ドンドンドン ガンガン ドドドドド カンカンカン
屋敷中に工事の音が響き渡っている。
俺は今、昨日のイクヨ爆発事件により吹っ飛んだ屋敷の修理作業を手伝っている。
マリエルには、ご主人様がやるようなことではないと言われたが、俺が無理を言って手伝わせてもらっているのだ。なぜ手伝ったかって?そんなの面白そうだからに決まってんだろ。俺は生前工事現場で働いてみたいと思ったことがあったんだ。だから、無理をいって手伝わせてもらっている。それに、ゲームとかしていてもドンドンうるさくて集中できないし、やること無くてつまらないというのが本音だったりする。でもまあそんな動機で手伝うのはますいから、建前では新当主となった俺が部下の仕事を把握していないのはまずいから、俺も部下の仕事に参加してメイド達の働きぶりをじかに見て体験しよう。という建前の元手伝っているのだ。
「太郎様。 これはあそこにもっていってください」
「ああわかった」
俺は土木作業に関しては素人だ。だからプロのメイドの指示のもと木材を運んだりなど手伝いをしている。かれこれ手伝いを始めて2時間はたつだろう。さすがに慣れない作業ということもあって疲れてきた。今日は天気も良く日差しがとても暑いのもあって汗がダラダラと滴り落ちる。汗を服の裾で拭いながらメイド達はもっと大変なんだと思いながら作業に取り掛かろうとすると、後ろからマリエルが声をかけてきた。
「太郎様。そろそろ休憩なされてはいかがですか?」
「マリエルか。 …そうだなそろそろ一休憩するか」
「ではお飲み物をお持ちしますので、あちらで座って待っていてください」
マリエルの指の先にはよくビーチとかにある傘型のテント(パラソル)が開いた状態で立てており、その下には白いプラスチック製の机と椅子がおいてあった。
「わかった。あそこでまってるよ」
そういってそのテントのあるところまで歩いていき、椅子に座る。
さっきまで熱い太陽の日差しの下に居たためここが天国のように感じる。
「はぁー 疲れた。 それにしてもよくメイド達はこの暑い中なんな暑そうなメイド服を着てられるよな」
メイド達は皆(自分的には)暑そうなメイド服を着ているのだが、その額や頬には汗ひとつ見当たらない。顔にも暑そうな感じを出さないので不思議だ。マリエルによればメイドの嗜みだそうだ。それに、彼女達が着ているメイド服は、見た目こそ暑そうだが実際は通気性がいいそうでそれほど熱くはないようだ。逆に夏に来ているメイド服は、見た目は夏用と全く変わらないが、性能は異なり温度を一定に保つようになっておりとても暖かいそうだ。このメイド服はメイド隊研究部門の発明品だそうだ。それなりにイクヨも役立っているようだ。マリエル曰く、イクヨは凄い発明をするときもあるが、それと同等の損害を出すのでプラスマイナスで差し引きゼロらしい。だから、優秀だが今でも技術部門担当という肩書しか持っていないそうだ。因みに、イクヨが技術部門で一番優秀らしいので技術部門の主任にしたいらしいが、大きな損害もだすので主任にはできず技術部門主任は空席となっているらしい。
「太郎様お待たせいたしました。冷たいお茶です どうぞ」
そういってマリエルはお盆にのせたコップを渡してくれる。
「ゴクゴクゴク…ブファ いやー生き返るー」
暑さでのどが渇いていた俺にとって冷たいお茶は最高だった。
「そう言えばイクヨが見当たらないけど」
「イクヨさんなら資材がたらないらしくて工房に掛け合っているようです」
「へー そうなんだ」ブローーーーーーーーー
「何の音だ?」
俺は音のする空を見てみると、そこには大きな飛行船が飛んでいた。
「なんだあれ」
「あれは…」
「知ってるのかマリエル」
「あれは花右京家と双璧をなす大財閥の慈悲王家専用飛行船ユングフラウ号です」
飛行船は高度ドンドン下げていき、屋敷の前の広場に降り止まった。
飛行船が止まると、飛行船のハッチがあき中から黒ずくめの男たちが出てきて二列になりお互いが向かい合うように整列する。その間は人が5人ぐらいは入れるぐらい離れていた。
そして全員が並び終わると、飛行船のハッチから赤いじゅうたんがコロコロ転がって落ちてきて、赤いじゅうたんの道を創る。その上を一人の女性がこちらに向かい降りてくる。
その女性はピンクのドレスを着ており、髪の毛は茶髪でクルクルに巻いてある。まさにお嬢様って感じの女性だった。スタイルは抜群でモデルのような体形をしている。
「あの子は?」
「慈悲王家の孫娘。慈悲王リュウカ様です」
相変わらずむさ苦しい屋敷ですこと。おまけになんて酷いありさま。手抜き工事の無垢ではありませんこと」
酷い言われようだが、この屋敷の今の状態を見ればそう言われても仕方ないだろう。だが、むさ苦しいとは喜々津てならない。お前らの方が男ばかりでむさ苦しいだろ!と思ったが言わないでおく。こうゆうタイプは張り合うと倍になって張り合ってくるからな。
「お久しぶりですわねマリエル」
「お久しゅうございますリュウカ様」
「それで 私のライバルとなる花右京家新当主とやらはどこにいるんですの?」
「こちらに」
そういってマリエルは俺の方に手を向ける。
「………どこにいるのよマリエル」
リュウカは俺の方に目を御向けるが、俺を見ずに目をキョロキョロさせる。
「ですからこちらに」
またマリエルは俺の方に手を向ける。
それと同時に、リュウカも俺の方を見るが俺を見ない。
「………だからどこに……はっ!? まさか」
やっとリュウカは俺を見た。
「初めまして、花右京太郎だ。よろしく」
俺が自己紹介すると、彼女は俺をジロジロと怪しそうな目で見てくる。
お嬢様としてその態度はどうなんだろうと思いながら彼女の反応を待った。
「えーーーー!? こっ この この間抜けそうな顔をしたいかにももやしって感じのひ弱な男が新当主ですって!?」
「はい!」
おい!はいってなんだよ はいって 俺はマリエルにそんな風に思われていたのか。とちょっとショックだった。
「……………………あぁぁぁっぁ。 なんてことなの! こんな こんな男が私のライバルだなんて」
リュウカは頭を抱えて何やら叫んでいた。
俺は彼女に関わるのがめんどくさそうだと思い、その間に仕事に戻ろうと彼女の反対側に歩き出そうとすると、彼女が待ったをかける。
「ちょっとお待ちなさい! どこにいくんですの。」
そう言って俺の前まで歩いて来て俺に人差し指を向けて話し出す。
「いいですこと。よくお聞きなさい。我が慈悲王家と花右京家は宿命のライバル。両家の間にはそれはもう血みどろな戦いが繰り広げられてきたのですよ。戦後のこの国の歴史は両家の争いの歴史といっても…過言ではないのですわよ。たとえば…慈悲王家が京都タワーを手掛ければ、花右京家は東京タワー。慈悲王家が瀬戸大橋を手掛ければ、花右京家は東京湾アクアライン。慈悲王家が関門トンネルを手掛ければ、花右京家は青函トンネル。慈悲王家がお好み焼きチェーンを展開すれば、花右京家はもんじゃといったぐあいで、慈悲王家が何かするたびに対抗してくる花右京家。全く忌々しいッたらありませんわ。キ――――――――――――――――」
「へぇ そうなんだ。ちっとも知らなかったよ」
「そうまさに両家は北の狼、南のトラといった具合なのです。残念ながらここ数年は花右京家の後塵を拝してきましたがこの私が当主となりましたら、これまどのようにはいきませんわよ といいにきたのですが、よりによって私のライバルとなる新当主がこんなもやしだったなんて…はっ …何たる無礼な―――!」
彼女の話が長いので途中で彼女を無視して仕事に戻ろうと歩いてきだしている俺に気づいた彼女は俺に向けて猛スピードで突っ込んでくる。
だが皆にも考えてほしい、今は屋敷の工事中で屋敷のには機材や何やらが沢山そこらへんに散乱している。そんな中を下も見ないで俺に向けて猛ダッシュしてきたらどうなるだろうか?
「きゃ!? ぶへ@g%#*2」
案の定彼女はおいてあった木材に足を引っかけ転んでしまう。そして勢いがあったため転んでからも地面を何回かバウンドしながら転がっていく。
「……だいじょうぶか?」
「「「お嬢様!?」」」
彼女の取り巻き?達が一斉に彼女の下へ走り出す。
少しその様子を見ていたがどうやら彼女は無事らしい。
「大丈夫ですわ。 貴方達も落ち着きなさいな。このようなことで取り乱すなど慈悲王家に仕えるも…バタッ」
「「「お嬢様!?」」」
彼女はやせ我慢をしていたのだろう。何とか一度は立ったがまた倒れてしまった。
自業自得とはいえ、俺が話を最後まで聞かなかったのも悪い。なので彼女を屋敷で休ませることにした。
ところ変わってある事務所に一人の女性(イクヨ)が電話をしていた。
「はい はい …そうですか。わかりましたありがとうございました。 ガチャ はぁどうしよう。もうだめだ。時間があればこんなに急ぐことないんだけど、あの人が帰ってきちゃうからな~ はぁ どうしようもないか。とりあえず皆の手伝いをしながら考えよ~と」
彼女は事務所を後にし、工事現場に向かう。
ところ変わって、屋敷の応接室に俺は今いる。応接室のソファーにはリュウカが横になっており、手当てを受けていた。
「これでいいですね」
手当てをしてくれたメイドはリュウカに一礼し、俺にも一礼してから部屋を出て行った。
彼女のメイド服は淡いピンク色の服に白いエプロンをつけていた。他の子と違うのは胸のあたりに赤い色で十字架があることだろう。俺もここにきて数日たつが彼女には初めて会った。まだ知らない子もいるんだなと思いながら彼女が部屋を去るまで目で追っていた。
「いたたたた この私の美しい顔に傷をつけるなんてどうしてくださいますの。責任取っていただきますわよ」
そう言っておれを睨んでくる。
いや俺は何もしてないだろ。お前が勝手に木材に躓いてコケておでこをすりむいたんじゃねぇか!ちょっとムカついた俺はおちょくってやろうと彼女の目の前に移動し、彼女のおでこの絆創膏をペロッと舐めた。
「大丈夫だよ。つば着けとけばそんくらいの傷なんて治るから大丈夫だろ」
ガチャガチャガチャ
彼女の取り巻き共が俺に向け拳銃を向ける。
「きっ」
「き?」
「きゃーーーーーーーーーー!?」
屋敷中に彼女の叫び声が響いた。
Sideイクヨ
「きゃーーーーーーーーーー!?」
背後の屋敷の中から女性の叫び声するが、彼女はそれどころではないため聞こえていない。
「うーん うーん「リュウカ様」うーん「急げ」うーん「リュウカ様」うーん」
彼女の側をリュウカの取り巻き達が走り抜けていくが彼女は考えるのに夢中になっているため気づかない。
「うーーーん。それにしても資材調達の問題解決の見通し立たずだわ。お屋敷の崩壊の原因が私にあるだけに私の手伝とかしないとー。来週にはこわーい人も帰ってきちゃうし~
うん?」
彼女が考えながら歩いていると、突然暗くなった。それにはさすがに気づいた彼女は顔を上げ暗くなった原因を探す。そうすると、目の前に大きな飛行船があった。
「わ~~ぁ♡」
ドココ ブーーー カンカン
Sideイクヨ終わり
Side太郎
「リュウカ様。もう少し休まれていかれた方が」
「え~いだまらっしゃい。こんな野蛮な所に一秒たりともいられますか」クルッ
歩いていた彼女は突然後ろを向き俺らの方を見る。
「いいこと 今日の所は引き上げて差し上げますが、この仮は必ず返させていただきますからね」
「はぁ」
「それまでは花右京家がつぶれないようせいぜい頑張りますことね。まぁ 当主が貴方なら無理な注文かしら おほほほほほほ それではおきげんよう。 帰りますわよオスト隊 …へ!? ちょっと」
彼女は赤いじゅうたんの上を歩き飛行船へ向け歩いていくが、その先には飛行さんがあったはずだが、その場所には無残な光景が広がっていた。飛行船はまるで骨だけになったような状態で、飛行船であったとかろうじてわかる程度骨組みが残っているだけで後はなくなっていた。余りに酷い光景に、リュウカは力なくその場に座り込み、自分の飛行船の躯をただ茫然と見つめている。
「太郎様 太郎様~ 喜んでください。資源不足が一気に解決したんです。丁度いいところに大きなガラクタがりましてね。これはもう、困りはてた私への神様からのプレゼントに違いないって」
イクヨの言葉を聞いて、こいつが飛行船をあんな無残な姿にした犯人だなと確信した。
「私のユングフラウ号が イヤーーーーーーーーー!?」
「よくしゃべる方ですねリュウカ様って。一体何があったのかしら」
いやこれはお前のせいだよと心の中で突っ込む。
「はぁ まったく。 さてと、仕事仕事」
面倒事はごめんなので仕事に戻ることにした。
「ねぇ これって何の冗談。 夢? …花右京太郎。許しませんわー!!!」
俺は全く悪くないのに、リュウカの中では俺が悪いということになっていることに俺は全く知らない。空が夕日色に染まる中リュウカの憎しみの叫び声が響き渡っていた。
長かった。
…書くの疲れました。(笑)