カポーン。
グレモリーの庭の一角にポツリと存在している和風の温泉。俺は早速木場、アザゼル先生と共に浸かっていた。ふぅ、癒される。いい湯だね。
「旅ゆけば~♪」
温泉に浸かりながら鼻歌交じりな堕天使総督さま。
「ハハハハ、やっぱ冥界──地獄といえば温泉だよな。しかも冥界でも屈指の名家グレモリーの私有温泉とくれば名泉も名泉だろう」
そういえば初めて会ったとき、浴衣を着ていたな。日本の文化大好きなのか?俺と木場は並んでタオルを頭にのせ、まったり湯に浸かっている。いや、先ほどの木場はヤバかった。突然──。
「イッセーくん、背中を流そうか?」
なんてこと、頬を染めながら言ってくるし。酷い悪寒がしたよ。……そういえば、ギャスパーはどこだろう?いくら女装男子とはいえ、裸の付き合いができないのはどうだろう?あ、いた。入り口のところでウロウロしてる。仕方ないな。俺はギャスパーのもとへ向かう。
「ギャスパー、温泉なんだから入らないと」
入り口のギャスパーを捕まえると──。
「キャッ!」
……あのさあ……。タオルを胸の位置で巻かない!女子じゃないんだから……はぁ、体も細いし、女顔だし、これで男とは。
俺がギャスパーを見ていると、奴は頬を赤く染めて言う。
「……あ、あの、こっち見ないでください……」
「……ギャスパー。男なら胸の位置までバスタオル羽織るな。パッと見女子なんだから、少しばかり気まずいだろう」
「……そ、そんな、イッセー先輩は僕のことをそんな目で……?身の危険を感じて……でも、なんとなく嫌じゃないような……」
ええい!黙らっしゃい!俺はギャスパーを温泉へ放り投げてやる。
ドボーーーーンッ!
「いやぁぁぁぁぁぁん!あっついよぉぉぉ!溶けちゃう
よぉぉぉ!先輩のエッチィィィィィッ!」
絶叫が男湯に木霊する。こらこら、隣は女湯でリアスたちが入ってるんだよ?リアスたちに聞こえるだろ。
「イッセー、ギャスパーにセクハラしちゃダメよ?後で私がたっぷりエッチなことしてあげるから♡」
リアスの甘い声が。はぁ、もういいよ。俺はもう一度湯に浸かる。するとアザゼル先生がこちらにきた。
「ところでイッセー。おまえ、リアスの、というか、女の乳を指でつついたことはあるか?」
なに言ってんの、あんた?そんなアザゼル先生を適当にあしらう。聞くと、アザゼル先生は女の胸の無限の可能性に魅了されてハマって堕ちたそうだ。……まったく。
そんな呆れた俺の耳に女子たちの声が届く。
『あら、リアス。またバスト大きくなったのかしら?ちょっと触ってもいい?』
『そ、そう?ぅん……。ちょっと、触りかたが卑猥よ、あなた。って、そういう朱乃も前よりブラジャーのカップ変わったんじゃないの?』
『前のは多少キツくてもそのままにしていたものだから……。けれど、イッセーさまに私の大きな胸を見てもらいたいもの。見せたい相手がいると、女は大胆になるわね、リアス』
『……そ、そうね。けれど、あまりイッセーを独り占めはしないでちょうだいね』
『私はお二人ほどないのでうらやましいです……』
『あらあら、アーシアちゃん。アーシアちゃんだって以前よりも大きくなっているのではなくて?ソーナもアーシアちゃんとそこまで変わらない胸だけれどイッセーさまに愛してもらえたようですし』
『アーシア。聞いた話では揉んでもらうと大きくなると聞いたぞ?こんな風に──』
『はぁんっ!ダ、ダメですぅ!ゼノヴィアさん!あっ……うぅぅん……そんな、まだイッセーさんにもこんなことされて……』
『ふむ、アーシアのは私と違って触り心地が良いな。成る程、これなら男も喜ぶのかもしれないね』
『あらあら、若いっていいわね、リアス。ところでリアスのが大きくなったのはやっぱりこんな感じに毎日してもらっているから?』
『ぁん……。あ、朱乃、いい加減、私の胸から手を離しなさい。あなた、手の動きが──あぅん!どこでこんなのを覚えてくるの、あなたは……』
『リアスのおっぱい……いい感触だわ……うふふ。ここをこうしたり……』
『ぃや……あぅん、されるならイッセーに……』
…………。
何をしているんだ……まったく。
「イッセー、覗いたりしようとしないのか?お前の女ばかりだろ?」
アザゼル先生がいやらしい笑みで俺に訊いてくる。
「なにを言ってるんですか(ーдー)……別に覗く必要もありませんし」
「温泉で女湯覗くのはお約束ってもんだろ?──けど、それじゃ二流以下だ」
「……聞いてあげますけど、どうすれば一流だと?」
「──そうだな。こんな──」
先生は俺の腕をつかむ。そして──。
「感じかなっ!男なら混浴だぞ、イッセー!」
俺を投げ飛ばした!……敵意、悪意なんかがないのはどうにも反応がな……そして──。
ドッボォォォォォォンッ!
俺は勢いよく温泉に叩きつけられる、別に痛くはないが。ザバッ!お湯から飛び出るとそこは──女湯だった。リアス、朱乃、アーシア、ゼノヴィア、小猫、黒歌、皆……裸だった。
「あら、イッセー。アザゼルに飛ばされたの?ちょうどいいわ。イチャイチャしましょ♡」
「うふふ、イッセーさま♡私の胸をスポンジにしてお体洗わせてくださいな♡イッセーさまにご奉仕させてください♡」
「イッセーちん♡ほらほら、おっぱいぷるんぷる~ん♡にゃはは♪」
近づいてくるリアスや朱乃、黒歌のおっぱいがぷるぷると揺れる。そして俺は他二人より一瞬先に朱乃に捕獲された。
「イッセーさま♡捕まえましたわ♡んっ♡」
むにゅぅっ。
真正面から抱きつかれ、俺の体に朱乃の体が密着してくる。ぷるぷるのおっぱい、というか朱乃の柔らかい肢体すべて。そして朱乃はキスをしてくる。
「んっ、んっ、ちゅっ、ちゅぱっ、ちゅ、イッセーさま、好き、好き♡愛してますわぁ~ん♡」
舌を絡め、熱いキスを交わす。
「朱乃の体、気持ちいいよ」
むにゅんっ!
朱乃の体を堪能していると背中にやわらかなものが。俺の肩からリアスのお顔が。今度はリアスに背中から密着されている。背中にリアスのおっぱいの感触が当たる。先端の乳首が背中を刺激する。
「朱乃!私のイッセーから離れなさい!ねぇイッセ~♡私にもかまってぇ~♡ちゅーしてぇ~♡」
リアスが俺の首に腕を回し、朱乃から奪おうとする。しかし、朱乃は俺の真正面からぎゅっと抱きついてきている。
「やーですわ。イッセーさまぁ~ん♡こうやって密着してイッセーさまの全身を温めますわぁ~ん♡イッセーさまのお体、こうして触れているだけでも気持ちいい~ん♡朱乃にご奉仕させてぇ~ん♡好き好きぃ~ん♡大好きぃ~ん♡私の胸でイッセーさまのお体ごしごししますわぁ~♡むにゅむにゅ♡ごっしごっし♡むにゅむにゅ♡ごっしごっし♡」
朱乃がいっそうぎゅっと抱きついてくる。むにゅむにゅ、むにゅむにゅ。朱乃のおっぱいが俺の体と同化しそうなぐらいむにゅむにゅっと押しつけられてくる。そして朱乃はおっぱいで俺の体をごしごしし始める。すごくやわらかいな。とりあえず朱乃を抱きしめる。
「ダメよ!イッセーは私とイチャイチャするのよ!イッセ~♡私とキスして♡おっぱいさわってぇ~ん♡ぁん。なんだか敏感に感じるわ。さっき朱乃にされたからかしら……今イッセーに触れているから更に興奮してきちゃうわぁ~ん♡……ねぇ、イッセ~♡キスしてぇ~ん♡」
むにゅぅぅぅっ。リアスの抱きしめもいっそう強くなる。リアスのおっぱいはボリューム特盛といったところか。荒い息づかいまで聞こえてくる。艶っぽい声でおねだりをされる。
「イッセーちんのお顔ぺろぺろ舐めちゃうにゃん♪んっ、んれろっ、んっ、んあっ……♡」
黒歌は横から俺の顔を舐めてくる。おっぱいも腕にむにゅぅっ、と当たる。朱乃の生乳が俺の胸に潰れるほど当たってきて、リアスの生乳が背中に強く押しつけられる。リアスのおっぱいと朱乃のおっぱい、前後から挟まれている。おっぱいサンドイッチ、か。
「あぅぅ、私もイッセーさんと温泉楽しみたいのに……」
「さすがにあの三人からイッセーを奪取するのは至難の技だろう。今日は遠くから見守るしかない。無論、今度たっぷり愛し合うとしよう。初めてはどちらかといえば二人きりのほうがいいからね」
アーシアとゼノヴィアが少し離れたところでそんなことを言っている。……あら、そういえば小猫ちゃんは?
俺は小猫ちゃんのほうへ視線を送ると──。
小猫ちゃんは憂鬱そうな表情で温泉に顔半分をつけて、泡を立ててぶくぶくさせていた。……小猫ちゃん、俺は小猫ちゃんのために俺にできることなら何でもするよ。小猫ちゃんは一人じゃないんだから。
次の日。俺たちはグレモリー家の広い庭の一角に集まっていた。服装は皆ジャージ。そこで資料やデータらしきものを持ったアザゼル先生が言う。
「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。さて、まずはリアス。おまえだ」
まずはリアスか。
「おまえは最初から才能、身体能力、魔力が高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりもいま強くなりたい、それがお前の望みだな?」
「ええ。負けるのは嫌だもの。それにイッセーに頼りにもされたいもの」
「なら、この紙、記してあるトレーニング通り、決戦日直前までこなせ」
先生から手渡された紙を見て、リアスは首を傾げる。
「……これって、特別すごいトレーニングとは思えないのだけれど?」
「そりゃそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。おまえはそれでいいんだ。すべてが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は『
……ふむ、流石総督さまですね。説得力がある。
「次に朱乃」
「はい」
「おまえは自分の本来の力を解放し、そして高める特訓をしてもらう。三大勢力の和平でおおっぴらに使っても特に問題じゃなくなった。『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」
「わかりましたわ」
堕天使の血を引いていることで使える光の力を得意の雷に乗せれば、威力も桁違いになる、か。
「次は木場だ」
「はい」
「まずは
「剣術のほうは……おまえの師匠にもう一度習うんだったな?」
「ええ、一から指導してもらう予定です」
木場の師匠か。やはり強いのだろうね。
「次にゼノヴィア。おまえはデュランダルを今以上に使いこなせるようにすることと──もう一本の聖剣になれてもらうことにある」
「もう一本の聖剣?」
ゼノヴィアは首を傾げる。
「ああ、ちょいと特別な剣だ」
特別な剣ねぇ……。
「次にギャスパー」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
おいおい、大丈夫か?
「そうビビるな。おまえの最大の壁はその恐怖心だ。何に対しても恐怖するその心身を一から鍛えなきゃいかん。もともと、血筋、
ちなみに以前駒王会談でのテロの時、ギャスパーに
「はいぃぃぃぃぃっ!当たって砕けろの精神でやってみますぅぅぅぅ!」
こらこら、不安になることを言わない。すぐに段ボール箱に入ろうとするし……。
「同じく『
「は、はい!」
アーシアも気合入ってるね。
「おまえも基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そして、メインは
強化ねぇ……確かに不安要素はある。
「アーシアの回復能力の速度はたいしたもんだ。だが、問題点はある。味方がケガしてるのに、わざわざ至近距離に行って『触れる』ということをしないと回復ができない」
「もしかして、アーシアの
リアスが聞くと、先生は肯定する。
「ご名答だ、リアス。こいつは裏技みたいなものだが、『
「アーシアの神器は遠距離も可能ということか」
「俺たちの組織が出したデータの理論上ではな。神器のオーラを全身から発して、自分の周囲にいる味方をまとめて回復なんてことも可能なはずだ」
いやはや、本当に神器に関して詳しいな。
「だが、問題は敵味方の判別ができずに回復させてしまいそうなことだ。敵味方を判別し、味方だけを回復できればいいんだかな……。アーシアの生来のものが不安だ」
「なにが不安なんですか?」
俺は先生に質問する。
「『やさしさ』ってやつだ。アーシアは戦場で敵のケガした奴を視認したとき、そいつのことも回復してやりたいと心中で思ってしまうだろうな。それが敵味方判別の神器能力の妨げになる。おそらく、アーシアは判別する力を得られないだろうさ。いま言った回復範囲拡大はこのチームにとっては諸刃の剣となりかねない。それでも範囲拡大は覚えるべきものだ」
それはまた、皮肉なものだな……。
「だから、もうひとつの可能性を見出だす。──回復のオーラを飛ばす力だ」
「そ、それは、ちょっと離れたところにいる人へ、私が回復の力を送るということですか?」
アーシアがなにかを飛ばすジェスチャーをする。かわいくて癒される。
「ああ、直接飛ばす感じだな。イッセーが十メートル先で戦闘してて、ケガをしているとき、おまえがイッセーに向けて回復の力を飛ばすのさ。さっきのが一定のフィールド限定なら、いま説明したのは飛び道具バージョンだな。直接触れなくても回復ができるようになる」
「それは良いね。アーシア、大活躍できるよ」
アーシアは思いがけない情報に驚きながらも喜んでいる。
「直接触れて直すよりも多少パワーは落ちるだろうが、それでも遠距離の味方を回復できるのは戦略性が広くなる。前線に一人か二人飛び込ませて、後方で回復のアーシアとアーシアを護衛する誰かを配置すれば、理想的なフォーメーションが組めるだろうさ」
先生の意見にリアスが同意する。
「王道だけれど、だからこそシンプルに強い戦術フォーメーションだわ。通常、味方を回復する術なんてフェニックスの涙か、調合された回復薬ぐらいですものね。アーシアの神器は汎用性と信頼性に関して、それらよりもはるかに上だわ」
「そうだ。アーシアの悪魔をも治す神器の力はこのチームの特徴的な持ち味、武器といえる。あとはアーシアの体力勝負だ。基本トレーニング、ちゃんとこなしておけよ?」
「は、はい!がんばります!」
がんばれ、アーシア。戦闘ではいざとなったら俺が盾になるから。
「次は小猫」
「……はい」
小猫ちゃんは相当気合いの入った様子だ。今日は妙に張り切ってるな。
「いまのおまえは申し分のないほど、オフェンス、ディフェンス、『戦車』としての素養を持っている。身体能力も問題ない。──だが、リアスの眷属には『戦車』のおまえよりもオフェンスが上の奴が多い」
「……わかっています」
「リアスの眷属でトップのオフェンスは現在イッセー、次点で木場とゼノヴィアだ。禁手の聖魔剣、聖剣デュランダル、凶悪な兵器を有してやがるからな。イッセーの禁手はそれよりも断然上だ」
……確かにな。
「お前に関して、その辺りは黒歌に一任する。基礎の向上に励みつつ、本来の──猫又としての力、仙術の一つでも教えてもらえ。それを扱えれば、すぐに強くなれるだろうよ」
俺たちグレモリー眷属は黒歌と会ってから小猫ちゃんが妖怪の猫又、そのなかでも特に強い力を持つ猫魈だと聞いている。ただ、小猫ちゃんの場合は……。
「私が白音を鍛えてあげるにゃん♪」
「はぁ……」
なんか不安そうだな。
「さて、最後はイッセーだ。おまえは……ちょっと待ってろ。そろそろなんだが……」
空を見上げるアザゼル先生。俺や眷属も空を見上げると──あ、猛スピードでなにか来た。
ドオオオオオオオオオオオンッ!
……これは……。
「ドラゴンですね」
「そうだ、イッセー。こいつはドラゴンだ」
聞けばそのドラゴンは、『魔龍聖』タンニーンといって、元龍王の一角。転生悪魔で最上級悪魔だそうだ。
その火の息は隕石の衝撃に匹敵すると言われているらしい。
「タンニーン、今回は赤龍帝を宿すこいつの修行相手になってやってくれ」
アザゼル先生はタンニーンさんにそう頼み込む。
「いいだろう。ドライグを宿す者を鍛えるのは初めてだ」
『油断するなよ、タンニーン。俺の宿主の素質はとんでもないからな』
「ほう、それは楽しみだ。任せろ」
「……よろしくお願いするよ」
俺はそう言って体をほぐす。
「期間は人間界の時間で二十日間ほどだ。よろしく頼むぜ。イッセー、頑張れよ」
そう言い残し、手を振ってアザゼル先生は去っていく。
「……さて、各自各々に修行メニューをこなすこと。いいわね」
『はい』
「イッセー!」
なんだい、リアス?
「……気張りなさい。帰ってきたら、たっぷり愛し合いましょう♡」
わかったよ。
よろしければ是非、評価くださいませ。
応援よろしくお願いいたします。
追記、主人公はタンニーンにさん付けでいきます。