※この作品はR-18です。

同類探しの旅に出よう!   作:白髪ロング娘スキー

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今回ぶっちゃけドラウディロンを書きたかっただけなんで割と流れが不自然かも。

なに、元からだって? 耳が痛ぇっす。


あと作品のストック切れそう…



慢心と油断、勇気と蛮勇

 殺戮に殺戮を重ねてまっすぐ目的地まで突き進む。

 当然ながらビーストマンごときに止められる俺ではなく、身体強化も併用すれば半刻程でロリコンの記憶にあった深い森の中に存在する廃墟に着いた。

 

 ……のだが。

 

「廃墟……廃墟?」

 

 幾重にも四角く切られた石が重なった、上に行くにつれて細くなっていく巨大な四角錘状の建物。

 大きさは竜王国王都の城と同じくらいか。

 思っていたよりもデカかったが、その形はロリコンの記憶通りだ。

 

 だが記憶とは違う場所がある。

 記憶の通りであればその外回りには苔や植物の蔓が巻き付いていた筈なのだがそれが無くなっており、黄金に近い美しい外装が見えている。

 

 ロリコンの記憶で見た時はもうちょっと苔むしてた感じだったんだがなんか少し綺麗になっている。

 

 そしてもう一つおかしい所があり、侵攻する俺を止めようとビーストマンが攻撃してきていたのだが、少し前から、具体的にはこの廃墟が存在する森に入ったあたりからビーストマンを見ていない。

 

 今回の目的は銀毛のビーストマンを殺すだけだし都合は良いのだが……

 

「なんだか嫌な予感がするな、さっさと殺して帰るか」

 

 閉じられた廃墟の扉、其処には暗号が書かれている。

 どうやら扉を開けたければその暗号を解けという事らしい。

 

 が、そも読めないし、ロリコンの記憶ではそも最初から開いていたため暗号の答えも分からない。

 そんなものに時間をかけている暇もないため、《ショック・ウェーブ/衝撃波》で吹き飛ばす。

 

 バゴォォォンという轟音と共に吹き飛ぶ扉に巻き込まれた埃が舞い上がる。

 

「……埃?」

 

 埃というものは何処からでも湧く。

 元となるのは髪の毛などが落ちたり服を着替えた時に繊維が解れて抜けたりしたもので、埃とはそれらが集まって塊になったものだ。

 

 で、当然ながらそうやって出来る物なのだから埃の色も髪や服の色によって変わる。

 この舞い上がった埃は赤や緑といった沢山の色が混じったものだ。

 

 それが示すのはつまり、つい最近まで服やそれに近いものを纏う者が沢山居たという事。

 にも拘らずビーストマンは一匹もいない。

 

 血が飛んでいる訳でもないため、何かに殺戮された訳でもないようだ。

 

「ビーストマンは何処に消えた? まさか全員攻撃に出てるって訳でもないだろうし……ぬぅ。駄目だ、分からんな」

 

 考えるのを止めて先に進む。

 道は上と下の上下に分かれているが下は瓦礫で埋まっているため上に進む。

 

 それ以外の道はなく一本道のようだ。

 道の横には所々に砂が敷き詰められている砂場や何枚かの板と丸い棒を組み合わせて作られた小動物用の小さな建物、でいいのだろうか? が置かれている。

 

 そんな道を進めば開けた場所に出る。

 

「あいつか、銀毛のビーストマンってのは」

 

 巨大な玉座、其処に座る通常の3倍ほどの巨体を持つビーストマン。

 その毛の色は銀であり、手にはふわふわとした謎の緑色の植物が握られている。

 

 コツッという俺の足音が響いた瞬間、ぎょろりとビーストマンの瞳が開きこちらを見据える。

 

「やはり来たか。お前が来るのを待っていたぞ」

「あ? 待ってた? 人違いじゃねぇのか」

「いいや、お前で正しいぞ、竜王国の救世主」

 

 はい? 誰それ。

 いや、俺の事なんだろうとは分かるけどなにその二つ名。

 結局五年前は中途半端に壊滅させただけで救えてはいないし救世主は合ってないと思うんだが。

 

「まぁいい、他のビーストマン共は何処だ」

「此処には一人もおらんよ。他の者は皆既に侵略に出ている」

「で、お前が此処で指揮してる訳か。つまりお前殺してさっさと戻れば全部解決か」

「いいや?」

 

 俺の言葉にニタリと嗤うビーストマン。

 

「少し前、五年前颯爽と現れ我々を殺戮して消えた貴様が再び戦場に立ったという報告が来てな。一瞬我々の敗北が頭を過ったが……考えたのだよ、貴様が来たからこそ竜王国を滅ぼすいい機会なのではないかとな」

「俺が来たからこその機会?」

「そうだ。あの女王は無能だが馬鹿ではない。五年前も侵略に紛れての暗殺をしようとしたが奴は常に貴様という抑止力を手放さなかったし、貴様が居なくなってからも殆ど外に出ておらず向かわせた者も帰っていない」

 

 暗殺? やけに城に侵入してきてるビーストマンが多いと思ったらそういう事だったのか。

 あの時ドラウディロンはそれに気づいてたから俺を引き留めてたのか。

 

 んで俺がいなくなってからも暗殺は失敗してるって事はあのロリコンに代わりに守らせてたってトコか。

 

「そんな奴が貴様という駒を手に入れた今、真っ先に狙うのは誰か。この私だ。逃げられた時はイライラさせられたが、この時ばかりはあの時の冒険者に心からの感謝を覚えたよ」

「ロリコンの事か」

「それは知らんが、兎に角この私を真っ先に殺しに来る事は予測していた。現にどうやったかは知らんがこの短時間でここまで到着した。きっと貴様はまっすぐここまで進んできたのだろう。途中に存在する我が同志を悉く殺して。だが、進路外の同志はどうだ?」

「なるほどね、それで俺が来た事で気が緩んだドラウディロンを一斉攻撃と」

 

 なんかやけに対応が早いな。

 俺が、竜王国の救世主が戻って来た時の為に訓練でもしてたのか? 存外ビーストマン共も暇人だな。

 

 っていうか不味いな、ドラウディロンが起きていれば逃げるくらいは出来ただろうが今は気絶している。

 起きるにしてももう少しかかるだろう。

 その頃には退路は無くなっている筈だ。

 

 落ち着かせるために気絶させたのに完璧に裏目に出てしまったな。

 

「貴様がこの森に入った瞬間から侵攻する様に言ってある。既に王都は我が同志で占拠され始めているだろう! フハハハハ! 貴様の存在があの国を滅ぼしたのだ!」

「ふーん」

「我は死ぬだろうな。だが同志が頑張っているのだ、我があっさりと殺されるなど恥ずかしくて生きていけんわ。せめて作戦が成功するまで、貴様を此処に足止めする」

 

 そういって手に持ったふわふわの植物を掲げるビーストマン。

 それに合わせて魔力の波動が吹きすさび、建物に張り巡っている無数の蔦がうねうねと動き始める。

 

「聞け! 我が名は獣王! 貴様の時間稼ぎを担う者だ!」

「そーかい」

「ふん、名乗り返しもせんか。だがまぁいい」

 

 うねうねと動いていた蔦がこちらを向いている。

 ビーストマンが湧く事は無い。

 

「行くぞ、名も知らぬ英雄よ!」

「《集団標的(マス・ターゲティング)》」

 

 スパッと空気を裂いて襲い来る無数の蔦、それに《ファイヤーレイン/炎の雨》を放ち全てを燃やし尽くす。

 

 すべての蔦がファラファラと燃えて落ちる。

 その向こうには唖然とした顔でこちらを見つめる獣王。

 

「で、次はなんだ。もうないか? なら殺すぞ」

「ま、待て!」

「悪いな、急いでなきゃもうちょっと付き合ってやったんだが」

 

 その胸に手を突き入れ、心臓を握り潰す。

 これで無限湧きは潰せた。

 後はドラウディロンを狙うビーストマンを消してくだけか。

 

 そう思い手を引き抜こうとした瞬間手が掴まれる。

 見れば心臓を握り潰された筈の獣王がにやりと笑いながらはっきりとその目で俺を見つめていた。

 

「なっ!?」

「フフフ、お前は想像以上に強かった。正直見誤っていたよ。だからこそ言うぞ。我を、我らの誇りを舐めるなよ!」

 

 獣王がその手に持つ植物に魔力が溜まっていく。

 何を狙っているのかは知らないが、元より魔法を使うのに向いている種族ではない此奴の放てる魔法などたかが知れている。

 そんなものを放たれようが死にはしない。

 

 だが、その衝撃で気絶する恐れはある。

 何時もならその程度は自分の慢心の結果だと大人しく受け入れるが今は不味い。

 

 俺が竜王国前で殺した7万近くのビーストマンに、此処に来るまでに殺した数を加えると大体13万程度。

 殺せていない残り約17万のビーストマン、それが一斉に攻めてくるのだ。

 

 今俺が気絶したら最悪起きた頃には竜王国が滅んでいる。

 レイとクリムはいるが、全力が出せない2人では防ぎきる事は出来ないだろう。

 

「《ドラゴン・ライトニング/龍雷》!」

「ガアア嗚呼アアァ!!」

 

 掴まれたままの腕、そこから魔法を発動させる。

 体内という行先の無い密室に入れられた魔法はそのまま形を成す事無く獣王を焼く。

 

「ギッ」

 

 そして0距離で電撃を放つという事は当然その電流が逆流する。

 逆流してくる超高圧の電流によって与えられる体内のありとあらゆる内臓が焼き尽くされるかのような痛み。

 それに耐えながらも更に魔力を込め、魔法を暴発させた。

 

 ドパァンという甲高い音と共に弾ける獣王。

 その体は血の一滴すらも残らず焼き尽くされて消滅し、灰となってこの世から消え去った。

 

「はぁ、はぁ……クソッ」

 

 全身に走る激痛。

 周囲に存在する植物までもが弾けて燃え上がる程の高圧電流。

 それで焼かれた体はとてつもないダメージを負っており、それを行った右腕は見事な消し炭となっていて、今も電流による高熱が炭となった右腕を焼いている。

 

 一刻も早く切除しなければ最悪死ぬだろう。

 

「あー、馬鹿やったな」

 

 腰に帯びるボロボロのなまくら、それを引き抜き、肩に当てる。

 目を閉じ、歯を食い縛って痛みに備え……右腕を根元から引き千切った。

 

「ギッあァッ、《魔法上昇(オーバーマジック)》《ヒール/大治癒》!」

 

 引き千切られた肩に治癒魔法をかけ、素早く治す。

 無くなった手は激痛と共に形を取り戻していき、少しすると元の完全な姿を取り戻した。

 

「あー、いってぇ……」

 

 ふりふりと治った腕を振るう。

 特に違和感といったものは無く、きちんと治っているようだ。

 

 他の電流によって焼かれた内臓などもついでに治っているようで、痛みなどは完全に無くなっていた。

 そこまで自分の現状確認が終わったところでふと気付いた。

 

 魔力反応が消えていない。

 

 バッとそちらに首を向ける。

 其処には獣王が立っていた……といった事は無く、謎の植物が一本転がっていた。

 

「あの植物は……」 

 

 確か獣王が持っていた奴だ。

 ビーストマンを召喚したり植物を操ったりと色んな能力を持っていたが、結局あの植物はなんだったのか。

 興味は尽きないが、それを知る事はもはや永遠に無いだろう。

 

 何故ならば。

 

「はっ? ちょ、まて、なんで魔法が発動してる!?」

 

 普通魔法は詠唱者が生きていなければ発動しない。

 例え発動しても、形を成す前に死ねば魔法ももろとも消えるのだ。

 

 にもかかわらずこの謎の植物は未だに魔力を溜めていて、しかもその魔力が溢れそうになっている。

 

 唐突だが、魔法というのはある一定の使用限界魔力といったものがある。

 第1位階の《マジック・アロー/魔法の矢》に竜王国で使ったような魔法強化を使った上に6発分の威力を込めた第5位階である《ドラゴン・ライトニング/龍雷》クラスの魔力をつぎ込むとする。

 

 爆発する。

 

 一応魔法として発動はするがきちんと形を成す事無く爆発してしまうのだ。

 当然だ、コップに湖の水を無理矢理詰め込もうとしても入る筈が無い。

 で、当然ながらそのつぎ込まれた魔力が多ければ多いほど爆発の威力も高くなる。

 

 そして今現在この謎の植物に溜め込まれている魔力は俺が使う全力の《ドラゴン・ライトニング/龍雷》の約30発分ほど。

 

 そしてこの膨大な魔力が弾けた場合の結果は明白であり……

 

「冗談じゃねぇぞ!!?」

 

 慌てて立ち上がり、出口に向かって走り出す。

 

 

 そして世界は極光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

—――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ、ふわぁ……んむぅ」

 

 竜王国執務室、そのソファの上。

 猫の様に丸まって眠っていた艶めく金色が美しい毛玉がもぞりと起き上がり、あくびをする。 

 その様子はセラブレイトが見れば即座にパン一になって飛び掛かりかねない程に美しい。

 

 現時刻はリビドー・ブレインが竜王国を発ってからおよそ1刻と少し。

 現代の時間に直せばおよそ2時間ほど。

 

 タレントにより気絶させられ半日は寝たままであると予想されていたドラウディロンは、その半分以下の時間で起床した。

 だからといって半日は寝ているという予想が間違っている訳ではない。

 

 恐らくはレジストされるために出来るかどうかはともかくとして、実際に番外席次に同じ事をしていれば4刻はぐっすりと眠っていただろう。

 では何故ドラウディロンはこんなにも早く起きれたのかというと、それはドラウディロンに流れる竜の血が関係している。

 

 ドラウディロンの親は真なる竜王が産んだ子供の更にその子孫であり、8分の1ほど真なる竜王の血を引いているのだ。

 

 その血は薄くなりすぎているものの、それでも竜王の曾孫である事に変わりはない。

 そのため彼女の肉体は強力な治癒力を有しているのだ。

 

 それが戦闘に使えるかと言われれば本人の気質もあり不可能だと断言するが。

 

 ともあれ、その強力な治癒力があるからこそドラウディロンは予測された時間の約6分の1の時間で目覚めることが出来たのだ。

 そして幸運な事に、それはドラウディロンの命を救う事へと繋がった。

 

「王女を見つけたぞ! こっちだ!」

「へ?」

 

 寝ぼけたドラウディロンが声の元へと目を向ける。

 

「え?」

 

 其処にはビーストマンが立っており、自分がこの部屋にいるという事を知らせるように大声を張り上げていた。

 その手に持つ剣には血が付着しており、ぽたぽたと落ちて大理石の床を汚している。

 

「ひっ」

 

 死ぬ。

 このまま此処で呑気にしていたら確実に自分はあの剣によって殺される。

 

「ぃ、いゃだ、いやだ!」

 

 転がり落ちる様にソファから立ち上がる。

 だが逃げ道は無い。

 唯一の逃げ道である出口はビーストマンが立っており、隙間を駆け抜けて行こうものなら即座に自分の頭と首がお別れをするだろう。

 

 だが他に逃げ道は無く、此処で迷ってうだうだしていれば更にビーストマンがわらわらとやってきて、それこそ完全に死しか残らなくなるだろう。

 

 恐怖を飲み込み、走り出す。

 目標はビーストマンと出口の隙間、剣を持っていない方だ。

 

 手を握り締め、走る。

 死にたくない死にたくない死にたくない死にたく

 

冒険者のチーム名

  • ビフレスト(虹の橋)
  • ノートゥング(虚無)
  • アンファンク(開闢)
  • ラファン(終焉)
  • うっせ中二病
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