追記、セラフォルーのセリフ一部描き忘れたので描き足しました。お騒がせします。
「イッセー、アーシアちゃん。後でお父さんと一緒に行くからね」
気合入ってるなぁ。ウチの両親はアーシアを娘のようにかわいがっているから、見たくもなるだろうけど。とうのアーシアも「はい!」と満面の笑みだ。
一緒に暮らしている「家族」の者が来てくれるというのが、たまらなくうれしいらしく、アーシアはこの日を楽しみにしていた。そんな今日は授業参観の日。正確には「公開授業」だ。親御さんが来ていいのは当然、中等部の学生が授業風景を見学してもいいことになっていて、その中学生の保護者も同伴で見学可能という、結構フリーダムなスタイルである。自分の親御さんだけではなく、中等部の後輩たちも見に来るとあって、意外に高等部の皆は無駄な緊張をしたりする。まあ、後輩の前で間違った回答とかしたくないしね。
「……気乗りしないわね」
リアスはため息を吐きながら言う。授業参観が嫌らしい。お父さんとサーゼクスさまがいらっしゃるようだが、やはり授業風景を親に見られるのはリアスでも嫌ということか。紅髪の男性が二人も教室訪れたら、それは話題になるだろう。心中お察しするよ、リアス。
今回ウチの両親は息子よりはアーシアだから、俺は普通通り授業させてもらおう。どちらにしろこの程度で緊張しないけど。学校の玄関口でリアスと別れた俺とアーシアは教室に向かう。席に着くと、松田と元浜が近づいてきた。
「イッセーんところは両親来るのか?」
「ああ。というか、父さんも母さんもアーシアを見に来るそうだ」
「あー、わかる。アーシアちゃんが娘だったら是が非でも観に来たくなるよな」
……否定はしない。
「私、こういうの初めてなんで、すごく楽しみです」
アーシアは心底楽しそうだな。アーシアが楽しみならそれで十分だな。
授業が始まり、開け放たれた後ろの扉からクラスメートの親御さんたちが入ってくる。
授業は英語。いつもより気合の入った男性教諭が何やら袋に包まれた長方形の物体を生徒に配っていく。……これは紙粘土か?何故英語の授業で?
「いいですかー、いま渡した紙粘土で好きなものを作って見てください。動物でもいい。人でもいい。家でもいい。自分がいま脳に思い描いたありのままの表現を形作ってください。そういう英会話もある」
……あるのか?
「レッツトライ!」
いやいや、本当にあるのか?
「む、難しいです」
アーシアちゃん、順応が早いね。
「アーシアちゃん、ファイトよ!」
「アーシアちゃん、可愛いぞぉ!」
……息子そっちのけでアーシアへビデオカメラを向けるんだね、父さん。
アーシアが父母の声に気づき、振り向いてうれしそうにしていた。もう完全に親子だな。俺もうれしいけど。
と、周りを見れば、皆渋々ながら紙粘土をこねくりだしていた。いいのかそれで、クラスの皆?
……さて、俺も作るか。
しかし、何を…………いや、やはりこれだな、よし。
「ひょ、兵藤くん……」と驚いた表情で先生が俺の肩に手を置く。
『おおっ!』とクラスから歓声が沸く。俺が作ったのは……。
ドライグの像だ。
「す、素晴らしい……。兵藤くん、キミにはこんな才能もあったなんて……。やはり、この授業は正解だった。また一人、生徒の隠された能力を私は引き出したのです……」
「ゲームか何かのドラゴンか?スッゲー迫力だなぁ!カッケーぜ兵藤!」
「兵藤くん、すごーい!」
なんかクラスがドライグの像を巡るオークション会場と化した。ちなみに俺に宿るドライグは……。
『うぉぉぉぉん!俺は嬉しいぞ相棒!』
そうか。俺も喜んでもらえて嬉しいよ、ドライグ。
お昼休み。
「よく、出来ているわね」
とリアスは俺が授業で作った紙粘土の像を見て感心していた。結局、俺は像をクラスメートに売らなかった。相棒の像だからな、売れないさ。
俺はアーシアと飲み物を買いに出て、自販機の前でリアスと朱乃さんと偶然遭遇した。
「あらあら、さすがはイッセーさまですわね」
朱乃さんも像の出来に驚きながらも微笑を浮かべている。
「私も今度作ってもらいたいですわ。再現するためなら脱ぎますわ。お触りもアリで」
「……いや、それはね……」
「ダメよ」 「ダメです」
ウチの女性陣は手厳しい。……ふむ。
「今度、三人ぶん作りますか?」
「……三人ぶんね……。それならまぁ……」
「私も……」 「あらあら、うふふ。楽しみですわ」
……ふぅ。あ、そうだ。
「ところでリアス。サーゼクスさまはいらっしゃったのかな?」
リアスは額に手を当ててため息をつく。
「ええ、父も一緒に来たわ」
お父さまも来られたのか。
「あ、部長。それに皆も」
「あら、祐斗。お茶?」
「いえ、何やら魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと思いまして」
………………魔女っ子?
カシャカシャ!
フラッシュがたかれて、カメラを持った野郎どもが、廊下の一角何かを撮影していた。人だかりで何を撮っているかはわからないが木場の話だと、「魔女っ子」らしい。
俺は人垣をくぐり抜けて、前の方に体を向ける。進むとそこには見覚えのある格好が。
確か、『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』だったはず。心は乙女、体は漢の俺のお得意さま、『ミルたん』がこのアニメキャラに夢中だった。
そんな時、リアスが俺の隣に到着して、魔法少女を目にした途端、慌てふためく。
「なっ!」
どうしたリアス?よほどの偉い人か?確かに相当強いだろうね。
「オラオラ!天下の往来で撮影会たーいいご身分だぜ!」
あ、匙だ。
「ほらほら、解散解散!今日は公開授業の日なんだぜ!こんなところで騒ぎを作るな!」
ふむ、頑張ってるね。人だかりも無くなって撮影していたカメラ男子も匙にどつかれて去っていく。
残るは俺たちと匙、コスプレ少女だけ。
「あんたもそんな格好をしないでくれ。ってもしかして親御さんですか?そうだとしても場に合う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」
「えー、だってこれが私の正装だもん☆」
あらら、とそんな時匙がリアスを確認するなり頭を下げる。
「これはリアス先輩。ちょうど良かった。いま魔王さまと先輩のお父さんをご案内していたところなんですよ」
廊下後方から、ソーナ・シトリー会長先導のもと、紅髪の男性二人が近づいていた。
「何事ですか?サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って───」
と言いかけたソーナ会長が、ミルキーを見るなり、言葉を止めた。
「ソーナちゃん!見つけた☆」
ミルキーは会長を見つけるとうれしそうに抱きついていく。会長の知り合い?……どことなくこの二人似ているな。そんな時サーゼクスさまが──。
「ああ、セラフォルーか。キミもここへ来ていたんだな」
…………まさかな。
「リアス、まさかあれって……」
「そうよイッセー。あの方は現四大魔王のお一人、セラフォルー・レヴィアタンさま。そしてソーナのお姉さまよ」
……………………マジか。
「セラフォルーさま、お久しぶりです」
「あら、リアスちゃん☆おひさー☆元気にしてましたか?」
…………軽いっ‼
「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」
「うん☆ソーナちゃんったら、酷いのよ。今日のこと、黙ってたんだから!もう!お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」
……おーい。冗談だよな?
「イッセー。ごあいさつなさい」
「はじめまして、兵藤一誠です。リアス・グレモリーさまの『
「はじめまして☆私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆『レヴィアたん』って呼んでね☆」
ピースサインを横向きでチェキする魔王レヴィアタンさま…………軽すぎるっ‼
「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子が噂のドライグくん?」
サーゼクスさまを『ちゃん』付け……許されるのか?いやいや、魔王同士だし良いのか?
「そう、彼が『
突っ込まないし!いつもそんな呼び方なのか?
「あらあら、グレモリーのおじさま」
「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装ですな。いささか魔王としてはどうかと思いますが……」
「あら、おじさま☆ご存じないのですか?いまこの国ではこれが流行りですのよ?」
「ほう、そうですか。これは私が無知だったようだ」
「ハハハハ、父上。信じてはなりませんよ」
………………おーい、マジですか?
「リアス、想像を遥かに越えて軽いノリだけど……レヴィアタンさま」
「ゴメンなさい。言うのを忘れていた──いえ、言いたくなかったのだけれど、現四大魔王さま方は、どなたもこんな感じなのよ。プライベート時、軽いのよ、酷いぐらいに」
……それで良いのか?
会長、顔真っ赤だな。この姉に関してはとても恥ずかしいだろう。
「ソーナちゃん、どうしたの?お顔が真っ赤ですよ?せっかくお姉さまである私との再会なのだから、もっと喜んでくれてもいいと思うのよ?『お姉さま!』『ソーたん!』って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、お姉ちゃんは!」
……難易度恐ろしいな。
会長は遺憾そうな表情で目元を引きつらせながら言う。
「……お、お姉さま。ここは私の
「そんなソーナちゃん!ソーナちゃんにそんなことを言われたら、お姉ちゃん悲しい!お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーナちゃんは知っているじゃない!きらめくスティックで天使、堕天使をまとめて抹殺なんだから☆」
「お姉さま、ご自重ください。魔王のお姉さまがきらめかれたら小国が数分で滅びます」
魔法少女ではなく魔王少女だな。匙に聞くと、コカビエルが襲来してきたとき、会長が魔王のお姉さんを呼ばなかったのは、セラフォルー・レヴィアタンさまが妹を溺愛しすぎて、何をしでかすかわからず、大変なことになるということらしい。匙も初めて会ったらしく、困惑している。……やれやれ、仕方ない。
「レヴィアタンさま。妹に構ってほしいなら、ちゃんと!した!格好をしてあげてください!本気で嫌われても知りませんよ?」
「えぇっ!?やだやだ!ソーナちゃんに嫌われちゃったら、お姉ちゃん死んじゃう!」
「だったらとりあえず落ち着いてください、魔王なんだから出来るでしょう?」
「うん!わかった!」
ふぅ、これで一安心。
「大丈夫ですか?ソーナ会長」
俺がそう聞いてソーナ会長の顔を見ると……会長は目を潤ませ、頬を朱に染めてこちらを見ていた。
「あの、その、本当にありがとうございます、兵藤くん……」
「ほらほら、泣かない泣かない。もっと笑顔でお願いしますよ」
「……はい、ありがとうございます」
そう言ってソーナは赤い頬のまま微笑む。
「兵藤くんには助けられてばかりですね……」
「……ソーナ会長には笑顔でいてほしいですしね。せっかくの美人が台無しなんだから」
「そ、そんな美人なんて……(ポッ)」
そう言ってソーナ会長は何やらもじもじする。
「なになに?ソーナちゃんもしかして……」
「な、何でもありません!」
……えっと。
「ドライグくん……イッセーくんって呼ぶね☆ソーナちゃんのこと泣かせちゃダメだよ?」
「はあ、わかりました……」
「それと☆セラお姉ちゃんって呼んでも良いよ☆」
……ハハハ。その後、セラフォルーさまと顔を真っ赤にしたソーナ会長、あと匙もその場を後にした。
「うむ、シトリー家は平和だ。そう思うだろう、リーアたん?」
「お兄さま、私の愛称を『たん』付けで呼ばないでください……」
リアスって家では「リーア」と呼ばれているのか。
その後もリアスはサーゼクスさまに少しばかりからかわれ、何か父親に感動されていた。朱乃さんの話だと魔王が皆フリーダムなせいでそのご兄弟は例外なく真面目な方ばかりになっているそうだ。その後、ウチの両親が来てリアスのご両親とごあいさつをした後、リアスのお父さんが木場に落ち着ける場所に案内を頼んだ。あと、その場に残ったサーゼクスさまがリアスと朱乃さんを連れてどこかへ向かった。さて、アーシアと教室戻るか。
その夜、今の今まで我が家でウチの両親とサーゼクスさま、リアスのお父さんによる授業参観鑑賞会が行われ、耐えきれなくなったリアスと俺の部屋で二人きり。リアスは俺のベッドに飛びこみうつぶせで黙り混み、俺はベッドの端に座り床に足をおろす。
「リアス、俺はウチの両親とリアスの親御さんが仲良くなって良かったと思う。盛り上がりすぎだけど……」
「わかっているわ。私も父と、イッセーのお父さまが楽しそうに話していてうれしいのよ」
……そっか。
「ねぇ、イッセー」
「なに?」
「イッセーは私と出会えて幸せ?」
「……当たり前でしょう。俺はリアスを愛してるんだから」
「私もイッセーと出会えて幸せよ。私もあなたを愛してる。もう、あなた抜きの生活は出来ない。私の心はあなたに占められているの」
「……リアス、こっち向いて」
リアスは起きあがって俺の方を向く。そんなリアスの柔らかい唇にキスをするとリアスも目を閉じて俺の首に腕を回し、そのままベッドに倒れこみ、お互いに舌で相手の唇や口内を舐め合う。
「んっ、ちゅっ♡んれろっ♡イッセー♡好き♡大好き♡愛してる♡んっ♡ちゅっ♡ちゅぱっ♡イッセー♡」
とリアスとディープキスをしていると──。
ぐいっ!と襟元を引っ張られる。唾液の糸がツーッと俺とリアスの口から出て、リアスは名残惜しそうな表情をする。
「……うぅ」
あらら、アーシアに見られた。涙目になってる。
「ちょっとアーシア。私がイッセーと愛しあってるところなのだから邪魔しないでちょうだい」
「……部長さんばかりずるいです!」
「先手必勝。朱乃との競争で学んだことよ」
とリアスとアーシアがにらみあっている。こらこら、二人とも落ち着いて……おや?
「お二人ともケンカはよくありません。特に一誠さまの前でそれはまずいと思われます」
グレイフィアさん、それに───。
「そうだな、ケンカはよくない」
サーゼクスさまもですか。鑑賞会は終わりかな?
「ちょっと抜けだしてきたのだよ。改めて話があるからね。リアス、昼間の話の続きだ」
リアスと朱乃さんがサーゼクスさまに呼びだされていたね。
「もう一人の『僧侶』についての話をしよう」
──っ。そうか、『あの場所』にいるアイツの話か。
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アンケートの結果、ドライグの像を作りました。
二月二十四日、改行いたしました。