※この作品はR-18です。

海軍パロシリーズ   作:夢枕 七変化

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元海軍中佐、元ドンキホーテファミリー2代目コラソン、現ハートの海賊団副船長ドンキホーテ・ロシナンテ
初対面の再会


 その日、その人を見つけた時、私は1瞬呼吸を忘れた。それは、私の知っている姿では無かったのは間違いないけど、同時に間違いようがない事もよくわかっていたのだ。

 秘密だよ……と言って見せてくれた、行方不明になって久しい大切な〝息子〟の写真。それは海軍の制服だったし、正義をその背に背負っていた事を私も知っては居たのだ。

 その人が本来ならば死んでいる事も知っていたけど、夢の中では確かに彼は生きていた。だから……夢が現実ならば良いのにと……いつも、自分が死んだのか捕まったのかさえ分からないところで終わるその夢を思い出しては、溜息を落としては苦笑するのを繰り返していたのよ。

 伝えられなかった、その夢の話。それは、祖父として慕うその人を不用意に傷付けたくないという、保身だったと思う。

 そのバチが当たったのだろうか。そう思った時、相手もまた、私に気付いてじっと見詰めてくる。

 不思議な時間だと思う。どちらも初対面なのに、私だけが1方的に知っていて……でも、本当に生きてるなんて誰が思うと言うのか。

 なのに、相手は私を知らない筈なのに、突然泣きそうな顔で駆け寄ってくる。そして、教えてもいない名を当然のように呼ぶのだから、驚くなという方が無理のある話だろう。

 

 「ナミ!!」

 「ロシー?」

 

 夢の中ではそう呼んでいたし、第二の祖父と呼んで遜色の無い彼もそう呼んでいた。自慢の、心優しい息子なのだと……そう言って。

 その瞳に慈愛を宿して、海賊達に、普通の部下に向けるその厳しい視線ではない、暖かな眼差しで。だから、つい、音にしてしまった愛称。

 

 「ナミ!?俺を、覚えているのか!?」

 「夢で……見たの。何度も、幼い頃に……。でも、実際生きてるなんて思ってなくて……。それに、なんでロシーは私を……?」

 「ナミ……!ナミっ!!」

 

 力強く抱き締められ、混乱しているナミ大佐、この時16歳。ドンキホーテ・ロシナンテ、この時35歳。

 再会と呼ぶべきか、初対面と呼ぶべきか不明な出会いは、こうして行われた。この直後、近くのBARに入った二人は、そのまま少しばかり情報の擦り合わせを行う。

 ウイスキーの入ったグラスの中で、氷がカラン……と音を立てる。それに意識を取られそうになりながら、冷静に言葉を紡いで行く。

 

 「……成程ね。だとするなら、未来の私がロシーを助けた時間軸の時に、私はリアルタイムでそれを見てたんだわ。でも残念ね」

 「何がだ?」

 「今の私の未来では、ロシーの過去を助けに行けない。その私は、海賊でルフィの恋人だったんでしょ」

 「そう言っていたが……」

 「なら、本来のナミちゃんの可能性が高いわ。私じゃないのよ、それは」

 

 原作の二年後になってからならナミちゃんも髪は長いし、ヒロインと主人公なのだから、恋人になっていてもおかしくは無い。まさかあの原作者が過去を変える話を描くなんて、思ってもみなかったけど……。

 過去を変える力を、原作のナミちゃんは手に入れるのだろうか。例えば……トキトキの実とかで過去に行ける……とか?

 でも、私が図鑑で見たのは未来に飛べたり、飛ばせたりすると言う記述。……ダメね、私の頭じゃ答えに辿り着けそうにないわ。

 そんな事を思って軽く自嘲する。私は結局ベルメールさんの命を救った代わりに、ロシーを助けられなくなってしまったのだと知ったから。

 

 「それなら、それで構わない。生きているナミが目の前にいて、俺も生きてこの場にいる。俺が死んだ未来があるから、俺を助けるナミが居るんだ。何も気にする必要はねェ」

 

 そう言って瓶に直接口をつける様子に、私は目から鱗の気分だった。死んだ過去があるから、生きてる未来がある……なんて、考えもしなかったから。

 でも、だから私という異端児がいてもこの世界に大きな影響が無いのかと思えば、納得できる気がした。全てのそれがあって、だからこそ、今の私が存在する時空もあるのだと。

 

 「ふふ、タイムトラベルがIFを生み出すのね」

 「IF?」

 「平行世界。もしも、こうしていたら……別な選択肢を選んでいたら……って言う可能性の現在」

 「んー?」

 

 混乱してるのにちゃんと聞こうとしてる様子が何だか可愛くて、巨大な身体に反して子犬みたいなその性格が何だか愛しい。それによりつい、笑ってしまった私はそれを誤魔化すようにグラスに口を付けてから続きの説明をする。

 

 「海賊になるか、海兵になるか。その分岐点で選んだ未来に人は進む。その進んだ先の隣には、選ばなかった未来を選んだ人がいる世界があるって考えよ」

 「あァ成程」

 

 そうして話は盛り上がり、初対面でありながら久々の再会となった私達は店が閉まる直前まで共に過した。お会計をどちらが支払うかで揉めて、結局歳上の男が歳下の女の子に支払わせられないと言われて折れたのは当然だろう。

 そうして楽しい時間を終えた私達は表に出て、またねと手を振った。けれどもその直後、その巨体に似合わない速度で近付いたロシーによりその腕に囚われてしまう。

 何事かと顔を上げると、降ってきた唇。別れの挨拶かと目を伏せれば、挨拶にしては濃厚過ぎるそれに呼吸毎奪われてしまった。

 ファースト・キスでは無い。当然ながら、可愛い弟であるエースとの触れ合いを無視しても、挨拶と呼ぶには濃厚過ぎるシャンクスとの経験はあるから。

 でも、慣れてないのは事実で、息苦しくて呼吸の仕方に頭を悩ませている間に、当然のように抱き上げられた。それは恐らく、身長差が理由だろう。

 だけどそれにより、地に足がつかない恐怖は言葉では表し尽くせない。バタバタと暴れる私に、ロシーはけれど拘束を緩めてはくれなくて、それどころか強くなる腕の力に微かな痛みが走る。

 ビクリとそれにより身体が震えた時、離された唇。少し申し訳無さそうな顔で、私を見るロシーは捨て犬を連想させる。

 

 「ナミ、悪い」

 「な、何!?」

 

 キスが濃厚すぎるのは、この世界の約束なんじゃないの!?そんな事を思うのは、幼女としか呼べない時に、シャンクスからされた別れのキスが理由だけど。

 だとしたらキスが濃厚なのじゃなくて、キスを突然した事に対するものかな。でも、今のも別れのキスの延長よね?

 

 「ナミが欲しい」

 「……は?」

 「頷いてくれるなら、大切にするし、普通にクルーへ紹介する。だが、頷かないなら……奪う」

 「へ?」

 

 何を言ってるのか。と言うか、クルーって何。

 海軍にいつの間に戻ってたの。戻ってたなら、センゴクさんも私に紹介とかしてくれても良かったのに。

 あれでも待って。その前に……私が欲しいってどういう意味?

 

 「言い忘れてたが、俺は今……海賊なんだ」

 「うそ……?」

 

 放心する私をそのままに、ロシーは近くの宿に私を運び込んでしまう。そうして当然のように部屋に連れ込まれて、内側から鍵を掛けられてしまえば、流石にやりたい事は分かる。

 本気で航海士としての私が欲しいのかなと考えたのは確かだけど、私が航海士である事は公言されて無い。当然宝玉としての活動は秘密にされてる訳で、そうなると欲しいって……身体の事……よね!?

 

 「待ってロシー!私、そんなつもりな「だから、海賊らしく奪おうとしてんだろ」」

 「そんな海賊らしさいらないから!!ね、私それに、子供だし!!」

 「……何歳なんだ?」

 

 咄嗟に言った言い訳にロシーが反応する。だからそれに縋るような気持ちで、私は言葉を紡いでみた。

 

 「16歳よ」

 「……結婚も出来る年齢だ。問題ないな。後1つ若かったら問題だろうが」

 「イヤイヤ!問題だからね!?」

 

 初対面だけど、酒場で1晩呑み明かした後では、世間的に見てもこうなっておかしくは無い。でも、私達は初対面だけど初対面じゃなくて……!!

 ずっと知ってたからこそ、その時限りの関係でスッパリお別れってならない気がするの。なのに……どうしよう。

 この身体を傷付けたくないし、こんな想定外の形で初めてなんて嫌だし、何より、混乱してる。どうしたら辞めてもらえるだろう。

 

 「やだ!ロシー辞め「られそうにねェんだ。悪い。俺のものにしないと、逃げられちまう気がする」」

 

 その通りなのでなんとも気不味い。でも、私はエースの為にもまだ海軍を辞められないし、ロシーが海賊だって言うならちゃんと生きてると報せてセンゴクさんに会わせてあげたい。

 おつるさん……と内心で泣きながら呼んでみるけど、声にも出せない状態では姿を見せる訳もない。ロシーを傷付けるような抵抗が出来ないから、どうしても抵抗力が弱くなる。

 

 「待って!やだったら!ねぇ!……私、ロシーとセンゴクさんを会わせたいし「なら、この後会ってもいい」」

 

 ロシーの言葉に別に、でもやる事やったら会えなくなる訳じゃないと気付かされて、動きが止まる。その隙に器用に脱がされて行く軍服は、元々彼も同じような物を着ていたからできるのだろうか。

 やってもやらなくても、会わせる事は不可能じゃ無いなら問題無いのかな。……いや、問題しかないだろう。

 

 「ロシー……!」

 

 哀願するように名を呼べば、ロシーが寧ろ裸体で無いからこそのその色香に息を飲まされる事となっているとは、ナミの預かり知らない所だ。だが今にも泣きそうな顔で、縋るように見詰めてくる美少女と言うのに対して待てができる男等、そう多くはないだろう。

 

 「夢の中の、ロシーしか、私知らない!!」

 「……俺は、今ではない未来のナミしか知らないが、今のナミが可愛くて既に理性が裸足で逃げ出してるのは間違いない」

 「ちょっと待って!理性さんを連れ戻して来てよ!!」

 「難しいなァ……」

 

 困ったように笑いながら、でもロシーは破いたりする事無く服を剥ぎ取ってしまう。それにより晒された素肌を見て、ロシーは優しくその瞳を細める。

 だと言うに、カタカタと小刻みに震える身体にロシーは小首を傾げる。体格差もあり過ぎるから、それが怖いのだろうかと考えるくらい、抵抗らしい抵抗をナミから受けていないのも理由にあるだろう。

 

 「ナミ?」

 「やだ、こわい……」

 「あァ……初めてか」

 

 ロシーの言葉に頷いて、でも、それだけじゃない。多分覚えてない過去に経験はあるのだろうけど、痛くて、苦しくて、気持ち悪いと言うイメージしかないのだ。

 なら何故抵抗できないのかと問われたら、相手がロシーだからと言えるだろう。年齢はさほど変わらない状態だっただろうと思える、夢の中のその記憶。

 そんな中で、最近になって時々見ていた大人な自分と、幼いロシーとドフィの夢がどうしても頭から離れない。つまり、可愛かったイメージが強くて、傷付けそうで抵抗できないのだ。

 どれ程巨大になっていようと、その頃の体格ではなかったとしても、腕の中で震えていた幼い少年を傷付けたり突き放したりする事はどうにも出来そうにない。それでも、なら受け入れられるのかと問われたら無理なのだ。

 

 「痛いの、いや……」

 「……痛みは、与えない」

 「え?」

 「それなら、いいか?」

 

 力で敵わなくて、攻撃も出来ない。逃げる隙は無くて、辞めて貰えないなら……妥協するしか無いのかな。

 痛くないなんて、そんな事本当に有り得るのかなと、私はロシーへと泣きそうになるのを耐えて言葉を口にした。家出してるらしい理性さんが帰って来る事は、期待できそうにもないし。

 

 「そんな事、できるの?」

 「できる。まァ、その分ナミが恥ずかしくて、泣き出すかもしれないが」

 

 何だそれはと言うより早く、足を大きく割開かれてしまえばその意味はわかった気がした。だが実際、こんな事は始まりに過ぎないと知ったのは、それから間もなくの事。

 声も出ない程に初体験で抱かれるのはきっと異様だろうけど、それを確認する術を私は持たなかった。初体験だったのに何度も中に放たれて、揺さぶられ続けた弊害で、既に指先を動かす事さえ難しい。

 

 「ナミが素直に、俺の女になると言えばここまで抱き潰す事はしなかったんだぞ。なァ……大切にするから俺の女に、恋人になれよ」

 

 それに対してイヤイヤと首を横に振りたくても、少し動かしただけで目眩がする今、それさえできはしない。苦しくて、泣きそうになる。

 そもそもロシーが海賊になってるのなら、海兵である私が恋人で許される筈がない。海賊の仲間達から、ロシーが攻撃される可能性が高過ぎる。

 

 「ナミ……。俺の船長は、ローなんだ」

 

 聞こえて来た名前に反応して、ロシーを見れば困ったようにロシーは言う。どちらの体液か分からないそれで汚れたベッドを、気にする余裕さえ今はない。

 

 「ナミが、俺のって認めないと……次はローに同じ事されるぞ」

 「な……!?」

 

 声が上手く出せないのもあるけど、ロシーの言葉に声を失ったのもまた、真実だった。そんな私の頭を撫でながら、ロシーは海賊らしくない顔で笑う。

 

 「俺が見付けて、俺の恋人にしたと言えば、こんな事はされないだろうが……どうする?ローにも抱かれて、身体の相性で決めるか?」

 

 どうして私の恋人の候補が自動的に二人で固定されているのか、理解できない。そう思って睨めば、ロシーは言う。

 まるで、私の言いたい事が分かるかのように。的確に。

 

 「ローも俺も、ずっとナミを探してた。見付けたナミを逃がす筈ねェだろ。……ナミが選ぶまで、多分部屋からも出られないぞ」

 

 その言葉に、幼い頃のローちゃんを思い浮かべて、大切な物を喪う事に怯えていたそれにより、独占欲や束縛が激しくなってる事は想像できてしまった。でも、同じような事になるとは限らないと考えたところで、はたと気付く。

 ローちゃんは、あの時点で医者を名乗れる勢いの卵だった。あれから、何年たったのか……。

 悪寒がしたのは当然として、私は諦めて唇を動かした。これで伝わらなければ、隙を見て逃げようと心に決めて。

 

 「(ロシーの彼女になるから、今度から優しくして)」

 「わかった。体力とか色々考慮する。とりあえず、清めてやるから……少し寝てろ」

 

 なんで唇を動かしただけで、正確に伝わったんだろうと心底不思議に思いながら、私はロシーに犬の尻尾が生えてる幻を見たのを最後に、そのまま意識を失った。初体験でこの体格差があり、声が出なくなる程に抱かれた私が目覚めたのは、それから数日後の事となる。

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