あの後、俺たちは旧校舎でテロリストに利用されていた
ギャスパーを助け、アザゼルたちと合流する。ギャスパーも男を見せ、俺の血を飲み、解放された力で共にその場にいた敵を撃退した。力の解放は今のところ、一時的なものらしい。アザゼルたちの方は、旧魔王の血筋である、カテレア・レヴィアタンを撃退したという。にしてもアザゼルが使った人工神器、そんな物も有るとはね。「五大龍王」の一匹、ファーブニルを封印して使用しているのか。というかその内の一匹がドライグのことを嫌ってるから案外早く会えるかもって……あのさぁ。それはともかく、今回のテロを起こしたのは、『
そんなことがあった後、今現在の状況は──。
「さあ、兵藤一誠。俺と戦おう」
何やら、アース神属と戦ってみないか、というオファーを受け『禍の団』に加担した
「チュッ♡チュッ♡チュパッチュゥゥッ♡気持ちいいかにゃ♡イッセーちん♡一目惚れした頃より更に凛々しくなった男の子に会えてお姉さん興奮しちゃうにゃあ♡それそれ♡むにゅむにゅ~♡」
……話を戻そう。
「いやいや、二天龍の宿命なんか知らないよ」
「宿命云々の前に君と戦いたいんだよ。本気の君に勝てるとは思えないが、挑みがいがある。……なんなら、周りの者を巻き込もうか?君の主や仲間の眷属……それに家族を」
──あ?やれやれ、仕方ない。
「ドライグ、いくぞ」
『ああ、相棒の力を見せてやれ』
「───
『Welsh Dragon Over Booster!!!!』
俺は『深紅龍帝の鎧』を装備して戦いを始める!
「
俺は極大の魔力弾の雨をヴァーリに放つ。ヴァーリはいくらか避け、避けきれないものは光の盾を展開して防御している。ダメージは小さくはないらしいが。
「やるな兵藤一誠!ならこちらも!」
ヴァーリが俺に向けて拳を振るう。とても速いその一撃を払い、離れる。
『Divide!』
白龍皇の宝玉から音声が聞こえ、いくらか力を奪われたがこちらの神器の力で直ぐにもとに戻る。先程払った時、奴の力の発動条件、『触れた相手の力を半減する』というのをクリアしたと。ドライグの話ではキャパシティを越える力は背中の光の翼から吐きだすことで、身を滅ぼすことなく力の上限を維持し続けているという。ただ、スタミナは回復できないそうだ。──なら。
俺は籠手からアスカロンを伸ばし、その剣に力を譲渡する。
『ヴァーリ、その剣は龍殺しの力を帯びている。それを増大した一太刀を浴びれば致命傷だぞ』
「そうか、アルビオン。なら、気をつけないとな!」
ヴァーリが大量の魔力弾を俺に向けて撃ちだす。それを避け、ヴァーリに近づき、奴が展開した光の盾をアスカロンで破壊して奴も吹き飛ばす。どうやら、直撃は避けたらしい。だが、まだまだ!
俺は白龍皇が余ったパワーを噴きだしているという光の翼の付け根に手を回す。
「吸い取る力と吐きだす力を一気に高めてやる!処理しきれなくなるほどに!」
『Transfer!!』
「くっ!」
過剰としか言えないだろうまでの力を白龍皇の鎧に譲渡する。その結果、機能をオーバードライブさせ、白龍皇の鎧の機能を停止させる。
『──ッ!なんてことだ……ッ!ヴァーリ、一度体勢を立て直せ!』
ヴァーリがアルビオンの声に反応し、両腕をクロスして防御しようとするが──。
バガァァァンッッ!
アスカロンを収納してその上、力を大幅に高めた拳を振るう!奴は大きく後退した。鎧も半壊して吐血していた。
「まだやるか?」
「……ハハッ!やはり強いな兵藤一誠!まだまだやろう!」
鎧も再生されてる……ヴァーリを戦闘不能にするまで終わらないか……ふむ。む?これは……。
俺の足もとに『白い龍』の鎧が破損して飛びだした宝玉が転がっていた。これにはわずかでも白龍皇の力が宿っているはず、なら──。俺はその宝玉を拾う。
「ドライグ、このイメージ通りに出来るか?」
『──ッ。……相棒、危険なイメージを送り込んでくるものだな。だが、おもしろい!やるぞ、相棒!』
俺は右手の甲に存在する赤龍帝の宝玉を叩き割り、そこへ『白い龍』の宝玉をぶち込む。
途端、いくらか激痛が走るが──。
「俺の想いに応えろッッッ‼」
『Vanishing Dragon Power is taken‼』
それをねじ伏せた俺の右手がまばゆい白い光に包まれ、真っ白なオーラが右腕を包む。そして俺の右手に白い籠手が出現していた。
「……ふぅ。『
『あり得ん!そんなことはあり得ない!』
アルビオンが驚愕の声音を出す。
「仲間が聖魔剣なんてのを創りだしたからな。可能性はあった。神がいないゆえ、崩れたシステムのエラー、バグを利用したのさ」
『しかし、相反する力の融合など、死ぬかもしれなかったのだぞ?否、死ぬほうが自然だ』
「だが、俺は生きているよ」
パチパチパチ。ヴァーリが俺に拍手を送る。
「おもしろい。なら、俺も見せてやろう!」
『Half Dimension!』
宝玉の音声と共にまばゆいオーラに包まれたヴァーリが眼下に広がる木々へ手を向ける。
グバンッ!
木々が一瞬で半分の太さになる。
グバババババンッ!
さらに周囲の木々が圧縮されるかのように半分になっていく。──旧校舎の風景壊すなよ、コラ。ソーナ会長傷つくだろうがよ。
「赤龍帝、兵藤一誠。あの能力は周囲のものすべてを半分にしていく。まともにくらわないことだな」
──ハァ、仕方ない。
「必殺技、いくぞ。ドライグ」
『いいだろう!いけ、相棒!』
俺は全身から先程までの倍近いオーラを放ち、そのままヴァーリへと突撃する!
「ドラゴ・エクスフュージョン!」
俺の超威力の猛タックルをくらい、ヴァーリはかなりの勢いで地面に叩きつけられる。タックルの際に白龍皇の力を発動させ、ヴァーリを覆うオーラを激減させたし、相当の大ダメージだろう。
「……おもしろい。本当におもしろい」
『ヴァーリ、奴の半減の力に対する解析は済んだ。こちらの力の制御方法と照らし合わせれば対処できる』
「そうか、とりあえずこれであれは怖くないな。まだまだ俺の実力不足といったところだが」
……ふむ、白龍皇の力は無理矢理制御してるといったところだからな。
「アルビオン、これほどの力を持つ兵藤一誠相手ならば白龍皇の『
『……ヴァーリ、奴もあの力量なら使えてもおかしくはないが……こちらのダメージが大きい。控えた方がいい』
「これほどでなくてはな。『我、目覚めるは、霸の理に──』」
『自重しろ、ヴァーリッ!我が力に翻弄されるのがおまえの本懐か!?』
……ヴァーリの奴、あれをやる気か?俺も出来るがここでは被害が大きすぎる。どうする……?む?
夜空に浮かぶ月をバックに人影がひとつ、俺たちのもとへ舞い降りた。かなりのスピードで俺とヴァーリの間に入り込んでくる。……三国志の武将が着ているような鎧を身にまとった男だ。……なかなか強いな。
「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」
爽やかそうな顔つきの若い男だ。
「美猴か。何をしに来た?」
「それは酷いんだぜぃ?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来たってのによぅ?他の奴らが本部で騒いでるぜぃ?北の田舎神属と一戦交えるから任務に失敗したのなら、さっさと逃げ帰ってこいってよ?カテレアはミカエル、アザゼル、ルシファーの暗殺に失敗したんだろう?なら、監察役のおまえの役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや」
「……そうか、もう時間か」
……撤退するのか。
「というか、誰だ?」
「──闘戦勝仏の末裔だ」
アザゼルがそう答える。ふむ……確かその名は……。
「ソッコーで把握できる名前で言うと孫悟空、西遊記で有名なクソ猿さ」
……そうか、孫悟空か。
「正確に言うなら、孫悟空の力を受け継いだ猿の妖怪だ。しかし、まさか、おまえまで『
アザゼルの言葉にそいつはケタケタと笑う。
『俺っちは仏になった初代とは違うんだぜぃ。自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴。よろしくな、赤龍帝」
そして美猴は棍を手元に出現させくるくると回して地面に突き立てる。刹那、地面に黒い闇が広がってヴァーリと美猴がその中に沈んでいく。
「兵藤一誠。いずれ再び戦うときは、更に激しくやろう。俺ももっと強く──」
そう言いかけて、白龍皇は孫悟空と共に闇のなかへ消えていった。
俺たちが校庭に足を踏み入れたとき、三大勢力の軍勢が入ってきていて、戦闘後の後始末おこなっていた。
校庭の中央に進むと、サーゼクスさま、セラフォルーさま、ミカエルさんがいて、サーゼクスさまが俺たちを捉えると、手をあげる。
「無事だったか、良かった。──アザゼル、その腕はどうした?」
……まあ、片腕無いしな。
「カテレアに捕まって自爆されそうになってな。仕方なく切り落とした」
「そうか。彼女の件は悪魔側に問題があった。その傷に関しては──」
サーゼクスさまが何か別の形で償う言葉を言おうとしたのをアザゼルは手で制して「いらない」という意思を見せた。
「俺も……ヴァーリが裏切った」
「……彼は裏切ったか」
「もともと、力にのみ興味を注いでいた奴だ。結果から見れば、『ああ、なるほどね』と納得はできる。──だが、それを未然に防げなかったのは俺の過失だ」
アザゼルの瞳はどこか寂しげだな。ヴァーリとの間に何か感じていたのか?
ミカエルさんがサーゼクスさまとアザゼルの間に入る。
「さて、私は一度天界に戻り、和平の件と『
「すまないな、今回このようなことになって。会談の場をセッティングした我々としては不甲斐なさを感じている」
「サーゼクス、そう責任を感じないでください。私としては三大勢力が平和の道を共に歩めることに喜んでいるのですよ?これで無益な争いも減るでしょう」
「ま、納得できない配下も出るだろうがな」
「それは仕方ありません。長年憎み合ってきたのですから。しかし、これからは少しずつでも変わっていくでしょう。──問題はそれを良しとしない『
「それについては今後連携を取って話し合おう」
サーゼクスさまの案にミカエルさんもアザゼルもうなずく。
「では、私は一度天界に戻ります。直ぐに戻ってきますので、そのとき正式な和平協定を結びましょう」
とこの場をあとにしようとするミカエルさんを呼び止める。
「あの、ミカエルさん」
「なんですか、赤龍帝の少年」
「ひとつだけお願いがあります」
「いいでしょう、ひとつ聞きましょう」
……よし。
「アーシアとゼノヴィアの神への祈りでダメージを食らうのは『システム』のせいですよね?」
二人は元信徒。時折、昔の習慣が抜けきれずに祈りを捧げてはダメージを受けていた。
「はい。悪魔や堕天使が神へ向けて祈りを捧げれば『システム』が動いて軽くダメージを与えるようにしています。これは神が健在でも不在でも『システム』に組み込まれたものですから、自然に動きます。それがどうしました?」
「アーシアとゼノヴィアが祈りを捧げる分だけ、ダメージ無しにできませんか?」
これは俺の願いだ。いつも見ていて思っていた。二人とも一緒にいてくれるなら幸せにしてやろうと思っていた。やはり普通にお祈りぐらいさせてやりたい。悪魔だけど信じるものは自由でいいだろうと思う。
「──っ」
俺の願いを聞き、ミカエルさんは驚きの表情を見せる。俺の両脇にいたアーシアとゼノヴィアも驚いていた。
しかし、ミカエルさんは小さく笑うと、うんうんとうなずく。
「わかりました。二人分ぐらいなら、なんとかなるかもしれません。二人ともすでに悪魔ですし、教会本部に近づくこともないでしょうしね。アーシア、ゼノヴィア、問います。神は不在ですよ?それでも祈りを捧げますか?」
ミカエルさんの問いかけに二人は首を縦に振り、うなずいた。
「はい、主がおられなくとも私はお祈りを捧げたいです」
「同じく。主への感謝と──ミカエルさまへの感謝を込めて」
二人の答えにミカエルさんは微笑んだ。
「わかりました。本部に帰ったら、さっそくそうしましょう。ふふふ、祈りを捧げてダメージ受けない悪魔がふたりぐらいいてもいいでしょう。おもしろいでしょうね」
……良かった。
「これでアーシアもゼノヴィアも問題なく、神にお祈りできるぞ。……いないけど」
アーシアはうるうると目元を潤ませ、俺へ抱きついてきた。
「イッセーさん!」
よしよし、良かったなアーシア。俺はアーシアをやさしく抱いて頭を撫でる。
「イッセー、ありがとう」
ゼノヴィアも礼を口にする。
「ゼノヴィアのこと、大切にすると言っただろう?これから遠慮なく祈ればいい。なんかあったら、俺がなんとかしてやるさ」
そう言って今度はゼノヴィアの頭を撫でる。
頬があかく染まって目が潤んでいる……えっと。
~ゼノヴィアside~
(そうか……こういう男だから部長もアーシアも……。ダメだ!イッセーの顔を見ると胸が暖かくなって鼓動が速くなって幸せな想いが溢れてどうにかなってしまう!イッセーと子作りがしたくて堪らない!……これが愛なのか……イッセーと愛しあいたい……♡)
~ゼノヴィアside out~
「イッセー……」
ゼノヴィアが俺の首に両手を回してぷるぷるの唇を重ねてくる……。
「ゼノヴィア、そういうことは後々、ね?」
「わかった……イッセー、愛している……♡」
あらら……。
それはさておき。
「ミカエルさま、例の件、よろしくお願いします」
「あなたから進言のあった聖剣研究のことも今後犠牲者を出さぬようにすると、あなたからいただいた聖魔剣に誓いましょう。大切な信徒をこれ以上無下にすることは大きな過ちですからね」
おお、いつのまにそんな話を。
「やったな、木場」
「うん、ありがとう、イッセーくん」
「ミカエル、ヴァルハラの連中への説明はお前がしておけよ。下手にオーディンに動かれても困るからな。あと、須弥山にも今回のことを伝えておかないとうるさそうだ」
「ええ、堕天使の総督と魔王が説明しても説得力がないでしょうから、私が伝えておきます。『神』への報告は慣れてますから」
それだけ言い残すと、ミカエルさんは大勢の部下を連れて、天へ飛んでいった。そしてアザゼルが堕天使の軍勢を前に言い放つ。
「俺は和平を選ぶ。堕天使は今後一切天使と悪魔とは争わない。不服な奴は去ってもいい。だが、つき会うときは遠慮なく殺す。ついてきたい者だけ俺についてこい!」
『我らが命、滅びのそのときまでアザゼル総督のためにッッ!』
怒号となった部下たちの忠誠。アザゼルはそれを見て「ありがとよ」と小さく礼を言う。すごいカリスマだな。
堕天使たちも帰っていって校庭は俺たちを合わせた極少数の人員だけになっていた。そして、堕天使で唯一残ったアザゼルは、大きく息を吐くと校門のほうへ去っていく。
「後始末はサーゼクスに任せる。俺は疲れた、帰るぞ」
手を振って帰ろうとするが、一度だけ立ち止まり、俺に向けて指をさした。
「そうだ、赤龍帝。当分、ここに滞在する予定だからそっちのリアス・グレモリーの『
…………は?
「赤は平穏と女を。白はただただ力を。──どちらも驚くほどに純粋で単純なもんだ」
アザゼルはそれだけ言うと、口笛を吹きながら去っていった。
次回は後日談です。
追記─感想、評価是非よろしくお願いいたします。
二月二十四日、改行いたしました。