3話で話のネタにしておきながら今気付きました、その作者さんが感想欄におるやんけ!
しかも普通に返信もしてたし! 気付けよ私w
頬に当たる冷たい風に目が覚める。
途端、体中に走る痛みに自分が気絶していた事に気付いた。
むくりと起き上がり、周囲を見渡してみれば巨大なクレーターが広がっていて、ほんの少し前まで植物が生い茂っていた森であったとは思えないほどの荒野が広がっていた。
「っつぅ……」
二日酔いの様な気持ち悪い感覚が頭を襲う。
魔力が少なくなっているという証だ。
この状態になるまで魔法を使った事が殆ど無い為、正直かなりキツい。
あの爆発の防御に魔力を使い過ぎたな。
だが、ここでぐだぐだしている時間は無い。
現在進行形で竜王国がビーストマンに襲われている為、急いで戻らなければ最悪国が滅ぶ。
正直冒険者プレートなんてあればいいな程度で別に無くてもいい。
どうしても取る必要が出てきたとしてもそれこそ
ドラゴンの死骸でも持っていけばすぐにオリハルコンくらいまではランクが上がる。
それに竜王国が滅ぼうと俺の知った事ではないしそれはそれで運命だったんだろうで終わるのだ。
今だって放っておけば滅びるのが分かり切っているのにレイとクリムは死なないだろうしそれでいいやとめんどくさくなり動きたくなくなっている。
だがドラウディロンは別だ。
5年前のあの時、俺はあいつの事を認識してしまった。
レイのような、命を捨てても構わない程に大切な存在という訳ではない。
クリムの様に同類であるという訳でもない。
ただの知り合いだ、ピンチになったら助けてやってもいいかと思える程度の。
正直助けてやってもいいか程度で国一つの存亡がかかるのはちょっと重いが、逆に言えば死なれたら気分悪いし救国くらいならしてもいいかと思える程度には気に入っているのだ。
「それに言っちまったしなぁ、救済を与えてやるって」
気持ち悪いのを我慢して立ち上がり、魔法を発動する。
転移する場所は竜王城の執務室、ドラウディロンが寝ている場所だ。
「《テレポーテーション/転移》」
空間に円形の歪が生まれる。
ぐるぐると渦を巻く転移門、あとはこれをくぐれば転移出来る。
渦の中に入ろうと足を踏み出し、立ち止まる。
少しだけやりたい事が出来た。
じゃんけんのチョキのように人差し指と中指を伸ばし、魔力を込める。
「《クリエイト・アイテム/道具創造》」
指先に作り出すのは小さな花の髪飾り。
何の品種かも分からないような小さなものだ。
そうして作り出した髪飾りを振り返る事なく後ろに向けて放り投げ、転移門を潜った。
潜った先は竜王城執務室、特に場所がズレているとかはないようだ。
「……ドラウディロンはどこ行った?」
半日は寝ている筈なのだが姿が見えない。
ベットルームにでも移されたのか?
そう考え執務室を出ようとして、床にあるものに気付いた。
どうやら俺が思ってたよりも気絶していた時間は長く、そして事態は悪い所までいっていたらしい。
床に着いた血痕、しかもよく見れば壁などにも血が飛び散っている為、この執務室で誰かが殺されたらしい事が分かる。
いや、死体はないから致命傷だったか?
「ドラウディロンが死んでなきゃいいが」
執務室から出るとまずどこに行くかを考え、漂ってくる濃い血の匂いに眉を顰め、そちらへと向かう事にした。
道の端に転がるビーストマンの死体、進めば進むほど増えるそれに頭が痛くなってくる。
全ての死体が一太刀にて屠られている事からしてこの先にいるのはレイだろう。
この国の冒険者や衛兵にこれは出来ない。
問題は殴られて死んでいるビーストマンが一匹もいない事だ。
レイの事だからわざわざクリムを連れ回して行動する様な事はしないとは思っていた。
だがこの様子だと恐らく連れ回す様な事をしないどころかクリムを城門前に放置したのではなかろうか。
正直今の洗脳されてるクリムは自分で思考する事が出来ない時点で役に立たない。
なので今のクリムが出来る仕事、向いてる仕事は防衛だろうと考えた。
守っててくれと言っておけばそれだけで命令を果たそうとしてくれるだろうから。
考える必要が無い仕事だから。
しかし考える必要が無いと言っても臨機応変に対応はしなければならない。
だがそれすらもクリムは出来ないだろう。
なので城門前でクリムに言っておいたのだ、レイの指示に従って動けと。
レイに言ったのだ、いざとなったら敵のど真ん中に放り投げろと。
つまり、いざとなったら放り投げられるくらいの距離にいてくれと。
「そこまで言ってなかった俺が悪いな、こりゃ」
なんだかんだで箱入り娘であったレイにそこまで期待をしたのが間違いだったのだろう。
当然だ、分からない事は出来ない。出来ない事をやらせようとしても出来ないに決まっているのだ。
だからこれはそこを考慮しなかった俺のミスだろう。
「悪かったな、レイ」
「……なにが?」
壁に寄りかかって蹲り、少し荒い呼吸をしているレイに謝罪する。
唐突に謝罪されたレイは少しイラついているように見えた。
「いや、俺の伝達ミスの所為でこうなっちまったからさ。今度から気を付けなきゃなって」
「……違う」
「?」
「これは、貴方の所為じゃない。私が……」
そう言って丸まって俯くレイ。
どうやらイラついていたというよりも落ち込んでいたようだ。
屈んでその頭に手を乗せ、優しく撫でてやると目だけをこちらに向けて見上げてくる。
「うし、それじゃあ両方悪いって事で! また今度何かあったらその時に気を付けようぜ?」
「……なにそれ」
「いいんだよ、無駄に失敗を引き摺って怖がってたって仕方ねぇだろ? 楽に行こうぜ」
「……ふふ、そうね」
固く噤んでいた唇を緩ませて微笑を浮かべるレイ。
同時に肩の荷も下りたようで、体から力が抜けてリラックスし始めた。
「っと、そうだ、ドラウディロン知らないか?」
「どら……? あ……あっちに逃げてったわ」
そう言って指さすレイ。
一瞬の間とその後の反応から察する。
完全にドラウディロンの事頭から抜けてたな? まぁいいけども。
「どれくらい前に行ったんだ?」
「んー、そんなに前じゃないわ、5分もないわね」
「それなら急げば間に合うか」
頭に置いていた手を離し、立ち上がる。
あ……っと残念そうに声を上げるレイの誘惑をなんとか振りほどいて走りだし、言っておくべき事を思い出して振り返る。
「レイ、クリム回収しといてくれ!」
「……今腰が辛いんだけど」
腰? 何で腰? どっかで打ちつけたのか?
疑問に思いながらも言葉を続ける。
「まぁそれが治ってからでいいさ。どうせビーストマン殲滅するまでに1時間くらいかかるしな」
「それなら、まぁ」
「頼んだぞー!」
そうして今度こそ走り出す。
方向は分かったが何処に逃げたのかは分からない為なるべく急いで見つけなければならない。
ドラウディロンが死んでも蘇生出来るか分からないからだ。
蘇生は生命力というものを消費して行われる。
そしてその生命力は戦闘をしたり鍛錬したりといった自分を鍛える行為で増えていく。
そして蘇生した時に蘇生された側の生命力が足りなかった場合、その者は灰となって消えてしまう。
竜王とはいえ、ほぼ引き籠ってゴロゴロしてるだけで運動をしていないドラウディロンが蘇生されて生命力を残しているかは分からないのだ。
だからなるべく死ぬ前に回収したい。
かといって特にヒントも無く見つけられる筈も無く……と思ったその時、一匹のビーストマンを見つけた。
何処かへと向かって走るビーストマンと記憶にある5年前の城の構造を思い出しながら、あのビーストマンが何処へ向かっているのかを考える。
確かあの先は……
(テラスか!)
大理石の床を砕く程の踏み込みで通り際にビーストマンを殺し、そのまま続けて加速する。
テラスへはすぐに着き、屯っているビーストマンを見てここにドラウディロンがいると確信する。
「邪魔だッ!」
背を向けているビーストマン共を容赦なく切り捨て突き進む。
途中で流石に気付かれたが、だからといってビーストマン如きに止められる筈も無し。すぐにテラスの端が見え、ドラウディロンの姿も見えた。
……後ろに傾いていくドラウディロンの姿が。
「んなっ!?」
馬鹿な、自殺するつもりなのか!?
そう思い一瞬混乱し、直後聞こえてきた声に冷静になり後を追ってテラスから飛び降りた。
「我が国民達よッ!」
声を張り上げるドラウディロン。
その目には俺の姿が映っていて、しかしドラウディロンは何の反応もしない。
(目が見えていないのか!)
「諦めるなァ!」
そんな重体でもなお民に向けて諦めるなと発破をかけるドラウディロンにこのポンコツ姫は5年前から変わってないなと苦笑する。
「進み続ければ、希望は見える!」
落ちていくドラウディロンに手を伸ばす。
だが駄目だ、間に合わない。
このままではドラウディロンが地面に落ちる方が早いだろう。
「英雄は、すぐそこだ!」
げぼっと吐かれた血が俺の右目にかかる。
ッ、くそ!
手を後ろに向け、しかし掌はこちらに向ける。
「《ショックウェーブ/衝撃波》!」
放たれた魔法は俺の背中に当たり、体が勢いよく弾かれ落下の速度が速まる。
(ギッ)
背骨が折れそうな痛みが走り、しかし今度こそ間に合うと手を伸ばす。
そうして肩に手をかける事に成功し、抱き寄せようとして
「……嘘つき」
その声に一瞬思考が止まり、俺の事を言っているのだと即座に理解した。
「……悪りぃ」
「!」
今度こそ止める事なく抱き込み、体をひねる事で自分の体を下にした。
「遅れた」
直後ゴッっと、全身の内臓がひっくり返ったかのような激痛と共に衝撃が走った。
ドラウディロンを抱き抱えている為受け身をとる事も出来ず、しかしなるべく手の中のあるものに衝撃が行かない様に細心の注意を払う。
「~~~~ァぁッ」
意識が一瞬飛びかけ、即座に気絶している場合ではないと気力で引き留める。
「ガッぐ、はぁ、ドラウディロンは……まだ生きてるか」
痛みを堪えながら腕の中に収まる傷だらけで死にかけのドラウディロンを見下ろし、目を細める。
こうなったのは俺の所為なのだという事を突き付けられている気がして罪悪感が湧く。
「悪いな、助けてやるって言ったのに……」
既に魔力は枯渇気味だ。
吐き気は収まらず脂汗が滲む。
それでも無理矢理魔力を回し、発動させる。
「《
少しだけ範囲を広げた治癒魔法で自分とドラウディロンの傷を治す。
ドラウディロンを見れば穏やかな寝息を立てて静かに寝ていた。
その事に安堵し、同時に落下音に引き寄せられて集まり始めたビーストマンを見て立ち上がる。
使える魔法は少ない。
《ドラゴン・ライトニング/龍雷》でも使おうものなら即座に気絶するだろう。
どうするか悩み始めた時、袖を引かれた。
バッと振り返り下手人を見る。
「………………」
「く、クリム……?」
未だ城門前で防衛戦を続けていると思っていたクリムが其処にいた。
命令を無視した? 何故? まさか自分で考えて行動しているのか?
混乱する俺をよそにクリムは俺の腕の中で眠るドラウディロンを奪い取り、俺の服の襟を掴んで引き寄せる。
そうして屈まされた俺にキスをした。
《マジック・トランス/魔力譲渡》
「!」
キスをされた唇から魔力が流れ込んでくる。
まるで血液が逆流するかの様なその感覚はとても気持ち悪く、しかし吐き気と脂汗は静まっていく。
そうして魔力がおよそ3分の1ほどまで溜まった所で唇が離され、銀色の橋がかかった。
「助かったが……何で」
「……後で話があるでありんす。さっさと終わらせて来なんし」
「!?」
あまりの衝撃に思考が停止し、即座にフル回転しだした。
喋った!? え、今クリム喋ったよな!?
「そのアホ面はなんでありんすか? ほら、ぼけっとしてないでさっさと片付けて来なんし!」
そう言って尻を叩いてくるクリムに後で話をしなければいけないなと考えながら、ビーストマンへと突撃するのであった。
ストック切れたので次はちょっと遅くなります。
これからは出来次第投稿してく形になりますかね。
冒険者のチーム名
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ビフレスト(虹の橋)
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ノートゥング(虚無)
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アンファンク(開闢)
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ラファン(終焉)
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うっせ中二病