※この作品はR-18です。

助けIFシリーズ   作:夢枕 七変化

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震える体2※

 部屋に連行された私はシャンクスを説得しようと試みる。と言うか、その……嫌じゃないけど、心の準備をさせて欲しいと言いますか……!

 

 「……本気で、俺の気持ちに気付いてなかったのか?」

 「ごめんなさい……」

 「反応が鈍いとは思っていたんだが……挨拶だと思われてるとは思わなかった」

 「だって……私なんてシャンクスから見たら、子供なのは分かりきってるし……」

 

 相手にされる筈が無いと思ってたし……。何より、愛しそうに見つめて来るその眼差しが、幼い頃から何も変わってないんだから、それが恋愛だなんて思える筈ないじゃない。

 そう思ってシャンクスを見れば、困ったように笑われてしまう。それがやはり自分をシャンクスが、子供として見てるような気がしてしまうのだ。

 勿論私は、シャンクスを好きだし、信頼もしてるのよ。でも、だからこそどうしたらいいのか分からなくて、答えを求めてじっとシャンクスを見つめてしまう。

 

 「……その、幼い顔も可愛いんだがな?俺も罪悪感ってものが」

 

 なら、今は辞めてくれるのかなと思って少し期待する。こんな、なんて言うかなし崩し的な感じは良くないだろうと思うのよ。

 でも、そんな訳もなくて、シャンクスは私の髪に触れると、するりと生え際に指を差し込んでくる。それに私の体が妙な反応を示す。

 何だろう、今の。なんか、ザワザワするような……。

 

 「……戸惑ってるその様子が、背徳感を刺激するんだが……計算だったりするか?」

 「シャンクス?」

 「違うなら良い。瞳を閉じてろ」

 「ま、待って!あの、お風呂……入ってからじゃ、ダメ?」

 

 やっとの思いで口にした言葉にシャンクスは動きを止めて、深く息を吐き出した。それからすっと私を解放すると、自らの頭をわしゃわしゃと掻き乱した。

 

 「……ここまで待ったんだ。あと少しくらい待ってやるよ。早く帰って来いよ?」

 

 そう言ってくれて、私は部屋にあるシャワー室へと向かう猶予を貰えた訳だけど……。シャワーを浴びながら、どうしようと戸惑う。

 だって、こういう時って、どうしたらいいの!?

 シャンクスは、そりゃ好きだけど、でも……!

 叫びたいような気持ちになって、でも叫んでる場合でも無くて、それこそ頭の先から足の先までこれでもかと磨き上げる。シャワーを終えて出た後、また悩む。

 普通に着替えて出るべき?

 それともタオルだけ?

 下着ってこの場合どうしたらいいの?

 身に付けてたら不味いの?

 混乱は頂点を極めて、タオルを巻き付けた状態で硬直していたら洗面脱衣のドアが叩かれる。

 

 「ヒャイ!?」

 

 ……今、明らかに変な声が出た。

 自分に絶望していたら、ドアを開けたシャンクスが妙に余裕な様子で笑っていた。見ればシャンクスもシャワーを浴びた後のようで、髪が湿っている。

 

 「……まァ、考えてる事は何となく分かるが……そのままで良いから来い。とりあえず髪を拭いてやるから」

 「はぁい」

 

 そんな訳でバスタオル1枚でシャンクスの元へ向かうと、テーブルに置いてあったタオルでシャンクスが私の頭をわしゃわしゃと拭き始める。それから笑いながら、髪をまだ上手く拭けないんだなと言われるから、努力はしてるのよと伝える。

 それに笑いながら最後にクシで梳かすところまでやってくれるのだから、甘やかされてると思う。いつも、甘やかされてて、私は何を返せるだろうか?

 

 「さて、余計に混乱して帰って来たみたいだが、もう……待ては聞いてやらん」

 「……わ、かった、大丈夫よ」

 「ナミ、お前なんでそういちいち可愛いんだよ。俺をどうしたいんだ?」

 

 シャンクスの言ってる事が理解出来なくて、素直に首を傾げるとシャンクスが私の身を隠していた唯一の砦を取り払い投げ捨てた。咄嗟に身を隠そうとした腕は簡単に止められて、シャンクスの視線に私のすべてが晒される。

 恥ずかしくて顔を背けたら、胸に吸いつかれて体が反応する。それでも、声を出すのが恥ずかしくて抑えていたら甘噛みされてしまい、その痛みで声が出てしまう。

 

 「ゃ……痛っ……シャンクス?」

 「虐められたくなかったら、声を抑えるな。素直に感じていたら、すぐに何も考えられなくしてやるから」

 

 恨めしく思って視線をシャンクスに向けたら、そんな事を言われて……つい、頷けば優しく微笑まれる。ベッドにそっと腰を下ろせば、シャンクスが私の震える体を優しく抱き締めてくれる。

 それにホッとして体から少し力が抜けたのを感じた直後、唇が重なった。優しく気遣うような口付けから始まり、思考を奪うような官能的なそれに変わる。

 気が付いた時には体はベッドに沈んでいて、私の両手はシャンクスを抱き締めていた。無意識のうちに、頭で考えるより素直に、体は心のありようを示していて……唇が離れようとするのが寂しくて、自らシャンクスの唇を追い掛けるように口付ける。

 それに驚いたような反応をしたシャンクスは、けれども次の瞬間には獰猛な口付けへとそれを変貌させる。シャンクスの頭に触れた瞬間、妙にシャンクスが冷静だった理由が分かる。

 シャワーを浴びたんじゃなくて、この冬島の海に飛び込んだのだと理解してしまったから。それなのに、お風呂上がりの私より体温が高いってどうなのよと、熱でもあるじゃないかと心配になる。

 

 「シャンクス……まさかとは思うけど、風邪、引いてたりしないでしょうね?」

 「馬鹿。あのまま待ってたら、いつまでも出て来ないナミを待ち切れなくて脱衣場で犯してただろうと分かるから、これは俺の理性の賜物だ。感謝しろよ」

 「……いつも、感謝してるし、大好きよ、シャンクス」

 

 言って微笑めばシャンクスは困ったように頭をかいて、少しだけ眉を寄せた。その顔が妙に可愛いと思った直後、シャンクスの手が私の秘部に触れる。

 それに反応して小さく声をもらせば、シャンクスがホッとしたように笑って、それから小さく謝った。でもそれに続いたのは、どこか不安な気持ちを隠さないシャンクスからの問い掛けで……。

 

 「……さっきから随分煽ってくれてるから、覚悟は出来てるだろう?」

 

 なんの事かと問うよりも早くシャンクスが宛てがわれていて、待って流石にまだと言おうとしたけどそれより早く入口をこじ開けられる。無理だと思っていたのに……私の体は恐ろしく素直にシャンクスを受け入れるから、どういう事かと戸惑いつつシャンクスに抱き着く。

 震えているのは、私か……それともシャンクスか……。酷くゆっくりと中に押し入ってくるシャンクスと視線が絡んだ時、不安そうに瞳を揺らしているのが見えて、どうしてこんなに優しいのかとその頭を撫でる。

 

 「そんなに、気を使わなくて大丈夫。……シャンクスの思うように、してくれて大丈夫だから……」

 

 泣かないで、戸惑わないで、私は大丈夫だから。そんなに大切にしなくても、ずっと傍に居るから。

 口に出せない想いの代わりに、私は挑発的な笑みを浮かべて、シャンクスを誘う。私を気遣わなくていい。

 

 「……早く、何も考えられなくして」

 

 耳元でそっと囁けば、シャンクスの動きが変わる。気遣うような労る様なそれが、獣が獲物を貪るようなものに。

 呼吸さえままならないような激しさの中で、時折垣間見える不安そうな瞳が私から恐怖を奪う。この優しくも強い赤い龍は、脆さを隠しているだけだけだから。

 強い人は、優しい人。優しい人は、脆い人。

 明るく笑う子供のような姿が偽り等ではないと分かっているけど、でも本質はそれじゃない事も知っている。喪う事に怯える、優しくも脆い人だから、少しでも多くの楽しい時間を過ごそうとしているのだと……それくらいは分かってるから……。

 

 「シャンクス……愛してるわ」

 

 きっと、シャンクスが想像してるよりもずっと……深く愛してる。憧れとか、信頼とか、師弟愛とか、そういった多くのものが邪魔して中々見えなかったけど……多分、ずっと前から愛してた。

 いつかきっと、私は彼の為になら死ねるだろう。同時に、彼の為に生きたいと思えるのも事実。

 シャンクスが死んだなら、それの弔いをした後で、私も笑顔で海に還ろう。そうすればきっと、冷たく深く、昏い海の中でも……寂しくは無いから。

 

 「ナミ……もう、2度と離さねェから……独りになるなよ。何処へも……行くな……」

 「馬鹿ね、シャンクスから私が……離れられる筈、無いじゃない。私に何かを教えるのはいつも、シャンクスなのだから」

 

 師匠とは追い抜く為にあるなんて……そんな言葉もあるけど、師匠に私は勝てなくていい。私は師匠が私の為に泣かないのならば、他は何をしても構わないと思っているから。

 泣きたい時は、泣いてほしいし、笑いたい時は笑って欲しい。でも、私の為には泣かないで欲しいの。

 私はシャンクスの心を守りたいから。

 いつも、心も体も守ろうとしてくれる優しい人を、私の力ではきっと身を呈してもその体を守る事なんて出来はしないから……だから、その心を守りたい。無理ならせめて寄り添いたい。

 私を甘い甘いと言うけれど、シャンクスの方がずっと甘い。裸の心をそのままに成長してしまったような人だから……傍にいさせてくださいと、祈るように願う。

 もう、どちらの心も、体も、震えてはいない。長くて愛しい夜はまだ、始まったばかり。

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