赤嶺ちゃんが敵対組織に囚われて謎の銀髪メイドの快楽調教に屈しちゃうまでのお話 作:バロックス(駄犬
ど、どうも国土亜耶と言います。今回は冒頭部分の担当をつ、務めさせていただきます。
邪神の世界から無事に帰還できた巫女はどうやら私だけみたいです……水戸さんやひなたさん、東郷さんは一体どうしてしまったのでしょうか。
あの日……河原で光を見てから皆さん、おかしく成ってしまいました……。芽吹先輩、弥勒先輩、雀先輩、しずく先輩も……。
毎日、夜になると不思議な声が聞こえてくるんです……。
その、女の子の声、というか……すごく甲高い声が……あ、あとベッドの上で跳ねてるみたいな、ギシギシッて音も……。
私、怖くなって杏ちゃんに聞いたら、
『あれはね、トランポリンの練習だよ。声を上げながらトランポリンを撥ねるとすっごく身体にイイんだよ?健康法だよ?』って言われたので、よく分かりませんでしたが私はその言葉を信じることにしたんです。
でもあの日、着物を着せられた私は部屋で杏ちゃんに襲われてしまいました。
帯を引っ張られて、くるくると服をはだけさせて、あられもない姿になった私を見て、杏ちゃんは口から涎を垂れ流していました……。
泣き叫びたくても、猿轡をされて、組み伏せられた私は神樹様にお祈りしました。
『神樹様。皆さんが変わってしまったのは、私がいけない子だからでしょうか。
そうだとしたら、この身を清め、心新たに変わります。ですからどうか、どうか皆さんをもとに戻してほしいのです。お願いします』
その時、しずくさんに助けられて、私たちは邪神界を飛び出しました。
アイさんという染め花の力を扱う恩人の元でお手伝いをしています。
今は暴走してしまった勇者様を元に戻す儀式、『鎮花の儀』……その準備をすべくお風呂を沸かしているところです。このお家の地下には大浴場があるんです!多分勇者部全員が入れるくらいの広さがあります!
邪神に操られてしまった勇者様はこうした儀式を通して身を清めなくては元には戻らないようです。
その儀式の際には巫女である私の力も必要になるとか……でも私、頑張ります!皆さんが元に戻れるように、巫女でも勇者様を助けることが出来るのなら何でもします!
でも、なぜでしょうか。アイさんに渡された道具の中にとても『ヌルヌルする液体が入った瓶』とか『不思議な形をした棒』があるんです。
アイさんは儀式を成功させるための祭具と言っていましたが……。
あ、もうこれ以上は『説明しちゃだめ!』みたいです!
良く分かりませんが、このお話の続きは『次回だよ!』みたいです!
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犬吠埼樹は姉の犬吠埼風の後ろを常に歩いていた。
出来る姉と違い、引っ込み思案な樹は人前に出ることを極端に恐れていた。
両親が亡くなった後も、『お姉ちゃんに任せておきなさい』と不幸を跳ね除けながら前に進む姉の姿は樹の尊敬する人物である。
いつか、そんな立派な姉とまではいかなくともせめて隣に並んで立てるくらいにはと思っていた樹は神樹が作り出した仮想世界で多くの勇者と出会う。
それは樹の大きな糧になった。
多くの戦闘経験は他の勇者からは才能の塊だと言わせしめた。
同い年や小学生組の勇者を時には樹が率先して指揮を執り、リーダー役を買って出たこともある。
成長した樹を見ていた姉の風も『いつの間に立派になっちゃって』と称賛していた。
だけど、まだ足りない。樹は思った。
自分には欠けているものがまだあると思う。
友奈のような『勇気』。
美森のような『聡明』。
夏凜のような『自信』
そして姉の風のような『人望』。
他の時代の勇者も、樹が欲しいと思ったものはたくさんあった。
今まで姉の後ろで歩いてきた分、少しでも前に出て、たくさんの大切な人を守りたいと樹は思った。
足りない、足りない、足りない。もっと力が欲しい。もっと強くなりたい。
そんな時、彼女は邪神界で神樹の元から離れたことはまさに一つのきっかけだった。
新しく手に入れた勇者の力は実に樹に馴染むもので以前の自分とは比べ物にならないくらいの力が身に宿っていることを樹自身が実感している。
これなら、この力なら……もうお姉ちゃんの助けも要らない。たくさんの人を助けることが出来る!
そう確信した樹。今の自分は昔から人前を出ることを嫌い、逃げてきた自分よりも圧倒的に強いのだ。
若葉や風と同等の力を手に入れた……そう思っていた
「うわあああああああああああああ!!!」
何故自分は死に物狂いで目の前のメイドから逃げているのか、樹は分からなかった。
メイドが来る。
大きな大斧を担いだメイドが樹目掛けて飛んでくる。
自らの武器に炎を走らせて振り下ろした大斧は樹の前面に張り巡らされたワイヤーの結界を無慈悲にも焼き切っていく。
バーテックスの突進も容易に防ぐことが出来る硬度を持つワイヤーを『焼く』ことができるメイドの炎は理解に苦しむものだった。
そこまでの出力を有しているなど三ノ輪銀の端末の情報には無かったからだ。
まるでメイドの怒りが爆発しているかのような強い炎。彼女の怒りがそのまま炎の出力とリンクしているようだった。
「はぁ……はぁ…っ!」
(こうなったら……友奈さんの拳をイメージして!)
ワイヤーを束ねた樹は瞬時に自分の頭と同等のサイズの『拳』をいくつも作り出す。
イメージしたのは勇者部で何度もバーテックスを粉砕してきた勇者、結城友奈の『拳』。
樹が作り出した拳は容易に地面を砕いて見せる。
彼女が見た友奈の拳をそのままトレースしたワイヤーの拳は結城友奈と同等の威力を発揮する。
自由自在に操作できる拳は全てで6つ。勇者部と人類を救ってきた拳が6つ、それを用いて繰り出すのは――――、
「6連続……勇者パーンチッ!!」
6つの拳が同時に襲い掛かる。一つ一つがそれぞれ角度を変え、拳を避けるスペースを無くしメイドの逃走経路を絶つ仕掛けを施していた。
拳は一つ一つが絶大な威力を持つ。一発でも被弾させれば骨の何本かはへし折れることだろう、そうなることを樹は既に予想出来ていた。
唯一予想できなかったのは、目の前のメイドが規格外過ぎたという事だろうか。
「ふぅぅぅうんッッ!!!」
メイド少女、アイは大斧を一振りする。それだけで6つの拳の内、3つが焼き切れる。
二振り目で2つお拳を繊維一つ残らず塵も残らないほどに焼却していた。
「はぁあああああああああ!!!」
そしてあろうことか、最後の一つの拳はアイの渾身の頭突きによって破壊されていた。
「ええええええええっ!!?」
ゴキン、という金属音と共に跳ね返った拳は勢いを失い、形状を維持できずに解けて地面に垂れ落ちる。
ワイヤーが破壊されただけなので樹の肉体にダメージは無かったが、別の意味でのダメージは確かにあった。主に心に対してのダメージだが。
それでも多少なりとのダメージはあったのだろうか、拳が衝突したアイの額からは血が流れている。
しかし、それだけ。
友奈本人のパンチでないにしても、樹の渾身の力を受けて額から血を少々流す程度のダメージ。
これが染め花の少女。
三ノ輪銀の勇者の力を宿した牡丹の装束の力。
相手を一撃のもとに葬り去る物理攻撃力と極端に底上げした物理防御力。
個々の勇者の持つ力をただ使用してるのではなく、補強しているとでもいうのか。
打撃を受けても怯まず進んでくる姿はまるで鋼の鎧を纏った闘牛か、戦車である。
「私はッ!!」
不意に、目の前のアイが叫んだ。
「まだ……まだだったんですよッッッ」
「な、なにを……」
ぎりっ、と奥歯を噛み締めるようにしてアイは怒りに満ちた、この世の全てに対して妬みを持つかのような顔で言う。
「緊縛プレイなんて……赤嶺さんとまだシたこともなかったのにィィィィィイ!!」
アイが樹に対して怒り狂っているその理由は自分がまだしていなかったプレイをどこぞの馬の骨とも知れぬ女に先を越されてしまったからだった。
過去に何度か自分でいつヤろうかなんて画策していたアイは早まるなと自身を律した。
「ええ、考えましたとも。荒縄で褐色少女を縛り上げ、それに喘ぐ少女の姿を!でもまだ赤嶺さんには時期尚早だと思って夢の中で留めておいたというのに!!」
「夢の中では……縛ってるんですね……」
「ええ、赤嶺さんの写真とロープを夢枕にしてたら初日から見れました」
「えぇ……」
凄い夢の見方、というかこれはどことなく東郷美森と同じ匂いがすると樹は思った。
「だからその楽しみを奪ったあなたを殺すんです。異論はありませんよね」
「ありまくりですよ!!」
アイからしたら至極当然の理由である。しかし樹からすれば堪ったものではない。
メイド少女が大斧を振り回す。炎が滾りを増し、森林の至る個所を燃やし、トラップとして展開していたワイヤーを根こそぎ焼き尽くす。
風がないため火が煽られて燃え移っていくスピードは遅いが、この森の敷地はどちらかというと狭い。すぐにでも火の手は回ってしまうだろう。
放火魔かこいつは。樹は言葉をぶつける。
「か、火事起こしてどうするんですか!?それでも勇者ですか!?」
「私勇者じゃありませんしー、染め花ですしー、いくらでも炎出せますよほーれほーれ」
「な、なんですかその小学生染みた煽りは!怒りますよ私だって!」
普段温厚な樹が明確に怒りという気持ちを抱いたのは確かだろう。
煽りに耐性が無いからと言えばそれまでだが、アイのその煽りは確かに相手の怒りを助長する見事なものだった。
「この世界はどうせ邪神が作った偽物です。あなた達意外に生物など存在しませんから。だから森と山の一つや二つ、ひいては世界など破壊してもなんら問題は無いのです」
まるで世界の破壊者だ。
大切な存在の為なら、世界一つを、人を殺めることなど造作もないことなのだろう。
だからアイは迫る。獲物を仕留める殺意を宿した翡翠の瞳で樹を睨んで。
四方からのワイヤーを焼き、両断したところで視界が開けた。正面には無防備な樹の姿がある。
追い詰められた焦燥感からか、樹は身体を小さく震わせていた。
「これで終わりです―――――!?」
踏み出し、アイが斧を掲げた所で足元の地面がボコッとせり上がる。
地面を潜っていたいくつもの鎖が飛び出して、アイの身体を巻き付いては縛り上げていた。
両腕を胴と一緒に括り、両足には無数の鎖が巻き付き、地面から離さず。
「ワイヤー製の……鎖……ぐっ!」
一つ一つが鎖の形をした元はワイヤー。
恐らく、樹が繰り出せる最大強度を誇る拘束手段。
ぎちぎちに絡まったワイヤー製の鎖が肉を締め上げ、食い込んでいく。
鉄を超える強度が生み出す縛力による苦痛にアイの顔が歪む。
「や、やりましたよ……これで動けませんよねぇ!」
樹は最後まで逃げてはいなかった。
最初からこの最後の拘束地点まで誘導するまでが樹の作戦だった。
この大仕掛けのトラップは発動したら最後、使用者の樹が解除するまで解かれることはない。
力技で解除することは可能だが、現にこれまで拘束することも叶わなかったアイの動きを止めることが出来ている限り、それはほぼないだろう。
「気絶するまで……"おしおき"させてもらいますよ」
微動だにしないアイを前に樹が拳を突き出す。
それはワイヤー製の拳。まったく避けられない的に対して繰り出される10の拳がアイの身体を的確に打ち付ける。
ゴッ、ゴッゴッという岩同士を打ち付け合うかのような音を響かせていく。
「がっ……!!」
一発がアイの腹部を抉り、口から血を吐いた。
いかに防御力が優れていたとしてもそれは限度がある。痛みは遮れないので、ダメージはしっかりと蓄積されるてしまえば次第に気絶もするし、死にもする。
膝を着きたくとも四方から伸びた鎖がアイを吊るす様にしてそれを許さない。棒立ちのまま、アイは繰り出される拳の雨を全身に受ける。
まるでボクサーの前のサンドバック。
拳で穿てば穿つほど、アイの身体が揺れ、切れた皮膚からは血が飛沫して地面を濡らす。
形成は逆転した。だが樹は油断はしない。相手が音を上げて気絶するまで、無慈悲に拳を繰り出していく。
「か…っ、ぺっ……」
「まだ倒れないんですか? おしおきが足りないみたいですね……」
口に溜まっていた血を吐き出して見せるアイを見て、樹は表情を輝かせた。
もっとこの人には“おしおき”が必要だ。倒れない限り、自分はもっとおしおきができる。
それは自分にとってご褒美のようなものだ。
「ご……っふ…っ!!」
嬉々とした表情で拳を繰り出す。
倒れない、気絶しない相手が悪いのだと自分に言い聞かせながら。
やがて拳が肉を打つ回数が30を超える。
アイの勇者服は全身がボロボロになり、整った少女の顔は血が流れ、赤く腫れあがっていた。
防御力が高すぎるというのも考え物だと思ったアイである。
なまじ半端に設計された耐えるという勇者服だが、ここまで殴打されて気絶しないあたり体力面も補強されているのだろう。
となれば、とんでもなくドM仕様の力だ。それが災いして、なかなか気絶できずにひたすら打ん殴られてしまっている。
いっそ気絶出来てしまえば、どんなに楽だろうか。
「……痛くないんですか?」
「……そうですね。正直なところ、もう眠ってしまいたいくらいですよ。
血も流しすぎましたし、頭がぼーっとして、目の前のあなたの姿がぼやけて見えるくらい……」
「なら……」
「ふふ……倒れてしまえれば……楽でしょうね。いっそのこと、諦めてしまえば……でも、私はもっと“痛い”こと……知ってますから」
アイは知っている。今感じてる“痛み”など、過去の自分が受けた“痛み”に比べれば何倍もマシだという事を。
この世界に来る前、アイの身体は特別な仕様であった。
常人には効く筈の毒薬の一切が、アイには効かないのである。
神様の力を宿す為に施された処置があらゆる科学的毒物を無効化していたのだ。
だが大人たちは研究熱心なことで、どうすれば『毒が効く様になるのか』という実験をするようになった。
すると、神聖なお神酒と混ぜ合わせるとアイの身体にも毒が通用するようになることが分かった。
となれば、変態科学者たちは今度は『どこまでの毒が通用するようになったのか』知りたくなったらしい。
ありとあらゆる毒物を与えられた。もちろん、死なない範囲でだ。
農薬など生易しい、水銀を直接注入されたこともあった。
当時開発していた象も殺すと言われる毒虫や毒蛇に何十回も身体を噛まれたこともあった。
過去に世界を震撼させた殺人ウィルスを投与されたこともあった。
どれもこれも気が狂いそうだった。
熱発、倦怠感、嘔吐、吐血、血尿など当たり前で。
歯がボロボロと崩れたり、髪が抜けたり。
皮膚が赤く腫れあがったり、黒く変色して、肌が爛れてきた時は流石に死を覚悟した。
それでも命さえあれば、半日で肉体が再生し、健康な状態に戻っているところを見て、やはり自分は人間ではないのだなと思った。
貴重なサンプルであるアイを死なすまいと大人たちは死の直前で蘇生処置を施す。
繰り返してきた実験でどこまでが死の境界線なのかを理解しているからか、アイは死なずに、そして実験が終了するまでありとあらゆる毒物を投与され続けた。
『いくら神様の"依り代"つっても、こうやって薬が通用しちまえばただの人間ちゃんだからなー』
『やり過ぎるなよ、いくら神の加護で体力の回復が早いとはいえ、精神的に壊れちまったら計画はそこで失敗だ』
『サンプルの研究データはある程度保存済みだし、アレが死んでも次に作られる"依り代"はアレより頑丈で強いって話じゃん。
だったら、無茶はしてもいいんじゃねぇか。心が壊れちまったら、俺達の精処理用の肉便器になるだけだし。
生きてる限り、アイツは俺達の道具よ』
『それもそうか』
わははは、と談笑する研究員たちの様子をアイは廊下の陰から聞いた。聞いてしまった。
自分は所詮代替品。『友奈』の因子をたまたま再現出来た、でも短命の粗悪品に過ぎない。
死のうとしても蘇生させられ、人体実験に晒され、男達の精の捌け口となる。
どこに進んでも地獄だった。
10にも満たない少女がその真実を知って、自分の運命と未来が潰されていることを知って、どう生きればいいのか。
だけどアイは生きたかった。
純粋に生を欲した。
会うべき人に、会わずに死にたくなかった。
赤嶺友奈に会うために、自分はまだ死ねないのだと。
殺したいと思っていたはずなのに。
自分をこんな運命に陥れた少女に復讐してやると決めていたはずなのに。
河原で出会った時にそんな憎悪は消え失せて、ただ彼女の事を想うようになっていた。
この胸に抱いた気持ちを伝えるまでは絶対に死んでたまるものかと、アイはひたすら男達の実験に耐え続けた。
「だから、まだ終われないんですよ……自分の気持ちもちゃんと伝えられてない、からっ」
「ひ……っ!!」
ワイヤー製の鎖が悲鳴を上げる。
どんな物体を拘束しうる最強硬度を誇る樹の鎖がアイの力によって引きちぎられていく。
張り詰めていた糸がぷつん、ぷつんと断続的に弾けていくたびにアイの拘束が解かれ、そして――――、
「"愛してます"って気持ちをッッ!! ラアァッッッ!!!」
その瞬間、アイを縛っていた鎖がバツンと音を立てて千切れた。
土台無理な話だった。
絶大な愛の前には如何なる拘束など無意味なのだ。
愛は止まらない。
アイは止まらない。
ブレーキを取り外した暴走車のように、敵を撃滅せんと拳を放つ。
それは炎を纏った、彼女の信念を纏った愛の拳。
真っすぐ伸びた拳を遮るものはなく、無防備に立ち尽くしていた樹の頬を抉った。
樹の視界が目まぐるしく移り変わり、全身は縦に数回ほど回転して地面へと叩きつけられる。
尚も勢いが衰えずに地面を撥ねた樹は近場の木に衝突して漸くその場に倒れた。
「はぁ……っ、はぁ……さ、流石に…限界、おえっ」
倒れ伏した樹の容態を気にする暇もなく、アイは全身をふらつかせる。
これが銀の勇者としての力を纏ったとしても防げるダメージの限界なのだろう。
前のめりに倒れたアイは身体を動かすこともしんどかった。
倒れ伏した両者の間に割って入るように草陰から人が現れる。三ノ輪銀と山伏しずくだ。
「あ、アイさん!気を確かに!」
「銀ちゃん……」
「勝ったんです!アイさんは樹さんに勝ったんです!
もうここを離れましょう、もしかしたら、応援の人達が駆け付けてくるかも……」
「そうね……でもマズイことに私は動けそうにありません。 だから、銀ちゃんとしずくさんに……勇者の力をお返しします…」
稚拙な動作でスマホを起動させたアイは変身を解除して、花びらをドラッグすると画面外へとスライドさせた。
画面から放り出された花びらが光となって銀としずくの端末へと吸い込まれていく。
アイが所持している借りた勇者の力は任意で持ち主への返却が可能だ。
もちろん、力を所持していないアイはその間、勇者の力を行使することが出来ないが。
「私と赤嶺さん、それとあそこのちっちゃいの……」
「樹……」
「ええ、樹ちゃん……あの子も運んで、一旦神樹世界に戻ります……戻り次第、“鎮花の儀”を……亜耶ちゃんにスタンバイの連絡を……ごふっ」
「血……吐きながら喋らなくてもいい……」
しずくに正されて、アイが答えると銀としずくはそれぞれ赤嶺とアイ、樹を背負い燃え盛る森から急速に離脱していった。
―――――その夕方、アイの家にて。
ほんわりと花のような香りと白い湯気が立ち込める一室。
人が数十人以上は入れそうな規模の浴場には3人の少女の姿があった。
一人はメイド少女、アイ。
もう一人は巫女、国土亜耶。
そして床のタイルには倒れたままの犬吠埼樹。
「湯加減40度……状態良し、亜耶ちゃん、準備はいいですか?」
「は、はい!え、えっと……ほ、本当にやるんです、よね?」
巫女服を纏った亜耶は祈祷に必要な祭具のいくつかを傍らに用意している。
裸のまま床で倒れている樹を見て、これから行われる儀式を前に頬を染めていた。
「暴走した勇者をもとに戻す“鎮花の儀”……これやらないと、またこの子襲ってくるんですから」
アイはあっけらかんとい言い放つと樹を抱えて湯船の中へと沈め、壁に寄りかからせた。
「あと個人的にはあれだけ殴られて殴られたのに解呪儀式でケロッと元通りになっちゃうってのは、割に合わないと思いますので」
アイの顔には包帯と絆創膏が張られている。
長袖のメイド服を纏っているから分からないが、本当は全身も包帯と湿布を張りまくっている傷だらけの状態だ。
本来なら寝て安静に努めなければならないのに個人的に報復するために儀式に協力する辺り、相当根に持っているのである。
成すべくは彼女が多用していた“おしおき”。その仕返しだ。
目には目を。歯には歯を。おしおきにはおしおきである。
「それでは"おしおき"ゲフンゲフン……鎮花の儀、レッツスタート」
この作品の鎮花の儀は色々とおかしいです。
樹ちゃんがお持ち帰りされたので風のメンタルが不安定になります。
そんな風を癒す為に棗さんがイチャつきます。
二人がイチャついているのを夏凜が見て嫉妬します。
そんな夏凜を見て雪花さん友奈さんが慰めます。
次第に他の勇者達も盛りだします。
そんな勇者部を見て園子ズと杏が名作を生み出していきます。
無限機関の完成です。