※この作品はR-18です。

同類探しの旅に出よう!   作:白髪ロング娘スキー

4 / 14
 
隊長って番外席次に惚れてるっていう設定で合ってましたっけ?違ってたらすみません、多分二次創作知識です。



法国出立の黄色い朝

「ふぅー、さっぱりした」

 

 体中に付着したクリムとレイの体液を備え付けのシャワーで落とすと新しい服に着替え、ベットに飛び込む。

 この部屋にはベットが二つ存在し、一つは常用兼セックス用の天蓋ベット。

 もう一つが天蓋ベットでセックスした時に使う予備ベットであり、今俺が寝ているのはこの予備ベットの方だ。

 

 正直、こちらの予備ベットはあまり良い物ではなく―とは言っても、平民の5年分の生活費くらいはするのだが―其処まで使う事は無い。

 基本的には天蓋ベットで寝ていて、なんならセックスして汚れた後の天蓋ベットのシーツ替えを自分で行ってまで天蓋ベットで寝る。

 

 本来なら今もこちらのベットではなくシーツ替えをしてあちらの天蓋ベットで寝たいところではあるのだが、残念ながら今は使えない。

 

「ぁ、ぅ……」

「すぅ、すぅ……」

 

 絶頂に重なる絶頂で意識が天国に吹っ飛び、俺がシャワーを浴びて出てきても未だに体の痙攣が止まっていないレイと天使のような寝顔を晒すクリムが占領しているからだ。

 ……なんだろう、二人とも裸で精液塗れなのは変わらないのにこの違い。

 

 そんなレイも可愛いが。

 

「にしても、軽く散歩に出るだけで同類と出会えるモンなんだなぁ」

 

 そう、驚くべきはそこだ。

 流石にクリムの様に従属神と遭遇なんて事は滅多に無いだろうが、俺の運が悪くて今まで出会えていなかっただけで意外と探せば居るものなのかもしれない。

 最初にレイと出会った時の様に、実はすれ違っていたとしても気付いていなかったという可能性もあるだろう。

 

 同類を見つけたら保護、なんて事を考えている訳ではない。

 既に俺みたくレイの様な大切な存在と出会えていたりする者もいるだろうし、秘境などに引き籠って関わってほしくない者だって存在するだろう。

 そういう者達を含めて同類は皆保護するなどと頭の湧いた事を言うつもりはない。

 

 そう言っておきながらクリムは保護したじゃないかって? クリムの場合は単に洗脳されて放置していたら餓死していたから保護したに過ぎない。

 これが洗脳されずに出会っていたのならば、多分最悪殺し合いに発展していただろう。

 

 もしかしたら、これから会う同類はそういった殺し合いに発展するような物騒な奴しかいないかもしれない。

 だが、それでも同類に会えるのならば会ってみたいと思うのだ。

 しかし……

 

「この神都から出れないのが難点だよなぁ」

 

 別に外出全面禁止という訳ではない。

 普通に外を出歩く事は許可されているし、城から出さえしなければ中庭でも図書館でも好きに過ごしてもらって構わないと言われている。

 事実レイが部屋に来る前に読んでいた本は其処から持ってきたものだ。

 

 まぁ他の六色とはあまり関わるな、それと問題を起こすなとは言われているが。

 そも軟禁と言っても、この部屋の中でなら自由にセックスでも何でもしてていいから、極力其処で閉じ籠ってて欲しいといったお願いに近い。

 

 軟禁も、それに付随する条件という約束も最高神官長との口約束に過ぎないのだ。

 破ったところで軽く眉を顰められるだけでとやかく言われる事もない筈だ。

 

 しかし、恐らくこの部屋は二度と使えなくなるだろう。

 俺が言うのもなんだが、この部屋はヤリ部屋としてはこの世界の中でも1、2を競う程高水準な物だと思っている。

 

 ぶっちゃけてしまえば、この部屋を手放すのが惜しい。

 手放したところで同類と確実に会えると決まった訳でもない。

 そう考えると少し悩んでしまう。

 

 そして、恐らくはそう考えている事を最高神官長も知っている。

 この5年間一度も約束や刑罰、そしてこの部屋に関して何か言ってこなかったということはそういうことだろう。

 

「……うし、行くか」

 

 ぴょんっとベットから飛び降りるとレイとクリムに布団をかけて部屋を出る。

 目的地は城の最上階にある一室、最高神官長の部屋だ。

 

 外は見えないが今までの傾向からしてレイがあの部屋に来る時間は大体夜中、そこから数時間ほどセックスをしていたから今は多分早朝の筈だ。

 そのくらいの時間帯ならあの爺も起きてるだろう、なんせ爺だしな。

 

 階段を登りきりスレイン城一階に着くと、予想通り日が昇り始めていた。

 それもだいぶ昇り切っている。

 

 辺りを見渡せば忙しそうにメイドが走り回っていた。

 その内の一人を呼び止める。

 

「悪い、地下一階の一番奥にある部屋のベットのシーツ替えといてくんない? 女が寝てっから起きてなかったらシーツ置いてくるだけでもいいよ」

「え? あ、はぃ……」

 

 そう言うとメイドは少しして顔を赤くする。

 これだけで顔を赤くするほど何が起きたかを理解するとなると以前に頼んだことがあるメイドかな? 正直興味もない人間の顔なんていちいち覚えてないからよく分からん。

 

 まぁいいかとその場を去り、スレイン城の最上階を目指して歩く。

 一度決めたのだし、パパっと話を済ませたい。

 ぶっちゃけちょっとでも躊躇うとあのヤリ部屋の魔力に負けそうになる。

 

「だからさ、そこ通してくんね?」

 

 男なんだか女なんだがよく分からん顔をした人間、漆黒聖典第一席。

 それが粗末な槍を携えこれ以上は進ませないと俺の前に立つ。

 

 っていうか何あの槍、見てるだけで肌が粟立ってくるんですけど、壊しちゃダメ?

 

「何処へ行くつもりだ」

「最高神官長室」

「目的は」

「あの部屋からの解放」

「……そうか」

 

 立ち位置も体勢も変わらない。

 しかしこちらを止めようとするかのような威圧が吹き荒れ、その中に一陣の殺気が混じる。

 

「で、通っても?」

「あぁ……駄目だ」

 

 大理石が砕けるほどの踏み込みと共に急接近してくる第一席。

 

 恐らくは俺があのヤリ部屋の誘惑を振り切って軟禁からの解放を望んだら止めるようにとでも言われていたのだろう。

 けれどこいつでは俺を止められない事ぐらいはあの爺なら分かっている筈なのだが。

 

 ……あぁ、そこでレイか。

 けどあいつに俺に関する事を頼むのは悪手だと思うんだがな。

 事実そんなレイが連れてきたクリムの所為であの部屋を捨てる決心が着いたんだし。

 

 そんな思考に耽りながら振るわれる槍に手を添えて受け流す。

 

「今セックスしたばっかで気怠いんだけどー?」

 

 途端、振るわれる槍に殺気以外の怒気が混じり、振るわれる槍の軌跡が第一席を包む光の玉の様に見える程に速度が上がる。

 だがそれは技を捨てて振るわれるものだ。

 となればこれほどあしらい易い物もない。

 

 そう考えながらなぜ急にこいつが激高したのかを考える。

 振るわれる槍に混じるのは殺気と怒気と……嫉妬?

 

「あー、お前レイ、番外席次に惚れてたのか?」

「何を、っぐ!?」

 

 一瞬嵐の様な槍撃が止まる。

 それは瞬き一つ無いほどの一瞬、それでも俺にとっては大きな隙だ。

 

 がら空きの胴に向けて拳を振り抜く。

 

 動揺していた第一席は踏ん張って耐える事も出来ず、受け身も頭からすっぽ抜けたのか無防備に攻撃を食らい並んでいる柱の一つに突っ込んでいく。

 

「そりゃ悪い事したな。お前がいつから番外席次に惚れてたのかは知らんが、今の彼奴は俺の女だ」

 

 そもそも俺はレイの口から第一席の話題……というか、六色聖典の話題を聞いた事が無い。

 偶に匂わせるくらいに話す事もあるが、ガッツリと話のネタにした事が無いのだ。

 

 つまり、此奴は恐らく告白も何もせず、俺に抱かれに行くレイを止めることすらもせずにただ眺めていただけなのだろう。

 せめてレイに告白していたり止めようとした事があったのならばレイを引っ張ってきて綺麗に振らせて終わらせるのだが、それもせずにただ八つ当たりをしてくるのならばそれはもはや俺の知った事ではない。

 

「んじゃ、俺急いでっから」

「ッ、待て!」

「……はぁ、なんだよもぉー」

 

 それなりに力を入れたから内臓にも少なくないダメージがいっている筈なのだが、そんな事を気にした様子もなくふらふらと立ち上がる第一席に少しイライラしてくる。

 

「この先には進ませない」

「俺がこの城にいる限り番外席次はあの部屋に通い続けるぞ」

「だからといってお前を外に出せば彼女はそれに着いて行ってしまう」

「そんなに執着すんならさっさと告白でもしろよ。それにあいつが頷くなら別にそれはそれでいい」

 

 ただし、1年ぐらい寝込んで洗脳を解く事も無くクリムとヤケセックスでもするだろうけどな!

 

「番外席次は私の憧れなのだ! 彼女にそのような感情を向けるなど……」

「だったらさっさと諦めて其処を通せよ、うじうじうじうじとうざってぇ男だな!」

 

 俺は恋愛相談所じゃねぇんだぞこの野郎。

 もういいよね? 我慢しなくてもいいんだよね? もうぶん殴って押し通るよ?

 

「もうお前さっさと寝とけ」

 

 つま足で大理石の床を蹴り、一歩で第一席の横まで移動する。

 

 気付いた第一席が槍を振るものの、槍とは中距離で突いたり払ったりして使う物だ。

 この超至近距離で振るったとしても通常の半分の威力も出はしない。

 

 槍を持つ手を押さえ、その綺麗な顔を吹き飛ばす。

 ゴォンという大砲の発射音のような轟音を立てながら吹き飛んだ第一席はそのまま壁にめり込み動かなくなった。

 死なない程度に手加減はしたし生きてはいるだろう、死んだら死んだでその時だ。

 

 この事を弱みにされそうになったら問答無用で逃げ出せばいい。

 全力で逃げ出す俺を止められるのはせいぜいレイくらいだ。

 そのレイがこちら側となると止められる者などいないだろう。

 

「今レイは俺の部屋で寝てる、俺が戻ってくるまでにまだ何もしてなかったら、もう俺は知らん」

 

 聞こえているかどうかも定かではないが、そう言って俺はその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

—――――――――――――――――――――――

 

 

 のそのそと立ち上がり、肩に着いた瓦礫や埃等を払って国宝である槍を拾うとゆっくりと歩き出す。

 向かう先はスレイン城地下一階、その最奥の部屋。

 すれ違うメイド達がみな驚き、その男が階段の奥に消えていくのを見送った。

 

 スレイン城地下一階は非常に重要な施設が集まった場所だ。

 転移管理室、宝物庫、そして一番重要な神の遺産の管理室。

 殆ど知られてはいないが、地核聖典とはそういった地下にある重要施設を守る役割を持っている。

 

 地下の構造は単純で、地下に降りて向かって右側に転移管理室があり、左側に宝物庫がある。

 そしてその奥に現在唯一の地核聖典であるリビドー・ブレインの住む部屋が存在し、その部屋の更に奥に神の遺産が保管されている部屋がある。

 

 彼に課せられた刑罰である軟禁とは名ばかりだ、彼に本来の仕事をさせているだけなのだから。

 唯一の問題とも言えるのは休みが無いという一点だが、そこは好きに女を連れ込んでいいという契約で双方納得していた。

 其処まで攻め込んでこれるような者がそもそも存在しないから仕事をしなくてもいいというのもあったのだろうが。

 

 とはいえ彼は非常に選民思考が強く気紛れであるため、やっぱ止め~たと言って仕事を放り投げる可能性がある。

 だからそのストッパーとして最高神官長が番外席次と漆黒聖典第一席にもしも彼が逃げ出そうとしたらそれを止めるようにとお願いしていたのだが……

 

 扉の前に立つ。

 彼の言う通りではここで彼女が、番外席次が眠っているらしい。

 

 彼女を起こさない様に、ゆっくりと扉を開ける。

 大体20畳ほどの大きさの部屋、その一角に置かれている天蓋ベット。

 そこで二人の天使が眠っていた。

 

 つむじ部分で白と黒に別れた髪、幼くも大人の様に凛とした顔。

 自身が想いを寄せる、何時もであれば他人を揶揄うような艶やかな目を見せる彼女がその目を閉じ、うつ伏せで寝ている。

 その隣では滑らかな銀髪に幼い顔をしたまだ子供であろう美少女が猫の様に丸くなり、親指を吸いながら眠っていた。

 

 二人の絶世と付けても誰も文句を言わないであろう美少女達の体には白い液体が所々付着しており、その幼い容姿からは想像もつかないような卑猥な事をされたのだろうとこちらに妄想させる。

 布団に覆われていて二人とも肩から下は見えないが、それを退かせばどれだけの美しい花薗が現れるというのだろう。

 

 思わずごくりと息を呑んだ。

 今ここで服を脱ぎ、眠っている彼女達の花弁を貫き自分の物とすればどれだけの快楽が得られるというのか。

 

 ゆっくり、ゆっくりと彼女に手を伸ばし。

 

「んぅ、りび……どぉ……」

 

 ぴたりと止まる。

 呟かれた番外席次の寝言、その言葉で何故自分が今此処にいるのかを思い出す。

 

 今自分は何をしようとした? 憧れの彼女の裸体、それを見て自分は何をしようとしていた? 

 自分は彼女に告白を、出て行かないでくれと、俺と一緒にいてくれと言いに来たのではなかったのか?

 

 欲に負けそうになった自分に嫌悪感が湧く。

 だってそれは彼女への憧れが、恋幕が下賤な性欲に負けたという事ではないか。

 

 くるりと踵を返し、音を立てない様に静かに部屋を出ていく。

 自分に彼女へ告白する勇気どころか、資格さえも無かったのだと気付いて。

 

 薄く開かれた赤と白の一対の瞳が、じっとそんな背中を見つめていた。

 

 

—――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 暫く歩いているとはっと気付いた。

 

(あ、やべぇ。レイもクリムも裸じゃん)

 

 まぁ洗脳されて意識の無いクリムは兎も角、レイならば大丈夫だろう。

 襲われそうになっても、彼女ならば簡単に撃退出来る筈だ。

 

 出来なかったらその時はその時だ、レイの力への信頼を一段下げた後に第一席を塵にすればいい。

 

 正直老体には厳しいと思う長さの階段を上る。

 まぁあの爺は《飛行/フライ》を使うから階段などあって無いようなものなのだろうが。

 

 最上階へ着くと同時に奥の方にある部屋の扉が自動で勝手に開く。

 どうやら監視されていたらしい。という事は俺の目的は理解しているという事なのだろう。

 

 扉を潜り部屋に入ると再び扉が勝手に閉まる。

 部屋の中では爺が紅茶を入れて歓迎の準備をしていた。

 

「うむ。まぁ座りなさい」

「……おい、俺の目的は」

「よいから、ひとまず座りなさい」

「……」

 

 これだ。

 

 少し接すると分かるのだが、兎に角この爺は自分の意思を曲げない。

 狂信者たるもの簡単に自分の意思を曲げてはならないとでも言いたいのだろうか。

 

 恐らく俺の話を先に聞け、でなければ殺すと武器を喉元に突き付けられてもこの爺は壊れた魔道具の様にひたすら着座を勧めてくるだろう。

 

 この段階でそんな無駄な反抗をしても意味など無い、大人しく勧められるがままに置かれたソファに座る。

 

「うむ、確か君の好みはこれだったかな」

 

 そう言って出されるイチゴ、それに思わず手を伸ばしそうになり止める。

 

 かつて六大神が遺した無数のアイテムや知識。

 このイチゴという果物はそのアイテムと知識をもって栽培された貴重なものだ。

 買うとなれば10粒の一セットで金貨を5枚は出さなければならない。

 なお平民であれば金貨3枚で一年を過ごす事が出来るため、事実上たった10粒の果実と平民の一年半が等価という計算になる。

 

 俺はこの高級果実であるイチゴが大好物であり、地下に軟禁される前はよく狂ったように買い漁り干しておやつとして持ち歩いていた。

 軟禁されている間は全然手に入れることが出来ずよく禁断症状も起こしかけたし、それとなくレイに入手出来ないか聞いてみたりしたこともある。

 しかしそれを爺に言った事は無いはずだ。

 

「番外席次が言っていたよ、よく分からないが君はイチゴとかいう食べ物が好きらしいと」

 

 なんというか、俺の情報が凄く漏れているような気がする。

 しかも主にレイによる俺のどうでもいい情報が。

 

 ってそんな事はどうでもいい。イチゴを一粒摘まみながら話を戻す。

 

「監視してたなら分かってるだろうが、俺は神都を出てくぞ」

「うむ、じゃろうな」

「多分それにレイ、番外席次も付いてくる」

「ふむ」

「……止めねぇのか?」

「止めんよ。止めようとしても止められんだろうしな」

 

 なんだか拍子抜けする。

 俺がいなくなったところで多少困る程度で済むだろうが、それに加えてレイがいなくなればそれは一大事と化す筈だ。

 止めようとしても止められないのも事実、とはいえそれを加味しても疑問に思う。

 

 何故この爺はこんなに冷静でいられている?

 

「なんか企んでんのか」

「企んでいるという程の事ではない。以前からこうなるだろうなと思っておっただけだ」

「……俺と番外席次が抜けた穴はどうする。俺とレイは法国の最大戦力だ。それが同時に抜けるってのは問題になる筈だ。それと番外席次の外出禁止令もあったろ」

「うむ、それに関しては考えがある」

 

 そう言うと爺はおもむろに立ち上がり、何か魔道具を三つ持ってくる。

 

「これは好きな時にこれを持っている相手と《伝言/メッセージ》が出来るという魔道具だ」

「つまりなんだ、それでアンタが呼び出した時は、いついかなる状況であっても応えろって事か」

「そうだ。まぁそのような事態など滅多に起こらんだろうがな」

 

 何かあれば魔道具を通して《伝言/メッセージ》が飛んできて、その時何をしていようが最優先でそれに応え依頼された事を達成しなければならない。

 最大戦力が二人同時に抜けるための条件としてはかなり緩い方だろう。

 

 だが、だからこそ怪しい。

 

「で、他には?」

「番外席次の神都外での過剰な戦闘行為を禁止する。評議国の白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)に番外席次の存在が知られるのは不味いでな」

「その過剰の範囲は」

「第四位階以上の魔法の使用禁止、タレントの使用禁止だ。それに加えて探知阻害以外の宝具の持ち出し禁止、以上だ」

「意外と緩いのな」

「本来なら戦闘行為自体してほしくないんだがの、そこまで縛っては逆に暴れだしてしまうだろう」

 

 よく分かってるな。

 

「で、他には? まだあるんだろ?」

「……うむ、出来ればでいいのじゃがな、抜けてしまった漆黒聖典第九席の補充とカイレの代わりとなるケイ・セケ・コゥクを扱える人物を探してきてほしい」

「あん? カイレのババァは兎も角漆黒聖典なら死んでも蘇生出来るだろ? それとも蘇生も出来ないほど吸血鬼に跡形もなく消し飛ばされたのか?」

「ふむ、脱走していた番外席次にでも聞いたか? まぁいい。第九席「疾風走破」は「叡者の額冠(えいじゃのがっかん)」を強奪したのちに逃走、現在は風花聖典がその排除に向かっている。吸血鬼によって殺された者の蘇生は出来ておるよ」

 

 レイめ、思いっきり脱走した事に気付かれてんじゃねぇか。

 流石に正面玄関から堂々と出て行ったって事はないだろうし、探知阻害の宝具を着てた事からして城を抜け出す時に姿を見られてたんだろう。

 この調子だとクリムの存在も気付かれてると思った方がいいか。

 

「第九席の排除を俺に依頼はしないのな」

「確かに優先的にやってほしい事柄ではあるが、別に最優先というほどでもないからの。あれでも元漆黒聖典、風花聖典に追われている時に派手に暴れて自身の存在を晒すような真似はせんだろう」

 

 話は終わったとばかりに息を吐き、背凭れに背中を預ける爺。

 ここで話を中断させるような事をするって事は条件はこれで終わりなのだろう、ならばもう爺に用はない。

 最後のイチゴを摘まみながら立ち上がる。

 

「あぁ、それと」

 

 扉に手を掛けた瞬間、小さく呟く爺。

 まだなんかあんのかと思いつつも振り返る。 

 

「おぬしの部屋にいる吸血鬼、その血と爪が欲しい。何かの役に立つかもしれんからの」

 

 その言葉を受けてやっぱり気づいてたかと思い、何故そんな大事な事を条件に含めないのかと疑問に思う。

 

「置いてけ、とは言わねぇのな」

「あの部屋に連れ込んだ女は好きにしていいと言ったのは儂だからな。その約束を破ったりはせんよ」

「俺はその約束を破り外に出ようとしているが?」

「はて? おぬしは儂に依頼されてそれを遂行しようとしているだけだろう? ついでに、今まで閉じ籠っていた分少しは旅を堪能してきても構わんよ」

 

 つまり、この爺はこう言っているのだ。

 

 こちらの依頼さえこなせば、レイもクリムも関係しないから好きにしていいし、問題さえ起こさなければ好きなだけ外を堪能してきてもいい。

 あのヤリ部屋はそのままにしておくからこちらから呼んだり満足したら戻って来いと。

 

「…………クリムの血と爪は部屋に置いとく」

 

 返事を聞かずにそのまま扉を開けて部屋を出る。

 

「くえねぇ爺だ」

 




星1評価3つ…悲C……
私は酷い扱いで興奮するドMではなき…

そしてヤマハ117様の星9評価……嬉C!
やる気が高まる、溢れるぅ…

いいよいいよ、そういうのもっと来て!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。