※この作品はR-18です。

助けIFシリーズ   作:夢枕 七変化

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戻る薬(薬ssn)※side

 幾度目になるのか、プロポーズをしようとしては伝わらなくて撃沈する日々。ナミは俺の女で、一途に想われているのだから焦る必要なんて無いのだと分かっていても、中々にきついものがある。

 いつもと変わらないように見える日々の中で、ナミは原色としか呼べないような色でコーティングされた、不思議な丸い物が大量に入った瓶を手に首を傾げた。俺達も何だそれと言いつつ集まり首を傾げると、ナミは困ったような顔をして言う。

 

 「知り合いからの伝手でね、珍しくて面白い薬って言われてる物が手に入ったのよ。なんかね、身体に害はなくて、薬の効果が切れるのには個体差があるけど間違いなく楽しめるって言われたの」

 「怪しさ満載だろ」

 

 俺の言葉にナミは困ったように笑う。俺の言葉と、送り主への信頼が入り乱れているのが伝わる。

 戸惑う姿は少し幼く、けれどもそれはいつも知的に輝く瞳が揺れているが故だとも知っている。本来ナミの顔立ちは可愛く、幼さを残しているのだから。

 

 「うん。でも、絶対嘘つかないって信頼できる人なのよ。……どう思う?」

 「信頼できるなら、事実なんだろ?」

 「そうじゃなくて……。使ってみてもいいと思う?」

 

 きょとんとした顔で問い掛けてくるのは、愛しの阿呆。……おかしいな、俺の可愛い恋人は頭が良い筈なのに、なんでこう時々阿呆なんだろうか。

 そんな危険物、一体誰に使ってもらう予定なのか。人体に害が無いのに楽しいって言ったら……媚薬、か?

 

 「……誰が、使うんだ?」

 「私が、飲もうかなって。念の為ね。毒にしても、媚薬にしても、私なら耐性あるし」

 

 もし、本当に身体に害のない媚薬なら……。そう考えた瞬間、喉が鳴るのを自覚した。

 小首を傾げながら、明らかに原色である二色の錠剤が入った瓶を見詰めるナミ。何やらメモを取りつつ、一人頷き始めるから……つい、頷いちまった。

 だってよ、ナミが媚薬で俺を求めたとして、それはナミが自分から飲んだんだから俺も多少楽しんでも許されるだろ?

 

 「まァ……良いだろう。ナミが信頼できるという相手からの物なら、試しても。返事を書くにも試すのは必要だろ?」

 「うん。ありがとう。……念の為に、皆に仕事できなくなる可能性がある事伝えて、休み入れるように準備してから試すわ」

 「分かった。気をつけてくれるなら良い」

 

 俺は現在表面的には神妙な顔で頷いてるが、実際は媚薬で熱って、助けて……と縋られるのを想像してる。息子さんは素直で、元気になろうとしてるが、今はまだ準備段階なのだからと耐えておく。

 それから半日、ナミは忙しそうに動き回り皆に手を回す。その俊敏さが、妙に悲しい。

 有能過ぎるナミが念の為にと休みを作る為に動くと、色々と歪みができてしまう。それくらいナミのやる事は多い。

 ルーと料理研究家してるかと思えば、パンチと新曲の練習や打ち合わせ、他のメンバーへの指導。そうかと思えば、スネイクと針路や海の状態について話し合い、ベックと在庫管理を行う。

 少し目を離したら移動していて、ホンゴウと医学書の研鑽をしたり、ライムジュースと戦闘訓練を行ったりして、ヤソップにその客観的意見を聞いてみては三人でそのまま戦闘訓練に入ったりする。ガブやロックスターとは新人達の様子や教育について話し合いを行っていて……。

 これでプラスして普段は一人の時に本を読んだり、航海日誌や海図、地図を描いたりしてる。その他に宝玉としての活動となれば……本当にいつ寝てるのかと問いたくなる程に多忙だ。

 

 「珍しいな、休みたいなんて」

 「……試したい薬があるんだとよ」

 「ホンゴウ絡みか?」

 

 何も聞いてないな……なんて言いながら首を傾げるベックに事のあらましを説明すれば、なるほどと頷いてる。どうやら今の短い説明で、だいたいの事が見えたらしい。

 この相棒の頭の良さには、本当に助けられている。その頭のおかげで、ナミと再会できた訳だしな。

 そんな事を考えながら色々と話をしていると、ホンゴウの悲鳴のような雄叫びが聞こえて来て、何事かとそちらに足を向ける。途中急いで向かうガブに追い抜かれたが、まァ……ホンゴウとガブがいれば大概の事は何とかなるだろうと、楽観視していた時が……俺にもありました。

 到着した時見えたのは、出会った頃のような幼い姿のナミ。それが服の中で泳ぐようにしていて、袖が余り萌え袖状態になっている事が特長的。

 

 「しゃーくす?どーしよ、ちっちゃく、なっちゃ……た……」

 

 そう言って泣き出すその姿に、待て待てと思う。見た目は確かに初めて会った頃位だが、精神が明らかに幼い。

 戸惑い何も出来ずにいるガブと、動揺しつつもナミの頭を撫でたりして優しく声をかけるホンゴウの姿を視界に映す。その状態で、俺の脳内は萌え袖で涙を拭うナミが見た事も無い幼さを見せている事実に埋め尽くされていた。

 

 「俺と、ナミの間にナミと似た娘が産まれたら……こんなだろうか」

 「可能性はあるが、これはナミ本人だな。それにしても、実際あの頃より幼いな」

 

 ベックが冷静に判断してそんな事を言うが、それは気付いてる。でもよ、これの何処が肉体に影響ねェんだよ。

 今にも泣きそうどころか、泣いているナミ。こんな貴重な姿、映像電伝虫に残さなくて許されるのか。

 

 「しゃーくす、べっくぅ……」

 「ナミ、説明できるか?」

 「うん。あのね、かんじょーのキフクがはげしくて、はつおんもうまくいかないの……。みんなのこと、わかんないとかはナイのよ?ただね、シコーがうまくはたらかないとこがあるから、ハンダンリョクがおちてるとおもうの」

 

 少し舌っ足らずな話し方は、ウタのそれと少し重なる。それでも、違うと言えるのはこんなにウタは気弱じゃなかった。

 恐らく、これがナミのあるべき姿なのだろう。……抱えるものが多過ぎて大人だっただけなのかと思えば、少しではなく切なくなる。

 

 「そうか。……効果はどの位で切れるんだ?」

 「ゴメンなさい。コタイサがあるみたいで、なんともいえないの」

 

 しょんぼりとするナミが可愛い。思わず両腕を伸ばして膝をつけば、ナミは素直に駆け出して俺の胸に飛び込んで来た。

 そっと抱き締めて、大丈夫だと繰り返せばスリスリと甘えて来る奇跡。少し顔を上げて、うるっとした眼差しで俺を見詰めたと思ったら、妙な事を言い出す。

 

 「しゃーくすは、ナミとよるのことできないから、もう、わたしのこと、いらない?」

 「何言ってんだ!?」

 「あきられちゃう……?」

 「そんな、ナミの身体が目的な訳じゃねェぞ!?俺は、どんなナミでも愛してる。……勿論ナミが不安なら、どんな姿でも問題なく抱け「「んな事したら、ちょん切るからな」」」

 

 言葉を遮るホンゴウとベックの声。憤怒の顔をするガブと、冷たい視線を向けるベックと、呆れたように見てくるホンゴウ。

 俺はそれに冗談だよと言いながらも、ナミを取られない為に強く抱き締める。そんな俺にナミは小さく笑ったかと思うと、その直後に昔出逢ってすぐの俺を師匠と認めてすぐの頃のように穏やかに笑った。

 

 「しゃーくす、あいしてるわ」

 

 そうして頬にキスをされれば、ついその唇を奪おうとして……頭をガブに掴まれた。でもよ、ナミは恋人で、昔もこの位のナミにキスしたじゃねェか。

 確かに、出会って二年くらいたってたから、今ほど幼くはなかったかもだけどよ。そんな事を言ったが、認められる事はなく、三人にナミを奪われてしまう。

 その後皆にもみくちゃにされながらも笑うナミは、やはり幼くて……どうやら精神的にも幼くなっているのだと認識できた。それも……時と共に、名前以外を次第に忘れているのだと気付けば、本当に元に戻るのかと不安になる。

 初めは、俺の恋人である事も、俺が船長である事も覚えていたのに、今は俺が〝シャンクス〟である事しか分かっていない。これは、どうしたらいいのか。

 こうなるとナミに害がないと言った奴が疑わしい程だと考えた時、雄叫びのようなものが聞こえて来た。何事かと思ったら、解析ができたという喜びだと分かり全員で問い詰めると叱られちまったがこれは不可抗力だ。

 

 「俺は聖徳太子じゃねェんだよ!……んでな、この薬は体質により最短半日、長いと十日で効力が切れる薬だ。二色ある薬はそれぞれ、肉体のみを幼くする物と、肉体と精神を幼くする物のようだ」

 「後遺症は?」

 「無いな。必要に応じて、潜入等を行うのに使えるって物らしいが……ナミは、記憶があると幼くなれないから記憶が奪われたと考えれば良いらしい」

 「ホンゴウは武器の解体の他にこんな特技があったのか……」

 「ヤソップてめェ……銃をぶっ放すしか脳がねェのはそっちだろうが……」

 「ははは!あんまり辛気臭ェ顔してるからつい……なっ」

 

 笑うヤソップに怒りを隠さないホンゴウだが、その言葉になるほどと皆で頷き、不安そうに俺の服を掴む小さなナミを抱き上げる。それによりホッとした顔で、全幅の信頼を向けつつ笑うナミに全員の顔が溶けた。

 怒りも重苦しい空気も、ナミの笑顔によりはらわれる。この船が誇る天使と女神の、女神側。

 強く優しく、美しい筈のナミが、ただひたすらに可愛い。それが永遠に続かないならば、今はそれを愛でるのも良いかも知れないと思う。

 

 「可愛いな、ナミ」

 「ほんと?」

 「ああ、誰よりも可愛い」

 

 俺の言葉に対して、少しだけ何かを考えるような仕草をする。こんな時に小首を傾げるのは、ナミの変わらない癖。

 忘れても、幼くなっても失わない癖。それは恐らく、嘘をつく時の癖も変わらないのだろう。

 

 「……なら、おっきくなったら、お嫁さんにしてね!」

 「むしろ、俺がそれを願ってんのに伝わらねェんだよ……。戻っても覚えててくれよ?」

 「しゃんくす?……ナミね、ねむい」

 「おお、了解。寝てていいぞ」

 

 しっかりと抱き抱えて、ナミが安心して眠れるようにしてやれば、そのまま寝息を立て始めるのを見て顔がにやける。将来、こんな娘を育てるのかも知れないと思えば尚更。

 それでもこれはナミで、だからこそ信頼されて甘えられれば……少しくらい味見してもいいかと考えちまう。……駄目か、流石に、挿いらねえよな。

 悪戯する程度なら?うん、バナナを舐めさせるとか、お豆を舐める程度なら……。

 

 「今のナミに手を出したら、切り落とすから覚悟しとけよ」

 

 突然聞こえた声に視線を向ければ、冷たい眼差しを向けるホンゴウがいた。その横で呆れを隠さないベックまでいれば、どうやら思考は筒抜けだったらしいと気付かない筈も無い。

 これは、本気で切り落とされるやつだな。……何だこの、ナミに関するセキュリティの高さは。

 

 「わかってるさ」

 「子供は素直だから、簡単に聞き出せるから覚悟しろよ」

 「スネイクの中で俺は何なんだよ」

 

 ベックとホンゴウだけでなく、スネイクにまで言われては肩を竦めるのも当然。けれどもそこで追い討ちをかけてくるのが、俺の仲間だ。

 この程度で許してくれる甘さは、ない。トドメは誰かと思ったら肉を齧りながら、ルーが言った。

 

 「そりゃ、5歳のナミを襲った変態だろ?ベックが怒り狂ってたから良く覚えてる」

 「ルーまで!?」

 

 その瞬間爆笑に包まれる。そんな中でも眠る事ができる幼い姿に、これが本来あるべき姿だよなと思う。

 そうして俺はその日から五日間、無邪気に誘うナミの誘惑に耐え続けた。顔の位置が、立ってる時の顔の位置が、俺の股間ってどういう事だよ!?

 無邪気に好きだの、一緒に寝ようだの、そばにいてだのと甘えて誘惑するナミに、俺は耐えるしか無いのだ。当然の事として、いつ戻るか分からないからと下着を着けさせられず、俺のシャツ一枚で過ごさせているから余計に襲えないのがキツい。

 だが、突然震えたと思ったら甲板に崩れ落ち、姿が戻るそれに咄嗟にコートを脱いで頭に被せたのは当然。俺のシャツからボタンが弾け飛ぶ。

 まずは第二ボタンがブチッといったと思ったら、それは見事にライムジュースの額に当たり、その直後ライムジュースが回れ右を周りに指示してナミの姿が見られないようにしてくれる。その直後、第一ボタンと第三ボタンが同時に、パンッという音と共に弾け飛んだ。

 それは俺の額と鼻の頭に当たった為に、恐らく額と鼻頭が赤くなっているだろう。……それに気付いたモンスターが笑い転げているのは無視して、ナミに視線を戻す。

 ギリギリ尻が見えない程度の姿で、甲板に座り込んでいる無防備なナミは、不思議そうに自分の手を見て、俺を見た。

 

 「シャンクス……ただいま」

 「…………野郎共、ナミは今から三日休みだ」

 「待てコラ。ナミを殺す気か」

 

 即座にライムジュースが突っ込んで来るが、俺の股間は限界を超えている。……白い生足が目の前に丸出しなんだぞ。

 ボタンが三つ弾け飛んで、谷間がしっかりと見える、下着を着けてない恋人。それが、上目遣いに俺を見て微笑んだ時点でこれは決定事項だ。

 

 「一日は、寝込む日として換算してる。だから、許せ。そして、ナミを見るな」

 「ハイハイ……。ナミ、頑張れよ」

 「ちょっと!認めないで助けてよっ!二日もなんて持たないっ!」

 

 ボタンを受け止めたライムジュースが認めれば他も仕方ねェかと頷き、悲鳴のような声を出しつつも抵抗しないナミを抱えて部屋に連れ込む。ドアを閉めると、そのままドアに押し付けるようにして唇を奪ったのは、至極当然。

 その合間に下へと指を動かせば、ビクビクと身体を揺らすナミに、喉が鳴る。とりあえず立ったまま一発ヤラせろと低く唸るように言えば、目元を赤く染めつつ頷く恋人の足の間に身体を捩じ込んだ。

 それだけで恥じらいを捨てきれない妖艶な肉体を持つ美少女が、潤んだ瞳を向けて来る。それに喉を鳴らして己を宛がえば、身体は素直に俺を受け入れてくれるのだから堪らない。

 

 「無理……させるぞ」

 「んっ……シャンクスに、なら……」

 「ん?」

 「何されても、良い」

 

 か細い声でそんな事を言われて、理性を保つ為に他に何ができるというのか。咄嗟に目元を覆うように掌を当てて、天を仰ぐ。

 そんな俺に小首を傾げて、不安そうにする天使は……本気で壊されるリスクを分かってないのだろうか。まァ……分かってねェよな。

 そんな事を思った時、いつだったか……夜の蝶と戯れていた時に言われた言葉を思い出す。俺は気に入っていたから、それなりに大切にしてたつもりなのに軽くあしらわれてしまった若い頃の話だ。

 

 【天使に悪魔は殺せても、悪魔に天使は殺せない】

 【ん?どういう意味だ?】

 

 ベッドで酒の瓶を空にしつつ視線を向ければ、艶やかな唇が揶揄するように動く。それがまた、俺を誘ってるように見えたのは俺が若かったからか。

 色気の塊みたいな女だったと思う。身体売ってんだから当然だろうと言われりゃ、それまでなんだが。

 

 【本当に誰かを愛した時、分かるわ】

 【どう考えても逆だろ。悪魔は天使を騙して陥れてってやるのに、天使はそれを健気に耐えて……ってイメージしかねェよ】

 【まだまだ青いわね、ボーヤ。天使を傷付ける事を恐れて、悪魔は抵抗できずに殺されるしかないのよ。……天使は、大切な誰かの為なら己の心を殺し堕天しようとも守り抜くものだから】

 

 この頃は本気で意味が分からなかった。それが今ならわかる気がする。

 確かにナミは、誰かの為にと泣きながら俺を刺そうとする可能性はある。その場合俺は、手も足も出ないだろう。

 

 【まァ、どっちにしろ、無いだろ】

 【何が?】

 【そもそも天使なんて空想のモノで、この世に存在しねえんだからさ。いたら、それこそ奴隷にでもされてるか見世物になってるだろ】

 【だから、いつか分かるって言ったのよ。……わかる頃には、ボーヤは悪魔になってるでしょうけど】

 

 キツ目の香水の匂いまで思い出して、目の前で必死に声を抑える天使に意識を戻す。確かに、あの女の言う通りだ。

 俺にナミは殺せない。そして、もしもナミが泣きながら俺を攻撃しようとしたなら……俺はそれを受け入れちまうんだろうなとも思う位には。

 天使はウタで、女神がナミだと思っていたが、こうしてみると二人共天使のようである。ああ、女神は天使が成長した姿と言うだけなのかも知れないな。

 ならば、飛んで行けるのか。この俺の腕からさえ。

 

 「ナミ……何処にも行くなよ」

 「あっ……も、むり……イッ……ちゃう」

 「そっちは、いくらでもイかせてやる」

 

 イヤイヤと首を横に振るナミの首筋に跡をつけながら、顔を覆う為に離していた左手も足を持ち上げるのに使う。片足だけ上がっていたのが、両足になると同時にナミの両足が大きく痙攣するのを感じて、声を聞かれたくないだろうとその唇を塞ぐ。

 この世でただ一人、ナミだけがその言葉ひとつで簡単に俺を殺せる。そして、何かあった時はこの生命を差し出しちまうだろう相手である事を痛感させられながらも、奪う事しか知らない愚かな海賊は、その身を穿ち揺さぶる事で己を刻み漸く傍に居るのだと実感できるのだ。

 

 「奪えもしないのに、奪いたくなる」

 

 その生命を奪う事などできやしない。なのに、その背にある羽根は引きちぎり鎖に繋いでしまいたくなる。

 顔も思い出せない女に、お前の予言は当たったぞと内心で呟いて、愛しい女に熱を放つ。荒い呼吸を繰り返す小さな存在に、まだこれからが本番だとベッドへ連れ込んだのは誰への当て付けか。

 姿と心の戻る薬で、未来を夢見たから求めてしまう。そして、当人であるが故に耐えた欲が爆発しているのだと認識して、自嘲した。

 

 「悪いな……優しくは、できなさそうだ」

 「我慢、させたみたいだから……今回だけ、ね?」

 

 悪戯に微笑む妖艶で淫靡な俺の女神。天使の姿で降り立ち、女神として君臨するその姿に俺が太刀打ちできるのは、唯一これだけなのかもしれない。

 離れずに、そばにいてくれ。俺だけを見詰めてくれよと……縋った言葉は心の中だけのものですんだのか……それは、二人だけが知っていればいい事だろう。

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