とりあえず○つけます。
リアスについていって入室したのは──小猫ちゃんの部屋だった。リアスはすでに話は済ませたし、中に黒歌と朱乃がいるので俺だけ入れと言った。なので俺は一人で小猫ちゃんに会いに行く。広い部屋。寝室のほうへ足を向けると、朱乃と黒歌がベッド脇にいて、そのベッドには小猫ちゃんが既に起き上がっていた。俺は小猫ちゃんの頭部に生えていた猫耳を見る。黒歌に聞いたけど、普段は隠してて体力なくなったりすると出てくるとか。
「イッセーさま──」
朱乃がこちらに声をかける。
「大丈夫」
俺はそう答え、ベッド脇に移動して、様子をうかがう。
ある程度、顔色もいいし、苦しいということはないのだろう。
「やあ、体は大丈夫?」
「……何をしに来たんですか?」
あらら、不機嫌だ。
「……心配だから、じゃダメか?」
「………」
ぶすっとしてるなぁ。
「聞いたよ、小猫ちゃん。もう少し体も大事にしていこう」
「……なりたい」
小猫ちゃんは小さく呟く。そして、俺を真っ直ぐ見つめ、ハッキリとした口調で言う。目に涙を溜めながら──。
「強くなりたいんです。祐斗先輩やゼノヴィア先輩、朱乃さん……そして、イッセー先輩のように心と体を強くしていきたいんです。ギャーくんも強くなってきてます。アーシア先輩のように回復の力もありません。……このままでは私は役立たずになってしまいます……。『戦車』なのに、私が一番……弱いから……。お役に立てないのはイヤです……」
小猫ちゃん……それを気にしていたのか……。
小猫ちゃんはポロポロと涙をこぼしながらも続ける。
「……けれど、うちに眠る力を……猫又の力は使いたくない……使えば私は……私じゃなくなるかもしれない……怖いんです……大切な人を傷付けるかもしれない……そんなのはイヤ……」
ずっと怖かったのか……強大な力で暴走して、大切な人を傷付けるかもしれなくて……。
……だったら仕方ない。
俺は小猫ちゃんの頭を撫でながら真っ直ぐ目を見て言う。
「大丈夫だよ、小猫ちゃん。俺が小猫ちゃんにそんなことはさせない。小猫ちゃんは一人じゃない。俺が小猫ちゃんを受け入れるから。小猫ちゃんが苦しいなら俺が一緒に背負ってやる。だから、もう一人で抱えるのはおしまいだよ。小猫ちゃんに笑顔でいてほしい。小猫ちゃんは本当に愛らしくて可愛い大事な後輩だからさ」
「……!イッセー先輩……」
俺は頬を赤く染めた小猫ちゃんを抱きしめる。
「……頑張ったね、小猫ちゃん。小猫ちゃんはとっても優しくて強い子だよ。俺の自慢の後輩だ」
「……ぐすっ、ぅぅっ……」
小猫ちゃんは俺の胸に顔を埋めすすり泣く。けど、小猫ちゃんはもう大丈夫だ。
そして俺は部屋を後にし、その日グレモリー邸で一晩眠ったあと、早朝にあの山へ戻った。
「ぐぬぉぉおおっ!」
「どうですか?タンニーンさん。俺のパワー」
「……恐ろしいな。ここまでのものを秘めているとは……」
俺はタンニーンさんと修行を続けていた。まあ、特に攻撃も喰らわずかなり高威力の攻撃をぶつけているが。
着ていたジャージも修行でいくらかボロくなっている。
ちなみにサバイバルのおかげで強力な火炎の魔力を使いこなし、神器の能力と合わせることでタンニーンさん直伝の火技を身につけた。アザゼル先生が弁当と一緒に持ってきた水筒に入れた水を質量増大して操り、タンニーンさんの火の息を相殺したりもしている。現在八月十五日。ゲーム前に魔王主催のパーティもあるのでこれからグレモリー本邸に戻る。
「では、俺はこれで。魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠。それとドライグ」
グレモリー本邸前。俺はタンニーンさんの背に乗って帰ってきた。
「ありがとうタンニーンさん。今度はパーティで!」
『すまんな、タンニーン。また会おう』
「ああ、俺も楽しかった。あのドライグに協力し、圧倒されたのだからな。長生きはするものだ。そうだ、俺の背に乗ってパーティ入りするか?」
「いいの?」
「ああ、問題ない。俺の眷属を連れて、パーティ開催日にここへ来る。詳しくは後でグレモリーに連絡を入れる」
それはすごいな。
「では、明日、またここへ来よう。さらばだ!」
『甘い龍王だ』
「良いヒトだと思うよ」
「やあ、イッセーくん」
振り返ると木場がいた。
「……良い体になったね」
木場が俺の体を見てそう言う。
「……変な目で見てないか?」
なんとなく身の危険が……。
「ひ、酷いな。僕は筋肉がついたねって言いたかっただけなのに」
「おまえは……変わらないな」
「僕はイッセーくんより肉がつきにくい体だからね。羨ましいよ」
「木場と……イッセーか♡会いたかったぞ、イッセー♡ちゅっ♡」
今度はゼノヴィアと再会した。全身包帯だらけで格好もボロボロだった。そんなゼノヴィアは俺に抱きつきキスをする。
「ゼノヴィア、その格好どうした?」
「うん。修行して怪我して包帯巻いていたら、こうなった」
以前より身に纏うオーラは静かで厚みがある。木場のオーラも濃くなっていたしね。
「イッセーさん!木場さん、ゼノヴィアさんも!」
城門からシスター服姿のアーシアが出てきた。
「あら、外出組は皆帰ってきたみたいね」
次に現れたのはリアスだった。
「リアス、ただいま」
「イッセェ~♡お帰り♡もう!私、寂しかったんだからぁ~♡アァんっ♡イッセーの厚い胸板、たくましくて素敵ぃ~♡アソコがびしょびしょになっちゃう~♡ちゅ~♡んっ♡ちゅっ♡んっ♡イッセー♡好きぃ~ん♡」
俺にぴったりと抱きついて濃厚なキスをしてくるリアス。そして、シャワーを浴びて着替えたら報告会をすることになった。
現在俺の部屋に皆が集まっていた。リアスの部屋だと何やら問題らしい。で、集まって修行の内容を話していた。木場は師匠との修行顛末。ゼノヴィアも修行の内容を。俺もタンニーンさんとのサバイバル生活を話した。皆、軽く引いていた。木場もゼノヴィアも外で修行していたが、山小屋、またはグレモリーが所有している別荘で生活しながらだったそうだ。
「先生、俺だけ生活が酷くありませんか?」
「俺もおまえが特に苦もなく生活できていたから驚いたよ。ある意味、悪魔超えてるぞ」
「……まあ、いい修行になりましたけど。昼夜問わず龍王との修行でしたし」
リアスの案であの山は『イッセー山』と命名しておくことになった。そして報告会は終了した。
就寝時間なわけだけど、俺の部屋にはアーシアとゼノヴィアが同室している。俺たちは同じベッドを共にすることになっていた。二人とも広いベッドは落ち着かないと、俺の寝床に潜り込んできたんだ。アーシアはすでに熟睡中。同じベッド内でも広くて少し離れて寝られるが、アーシアもゼノヴィアも俺にぴったりくっついて寝ていた。ゼノヴィアは……どうした?
「……眠れないのか?」
「……うん。なんだかんだで考えてみれば男と寝るのはまだ慣れないんだ。性的な意味でなくとも少し緊張してね……イッセーと寝るのはとても幸せな気持ちになるんだけどね。このまま子作りをするのもいいけれどアーシアがいるからね」
……あらら。
「男女が同じ部屋で寝るのは確かに緊張する人もいるんだろうね。そういうものだろう」
「そうか。これは自然なことなんだね。しかし、アーシアはすごいな。安眠していそうだ」
「アーシアは家でいつも俺やリアスと寝ているからな。隣にアーシアが寝ていると、すごく安心するんだ」
「……イッセーさん、私を置いていかないでくださいね……むにゃむにゃ」
と、アーシアの寝声が……。
「ふふふ、イッセーや部長がアーシアをかわいがる理由はわかるよ」
そうだな。
「イッセー。キスを……してほしいんだ」
「いいよ」
俺はゼノヴィアとキスをして眠りにつく。
次の日の夕刻、俺は黒いスーツに身を包んで客間で待機していた。女子は準備に時間がかかるとのことで、全員メイドに連れていかれた。黒歌は眷属ではないのでまたお留守番。木場もギャスパーも用事があるとどこかに行ったが……。
「兵藤か?」
聞き覚えのある声に振り返ると匙がいた。
「匙、どうしてここに?」
「ああ、会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだ。で、会長は先輩に会いに行っちまったし、仕方ないんで屋敷のなかをうろうろしてたら、ここに出た」
……この本邸、中もとても広いからね。
俺から少し離れた席に座る匙。俺は匙から先生になりたいということを聞く。ソーナは冥界にレーティングゲーム専門の上級下級貴族平民関係なしに受け入れる、自由な学校を作りたいと思っていること。今の冥界は不平等がまだまだあるが、貴族以外の悪魔でもやり方しだいでは上級悪魔に昇格できるかもしれない。可能性はゼロじゃないはすだと。ソーナはそれをなんとかしたいと、下級悪魔でもゲームができるということを教えたいと。そのためにソーナは頑張っているんだ。……本当にすごい人だ。
「立派な目標だよ、匙。いい先生になれ」
「ああ、そのためにも今度お前たちを倒さなきゃいけないんだけどな」
「俺たちは負けるつもりはない。絶対に勝つ」
「いや、俺たちだ。上にバカにされた以上、俺たちは結果で見せなきゃいけない」
お互い笑いながらも瞳は真剣そのもの。そして──。
「お待たせ、イッセー♡あら、匙くん来ていたのね」
振り向くとドレスアップしたリアスと部員の面々が。
女性陣皆、とても綺麗だ。ただ──。
「ギャスパー、なぜドレス姿なんだ?」
「だ、だって、ドレス着たかったんだもん」
……女装癖もここまでくればたいしたものだ。
「どうも、イッセーくん」
同じくドレスアップしたソーナもこちらに来た。
「……とても綺麗だよ、ソーナ」
「ありがとうございます。イッセーくんこそいつ見ても格好いいですよ。本当に素敵で……」
そう言ってソーナは俺の首に両腕を絡め、目を閉じて柔らかい唇を重ねてくる。
「んっ……んっ……ぷはっ。すいません、イッセーくん。愛しい気持ちに逆らえず……」
「いや、俺もうれしいよ。ソーナ」
「……イッセーくん……好き……♡」
そうして蕩けた目のソーナと至近距離で見つめあっていると、軽い地響きと共に何かが飛来する音がしてきた。しばらくして執事が来て言う。
「タンニーンさまとそのご眷属の方々がいらっしゃいました」
タンニーンさんが約束通り迎えに来てくれた。
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