※この作品はR-18です。

海軍パロシリーズ   作:夢枕 七変化

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四皇ビッグ・マム海賊団次男〝将星〟のシャーロット・カタクリ
マグマの島で


 助けを求める緊急のそれが鳴り響いたのは、後は訓練生を帰還させるだけと言う段階になった時だった。大半が偽情報であるそれを、けれども見捨てるなんて私には出来なくて、訓練生達にリスクを説明した上で、助けを求めている相手の居る地域を目指した。

 勿論危険と判断したら訓練生達の事は逃がすつもりだし、場合によっては私は殿をつとめる心積りをして居る。だから、万が一に備えておつるさんに宛てた物を記し、机の上に置いてきた。

 海域が変わり、ビッグマム海賊団の……四皇の縄張りに入る。だからと言って何か空気が変わる訳では無いけれど、海の中からこの船の動きは知られてしまっているのだと思えば、気を緩めるなんて出来はしない。

 救難信号を出されていた島は火山があり、そこからマグマが吹き出しているのが見えれば成程救難信号だわと思う。サカズキ大将を呼ぶ時間は無いからと、海岸に船をつけさせながら本部に事態を報告させれば、後は民間人の避難誘導だけが私に出来る唯一の事だ。

 

 「我々は海軍です!救難信号を受けて救護に参りました!皆様速やかに船に乗ってください!家財道具等は諦め、命を優先して下さい!」

 

 私の声に歓声が上がる。その後船に人を避難させて、これならもう大丈夫そうかなと思った時、うちの子が1人足りないと嘆く母親の姿が見えた。

 見れば5人の子供抱えて居て、3歳の息子が居ないのだと言う。この状態では、子供とはぐれた母親を責めるなんて出来る筈もない。

 

 「特徴は?」

 「金髪で、クマのシャツを着ています!左手に大きな火傷の跡も!」

 「探して来ます。お母さんは、他の子を守っていて下さい。お母さんが焦れば子供達は不安になりますから」

 「は、はい……」

 

 私は知らない子供を覇気で探せるタイプの見聞色じゃないから少し厄介だけど……行くしかない!そう思って飛び出せば、マグマの迫る所で瓦礫に埋まる少年を見付けた。

 子供を瓦礫から助け出した頃にはマグマが目前まで迫っているのが見えた。けど、この子を親元に帰さなければとの思いだけで私は剃を用いて移動する。

 でも、軍艦は危険を察知して既に海岸を離れていて、子供を抱えた私は背後のマグマと、目の前に広がる海に戸惑う。……1人なら泳ぐんだけど、と考えた時1隻の船が近付いて来るのが見えた。

 危ないと叫ぼうとした時に感じたのは、覇王色の覇気で……それによりマグマが動きを止めた。船から見える人物に、ならばこの子だけは助かると息を吐き出した時船の上から声が降って来る。

 

 「女海兵、乗れ!」

 

 私は少年を抱く腕に無意識に力が強く入っている事を自覚しながら小さく頷くと、剃で移動して乗船させて貰った。私が少年を抱えているのを見た海賊達は、乗るように指示した人物……カタクリを見て戸惑った様子をしている。

 

 「乗せて頂き、感謝致します」

 「感謝……?女海兵が海賊船に乗った意味は、分かっているか?」

 「もとより覚悟の上。ただ、この少年は貴方がたの縄張り内に住む民間人。手厚い保護を、要求します」

 

 真っ直ぐにカタクリを見上げればカタクリは微かに笑い、少年を保護するように言ってから私に視線で着いて来いと言う。命じる事に慣れた男だとそれだけでわかる。

 案内されたのはカタクリの私室なのか、広めの執務室のような空間に、ベッドや応接セットが配置されているのが確認出来る。それを見るともなしに眺めていたら、カタクリがソファに座り視線で呼ぶからそれに従う。

 

 「女海兵、名は?」

 「ナミ」

 「少佐辺りか?」

 「……大佐、です」

 「そうか……。子供1人見捨てればお前は捕まる事は無く、島民はほぼ揃って脱出出来ただろう。何故助けに戻った」

 

 責めるような様子のない、ただ事実確認をしていると伝わる声に、私は何故そんな事を聞かれているのか分からずに首を傾げる。海兵ならば民間人を助けるのは当然だと思っているから、普通の事をしただけだろうと思うのよね。

 ん?

 でも待って。何で私が子供1人の為に戻ったのを、知っているの?

 

 「海兵が民間人を見捨てるなんて、ありえない事よ」

 「その結果、海賊に囚われた訳か」

 

 疑問について今問い掛ける事は出来そうにないからと、素直に紡いだ言葉。それにカタクリは嘲るような色を乗せて言葉を返して来た。

 

 「少年が保護して貰えたから、問題無いわ」

 「……覚悟は出来ているんだったな。ならばその体、俺の好きにさせて貰おうか」

 

 言葉と共に伸ばされた手を、私はパシンと無意識で叩き落としていた。しまったと思った時にはソファに組み敷かれていて、カタクリはその瞳に獰猛な色を宿していると気付く。

 

 「……海賊に捕まった、気の強い女海兵の末路を堪能させてやる」

 

 体が、勝手に震える。脳裏に心配そうな顔をするおつるさんが浮かび、太陽のように笑うシャンクスが浮かぶ。

 動けないように餅で固定された状態で、私は着ている物をゆっくりと脱がされて行くのを眺めるしか出来ない。情けなくも小刻みに震える体に、震えるなと命じてみるけど効果は薄い。

 それでも、後悔は無い。……大丈夫、飽きれば帰してもらえるわ。

 

 「……泣き叫ぶかと思ったが、慣れているのか」

 「答えるつもりは無いわ」

 「……後悔、するぞ」

 

 その言葉と共に隠されていた口元が顕になり、なんか顎が丸っこいのが妙に可愛く見えた。思わず可愛いと口にした私に、カタクリは動きを止めて真っ直ぐに私を見据えて来る。

 

 「……善良で穏やかで、暖かい。海兵のイメージそのままだな」

 「あら、ありがとう」

 「優しく綺麗な海兵のお姉さん、お前の事は前から知っていた」

 「え?」

 

 そうしてカタクリに、何度か遠目に見てその後鏡を通じて眺めていたと言われれば何か妙な事してたかなと考えるけど、答えは出ない。そんな私に鈍いなと言ったカタクリは、私の顎を掴むと静かに笑った。

 

 「ナミ、俺はお前を気に入っている。だから様子を見て、1人になった所で手を伸ばした。……二度と、手放すつもりは無い」

 「気に入ってるなら、手は出さないで貰え」

 

 たら嬉しいと続ける予定だったのに、唇が重なる。それに抵抗しようにも顔も四肢も動かない為、声を出すしか出来ない。

 

 「やっ!シャン……!」

 

 咄嗟に名を呼びそうになり、それにカタクリが動きを止めたので視線を向ければ、鬼も裸足で逃げ出しそうな顔になっていた。激情を感じ取れるその眼差しに、全身が粟立つ。

 逃げろと本能が騒ぐけど、身動きの取れない私はカタクリから与えられるそれに身を震わせるしか道は無かった。この時カタクリが私に経験が無いと気付き、辞めてくれるとは思っていなかったし、その後暇さえあれば、挨拶のように愛を囁かれるようになるとは欠片も思い至らなかったのは自然な事と言えると思う。

 描かれていなかったけど、サンジ君と近い性質なのかしらと私は本気で首を傾げていた。その言葉に想いが込められていると気付くのに、大分時間がかかった事は私も認めようと思う。




ここまでで、現状書けている海軍は完了です。この後は書けた人物の作品を間に差し込む形で掲載させて頂きます。
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