも兼ねて体力の余ってる息子達は遊んで来るだろう。
「肉も確保出来たな」
「暫く、食料には困らねェな」
「……獰猛な動物って聞いてたのに……なんか、可哀想だわ」
サッチの言葉に俺が笑えばナミは少し悲しそうに言葉を口にする。とは言え残酷だとか、殺すな等とは言わないのだから良いだろう。
1晩大豆は水に漬けておく必要があるからと笑っていたサッチとナミは、料理の事で盛り上がり、明日のそれには期待できそうだなと思う。それからナミがコソコソとサッチに何かを言っていて、それを聞いたサッチが楽しそうに笑って頷くのを眺める。
無防備過ぎる恋人を見つめて、思わずサッチから奪い返すように腕に抱き締めればナミは驚いたような顔をした後、優しく微笑んだ。それを見てささくれだった心が落ち着き、共に寝ようかとベッドに連れ込めば、安心した様子で眠る姿に吹き出したのはご愛嬌だろう。
翌日は予想通り、暴れる息子達と準備に追われる息子達、それを冷やかすナース達がいて、夕方から節分だと盛り上がるのを俺は酒瓶を片手に眺める。そんな俺にナミは呑み過ぎないでねと心配そうに言うが、そう言えばナミが何もしないのは珍しいな。
「ナミは準備に加わらなくて良いのか?」
「うん。なんかね、ニューゲートの傍に居るのが1番の仕事って言って、何でか分からないけど、皆して何もやらせてくれないのよ」
むくれるナミを抱き締めて、なら俺とのんびり過ごそうかと笑いかければナミは素直に頷いた。結果的に俺が宴の前に酒を飲めたのは、1本だけだったのだから息子達の狙いはこれだろうと気付かされる。
それでも恵方巻きの作り方は教えてきたからと笑っていたナミに、なら本当に期待できるなと思わされる。そして試食してと言って輪切りにされた恵方巻きを差し出されれば、ナミが作ってる姿も見ておきたかったなと思うが、それは次回の楽しみにしてもいいだろう。
夕方になり始まったイベントで、鬼へと豆をぶつけるそれを眺めて、浜辺で始まるバーベキューに賑やかで良いもんだと笑う。そうしていたら運ばれてきた大量の太巻きは、身体のサイズに合わせて配られてハルタの指揮の元、同じ方角を向いていっせいに無言で食べる事となった。
それはある意味でシュールな光景だ。だがこういうのも楽しいもんだなと、自然と笑顔になる。
それが食べ終わった後は切って適当に食べ始めるそれに、これで全員が健康でいられるのならば嬉しいばかりだなと思う。そんな中でふと視線を向ければナミが太巻きと戦うように食べ続けていて……俺のを必死で咥えている姿と重なるのは、俺の脳内が腐っているのだろうか?
少し苦しそうにしながらも必死に食べ進めるナミに、喉が鳴る。あれから2日経った訳だし、そろそろ良いだろう。
恵方巻きを食べきって偉いだろうとばかりに俺に笑顔を向けたナミを抱き上げて、俺は部屋に向かって歩き出す。鬼は外、福は内!そんな掛け声が少し遠く聞こえた。