ここに今回の結果を記そう。……一先ずは俺達の勝利で幕を下ろす事となった。
各個人の結果としてはこうである。
ギャスパー……監視中に嫌いなニンニクを使われて捕獲され即行リタイヤ。
ゼノヴィア……椿姫の神器による反射攻撃で深手を負いつつも、木場との連携でシトリー眷族の『
俺……『
小猫ちゃん……猫又の力を開放、仙術で『
朱乃……俺が脱落した事で逆鱗に触れたのか、雷光の力を思いっきり解放。それを見た『
木場……ゼノヴィアとの連携後、ゼノヴィアから借りたデュランダルを使って『
アーシア……
リアス……屋上にいる『
以上、今回のゲームで俺達が残した結果だ。
ゲーム終了後、俺は医療施設にいた。大した怪我は無いんだが、それでも治療するのが決まりとなっているようだ。
冥界の医療施設で治療するのは初めてだな。
それはそうと、今回のゲームで俺達は勝った。
しかし、ゼノヴィア、ギャスパー、アーシア、そして俺がリタイヤとなり、ゲーム前に圧倒的と言われていたグレモリー眷族は評価を下げてしまったようだ。
特に開始早々ギャスパーを失ったことと、赤龍帝である俺がやられた事は特に評価を下げたらしい。結果的にエース級の奮闘ぶりを見せた祐斗の活躍があって勝ちを収めた。最後は『
公式ゲームの初勝利がこれではね……。
『バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさないこと』というルールがな……。ウチの眷属は破壊力重視のようなところもあるからね……。これからの課題か。
後、匙がサーゼクスさまに勲章をいただいていた。俺を命懸けの作戦で追い込んだことを表彰していた。……次は負けないぜ、匙。
それと、俺の病室に来たリアスに『
八月後半。
俺たちグレモリー眷族、それと黒歌は、本邸前の駅で冥界とのお別れの時を迎えようとしていた。
「それでは、一誠くん。また会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく帰ってきてくれて構わんよ。グレモリー家をキミの家と思ってくれたまえ」
大勢の使用人達を後ろに待機させ、リアスのお父さまがそう言ってくる。
「それはどうも、ありがとうございます」
「一誠さん、人間界ではリアスをよろしくお願いしますわね。娘はちょっと我がままなところがあるものだから、心配で」
「お、お母さま! な、何をおっしゃるのですか!」
顔を真っ赤にしているリアス。
「もちろんです。主、リアス・グレモリーのこと、愛してますから」
「……も、もう、イッセーったら……」
……本当に可愛いね、リアスは。
「……うぅ、私も涙もろくなったものだ。我が家の将来は明るい……!」
「ちょっと、あなた。そこは父親として『娘はまだやらん!』ぐらい言って返すものですわよ?」
「そんなことを言ってもだな。二人はもう完全に両思いなのだ。そして一誠くんなら充分すぎるだろう?」
「隠居めいたことを仰るのは、せめてリアスが高校を卒業してからにしてください」
「リアス、残りの夏休み、手紙ぐらいは送りなさい」
サーゼクスさまがご子息のミリキャスくんを抱えながら言う。そのすぐ後方にはグレイフィアさんが待機していた。
「はい、お兄さま。ミリキャスも元気にね」
「うん、リアス姉さま!」
そして俺達は列車に乗り込み、窓からサーゼクスさま達に最後の別れを告げる。
……にしても、サーゼクスさまとミリキャスくん、そして──。やはり、俺の家でのあれは冗談じゃなく──。
帰りの列車でのこと。
俺は今回のゲームの結果を思い返す。生半可なパワーでは俺たちより統制のとれたチームが相手の場合、戦術しだいでやられる、か。これはもう少し、力を引き出した方がいいな。そんなことを考えていると、小猫ちゃんが来て……俺のひざにお座りした。そして、猫耳をぴこぴこ動かしていた。
「小猫ちゃん?」
「にゃん♡」
小猫ちゃんは満面の笑みで微笑み──俺と唇を重ねてきた。あー、これは──キスされてるのか。
俺と唇を離した小猫ちゃんは……。
「大好きです、にゃん♡」
……すごく可愛い。
頭をナデナデすると、小猫ちゃんは気持ち良さそうな顔をしている。
小猫ちゃんが俺の膝の上に座ってる所為か、アーシアが涙目だったり、リアスが半目で睨んでいたり、朱乃が無言の笑みでプレッシャーを放っていた。
……まあ、可愛いは正義だ。
「イッセ~♡私ともキスしてにゃん♡」
──と、黒歌にもディープなキスされたりした。
人間界側の地下ホームに列車は到着し、俺は大きく背伸びした。
「さて、我が家に帰るとしますか」
そんなことを言い、各自で自分の荷物を持って列車から降りる。
アーシアの方を見ると、優男に詰め寄られていた。
「アーシア・アルジェント……。やっと会えた」
「あ、あの……」
困惑するアーシア。
なんだ、こいつ?……ああ、確か、ディオドラ・アスタロトだったな。この前いた。
「おい、あんた。アーシアが困ってるだろ。……何の用だ?」
俺は二人の間に入り、目的を尋ねる。
しかし、そいつはアーシアに真摯な表情で訊いてきた。
「……僕を忘れてしまったのかな? 僕たちはあの時出会ったはずだよ」
ディオドラは突然胸元を開き、大きな傷跡を見せてきた。
深い傷跡だな。
アーシアはそれを見て目を見開く。
「───っ! その傷は、もしかして……」
見覚えがあるのか?
「そう。あの時は顔を見せることが出来なかったけど、僕は君に命を救われた悪魔だよ」
「───っ」
その一言にアーシアは言葉を失う。
「改めて自己紹介しよう。僕の名前はディオドラ・アスタロト。ここに来た目的はただ一つ」
ディオドラはアーシアのもとに跪くと、その手にキスをする。
「おい、アーシアに何してるんだ」
俺を再び無視して、ディオドラはアーシアに言った。
「アーシア、君を迎えにきた。会合の時、あいさつできなくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。──僕の妻になって欲しい。僕はキミを愛しているんだ」
──そいつは俺の目の前でアーシアに求婚した。
夏が終わり、もうすぐ、長くなりそうな秋が始まろうとしていた。
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