いよいよこの世界に置ける最初の山場、宿泊研修の日がやって来た!
私⋅⋅⋅
何しろ中身が一般庶民の私は必ず遠月のホテルの規模に驚愕してしまうだろうから。気をつけなきゃ⋅⋅⋅
だけどその決意も空しく目的地のホテルにつくとやはり私は圧倒されてしまうのだった。
宿泊研修目的地遠月リゾートホテル『遠月離宮』
⋅⋅⋅⋅そこは普通に利用したらなんと、一泊8万円~からという超がつく最高級リゾートホテルなのだ!!それもう一月分の家賃じゃない⋅⋅⋅⋅
⋅⋅⋅⋅はぁっ⋅⋅⋅これだからブルジョワは⋅⋅⋅
生徒達は皆大宴会場へと集められた。
「あっ!えりなちゃ⋅⋅⋅さん、緋沙子⋅⋅⋅ちゃんおはよう昨日はお世話になりました」
「はよぉー!えりなっちに緋沙子っち!」
恵ちゃんと朝からテンションの高い悠姫ちゃんが挨拶してくれた。
「ごきげんよう⋅⋅⋅恵ち⋅⋅⋅恵さん、悠姫さん」
「こら!誰が緋沙子っちだ!それにえりな様をその様なアダ名で呼ぶんじゃない!」
「ふふ⋅⋅⋅良いのよ緋沙子ちゃ⋅⋅⋅緋沙子。気兼ねなく呼ばれた方が私も気が楽だわ」
「もう~悠姫ったら⋅⋅⋅ゴメンなさいね。えりなさん、新戸さん、改めておはよう」
「涼子さんもごきげんよう」
ふいぃ~顔見知りの人に元気を分けて貰えてる様で少し気が休まるわ⋅⋅⋅
何しろこの大宴会場へと千人近い人数が居るにも関わらずお通夜みたいに静かでなおかつピリピリとした空気が私の胃を締めつけるのだ。
外見は堂々とした佇まいをしている私だけど中身の私は、もう早くも逃げ帰ってお部屋に引きこもりたい気分になってしまっている。
ヌオォォー!!頑張れ私!田所恵ちゃんの最大の運命の分岐点を何としてでも主人公の代わりに私がやり遂げるのよ!!
「おはよう諸君ステージに注目だ」
最初の実習での試験官を勤めたシャペル先生がステージに上がりマイクで合宿の説明を始めた。
内容は様するに講師による一定の合格ラインを下回ったら失格=退学と、まあ、至ってシンプルな物だわ。まあ、私は多少原作知識は知っているから何とかなるとは思いたいけど主人公が不在の状況でどんな変化が産まれるかなんて予測の立てようがない。
だからもう⋅⋅⋅覚悟を決めるのよ⋅⋅⋅私!
審査に関してはゲスト講師を招いてるはず⋅⋅⋅そう、遠月学園の卒業生⋅⋅⋅⋅
卒業到達率一桁を勝ち抜いた天才たち!!
フランス料理店「
イタリア料理店「リストランテ
エフ」の
鮨店「銀座ひのわ」の
オーベルジュ「テゾーロ」の
ドナード
日本料理店「霧のや」の
⋅⋅⋅⋅そして、遠月リゾート総料理長兼取締役会役員⋅⋅⋅
ここからステージ迄結構離れて居るのに奇妙な
私が壇上に並び立つ名だたるシェフ達のオーラに圧倒されているとメガネをかけた一人のゲスト講師が壇上から降りて此方に近づいてきた。
「ンー⋅⋅⋅前から9列目⋅⋅⋅そこの⋅⋅⋅そう、オマエ⋅⋅⋅退学だ。帰っていいぜ」
「えっ⋅⋅⋅なっ⋅⋅⋅!!?」
「整髪料に柑橘系の匂いが混じってる。こいつは料理の香りを霞ませるんだよな。お洒落は必要だ⋅⋅⋅作る人間がダサいと料理に色気が無くなるからな。だが、お前のその選択はアウトだ⋅⋅⋅つうわけで、お疲れ学生さん」
よし!原作の流れキター!!四宮小次郎が柑橘系の匂いのする男子を問答無用で退学に決めた。
取り敢えずホッとしたわ⋅⋅⋅それにしても無茶ぶりというか、気の毒になるわね⋅⋅⋅いやいや、私は野郎はどうでもいいのよ。田所恵ちゃんさえ助かればそれで⋅⋅⋅⋅
「え⋅⋅⋅ま⋅⋅⋅待って下さい!洗い流して来ますから!!どうか退学は⋅⋅⋅!!お願いします!お願いします⋅⋅⋅!」
柑橘系の整髪料をつけていた彼は涙ぐみながら土下座して床に頭を擦りつけてまでして懇願した。
⋅⋅⋅⋅⋅わ、私には別に⋅⋅⋅関係⋅⋅⋅⋅無い⋅⋅⋅⋅わよっ⋅⋅⋅?
「はぁ?なんだそりゃ⋅⋅⋅泣いて土下座したら何でも撤回してくれると思ってんのか?オマエみたいな奴が店の評判を落とすんだよ⋅⋅⋅このクズがっ⋅⋅⋅」
⋅⋅⋅ピキピキ⋅⋅⋅ブチンッ⋅⋅⋅!
いい加減にしときなさいよぉ!!
この陰険メガネがぁぁー!!
私は腹の中から熱いマグマの様なうねりを感じながら思わず行動してしまった!!
「お待ち下さいませんか?四宮シェフ⋅⋅⋅」
「ああっ?誰だオマエは⋅⋅⋅?」
「⋅⋅⋅お初にお目にかかります。私は現・遠月十傑の内、末席を預からせて頂いております⋅⋅⋅薙切えりなと申します」
「薙切⋅⋅⋅そうか、仙左衛門の爺さんの孫娘⋅⋅⋅あの、
「ええ⋅⋅⋅まさにそのとうりですわね⋅⋅⋅⋅」
あちゃーやっちゃったよぉー!!
私のバカバカ!!でもねでもね⋅⋅⋅私、本当に野郎なんてどうでもいいのよ⋅⋅⋅でも⋅⋅⋅こんな理不尽は見捨てて置けないのよ!
そりゃね、お店の事を考えればアッチに言い分はあるわ。けど私達はまだ学生⋅⋅⋅失敗して寧ろ当然だ。少なくとも今、この場は現場ではない⋅⋅⋅遠月学園の方針に今さら異議を唱えるつもりも無い。けれど試験で適正に落とされるならいざ知らず、こんな難癖つけた退学勧告を私は⋅⋅⋅見逃せない!!
「今、この場所は互いに研鑽し、試練を乗り越える場所とは重々に承知しております。ですが⋅⋅⋅悲しいかな、我々は甚だ未熟な学生⋅⋅⋅時にどうしても失敗をしてしまう存在です。四宮シェフの言い分は誰よりも理解しております。イタズラに、簡単に失敗を許せとも申しません。只、四宮シェフの御判断は些か余りに早急で個人的な感情が伴い過ぎて居られるのではと私は具申致します⋅⋅⋅」
「なっ、何だと⋅⋅⋅⋅俺が個人的な感情でソイツに退学を決めたと⋅⋅⋅そう言いたいのか⋅⋅⋅」
そう言ってんのよ!この小物メガネがっ!
「確かに彼は料理を生業とする人間としては些か軽卒ではあったと思います。ですが、ここは貴方の店の現場では有りません⋅⋅⋅ましてや、まだ試験そのものも始まってもおりません⋅⋅⋅犯してしまった失敗と過ちを修正するには充分まだ考慮が出来るかと私は思います。故に何卒彼の退学は取り消す事を私は望みます⋅⋅⋅⋅」
周りがスッゴく、ざわざわして注目して視線がメチャンコ痛いわー!!
ああぁ⋅⋅⋅只でさえ目立つのに更に注目される事して本当に私ったら何やってんのよー!!はぁー私の馬鹿バカ⋅⋅⋅
「⋅⋅⋅おいおいおい⋅⋅⋅⋅薙切家の苦労知らずのお嬢様よぉ⋅⋅⋅テメェ⋅⋅⋅舐めてんのか?オマエも退学にできる権限を俺は持っているんだぞ!!」
うわっ!コイツ最低!テメェとか言ったわ!原作知識を持っている私はこの小物メガネの過去と苦労は知っているけどいくら何でも試験管としては失格でしょうがっ!
「繰り返し申し上げます。彼の退学は早計で⋅⋅⋅」
「黙れぇ!!遠月グループのお嬢様だから何でも要求が通ると思ってのか!!あ"ぁっ!?」
なっ!コイツ私の胸ぐら掴んでキタッ!?こっ、怖かないわよ!?暴力反対!!訴えて勝つわよ!!
「お止め下さい!」
んっ?へっ?緋沙子ちゃん!?緋沙子ちゃんが私の前に立ち私の盾の様に前に立った!
「⋅⋅⋅何だよテメェは!!オマエも退学にさせられてぇのか?」
私の前に立ち、四宮小物野郎の腕を掴んで緋沙子ちゃんは私を守る為必死で立ちはだかってくれた!!でも、よくみると緋沙子ちゃんの肩や腕や足がガクガクと震えている。
⋅⋅⋅そうだよこの娘だって普通の16歳の女の子なんだ。大人の男がガナリ立てれば怖いに決まっている。なのに⋅⋅⋅でしゃばった私を⋅⋅⋅えりなちゃんを守る為に勇気を振り絞って行動している。感情に任せて動いた私とは違う。感情で動いたなら私は四宮と同じだ⋅⋅⋅⋅私はやっぱりバカだ⋅⋅⋅⋅
「チッ!離しやがれ!」
「緋沙子ちゃん!!」
四宮は腕を振りかぶった瞬間⋅⋅⋅
グギュ⋅⋅⋅ミシィ⋅⋅⋅
「ぐうっ⋅⋅⋅」「⋅⋅⋅⋅それ以上は俺は絶対に許さんぞ⋅⋅⋅四宮⋅⋅⋅」
「堂島シェフ!!」
堂島銀さんは四宮の腕をその大きな手で握り、動きを制した。とんでもない握力してるわ、この人⋅⋅⋅⋅⋅
ってかっ、遅くない?もうちょい早くソイツを取り押さえてくれれば緋沙子ちゃんが怖い目に合わずに済んだのに⋅⋅⋅⋅まあ、感謝はしますけどね。
「⋅⋅⋅四宮お前はやり過ぎだ⋅⋅⋅向こうで頭を冷やしてこい⋅⋅⋅命令だ⋅⋅⋅」
「⋅⋅⋅くっ⋅⋅⋅」
堂島さんの眼力と圧に圧倒されて四宮は壇上の奥へと渋々引っ込んでいったわ。
「止めるのが遅くなってすまない。ケガはしてないようだね。代わりに謝罪しよう⋅⋅⋅改めて堂島銀だ⋅⋅⋅まあ、えりなくんとは顔を合わせるのは初めてだが、名前はお互い知っているね?」
「はい、初めまして堂島シェフ⋅⋅⋅先程はありがとうございました⋅⋅⋅」
「うん。さて、先程の君の言い分だが⋅⋅⋅⋅まあ、確かに奴個人の感情による判断が行き過ぎていた部分もある。だが、一流の現場に立つ人間としては至極当然とも言える判断でもある⋅⋅⋅軽い考えで匂いのキツイ整髪料をつけてきた彼の行動も決して誉められた物でもない⋅⋅⋅⋅がっ、今回は敢えて君の要求を飲ませて貰うとしよう。何しろ奴は学生に⋅⋅⋅女性に手を上げようとしたからな⋅⋅⋅だが、君も二度と軽卒で軽はずみな行動は慎む様にして貰おう。特に君は自分の立場をわきまえた方がいいと思うぞ⋅⋅⋅」
「はい、大変ご迷惑おかけしました。以後気をつけます」
私は素直に頭を下げて謝罪した。
「とっ、言う訳だ学生くん!君の退学処分は撤回するのを認められた。首の皮一枚繋がったな。えりなくんにちゃんと礼を言っとくんだな。さあ、頭を洗ってきな!」
「は、はい!堂島シェフ!それと⋅⋅⋅⋅そのありがとうございましたー!!えりな様ー!!」
「う、うん良かったわね⋅⋅⋅今後は気をつけなさいな⋅⋅⋅」
「はい!失礼します」
彼は意気揚々とお手洗いへと走って行った。
ふうぅ~⋅⋅⋅⋅試験が始まる前にゾッと疲れてきたわね⋅⋅⋅はっ!緋沙子ちゃん!大丈夫!?
「えりな様私は大丈夫です!お気になさらず!」
緋沙子ちゃんは何時も以上にキリッとした態度をとった。
「は、はわわわ⋅⋅⋅え、えりなさん、緋沙子さんだ、だ、大丈夫だべかぁ!?」
恵ちゃんがアワアワしながら心配してくれた。
「わ、私は大丈夫よ恵さん⋅⋅⋅それより迷惑かけてゴメンなさいね」
「謝ることないべさ、わだちなんて⋅⋅⋅怖くて何も出来なかったべさからぁ⋅⋅⋅」
「オウー⋅⋅⋅先程は大変な事になってしまい代わりに俺が謝罪させて頂きます⋅⋅⋅シロツメクサのような純朴の君⋅⋅⋅出来れば俺のオーベルジュで朝まで語り合いましょう⋅⋅⋅」
「あ⋅⋅⋅え?あ、あのあの⋅⋅⋅!?」
突然ケツアゴの料理人、ドナード牾桐田の野郎が私の恵ちゃんの白くて小さい手を握りやがった!ナンパすんじゃないわよっ!
「その手を放しなさい、牾桐田シェフ⋅⋅⋅」
「オウ⋅⋅⋅ヒナコか⋅⋅⋅」
助け船をだしたのが日本料理店「霧のや」を経営している乾日向子さんだ。
何気なしに恵ちゃんと緋沙子ちゃんと私の手を重ね優しく撫でてくれた。
「ごめんなさいね⋅⋅⋅とても怖かったでしょう⋅⋅⋅」
私達を心配してくれている優しい女性⋅⋅⋅なのだがこの人は正直私と
「ところで貴女可愛いですね⋅⋅⋅♥ああ⋅⋅⋅とても美味しそうです⋅⋅⋅♥ジュルリ!」
「!!?わ、わだち食べられるだべさぁ!?」
そう、この人乾日向子さんは可愛い女の子大好き病なのだ。私も似た感じだけどね⋅⋅⋅まあ、それはそれとして⋅⋅⋅恵ちゃんは絶対渡さんぞぉ!!
「⋅⋅⋅あのバカが暴走したのを止められなかった⋅⋅⋅代わりに謝罪する⋅⋅⋅」
静かに呟いたのがイタリア料理店「リストランテエフ」を経営している水原冬美さんだ。何だかセ○バーみたいな声しているのは気のせいかしら?
「い、いえその様に為さらなくても⋅⋅⋅私が、でしゃばったのが原因なので⋅⋅⋅」
「いや、何もかも四宮が悪い。全部四宮のせいにすれば万事丸く収まる⋅⋅⋅」
それには密かに私も大賛成だわ!
「私からも謝罪させてくれ、えりなくん、緋沙子くん、え⋅⋅⋅⋅とっ?」
「あ、私、田所恵と言います」
「そうか、すまなかったね恵くん」
最後に謝罪しにきたのが鮨店「銀座ひのわ」の板長、関守平さんだ。
「えと⋅⋅⋅他の講師及び生徒の皆さん⋅⋅⋅今回は私の軽卒で軽はずみな行動でご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。試験の時間も押し迫って来て降りますので皆様何卒進行を再開してお進め下さい。本当にすみませんでした」
もうこれ以上只でさえ過酷な合宿研修を私事で遅延させる訳には行かない。私は講師と生徒の皆に頭を下げで大きく声を張り上げて謝罪して試験の説明をしてもらう様にお願いした。
「むう!確かにこれ以上は合宿のプログラムを乱すのはマズイな⋅⋅⋅よし、続きを始めよう。丁度、例の学生くんも戻ってきたしな!」
振り向くと頭をタオルで巻いて息を弾ませて例の男子生徒が戻ってきた。
「では正式な謝罪は後程させて貰うよ。えりなくん⋅⋅⋅」
「はい、堂島シェフ」
一悶着はあったけど、とにかくこの場は収まり、講師陣も壇上に戻っていった。
「何もかもが四宮のせい⋅⋅⋅全部四宮が悪い⋅⋅⋅」
「全くです!あんな可愛い女の子を怖がらせて!」
「今回の事は流石に擁護できんな⋅⋅⋅」
「ハッハハハー!!四宮センパイ嫌われまくってますねー!」
例の四人組のシェフ達は口々にあの腐れイキリ小物メガネ野郎に憤慨したり呆れている口ぶりだった。
人徳が無いにも程があるわね。まあ、最も事実なんですけど。
壇上に立ち早々とマイク片手に堂島銀シェフは残りの合宿の説明を続けた。
「⋅⋅⋅⋅と、まあ説明は以上だ。少々イレギュラーな出来事もあったが、本物の現場ならそんな事、幾らでもあるものだ。では、君らの武運を祈らせて貰おう⋅⋅⋅それでは移動開始!」
堂島シェフの簡単な説明も終わり、いよいよ研修が始まった⋅⋅⋅
大宴会場から出ると緋沙子ちゃんがふらふらと腰を落として壁に寄りかかった。
「緋沙子ちゃん!?」
「はっ、はは⋅⋅⋅無様な所を見せて申し訳ありません、えりな様⋅⋅⋅い、今頃震えが止まらず腰が少し抜けて⋅⋅⋅だ、大丈夫です⋅⋅⋅失礼しました⋅⋅⋅」
ああ、この娘はえりなちゃんの為に勇気を振り絞ってあのメガネの前に立ち塞がってくれたのね⋅⋅⋅
私は思わず後ろからしゃがんで人目を憚らずに緋沙子ちゃんを抱きしめた⋅⋅⋅
「え、え、えりな様!?」
「ゴメン⋅⋅⋅緋沙子ちゃん本当にゴメン⋅⋅⋅私が余りに軽卒過ぎたわ⋅⋅⋅そして本当にありがとう⋅⋅⋅」
「そんな⋅⋅⋅えりな様⋅⋅⋅私には勿体ないお言葉です⋅⋅⋅!」
緋沙子ちゃんは私の言葉に感無量といった面持ちで瞳が潤んでいた。
はう~♥緋沙子ちゃん可愛よぉ⋅⋅⋅⋅♥
「あ、あの~⋅⋅⋅えりなさん、緋沙子さんみ、皆が注目してるよ!それに早く移動しないと⋅⋅⋅」
田所恵ちゃんがワタワタして二人だけの世界に浸っていた私達の目を覚ましてくれた。
「⋅⋅⋅ん、ん"!ゴホンッ!ごめんなさい恵さん⋅⋅⋅!すぐに一緒に行かなくてわね、緋沙子ちゃ⋅⋅⋅緋沙子⋅⋅⋅大丈夫⋅⋅⋅?」
緋沙子ちゃんは力強く床からビシッと立ち上がり熱い眼差しで
「はい!えりな様!この新戸緋沙子えりな様の温かくも熱い愛の包容により復活しました!必ずやこの研修を乗り越え、えりな様と再開することをお約束します!!それでは暫しのお別れです!失礼致します」
さっきまでの弱々しい雰囲気は霧散して、気力に満ち溢れた顔で私と別れ移動バスへと向かっていった。
「⋅⋅⋅本当に大丈夫かしら?」
「緋沙子さん、えりなさんに抱きしめられて気力を取り戻したみたい。きっともう大丈夫ですよ。えりなさん、私達も急ぎましょう」
「そうね。私のせいで時間を浪費させてしまったしね⋅⋅⋅それじゃ、恵さん⋅⋅⋅手を繋いでいきましょうか!」
「え、えりなさん⋅⋅⋅はい⋅⋅⋅♥」
恵ちゃんは頬をほのかに赤らめて差し出した手を取り、一緒に移動バスへと向かった。