どうぞお楽しみくださいませ。
「ふぅー。ちょっと、つ、疲れましたねぇ」
アーシアが体操服をバタバタさせながら息を吐いていた。
まぁ、早朝からずっと走っていたからね。常人より強靭な悪魔とはいえ、体力の少ないアーシアは疲れるだろうね。道具を片付けたら一旦、部室に戻って一息つこうか。
授業までまだ時間かあるし、大丈夫だろう。
そんなことを考えながらライン引きを体育倉庫の奥に片付けていると───。
ガラガラ。ピシャッ。
扉が閉まる音?
見ればゼノヴィアが後ろ手に倉庫の扉を閉めていた。
……何か嫌な予感が。
アーシアもゼノヴィアの行動に可愛く首を傾げていた。
「どうしたんですか? ゼノヴィアさん」
尋ねるアーシア。
すると、ゼノヴィアは真剣な表情で語り出す。
「アーシア、私は聞いたんだ。私たちと同い年の女子はだいたい今ぐらいの時期に乳繰り合うらしいぞ」
………………。
………は?
「ち、ちちくりあう?」
アーシアが怪訝そうに聞き返す。
ゼノヴィアはハッキリとした口調で言う。
「男に胸を弄ばれることだ」
……まさか、ここでするつもりか!?というか、乳繰り合うの意味がちょっと違うし!
「む、む、む、胸を……っ!」
アーシアは顔を真っ赤に染め上げ、声も上ずっている!
「……ゼノヴィア、こんなところでそんな話をいきなりするな!」
「イッセー、少しだけ黙っていてほしい。まずはアーシアと話す。イッセーの出番はそれからだ。すまないが、倉庫の隅でウォーミングアップでもしておいてくれ。これから激闘になる」
……いや、だからさぁ!
ゼノヴィアがアーシアに話を続ける。
「クラスの女子のなかには彼氏に毎日のようにバストを揉まれている者もいる。私はいろいろと調べたんだ」
どうしてゼノヴィアはそういうことを真摯に調べてくるのかな!
「アーシア。私たちもこの機会に本格的にいたしてもいいのではないか?」
ゼノヴィアはアーシアの肩に手を置き、真剣な面持ちで言う。
なぜ、そこまで深刻な話しになっているんだ!?
「あ、あぅぅぅっ!そ、そんな、きゅ、急に言われても……」
アーシアも困惑していた!
「だいじょうぶだ。初めては多少くすぐったいらしいが、慣れてくればとても良いものらしいぞ。きっと乳繰りあえば、自然と二人三脚も上手にこなせる」
そこに持っていきますか!?
「……コ、コンビネーションはそこから生まれるのでしょうか……」
アーシアちゃんが説得されかけてる!?
ウソだろう!?
それで良いのか、アーシア!
迷うアーシアにゼノヴィアは笑みで応える。
「アーシア、私達は友達だ」
「はい」
「乳繰り合いも共にしよう。二人なら大丈夫だ」
「……え、えっと、そ、そうなのですか?」
……全くもう!
「……ゼノヴィア!アーシアとは致すにしてもディオドラとの件にケリをつけてからしよう!」
「……そうか、わかった、イッセー。では、私としようか。アーシアは参考にすると良い。私は子作りも兼ねるよ」
……そうなるの!?
「……は、はいぃぃ……」
アーシアは顔を真っ赤にしながらこちらを見る。
ゼノヴィアは体操着の上を脱ぎ捨てる。
ぶるん。
ブラに包まれていても確かな存在を見せてくるゼノヴィアおっぱいが!ゼノヴィアもおっぱいデカいよね。
そんなふうに思っていると、ゼノヴィアはブラのホックを外した。
ぶるっ!
抑えるものが無くなったためか、ぷるぷるの見事な乳房が俺の眼前に!
うん、綺麗なピンク色の乳首だね!
「愛しいイッセー以外の男に触らせたことのない胸だ。好きなだけ揉んでくれ。愛しているよ、イッセー」
がばっ!
ゼノヴィアが俺を押し倒し、覆いかぶさる!
ぶるぶるっ!
眼前で揺れるゼノヴィアのおっぱい!
ゼノヴィアは俺の左手を取り、自身の胸に当てる。
俺は左手を動かし、ゼノヴィアのモチモチのおっぱいを揉み始める。
「──んっ」
ゼノヴィアの眉がピクリと動き、乳首が少しずつ硬くなり始めた。
ぺろっ。
おっぱいを持ち上げて口までもっていき、やさしく乳首を舐めた。
「あんっ……、気持ちいいよ、イッセー。もっとしてくれ」
……と、そんなとき。
ガラララ。
突然開かれる扉。
「……出てくるのが遅いから心配してきてみれば、な、な、な、なんてことを!」
入ってきたのはイリナだった!
……どうしよっか?何て言えば……。
「ベッドでしなさい! ここは不潔で衛生的によくないわ!」
……不潔の基準が違った。
その日の放課後。
今は部活の時間だ。ちなみに、ソファに座る俺の膝の上には小猫ちゃんが座っている。いきなり『ちゅっ』と頬にキスしてきたり頬をペロペロと舐めてくるんだよね、最近。俺にじゃれついているわけだ。
「ちゅっ。ちゅっ。イッセー先輩……♪んれろっ、んあっ、んっ……♪」
といった感じだったり。
「全員集まってくれたわね」
部員全員が集まったことを確認すると、リアスは記録メディアらしきものを取り出した。
「これは若手悪魔の試合を記録したものよ。私達とシトリーのもあるわ」
戦いの記録。
そう、今日は皆で試合のチェックをすることになっていた。
部室に巨大なモニターが用意される。
アザゼル先生がモニターの前に立って言う。
「おまえら以外にも若手悪魔たちはゲームをした。大王バアル家と魔王アスモデウスのグラシャラボラス家、大公アガレス家と魔王ベルゼブブのアスタロト家、それぞれがおまえらの対決後に試合をした。それを記録した映像だ。ライバルの試合だから、よーく見ておくようにな」
『はい』
先生の言葉に全員が真剣にうなずいていた。
皆、他の家がどんなゲームをしたのかとても気になるのだろう。
参加している若手悪魔はほとんどが俺達と同期。
どんな戦いをしたのか気になってしょうがないといった感じだな。
「まずはサイラオーグ───バアル家とグラシャラボラス家の試合よ」
サイラオーグさんとあのヤンキーの勝負か。
記録映像が開始され、数時間が経過する。
グレモリー眷属の顔つきは真剣そのものになり、視線は険しいものになっている。
そこに映っていたのは―――圧倒的なまでの『力』。
あのヤンキー悪魔とサイラオーグの一騎打ち。
一方的にヤンキーが追い込まれていた。
眷属同士の戦いはすでに終わっている。
どちらも強い者ばかりを眷属に持っていて、白熱したが、問題なのは『王』同士の戦いだ。
最後の最後で駒をすべてなくしたヤンキーがサイラオーグさんを挑発した。
サシで勝負しろ、と。
サイラオーグさんはそれに躊躇うことなく乗った。
ヤンキーが繰り出すあらゆる攻撃がサイラオーグにはじき返される。
まともにヒットしても何事もなかったようにサイラオーグさんはヤンキーに反撃していた。
自分の攻撃が通じないことで、ヤンキーはしだいに焦り、冷静さを欠いていた。
そこへサイラオーグさんの拳が放り込まれる。
幾重にも張り巡らされた防御術式を紙のごとく打ち破り、サイラオーグさんの一撃がヤンキーの腹部に打ちこまれていく。
その一撃は映像越しでも辺り一帯の空気を震わせるほどだった。
「……凶児と呼ばれ、忌み嫌われたグラシャラボラスの新しい次期当主候補がまるで相手になっていない。ここまでのものか、サイラオーグ・バアル」
木場は目を細め、厳しい表情でそう言った。
サイラオーグさんのスピードは相当なものだった。
木場が目を奪われるほどの。
スピードが持ち味の木場にとっては思うところがあるのだろうな。
ギャスパーがブルブル震えながら俺の腕につかまっていた。
ビビりすぎだろう、ギャスパー……。
「リアスとサイラオーグ、おまえらは『王』なのにタイマン張りすぎだ。基本、『王』ってのは動かなくても駒を進軍させて敵を撃破していきゃいいんだからよ。ゲームでは『王』が取られたら終わりなんだぞ。バアル家の血筋は血気盛んなのかね」
先生が嘆息しながらそう言う。
確かに、リアスは前に出ていく傾向が見られるよな。
リアスは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
「あのグラシャラボラスの悪魔はどのくらい強いんだ?」
俺の問いにリアスが答える。
「今回の六家限定にしなければ決して弱くはないわ。といっても、前次期当主が事故で亡くなっているから、彼は代理ということで参加しているわけだけれど……」
朱乃さんが続く。
「若手同士の対決前にゲーム運営委員会がだしたランキング内では一位はバアル、二位がアガレス、三位がグレモリー、四位がアスタロト、五位がシトリー、六位がグラシャラボラスでしたわ。『王』と眷属を含みで平均で比べた強さランクです。それぞれ、一度手合わせして、一部結果が覆ってしまいましたけれど」
「しかし、このサイラオーグ・バアルだけは抜きんでている──というわけだな。リアス」
俺の言葉にリアスはうなずく。
「ええ、彼は怪物よ。『ゲームに本格参戦すれば短期間で上がってくるのでは?』と言われているわ。逆を言えば彼を倒せば、私たちの名は一気に上がる」
……ふむ。なかなか骨が折れそうだ。
「ま、グラフを見せてやるよ。各勢力に配られているものだ」
先生が術を発動して、宙に立体映像的なグラフを展開させる。
そこにはリアスやソーナ、サイラオーグさんなど、六名の若手悪魔の顔が出現し、その下に各パラメータみたいなものが動き出して、上へ伸びていく。
ご丁寧にグラフは日本語だった。
グラフはパワー、テクニック、サポート、ウィザード。
ゲームのタイプ別になっている。
最後の一か所に『キング』と表示されている。
おそらく『王』としての資質だろう。リアス、ソーナ、
シーグヴァイラ・アガレスがそこそこ高めだが、ソーナのほうが現時点ではリアスより上か。
サイラオーグさんはかなり高めだ。
そして、ヤンキー悪魔が一番低い。
リアスのパラメータはウィザード──魔力が一番伸びて、パワーもそこそこ伸びた。
あとのテクニック、サポートは真ん中よりもちょい上の平均的な位置だ。
そして───サイラオーグさん。
サポートとウィザードは若手の中で一番低い。
だけど、そのぶんパワーが桁外れだ。
ぐんぐんとグラフは伸びていき、部室の天井まで達した。
極端すぎるがパワーが凄まじいということか・・・・・。
サイラオーグさんを抜かす五名の中でも一番パワーの高いゼファードルの数倍はあるな。
「ゼファードルとのタイマンでもサイラオーグは本気を出しやしなかった」
だろうね。
ヤンキーと戦ってる時のサイラオーグさんは映像からも分かるほどに余裕があったしな。
「しかし、滅びの力を使っていなかったのが気になるな」
従兄弟のグレモリーが手に入れたバアル家に伝わる特色のひとつ、滅びの力。それをサイラオーグさんは使っていないのだ。先生は首を縦に振って肯定する。
「ああ、サイラオーグはバアル家始まって以来才能が無かった純血悪魔だ。バアル家に伝わる特色のひとつ、滅びの力を得られなかった。滅びの力を強く手に入れたのは従兄弟のグレモリー兄妹だったのさ」
ということは、あの強さは───
「サイラオーグは、尋常じゃない修練の果てに力を得た稀有な純血悪魔だ。あいつには己の体しかなかった。それを愚直までに鍛え上げたのさ。そうして天才どもを追い抜いたのさ」
先生は続ける、語りかけるように。
「奴は生まれたときから何度も何度も勝負の度に打倒され、敗北し続けた。華やかに彩られた上級悪魔、純血種のなかで、泥臭いまでに血まみれの世界を歩んでいる野郎なんだよ。才能の無い者が次期当主に選出される。それがどれほどの偉業か。―――敗北の屈辱と勝利の喜び、地の底と天上の差を知っている者は例外なく本物だ。ま、サイラオーグの場合、それ以外にも強さの秘密はあるんだがな」
試合の映像が終わる。
結果はサイラオーグさん───バアル家の勝利だ。
最終的にグラシャラボラスのヤンキーは物陰に隠れ、怯えた様子で敗北の宣言をする。
サイラオーグは縮こまり怯え泣き崩れるヤンキーに何かを感じる様子もなくその場をあとにしていく。
映像が終わり、静まりかえる室内で先生は言う。
「先に言っておくがおまえら、ディオドラと戦ったら、その次はサイラオーグだぞ」
──マジか。
リアスは怪訝そうにアザゼルに訊く。
「少し早いのではなくて?グラシャラボラスのゼファードルと先にやるものだと思っていたわ」
「奴はもうダメだ」
先生の言葉に皆が訝しげな表情になる。
「ゼファードルはサイラオーグとの試合で潰れた。サイラオーグとの戦いで心身に恐怖を刻み込まれたんだよ。もう、奴は戦えん。サイラオーグはゼファードルの心───精神まで断ってしまったのさ。だから、残りのメンバーで戦うことになる。若手同士のゲーム、グラシャラボラス家はここまでだ」
……心を完全に折られたのか。
「おまえらも十分に気をつけておけ。あいつは対戦者の精神も断つほどの気迫で向かってくるぞ。あいつは本気で魔王になろうとしているからな。そこに一切の妥協も躊躇もない」
アザゼル先生のその言葉に皆が頷く。
リアスは深呼吸をひとつした後、改めて言う。
「まずは目先の試合ね。今度戦うアスタロトの映像も研究のためにこのあと見るわよ。──対戦相手の大公家の次期当主シーグヴァイラ・アガレスを倒したって話しだもの」
「大公が負けた?」
あそこの眷属も強そうな者たちだったが……。
それをディオドラは下したのか?
「私たちを苦しめたソーナ達は金星、先ほど朱乃が話したランクで二位のアガレスを打ち破ったアスタロトは大金星という結果ね。悔しいけれど、所詮対決前のランキングはデータから算出した予想にすぎないわ。いざ、ゲームが始まれば何が起こるかわからない。それがレーティングゲーム」
と、リアスが言う。
「けれど、アガレスが負けるなんてね」
そう言いながら、リアスが次の映像を再生させようとしたときだった───。
パァァァァァ。
部屋の片隅で一人分の転移魔法陣が展開した。
この紋様は見覚えがある。
グレモリー家の勉強会で習ったことがある。
これは……。
「──アスタロト」
朱乃さんがぼそりと呟いた。
そして、一瞬の閃光のあと、部室の片隅に現れたのは爽やかな笑顔を浮かべる優男だった。
そいつは開口一番に言う。
「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いに来ました」
──何なのだろうね、こいつから感じる醜悪なモノは。
感想、評価、是非よろしくお願いいたします。