「と、そのような感じで私、リアス・グレモリーもこの兵藤家に住まわせてもらうことになりました。ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いしますわ。お父様、お母様」
リアスはあの後、愛する俺と一緒に住むと言い出した。それはいいけど……。
「まあ、どうしましょう。アーシアちゃんにリアスさん、娘が二人もできちゃうのね」
「うんうん。男の夢だよな。女の子がいっぱいって!俺の若いときの夢、お前なら叶えられるな!」
父さんさぁ……。
そして部屋へリアスの荷物を運ぶ。
「……あぅぅ、一夫多妻制しか希望がなさそうです……。……でもでも……主の教えに反してしまいますし……でもでも、イッセーさんなら……はぅぅ……」
……アーシア、その辺はおいおいとね。
「イッセー、これが終わったらお風呂に入りたいわ。……そうね、一緒に入りましょう。このおっぱいをスポンジにして♡」
……あのさぁリアス。
「もう!裸のお付きあいなら私もします!イッセーさんも部長さんも私だけ仲間外れにしないでください!」
……だんだんと俺の日常は賑やかになっていくな。
カキーン。
おお、来た来た。
「オーライオーライ」
ほい、キャッチと。
「ナイスキャッチよ、イッセー」
笑顔で親指グーをくれるリアス。
旧校舎裏手の草の生えていない少しだけ開けた場所があるのだが、俺たちオカルト研究部の面々はそこで野球の練習をしていた。
……いや、悪魔の仕事ってわけでもないけど。
「来週は駒王学園球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」
リアスが活き活きとしながら力強く言う。
もうすぐ学校行事のひとつ、球技大会がある。
野球、サッカー、バスケ、テニスなど球技と名の付く競技を一日使って楽しむ行事だ。種目的にはクラス対抗戦や男女別競技などがあり、そのなかのひとつに部活対抗戦があった。もちろん、オカルト研究部の参戦も例外ではなく、文化系の部活、体育会系の部活関係なしに参加しなければならない。部活対抗戦の種目は当日発表なので、何で対決するのかはわからない。人数的に差のある場合は、少ないほうの部活に合わせて参加人数を決める。配置的に人数が多くなる種目は、生徒会公認のリザーバーをメンバーに加入して補う。
とりあえず目ぼしい球技の練習をこうして行っている。今日は野球だ。時間は夕方近く。もうすぐ空も赤くなるころ。
「バッティングの練習はこんな感じでいいわね。野球なら四番は小猫に決定」
「……了解です」
そりゃ、ホームラン乱発怪力少女の小猫ちゃんが一番だろう。打率凄すぎ……俺も普通に可能だけどピッチャーの方に回った。キャッチャー吹っ飛ばさないようにしないと。
「次はノックよ!さあ、みんな!グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」
…………燃えてるなぁ、リアス。
「部長はこの手のイベントが大好きですからね」
うふふと笑いながら朱乃さんが言う。
「わからなくもない。リアスは負けず嫌いだしね」
「そういうことですわ。まあ、よほどのヘマをしなければ私たちが負けることなんてないと思いますけれど」
……まあ、そりゃ俺たちの場合はね……。
当日は加減すること前提で動くらしいがそれでも苦戦はないだろう。けど、球技のルールや特性を体で覚えておかないとダメだということでリアスはこうして俺たちに練習を促している。
「頭でわかっていても、体で覚えないとダメよ」
……たくましいね。実戦では何が起こるかわからないからということで練習している。
「ほら、アーシア!行くわよ!」
カーン!
「はぅ!あぅあぅあぅ……あっ!」
「アーシア!取れなかったボールはちゃんと取ってくるのよ!」
「は、はいっ!」
……がんばれ!アーシア!
「次、祐斗!行くわ!」
カーン!
「…………」
コン。
……えぇ……。
「……木場!」
……俺の方を向いてきょとんとするな!
「……あ、すみません。ボーッとしてました」
そう言ってリアスに拾ったボールを投げる。
「祐斗、どうしたの?最近、ボケッとしててあなたらしくないわよ?」
「すみません」
……やっぱりあれが原因か…聖剣ねぇ……。
「ふむ……」
リアスは野球のマニュアル本を読み出した。読書家だねぇ……。
「あらあら。ところでイッセーくん、ご存知?」
「何を?」
「最近、部長ったら恋愛のマニュアル本を読んでいるんですよ」
「……ふぅん……」
……リアスに恋人?誰だ?俺だ!……というおふざけはさておき。……可愛いねリアスは。
「イッセーくん」
「何です?」
「ちゅーして♡ちゅ~♡」
そう言って朱乃さんは目を閉じ唇を近づける。
「……今は皆居るし今度ね」
「さーて、再開よ!」
リアスがバットを振り上げ、練習は再開される。
ふぅ……まったく桐生は。アーシアにおかしなこと教えないでほしい。
そんなことを考え部室に入る……あら、お客さんだ。
「生徒会長に副会長ですか。悪魔関連のお話ですか?」
もう一人男子が居るが、眷属悪魔だろう。……副会長は……あの時の子か……。
その後支取蒼那生徒会長の真実の名が上級悪魔シトリー家次期当主ソーナ・シトリーだということや最近下僕にした悪魔同士の紹介をした。シトリー眷属の『兵士』匙元士郎がどうにも俺にライバル意識を向けているようだ。ちなみにその後帰り際に副会長が───。
「もしかして兵藤一誠くん、あなたは……」
「……ああ、そうだよ。久しぶり椿姫ちゃん」
「……!ずっと会いたかったんです。私の初恋の人……」
そう言うと柔らかい唇を重ねてきた。
「つもる話はまた後日にしよう。椿姫ちゃん」
「……はい、イッセーくん♡ではまた」
「椿姫、校内での過度な不純な異性交遊は……」
「くそぅ兵藤め!このモテモテ野郎がぁ~!」
「イッセー?」 「イッセーさん?」 「イッセーくん?」
……その後リアスたちにおおまかな説明をした。
そして球技大会終了後……
パン!
「どう?少しは目が覚めたかしら」
終始ボケっとしていた木場にリアスが怒っていた。ただ、頬を叩かれても木場は無表情、無言だった。その後唐突にいつものニコニコ顔に戻る。
「もういいですか?昼間申し訳ございませんでした。どうにも調子が悪かったみたいです」
「……木場、あの写真に写っていた剣……聖剣と何があった?……相当憎んでるだろう?」
「……そうだよ、イッセーくん。僕は基本的なことを思い出した。僕が何のために戦っているか。僕は復讐のために生きている。聖剣エクスカリバー──。それを破壊するのが僕の戦う意味だ」
……強い決意だな。
あのあと、俺は自分の部屋でアーシアと一緒にリアスから木場の過去を聞く。エクスカリバーを扱える者を育てる計画……『聖剣計画』の被験者として扱われ、『不良品』として処分に至ったこと。祐斗は逃げ延び、瀕死だったところをリアスが悪魔に転生させたそうだ。リアスはその優しさから木場を救いたかったのだろう…しかし───。
「あの子は忘れられなかった。聖剣を、聖剣に関わった者たちを、教会の者たちを──」
……それは難しいだろう。
その後、ぶり返した聖剣への想いの切っ掛けの写真を見せた後リアスは色々独り言を始め……。
「もう寝ましょう。あまりあれこれと考えていても祐斗の機嫌がおいそれと直ってくれるわけでもないわ」
そう言ってリアスは服を脱ぎ出す……こらこらリアス!
「何故ここで服を……」
「私は寝るとき裸じゃないと眠れないってイッセーも知っているでしょう?」
「いや、なんで俺の部屋で?」
「あなたと一緒に寝るからに決まっているでしょう?私はあなたを愛してるのよ?」
「なら、私も寝ます!イッセーさんと寝ますぅ!」
……はぁ……。
その後、二人と一緒に寝るということで決着をつけた。
翌日の早朝、俺の中にいるドライグから最近妙な気配が俺の近くですることを伝えられる。……あれだろう。
そして一日の学業と表の部活動を終え、帰路につく。
リアスは用事があるらしくあとで帰るそうだ。
そして家の前まで来ると妙な悪寒を感じる。これは……。
「アーシア、下がってろ」
アーシアが震える手で俺の手を握り締める。
俺には微々たるものだがアーシアは俺以上に不安なものを感じただろう。
俺は玄関を開け気配のするリビングに入ると……。
見知らぬ女二人と母さんが談笑していた。いや、一人は……あの子か。悪寒のもとはもう一人の傍らに置かれているモノか。
「あら、イッセーお帰りなさい」
「ただいま……それから久しぶり、綺麗になったね。イリナ」
「久しぶり、イッセーくん。また会えて嬉しい……でもその、お互い色々あったみたいだね」
その後帰ってきたリアスに無事で良かったと抱き締められた後、落ち着いたところで昼間彼女たちと接触したソーナ会長からリアスと交渉をしたいと聞く……何があったのやら。
そして次の日の放課後、俺たちグレモリー眷属は部室で彼女たち、ゼノヴィアとイリナの目的を聞く。大昔の戦争で四散し、錬金術で新たな姿となり、七本に分けられたエクスカリバーの内、三本が堕天使幹部、コカビエルに奪われたという。
それぞれカトリック、正教会、プロテスタントにあった内から一本ずつ、残りの一本は三つどもえの戦争で行方不明だということだ。
コカビエルは日本に逃れ、この地に持ち込んだらしい。
彼女たちの依頼──注文はこちらに今回の事件に関わるなということだ。……まったく。
お互いに自分たちの立場などを鑑みてそういった話をしてリアスが二人だけで堕天使幹部からエクスカリバーを奪還するなど無謀と思い死ぬつもりなのかと聞く。
「このままにしておくわけにもいかないわ」
「私もイリナと同意見だ。むろん、ただで死ぬつもりはないよ」
……手持ちのエクスカリバー以外に奥の手でもあるのか。
それで終われば良かったのだがゼノヴィアがアーシアを魔女と言い、斬られるといいなどというのであちらの汚点で煽った結果、教会には知らせない殺し合いに発展しなければ問題ない私的な決闘を行うことになった。
俺はイリナを相手にし、木場がゼノヴィアの相手を務めることになった。木場はゼノヴィアたちの先輩として介入した。
「その、行くわよイッセーくん!ええい、アーメン!」
イリナが変幻自在の特性を持つエクスカリバーミミックを日本刀の形にして斬りかかる。けど甘い。
「来いハイブーステッド・ギア。『Boost!!』ドラゴ・ストーム!」
「えっ!キャァァァ!」
イリナは暴風で吹き飛ばされる。
「聖剣が悪魔の脅威といえ、斬られなければいい。まだ修業が足りない」
「……イッセーくんが赤龍帝だなんて……すごいね、昔からイッセーくんは……」
その後、木場も冷静さを失い判断ミスをしてゼノヴィアに敗北する。
そして去り際にゼノヴィアが───。
「兵藤一誠。『白い龍』バニシング・ドラゴンは既に目覚めているぞ」
……へぇ。
「ちょっと待ってよゼノヴィア!イッセーくん、またね」
そして木場はリアスの静止を聞かず同志たちの恨みをはらすため、その場を立ち去った。
「祐斗……どうして……」
リアス……まったく、木場。そいつらがお前に望むのは、お前がそいつらのためにできることはそんなことじゃないだろ……。
……仕方ない、やるか。
前書きの発言上☆着けました。
生徒会長たちとの遭遇をどうするかで時間がかかりました。
応援、感想、評価是非よろしくお願いいたします。
二月二十四日、改行いたしました。