※この作品はR-18です。

助けIFシリーズ   作:夢枕 七変化

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節分イベントside

 室内に蜜柑の香りが充満する。天夜叉に攫われた後、ナミは俺との行為を避けようとする傾向が強くなった。

 そんな中でも理性を保てたのは、俺のやったイヤリングを無くしたくないと言って、俺にも強制的にピアスを揃いでつけさせた事が実は大きかった。だと言うのに、ナミは俺を忘れ、オシオキした俺がベックにオシオキされる謎現象が起きたのだ。

 そんな中でナミが突然海へと飛び込み、理由を聞いても話そうとしなかった為に俺の理性は遠い所へと旅立っちまった。結果、甘やかな声が室内で響いている。

 

 「も……む、り……!」

 「なら、なんで海に飛び込んだのか教えろよ」

 「やっ……ぁ……!」

 

 その拒絶が行為に対してのものなのか、それとも海に飛び込んだ理由を話したくないと言っているのか。どちらにしても、辞めてやれないなと思い、その耳元で悪い子にはオシオキだろうと囁けば涙目で俺を誘う。

 本人は、泣きそうなのを耐えているだけなつもりなのだろう。しかし、俺には煽っているようにしか受け取れねェからと行為を続けようとし……!?

 その時腹部にめり込んだのはメリケンサック。そんな物どうしたんだと心から思った俺は、そこまでのダメージでは無かったが、行為を辞めてやる事にした。

 そもそも攻撃する事が苦手なナミが、俺を攻撃した時点で相当な事態だと分かるのが理由だろう。そう思って笑うとナミが潤んだ瞳のまま、妙な事を言い出した。

 

 「シャンクスは、私の身体だけが好きなのよ!」

 「は?ナミの全てを愛してるぞ。何言ってんだ」

 

 思わず素で返したそれに、ナミはキッと睨みつけて来て、何だか妙に煽られる。だが今襲ったら多分、色々不味いだろう事も分かるのだ。

 

 「嘘よ!隙あらばどころか、隙なんか無くても襲ってくるじゃない!」

 

 いや、ナミは常に隙しかねェぞと、ここでそれを言ったら拗れそうだ。それはもう盛大に。

 

 「……俺は、ナミの肉体が今の美味そうなそれに育つ前から惚れてんだよ。身体だけ目当てな訳あるか。……6歳のナミに惚れてたんだぜ?」

 「なっ……!?」

 

 真っ赤になって口をパクパクさせるナミは、けれども直後になら何で買物くらい1人で行かせてくれないのよと言われる。そうして話を聞いてみれば、男が居ては買いにくい物もあるし、1人になる時間だって少しは欲しいと言うのだ。

 海に飛び込んだのも、少し1人になりたかったのだと言われちまえば、その気持ちは分からなくもないと気付く。なので悪かったと素直に謝罪して、縄張り内にある比較的安全な島へ向かう事を決めた。

 その代わりもうシャワーでも浴びたらもう1度と思った時、ナミが自力で動けなくなっているのに気付けば、漸く3日篭って貪っていた事を自覚した。これは、殴られるよな。

 

 「ん?」

 「どうしたの?」

 「そういや、そのメリケンサックどうしたんだ?」

 「この間、ベックが助け出してくれた後で、次はコレで抵抗するようにって言われたの。コレが使われた後、数時間以内に無事を確認出来ない場合は、即座に助けるって」

 

 不吉な言葉を聞いた気がして少し借りてみれば、発信機が埋め込まれていて……。成程な、メリケンサックを使用した場所がベックに筒抜けになる仕様か。

 なんて怖い物を持たせてんだと思いながらも、何かの時には安全になるかと素直にそれを返してから風呂場へ連れて行く。シーツを巻き付けて連れて行けば、ナミの無事が確認出来るからベックに怒られはしないだろう。

 ……なんか可笑しいな、俺が船長なのに。クルーの方が明らかに俺を尻に敷いてやがる。

 そんな事を思いながら溜息を落として、ナミを清めて、途中でもうヤダと泣かれたので仕方なく風呂場に1人残した俺は部屋を整えてからナミを迎えに行く。1人では帰れないのをわかっていてそうしたが、ナミはシャンクスの馬鹿と鳴くオウムと化していた。

 その日は仕方なくそのまま寝かせて休ませたが、ヤソップから蹴り飛ばされそのうち切り落とすぞと言われれば、本気で鬼に見えた。そして翌日買物に行ったナミを心配して、ルーとヤソップが後を追っていたようだが何とも言い難い逆に目立つ変装をしてる様子に、俺は大爆笑だ。

 帰って来たナミが食材をコック達に渡して、ベックと相談しつつ船を動かし始める。それには流石に、俺が船長だぞと声を掛けたのも仕方ないだろう。

 だがナミとベックは揃って知ってると答えて、勝手に目的地まで定められては船長って何だったかな?と言いたくなるのもわかって欲しい。

 その後にナミやベックから明日は節分というイベントで、恵方巻きと呼ばれる太巻きを毎年変わる方角に向いて無言で1本を食べ尽くすのが慣わしだと言われる。それに興味を持つ俺に、だから人のいない所で楽しみましょうと笑うナミだが……。

 

 「俺の恵方巻きは、中身肉で頼むな」

 「分かったわ。多分まだ少しはお肉もあったと思うし……コック達に伝えておくわね」

 「何言ってんだ。ナミが作るんだろ」

 「へ?」

 

 驚いた顔をするナミに驚くのは俺の方だ。なんで俺にはなかなか何も作ってくれねェんだよ。

 作るのが嫌なら、俺の為に恵方巻きになるんでもいいぞ。残さず食ってやる。

 そんな事を思いながら、口にしたのは切なる願い。この間ルーになんか作ってたの知ってんだからな。

 

 「俺は恋人の手料理が食いたい」

 「……コック達のが、美味しいの作ると思うのよ」

 「俺は、ナミの手料理が食いたい!」

 

 俺の言葉に困ったような顔をしてから、材料が足りないわと言うので俺も流石に困る。その時ベックが島で入手したらどうだと聞いてきて、納得したのかナミが俺に猛獣捕まえて来てと言うのだから頷いたのも当然だろう。

 到着した島で獣を数頭始末して持ち帰ると、毛皮は鞣して使うとか言い出す。その流れで血抜きして燻製肉も少し作り、その他に恵方巻きを作り、それでも残るのは焼肉にしましょうと言うナミはテキパキと動き出した。

 そうして俺の捕まえて来た獣は、骨と爪を残して他は全て処理された。……結構な匹数、捕まえて来たつもりなんだかな?

 豆料理と太巻きに喜ぶクルーに、それを食い尽くしたら肉が待ってるぞと笑うコック達に歓声が上がり、俺の前には太巻きが数種類差し出された。恵方巻きとして今年の方角である西南西を向いて食べるのも考えたが、それはコックの作ったので行う。

 

 「あれ?あんなに騒いでたのに食べないの?」

 「切って普通に食うよ。勿体ないだろ、丸飲みみたいな食い方したら」

 「……シャンクス……」

 

 少し嬉しそうに笑ってから、はにかむようにしたナミを見て何だか心が暖かくなる。本当に俺の女神は愛らしい。

 

 「大切に、味わって食うさ。まァ……いつも、ナミの事は丸呑みしちまってるが、今度からは心を入れ替えて優しく食ってやるよ」

 「なっ!?」

 

 言葉を失い、真っ赤になって俺の胸を叩いて来る優しい温もりを腕に掻き抱き、恵方巻きを食べながら虐めるなと視線で訴えて来る鬼に達に向けて豆を掴んで投げ付けた。それでも定型文の鬼は外福は内は言えないのは、クルー(鬼)が俺の傍を離れるなんて、外へ行くなんて耐えられないからだ。

 

 「福は内!鬼も内!!」

 「強欲な事だな!!」

 「海賊だからな!!」

 

 そんな事を言いながら笑い合う穏やかな日。今日も俺達は笑っている。

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