「花右京メイド隊のみなさーん、日々のご奉仕ご苦労様です。皆さんもご存知のことと思いますが、太郎様のご厚意で明日から3日間臨時にお盆休暇を頂けることになりました。
お盆を迎える準備も整ったことですし、今夜はぱーーーーーと」
バタバタバタバタ
「「「「「太郎様ーーーーーーーありがとーございまーーーーーす。」」」」
マリエルがメイド達の前に立ち話している最中にメイド達は俺に向かって突っ込んでくる。
「「「「「わー 太郎様」」」」
俺はメイド達にもみくちゃにされる。
「太郎様大会しましょう」
「いえそれよりカラオケ大会やりましょうよ」
メイド達による太郎争奪戦が始まった。
「凄いはしゃぎようだな」
そのようすを部屋の隅から眺めていたコノエがつぶやく。
「ええホント。予想もしなかったお休みですからうれしいんでしょう。あの子たちも本来は普通の女の子達ですから」
コノエのつぶやきに対し、近くにいたマリエルがかえす。
メイド達にメチャクチャにされているとめろん、まろん、れもんの3人に今度は捕まる。
「太郎様って私達の事嫌いでしょ」
そういってれもんは俺に抱き付いてくる。
彼女からはお酒の匂いがプンプン漂ってくる。どうやら酔っぱらったらしい。いつもなら嬉しいことだが、酔っ払いに絡まれたらたまったもんじゃない。
「そんなことないだろ。いつも可愛がってやってるだろ」
これは本当の事だ。ほぼ毎日夜伽をしてもらっている。まぁ最近はコノエも俺の女になったし、コノエの反応が初々しくてコノエに夢中になっていたためこの子達の相手をする回数が減っていたのは事実だが。
「だったら証明してくらさいよ。 ちゅーしれくらさい。チュー」
そう言って唇を俺の方に突き出してきた。
「はぁ しょうがないな チュッ」
これ以上酔っ払いに絡まれてもたまらないので、しょうがなくれろんに触れるだけのキスをする。
それだけで満足したのか喜んでどっかに行ってしまった。
はぁ 何とかなったか
そんなことを思っていると、周りにいたメイド達が私も私もとキスをせがんでくる。
「太郎様 私もしてください」
「ずるーい私もして――」
「私も私も」
その中には他にも酔っ払い(まろん)がいてキスの順番待ちをしていた列を無理やり押しのけ無理やり俺にキスした。勿論口にである。それに触発されたのかキスの順番を待っていた他のメイド達も順番など関係なしに俺にキスをしてくる。俺はなすすべもなくメイド達のキスの波に身を任せるしかなあかった。
「は 羽目を外し過ぎではないか」
その様子を見ていたコノエが顔を赤くしながら言う。
コノエは太郎とのあの修行の日から何度も体を重ねているのに一向になれる気配がない。
今もそれ以上を何度も経験しているのに、ただのキスごときで顔を赤くしている。
「たまのことですもの いいではありませんか」
それに対しマリエルは、その様子をニコニコと嬉しそうに眺めている。
「太郎様 チューなんてしてないで記念写真しましょうよ」
イクヨが大きな声で記念写真を撮ろうと言ってくる。そのおかげでキスの嵐は終わった。イクヨに感謝である。
「みんなー 写真を撮りますよー 集まってくださーい」
イクヨはそう言って皆に呼びかけ皆を集める。
「マリエル様早くーー」
「はーい、今行きます」
「それではいいですか? いきまーす」
「1+1は?」
イクヨが開発したカメラなのだろう。カメラがしゃべりだした。
皆はそれを不思議に思わず普通に2と答える。俺も慣れてしまっているため何も気にせず2と答える。
しばらくして部屋には誰もいなくなった。
皆実家に帰ったみたいだ。
みたいだっていいのは、俺は少し寝ていたため起きたら誰もいなかったからだ。
パーティー用の大きな部屋にあった食器などは片づけられていた。
てか窓から光が差している。もしかしてもう朝なのだろうか?
そんなことを疑問に思っていると、後ろからマリエルの声がした。
「太郎様おはようございます。 どうされましたか?」
やはりもう朝の様だ。それにしてもどうしてマリエルは残っているのだろうか?
「おはようマリエル。 ところでどうしてマリエルが残っているの?実家に帰らないの?」
「太郎様のいらっしゃるところが私の家ですから」
マリエルになにやらすごいことを言われたような気がする。
「は は」
「おおシンシアもいたのか」
声が聞こえたので下を見るとシンシアがいた。
気付かなかった。
「ゴホン」
扉の方から咳き込む音がしたので見てみるとそこにはコノエがいた。
「コノエもいたのか」
どうやらコノエもいらしい。よく考えれば、メイドがみんないなくなると屋敷の警備がやばいことになる。きっとコノエ以外の警備部と数人のメイド達が残っているのだろう。
それにしても良かった。なにも考えずに思い付きだけでお盆休暇をあげたが、メイドが全員いなくなってしまったらこの3日間の食事は誰が作るのだろう。俺は正直言って作れない。最悪3日間何も食べないってことになっていたかもしれない。それに3日間も誰もいなかったら誰が俺の性欲処理を手伝ってくれるのだろうか?正直言って女の体の良さを知ってしまった俺には、一人でするマスターベーションは余り気持ち良くない。この3日間はコノエに相手をしてもらおう。マリエルでもいいんだけど、まだマリエルとは一回もしてないんだよね。多分マリエルの事だから俺がさせろって言えばさせてくれるんだろうけどなんかそれって俺の趣味じゃないんだよね。ということでコノエ頼むよという意味を込めてコノエを見つめる。コノエも俺の目線に気づいたのか俺を見つめてくるが俺の視線の意味が解らないらしい。コテンと右に首をかしげる。
…ちょっと可愛いと思ってしまったのはここだけの秘密だ。
今は俺とマリエル、シンシアの3人で庭に来ている。
シンシアは目を回してコンクリートの地面に横になっている。
何をしているかって?それはな、スイカ割りをしているんだよ。
何故ここでスイカ割りをしているのかと疑問に思う人もいるだろうから一応言っておく、この前海に行っただろ?え?覚えていないって ならいいよ。この前海に行ったんだけど、そこでスイカ割りをやるのを忘れたんだよね。海といえば綺麗な海、水着の女の子達、そして最後にスイカ割り、この3大要素が必要なんだ。え?可笑しいって、そんなことはない君の気のせいだ。つまりだね。俺としたことが海に行ったのに海でやる定番をやり忘れて帰ってきたというおまぬけな事をしてしまったのだよ。ということで、海で出来なかったなら今やろうということになり今庭にスイカを大量に並べてスイカ割りをしているんだ。
最初はシンシアがやっていたんだけど、なかなか当たらずぐるぐる回っていたから目を回して倒れてしまったんだ。
そして、ついに俺の番が来た。俺は手ぬぐい目の部分を隠すように顔に巻き付けしっかりと頭の後ろで結ぶ。それから股の間で持っていた棒を両手で持ち構える。
さーこい いつでも行けるぜ。
俺はマリエルの声の誘導を待つ。
「太郎様前です。前」
俺は一歩前に出る。
「あと3歩前です」
俺はマリエルの指示のもと3歩前にでる。
「そうですそこ そこから前に向かって垂直に振り下ろしてください」
俺は言われた通りにしようと思ったが、寸前で止める。理由は早く終わってもつまらないし、マリエルとイチャイチャしたいからである。俺は棒を斜め右に振り下ろす。
カンというコンクリートに棒が当たった音がした。
「違います。 目の前です。 まっすぐ振り下ろすんです」
そんなようなやり取りを数回やった後、俺はマリエルの声がする方へ走っていく。そしてマリエルと俺の鬼ごっこが始まる。
「まてー」
「ひやー」
「まてー」
「ひやー」
途中から何故かシンシアもマリエルと一緒になって逃げ惑う。
そろそろおふざけも終わりにしようと、適当な所に棒を振り下ろす。
それと同時に目を覆っていた手ぬぐいが地面に落ちる。
しかもびっくりすることに目の前にはコノエが立っていた。
「何をしているのですか た ろ う さ ま」
コノエがすごい形相で俺を見てきた。
「いや その スイカ割りをしていたんだ。良ければやるかい?」
そう言ってコノエに棒を渡す。
「全くこんなの楽勝でしょうに」
そういって周りにある何十個もある全てのスイカを真っ二つに綺麗に切ってくれた。
いや 棒で包丁みたいに綺麗に切れないからね。
コノエはドヤ顔で胸を張って俺を見てきた。
確かにすごい。確かにすごいことだが、
「なあ これ たべきれるか?」
そう言った瞬間、コノエの顔色が急に悪くなった。
今は夜食を食べ終わったところである。
俺の隣ではコノエがスイカを食べていた。
このスイカは朝切ったスイカだ。俺も幾つか食べたが、コノエは昼食、夜食ともスイカオンリーで食べている。自業自得とはいえこれは可哀そうだ。コノエは俺の女だからな。俺もコノエの為に頑張ったのだが俺達だけでは手におえない。申し訳ないがあとはコノエに任せよう。
そんなことを思っていると、シンシアもといグレースが立ち上がった。
「どうしたんだグレース」
「メモルをいじってくる」
そう言って行ってしまった。
一応休暇中なんだからゆっくりすればいいのにと思ったがお節介だろう。
「では私も」
そう言ってコノエも出て行った。
俺の部屋には俺とマリエルだけになった。
…なんか気恥ずかしい感じがするのは俺だけだろうか。
それから少しぼーとしていたが、マリエルに誘われベランダに向かう。
ベランダからは東京にいるとは思えないほど綺麗な星々が見える。
星を見ていると流れ星が流れた。
「おお 流れ星だ。 マリエル見ていたか?」
そういって左隣にいたマリエルを見るとマリエルはじっと俺を見つめていた。
「どうしたマリエル?」
じっと見つめてくるので照れながらマリエルに声をかける。
「やっと太郎様にお会いできました。やっと」
そう言って微笑んできた。
何かそう言われるととても恥ずかしく照れてしまう。
「俺もマリエルに逢えてよかったよ。俺を待っていてくれてありがとう」
そう言うと突然マリエルの目から涙が流れ落ちる。
「ま マリエル!?どうし急に泣き出して 俺何か気に障る事でも言ったか」
突然泣き出した理由がわからなくて慌ててマリエルに聞く。
「いえ そうではないんです。 でも あの よくわからないのですがなぜかとっても嬉しい気持ちなんです。ですからこれはうれし涙なんだと思います」
そう言ってマリエルは自分の右手で涙をぬぐう。だけど涙は拭いても拭いても流れ落ちてきた。
俺は人が一人分は要れるぐらいのスペースまでマリエルに近づき、右手をマリエルに伸ばし両目から溢れ出す涙をぬぐう。
マリエルは突然の俺の行動にびっくりするも、俺の行為をジャマせずただじっとして俺の好きにさせる。びっくりしたおかげか涙が引っ込んでしまったようだ。あふれ出ていた涙が止まる。俺はそのまま右手を彼女の背中に回し、そして自分の左手もマリエルの背中に回しマリエルを抱きしめる。抱きしめた時俺の顔は丁度マリエルの右耳のあたりにあった。
俺は近くにあった右耳に触れるか触れないかのギリギリのところまで近づき、囁くように彼女に言う。
「愛してるよマリエル」
「は はい。私もです太郎様!」
そう言ってマリエルも自分の腕を俺の後ろに回し俺を抱きしめてくれる。
お返しとばかりに俺も抱きしめ返す。二人でぎゅーとしばらくの間抱きしめあっていた。
どれくらいの時間がたったのだろうか。結構長い時間抱きしめあっていた。
ふと何か屋敷が騒がしい気がする。
俺は胸の中にいるマリエルの抱き心地が良かったのでもうしばらくこうしていたいという欲望を押しのけ彼女から離れる。それを彼女も察したのか俺が話す瞬間にマリエルも俺から離れる。
ガヤガヤ
やはり何か屋敷の中が騒がしい
俺達以外数人しかいないはずなのになぜこんなに騒がしいのだろうと思っているとその原因はすぐに分かった。なぜなら、その原因がドアから入ってきたのだから。
ドアから入ってきたのは帰省したはずのメイド達だった。
「お前らどうしたんだ?」
「家に居てもつまらないので帰ってきてしまいました太郎様。 昨日もパーティー楽しかったですし今日もしましょう」
そうメイド達を代表してイクヨが応える。
「ダメですか? もしかして怒ってます?」
そういってウルウルしためで俺を見てくる。
はぁ全く。
「そんなわけないだろう。 みんな帰ってきたのならお帰りパーティーをしよう」
「「「「「わーい さすが太郎様」」」」
そう言ってパーティーが始まった。
全く。マリエルといい雰囲気だったのに。まぁいいか。これからいつでもチャンスはあるし。そう気持ちを切り替えて彼女達の中に向かう。
コノエが切ったスイカは無駄にならなくて済んだようだ。