※この作品はR-18です。

同類探しの旅に出よう!   作:白髪ロング娘スキー

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ずっとリザードマンで書いてたんですが途中でビーストマンだと気付いた私の阿保さ加減よ。



ビーストマンとポンコツ姫

「よーし、それじゃあ点呼を取るぞ! レイ!」

「ふぁ……ふ」

「よし、クリム!」

「………………」

「全員揃ってるな! よし、行くぞ!」

「ちょっと待ちなさい」

 

 意気揚々と歩き出そうとする俺の首根っこを掴んで止めるレイ。

 その首からは例の条件の一つである魔道具がアクセサリーの様にぶら下がっている。

 

「起きたら突然旅に出るぞ、準備しろなんて言われたのはもういいわ。宝具も探知阻害以外の物は持っていけないというのもまぁ良いでしょう。けどせめてどこに行くかくらいは教えて頂戴」

 

 目をくしくしと猫の様にこすりながらため息を吐き、そう呟くレイ。

 先ほどの点呼の時にもあくびをしていたしとても眠そうだ。

 

「それなんだがな、まずは俺も知ってる所に行こうと思う」

「知ってる所?」

「おう、竜王国だ」

 

 五年前法国へ来る前にいた国であり、ぶっちゃけ行きたくない所でもある。

 

「竜王国って、あのビーストマンの国?」

「俺が五年前に結構ビーストマン減らしたし今頃はちゃんと人間の国だと思うがな」

「ふーん。で、何しに行くの?」

「冒険者登録をしに行くんだ。正直無くてもいいが、冒険者プレートは結構便利だからな。それを取りに行く」

 

 法国に行く前はオリハルコン級冒険者として活動していたのだが、俺は法国に行くと言ってから五年もの間一度も冒険者として活動をしていないため恐らく俺は既に死んでいるものとして扱われている筈だ。

 

 プレートも気付けば何処かへと無くしていたため、それで証明する事も出来ない。

 だから本来なら銅級(カッパー)からやり直す事になるのだが、そんな面倒な事はしたくない。

 

 そこで竜王国が出てくる。

 あそこの国の女王とは顔見知りであるため、顔を出しに行けばプレートを再発行してくれる筈だ。

 

 あの女王の事だから何か条件を付けてくるだろうが、あのポンコツの事だから其処まで面倒な事にはならないだろう。

 

「んじゃ、行くぞ」

「はいはい。ほら、行くよクリム」

 

 

 

—――――――――――――――――――――――

 

 

 

「という訳で着きました竜王国!」

 

 んで今私にはとっても言いたい事が一つありまぁす!

 

「このビーストマンの量はなんじゃああああ!? ふざけるなぁぁあああ!!?」

 

 叫びと共に振り抜かれた怒りの鉄拳で一度にビーストマンが三体吹き飛ぶ。

 

「あのポンコツ姫は一体この五年間なにしてたんだオイ!? 明らかに五年前より増えてるじゃねぇかああああ!!?」

「うるさいわねぇ、どうせそのポンコツ姫とやらがなんかやらかした以外にないでしょう」

「…………」

 

 そう言って手に持ったミスリル製の剣でビーストマンを二つに分けるレイ。

 その奥では立ち尽くしたまま襲ってくるビーストマンだけを殴り飛ばしているクリムの姿が見えた。

 

「チィッ、キリがねぇ、魔法で一気に吹き飛ばして突っ切るぞ!」

「……ま、賛成しておくわ」

「うーし、《魔法効果二重拡大最強化(ツインワイデンマキシマイズ)》か~ら~のぉ~《エレクトロ・スフィア/電撃球》ァ!」

 

 宙に浮かせた一つのボール、それが魔法強化魔法を唱える度に二つに増えた後に大きくなり、ビジジジと音を立てて稲妻を迸らせる。

 

 それを行けと押し出せば、視界を埋め尽くしそうなほどのビーストマンの群れを呑み込みながらどんどん大きくなっていき、二つの巨大なドームを作り出す。

 

 暫くその場に留まり続けた二つのドームが消えると、其処には塵一つ無い抉れた地面のみが残っていた。

 呑み込み切れなかったビーストマン達はその威力に怖気づいたのか、遠くでこちらを眺めたまま動こうとしない。

 

「うし、行くぞ!」

 

 クリムを抱きしめ、敵がいない隙間を通って走る。

 襲われそうになっては魔法を撃つことを繰り返す事数回繰り返すと、遠目に町を囲う壁が見える。

 其処には大量のビーストマンが群がっており、這い上がろうとするビーストマンを衛兵や冒険者達が必死に突き落としている姿が見えた。

 このまま走っても門からは入れそうにない……となると。

 

 横を走るレイをクリムと同様に抱きしめる。

 

「《フライ/飛行》、レイ! 何でもいいからあのゴミ山に魔法を落としまくれ!」

「はいはい、《魔法効果二重拡大最強化(ツインワイデンマキシマイズ)》《ファイアーボール/火球》《ファイアーボール/火球》《ファイアーボール/火球》」

 

 空から落とされるレイの爆撃は群がるビーストマン達を次々吹き飛ばしていく、が数が数であるために減らしても減らしても補充されていく。

 

 だが一瞬でも十分だ。

 

 登ろうとしていたビーストマン達が消えて安全になった歩廊へと着地し、抱き抱えていた二人を置いて振り返る。

 

「《魔法効果三重拡大(トリプレットワイデンディステン)延長最強化(ジングマキシマイズ)》《ドラゴン・ライトニング/龍雷》、そおら消し飛べェッ!!」

 

 発生した先ほどと同じ雷で出来たボールを宙に放り投げ、上がった手を振り下ろす。

 すると振り下ろされた腕と連結するかのように宙に浮かぶボールが形を変え三匹の龍となりビーストマンへと降り注ぐ。

 それを指揮する様に腕を振れば、まるで意思があるかのように三匹の龍が進行方向を変え、落雷から逃れたビーストマン達を逃がしはしないとばかりに追っていき消し飛ばしていく。

 それが収まる頃には群がっていたビーストマンの大半が消滅しており、異変に気付いたビーストマン達が距離を取ってこちらの様子を伺っていた。

 

「ん~、久々だからかちょっと弱いな」

 

 大半は消滅させられた、しかし大半しか消滅させられていない。

 五年前の俺なら一匹残らず消滅させた上でまだ魔法がこの場に留まっていただろう。

 

「まぁいい、これで暫くは攻めて来ねぇだろ」

 

 振り返ればこれ以上ないほど驚いていると出張している顔で衛兵や冒険者達がこちらを見ていた。

 取り敢えずそちらは無視し、胡坐を掻いて俺を恍惚とした顔で見ているレイと放り出されたままべちょーっと床に突っ伏しているクリムに手を貸して立たせる。

 すると俺に向いていた視線がそちらに向き、二人の美貌に見惚れる。

 

 おうおう俺の女達は美しいか、美しいだろうなぁ、けど今それどころじゃないと思うんですけど? パンパンと手を叩き視線をもう一度俺に集める。

 

「おう、取り敢えずドラウディロン出せ、ちょっと聞きたい事がある」

 

 

 

—――――――――――――――――――――――

 

 

 

 竜王国王城、その執務室にて豪華なドレスを着た幼女がFXで金を融かした様な顔をしてソファの一部と化していた。

 その傍では宰相(さいしょう)がパパっと書類仕事を終わらせて寛いでいる。

 

「なぁ……」

「なんですか」

 

 力の無い腑抜けた声。

 それに宰相は何時ものやつかと女王、ドラウディロン・オーリウクルスの癇癪に備える。

 

「私、もうこんなヒラヒラした体が透けて見えそうな服着たくないんじゃが」

「仕方ないでしょう、あのアダマンタイト級冒険者が貴女のその恰好をご所望なのですから」

「それが嫌じゃと言うとるんじゃ! 分かるかおぬし!? あ奴の獲物を見るような視線が! 割とマジで喰われると思うのじゃぞ!? 仮にも竜王のこのワシが!」

 

 竜王国に攻め入るビーストマン、その数約30万。

 因みにビーストマンという種族自体が人間の10倍近くの力を持っているため、対抗するには単純計算で約300万の兵が必要となる。

 

 当然ながら竜王国にそんな兵力は無い。

 戦う力の無い女子供まで含めて全て掻き集めたとて100万の大台に届くかどうかといったところか。

 

 そんな命を投げ捨てる為にあるような戦いに参戦しようとするような奇特な存在など殆ど居らず、そんな中戦ってくれる力を持つ者となるととても貴重であり生命線の一つでもあった。

 ただし

 

「ロリコンですからね、あの人」

「それ以外はよい! だがそれが全てを台無しにしておる!」

「顔はいいですし力もあるでしょう。彼の何が嫌だというのですか?」

「私を喰い物にしようとするその考えじゃ! 本来の私はもっとこう、ないすばでぇなのじゃぞ!? それをこんな私の子供の頃の姿をあんな背筋が凍りそうな目で見てきおって!」

「いいじゃないですか、今のところは見るだけで満足されておられるようですし」

「今のところはな!? あ奴の目を見てみろ! どっからどう見ても性犯罪者一歩手前の奴の目じゃぞ!?」

「それは賛同しますがね」

 

 酷い言われようだが事実である。

 現在竜王国ただ一人の最高位であるアダマンタイト級冒険者のセラブレイト、その正体はロリコンを拗らせたペドフィリアである。

 

 因みに今現在彼はビーストマンを殲滅してくれれば結婚してもいいというドラウディロンの知らない内に結ばれ、そして今現在も知らない契約の元にドラウディロンと結ばれることを夢見てビーストマンを狩っている真っ最中である。

 

「まぁ悪い相手ではないでしょう。むしろ今すぐ結婚してやるから気張れくらい言えばすぐにでも突撃してくれるのでは?」

「私の貞操と引き換えにな! もう変装を解いて本来の姿でも見せてやろうか!?」

「お止め下さい、陛下が保護欲を刺激される形態だからこそ、皆は頑張ってくれるのですから」

「形態言うな! ええい、この国にはロリコンしかおらんのか!?」

 

 ぶっちゃけてしまえばいない事も無い。

 ただしロリコンとの比率は絶望的な9.8:0.2だが。

 

 だが待ってほしい、別に最初の頃からこうだった訳ではないのだ。

 むしろ最初の頃はロリコンとの比率は半分程度で済んでいた。

 それがこのようになってしまった事にはちゃんと原因がある。

 

 その原因がこれだ。

 

『うぅ~、本当に言うのか?』

『ええ、私の計算が正しければこれで今現在竜王国にいる者は皆陛下のために動いてくれます』

『ぐぬぬ、もしも駄目だった場合は覚えていろよ?』

 

 

『みんな! いまりゅうおうこくはびーすとまんのせいできけんなことになってるの! ほんとうはわたしひとりでどうにかしたいんだけど……ごめんなさい、わたしがちからぶそくだから……だから、みんなにもてつだってほしいの!』

 

『……おねがい?』

 

 

 堕ちた。

 

 艶めいた金髪を靡かせる自分たちの子供程度の年齢しかないであろう女王。

 そんな彼女が顔を赤くして断られるかもしれない、国が滅ぶかもしれない恐怖に震える。

 それでも逃げる事なく国を案じ、自身達を案ずるがためのおねだりをする。

 

 そんな彼女の懇願に耐えられる者は誰一人として竜王国には存在しなかった。

 

 今現在竜王国に居ながらロリコンでない者は依頼などで訪れた冒険者や商人などの外部からの来訪者だけであり、それすらも少しずつ竜王国の住民達による布教により駆逐されつつある。

 

 非ロリコンが一匹残らず駆逐される日は近い。

 

「それよりもよいのですか、そろそろ彼が来る時間ですよ」

「あぁ……今日も来てしまうのか。憂鬱じゃ」

 

 ため息を吐き、気怠げに立ち上がる。

 そんな姿を見て宰相はぽつりと呟いた。

 

「彼は」

「ん?」

「五年ほど前でしたか、突然現れ瞬く間にビーストマンを壊滅せしめた男。彼はいかがです?」

「あぁ、奴か。だが奴にはこの変装は通じんと思うがな。ロリモードで迫ったらとんでもなく冷たい目で見られた事は未だに時たま思い出すわ。あ奴め、仮にも見た目幼女にあんな目向けるかフツー」

「おや? あの時は特に何か言った覚えはないのですが、もしやご自分から行かれたので?」

「……まぁ、番いとしても悪くはない男だったしな。だが最近は全くその名を聞かん。あれほどの男が有名にならん筈もなし、今頃は空に旅立っておるじゃろう」

 

 正直人格や人間としてどうかを見れば最低も最低のクソ野郎であったとは思うが、自身に流れる竜の血ゆえかやたらとドキドキとさせられた男の事を思い出し、少し哀愁に耽る。

 

 そこにコンコンと叩かれた扉。

 入室を許可すればキィっと音を立て、部屋の扉が開けられた。

 視線を向ければ其処には内政官が立っており、此方に向けて礼をする。

 

 この男は、というか内政官などの城に務める者はほぼ例外なくドラウディロンの素を知っているロリコンであるためソファでべちょりと溶けているドラウディロンを見ても特に反応する事は無く、むしろ微笑ましげに見ていた。

 

「失礼いたします。セラブレイト様御一行がいらっしゃいました」

「そら、来たぞ。既にいない男の話をしてもしょうがない。さっさと迎えてさっさと帰すぞ」

「いえ、少々お待ちを」

「なんだ?」

「いえ、今御一行と……」

「何? そんな馬鹿な、もしやあれクラスのロリコンが更に増えるのか? 終いにゃ私ボイコットするぞ?」

 

 宰相の疑問の声に上げかけていた腰が止まり、勘弁してくれという思いと共に再びぺたんとソファに座り込んだ。

 柔らかいソファがふにふにとその小さな尻を包む。

 

「あー、セラブレイト以外には誰が来とるんじゃ」

「名前は不明ですが、とても美しい容姿をした少女二人を連れた男の計3名です」

「あーあかん、ロリコンじゃ。しかも自分のものにした幼女をどこにでも連れ歩いて見せびらかすタイプのヤバいロリコンじゃ。私が行ったら即座にマッパにされた上で美味しく頂かれるわ。という訳でご丁重にお帰り願え。渋るようなら適当に私の絵でも包ませればええじゃろ」

「おや、良いのですかな?」

「現実の私が穢されるのに比べれば虚像の私がどれだけ穢されようと構わんわい。なんかもう、今ロリコンの相手をしたら崩壊するぞ、主に私の何かが」

 

 そう言って頭を抱え、なんとか追い返してくれと手をひらひらと振るドラウディロン。

 その耳にカツカツという大理石を叩く音と何かをズルズルと引き摺る様な音が届けられる。

 

「ぬ、もしや既に此処に向かっておるのか?」

「え、いえ、そんな筈は……」

「何やら近付いてくる足音が聞こえるが。というかなんかこの状況にデジャブを覚えるんじゃが」

 

 そう、確か五年前もこうしてロリコン達により胃へのダメージを負いながら頭を抱えていた時に、ビーストマンの死体を引き摺って許可も無くこの執務室まで辿り着き、その扉を蹴り破った男がいた。

 

 カツカツと響く足音が内政官と宰相の耳にも届くようになった頃、その足音がふと止まる。

 

 思わず息が止まる。

 何が来ようとしているのか、なぜ止まったのか、そんな疑問が止まらない。

 それから少ししてカツッという一つの音が響き、再び歩き始めたかと気を引き締め、

 

 ドゴォオオンという轟音と共に扉が吹き飛び壁に叩きつけられた。

 衝撃波で髪がふわりと靡く。

 

 突然鳴り響いた轟音と計100㎏はありそうな扉が軽々と吹き飛んだ事に思わず頬がヒクヒクと痙攣する。

 ゆっくりと吹き飛んだ扉へと視線を向ければ、此処に居る者皆が知るドラウディロンの胃を痛めるためだけに存在する《幼女崇拝(ロリコン)》というタレントを持つ男、セラブレイトが倒れていた。

 

 よく見ればその頬はあれ、ブルーマンかな? という疑問を持ちたくなるほど青く膨れ上がっていた。

 

「ドぉラぁウディロぉぉォン……」

 

 まるで深淵からの呼び声、死の宣告。

 本能が言っている。そちらを見るなと。

 それに従い意地でも入口には目を向けない。

 

 そんなドラウディロンの必死の現実逃避も空しくガシッと頭を掴まれる。

 部屋にいる二人にさりげなく視線を向けて助けを求めてみれば、二人とも顔を逸らし下手ックソな口笛を吹いていた。

 

(お、覚えておれよお主らああああ!!?)

 

 掴まれた頭を起点にして持ち上げられ、反転させられる。

 最早どうしようもないと諦め、自身の頭を掴む不届き者に視線を向けて睨みつける。

 

 突然こんな事をして何のつもりじゃ、そっ首刎ねられる覚悟は出来ておろうなと言おうとして。

 

「ちょっとお話シマショ? ドラウディロンサン」

「すみませんでした殺さないでください」

 

 そこにあった般若のような顔に白旗を上げた。

 




誤字修正が届いていたので適応しました。

龍王国ではなく竜王国なんですね。
龍王も竜王の方が正しいと。
何か龍の方が強くてカッコいい感じがするしこっちかなと思ってました。
んで今見たら一話の方はちゃんと竜王国になってるっていう……どういう事だ。

くららん様ありがとうこざいました!

冒険者のチーム名

  • ビフレスト(虹の橋)
  • ノートゥング(虚無)
  • アンファンク(開闢)
  • ラファン(終焉)
  • うっせ中二病
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