※この作品はR-18です。

イリヤちゃんを飼おう   作:ぴんころ

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第二話

 広い部屋の隅、どこにあったのかわからないようなスペースから這い出てきた蟲たちが、中央へと殺到する。

 蟲達の狙いはたった一人、部屋の中央にいるイリヤスフィール。

 足枷と繋がれた鉄球によって動きを制限された彼女は逃げる間も無く、生理的嫌悪感をもたらす蟲たちに蹂躙されることになる。

 それでも逃げようとした少女は体勢を崩して倒れこみ、蟲たちがその体に触れられる場所を足以外にも作ってしまった。

 叫び声をあげた少女に一瞥もくれることなく退散した少年は、工房と呼ぶにはふさわしくないその空間を監視カメラを使用して、そんな光景を覗き込んでいた。

 

 映像に映る少女は叫び、狂乱しながら自分の父親に助けを求めている。

 しかし、それは悪手と呼ばざるを得ない。

 蟲たちは少女の体を這い回り、どうにかして払い落とそうとしているイリヤスフィールの手を避けてついに少女の口をその体で塞いだ。

 くぐもった声を漏らすだけの少女は恐怖を湛えた表情で、嫌悪を抱いて、服の中に侵入し肌を這い回る蟲、そして通常の蟲をはるかに超える、魔蟲だからこその強靭な顎でそのドレスを噛みちぎり肌を露出させた淫蟲たちを見つめている。

 

 少女の雪のように白い肌は淫蟲の体表にある催淫効果のある粘液を塗りたくられ、なんとも言えぬ淫靡さを醸し出している。

 恐怖と嫌悪だけだった表情が、肌を淫蟲が這い回る度に快楽へと置換されていく。

 そうして瞳が蕩けきったころに、ついに男性器を模したその淫蟲は少女の純潔を奪いにかかる。

 幼すぎる少女の秘部を強引にこじ開けながら一匹の淫蟲が侵入すれば、強制的に与えられる快楽に思考を奪われていたイリヤスフィールは処女の証を奪われた痛みにて正気を取り戻した。

 

 くぐもった絶叫が響く。

 

 男を受け入れたことのない、未だ受け入れるだけの成長を遂げていないことがはっきりとわかる未成熟な体を晒す少女。その股ぐらは男性器を模した蟲によって貫かれている。

 びちびちと総身を揺らすその蟲は、少女の膣肉の感触を嬉々として味わっていた。

 されどその部屋に存在する蟲は少女の膣を味わう一匹だけではなく、少女の口内に粘液を塗りたくる数匹だけでもなく、十分な広さを持ったその部屋の地面と壁を覆い尽くすほどに。

 そして、それらが上質な魔力源(えもの)である少女を、主人からの許可が出ている状態で襲わないはずもない。

 痛みからかわずかに腰を浮かせた瞬間に、手持ち無沙汰な蟲たちは魔力(えさ)を求めて少女のアナルへと殺到していた。

 

 新鮮な、そして上質な餌を貪る蟲たちに集られて、イリヤスフィールはびくびく、と痙攣する。

 まず間違いなく、快感からだとは思えない。

 強引な蹂躙は処女膜を破っただけだとは思えない量の血が少女の股座から出ている。

 相当な痛みが彼女の肉体を苛んでいるはずなのだ。

 

 幼い秘所が巨大な淫蟲によって無残にも押し広げられ、その小さな腹は蟲の形にぽこりと膨らんでしまっている。

 蟲が蠢き、いかにして動いているのかが体の外から見ているだけの少年にもわかる状況。

 イリヤスフィールの声が徐々に小さくなっていく中、これ以上はさすがに死ぬ可能性もあるかと考えて少年が蟲たちをどかせようとした瞬間、それは起きた。

 

 蟲たちが一斉に体を痙攣させる。

 内部に突き立っている蟲だけではなく、外部を這い回る個体も。

 ぽこりと膨らんだお腹が波打ち、蟲が少女の胎内で吐精している様をまざまざと見せつけている。

 生理的な反応だろうか、異形の蟲共に精液を注ぎ込まれている少女はびくびくと痙攣し、目から光が失われていった。

 ずるり、と少女に吐精した蟲共が少女の穴から這い出て来る。

 それがトドメとなったのだろう、少女の手足から力が抜け脱力する。

 意識を失ったのか、瞼を閉じた少女はぴくりとも動かず。

 その光景を見て。

 

 

「うん、さすがにこれ以上はもう無理だね。戻ってて」

 

 

 そう言って、少年は蟲の精に全身を穢されたイリヤスフィールから、集っていた蟲たちに離れるように命令した。

 

 

◆

 

 

「どういうことだ!」

 

 

 それと同時刻、衛宮切嗣はドイツにあるアインツベルン城でアハト翁……ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンを問い詰めていた。

 聖杯戦争にアイリスフィール・フォン・アインツベルンと共にセイバーのサーヴァントを召喚して参戦。

 久宇舞弥を含めたアインツベルン陣営とでも呼ぶべき面々を、最初から死ぬと定められていたアイリスフィール以外の誰一人として死なせないまま──アイリスフィールも生存できると思われていた限界まで生存させて──勝利した彼は、他のマスターがそこまで強力なサーヴァントを召喚しなかったことを疑問に思いながらもセイバーのサーヴァントが悠々と勝ち進んだことで、聖杯を手にすることに成功した。

 

 聖杯にて『恒久的な世界平和』を望んだ彼。

 暗示を使用することで戦いに駆られる理由を忘却させるという形でそれは実行され、それが成功した後にセイバーを自害させることでアインツベルンが求める『大聖杯の完成』も成った。

 そうして持ち帰った聖杯をアハト翁に渡すことでイリヤスフィールと共にアインツベルン城を出て日本のどこかで長閑に暮らそうと、そう考えていた時のことだった。

 

 イリヤスフィールがすでにここにいないということを聞いたのは。

 

 その瞬間はまだ大丈夫だった。

 抱いたのは怒りだったから。

 衛宮切嗣はまだ”戦う”という意思にまで到達していなかったから。

 

 

「どうしてイリヤがここにはいない!」

 

 

 怒りを抱きながらも、隠しているなら探し当てるだけだと息巻いていた。

 貴様らにとってイリヤスフィールの存在は、アインツベルンの悲願よりも重たいのか、なんてこともつぶやいていた。

 衛宮切嗣にとってはそうなのだが、少なくともアインツベルンの翁にとってはそれは間違いだと確信していたから。

 だから、一体どういうことなのかを聞いた時にも理解はできた。

 

 

「触媒を手に入れる際の条件だった、だって……?」

 

 

 声が怒りで震えるのを抑えるのが、うまくできていたのかどうかは彼にはわからない。

 少なくとも、手は震えていた。

 

 

「ふざけるな! ふざけるな! 馬鹿野郎!」

 

 

 そう言って胸倉を掴もうとして、一体どこの誰に対してイリヤスフィールを渡したのかを問い詰めようとする。

 売った相手さえわかれば、”魔術師殺し”衛宮切嗣にはイリヤスフィールを取り戻すことはできるはずだ。

 無論、相手も聖杯が万能の願望機であることを知っているからには魔術師で、工房の中にいるだろうイリヤスフィールを取り戻すのは難しいことではあるだろうが、それでも不可能ではない。

 だから、その相手を殺すことを決意して、イリヤスフィールを取り戻すための”戦い”を仕掛けようと考えて──

 

 

「あ──」

 

 

 衛宮切嗣自身が世界に対してかけた強力な暗示で、イリヤスフィール(戦う理由)を彼は永久に失った。

 そんな彼は、一体どうして自分がアハト翁に掴みかかろうとしていたのか忘れてしまった。

 だから、世界平和という報酬も得られたのに、どうして戦おうとしているのかがわからずに思わず謝って、アインツベルンの城を去っていく。

 

 そうして去った衛宮切嗣は、合流した久宇舞弥と寿命を迎えるまで過ごすことになる。

 久宇舞弥も、イリヤスフィールについては伝えなかった。

 ここで彼にその存在を伝えてしまえば、もしも思い出させてしまったならば、彼がもしもそれでイリヤスフィールを取り戻すことに成功したならば、それはつまり彼の願った平和が実際には平和ではなかったことを示すということで。

 アイリスフィールとの会話を、彼女は覚えている。

 

 ”あなたの人生は夢じゃない。歴とした事実なんだから。それを闇に葬った上での平和なんて、それこそ罪深い欺瞞でしかないわ。”

 

 彼女はそんな言葉を口にしたが、それでも”衛宮切嗣に娘がいた”という事実を闇に葬った上でなければ、この世界平和が虚構になってしまうということも理解していたから、それ以上何も言えなかった。

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