12月12日、ルビを修正いたしました。
結局、あの後それなりに混乱したが話を再開した。
俺の隣に姫島先輩…朱乃さんがぴったり肩を寄せてくっついているわけだが。一回俺の腕をその大きな胸の谷間に挟むほど抱きつかれていたが話が進まないので渋る朱乃さんをそれで妥協させた。
「えっと、つまりあなたはその
あの後、オカ研の面々にドライグが挨拶したり神と天使、堕天使、悪魔の三大勢力の現在までの歴史等を聞かされた後、堕天使の翼とは違う、コウモリのような翼の生えた姿も見せられた。
「その後、俺がこのチラシでリアス先輩を呼んだと」
俺は町でチラシ配りからもらったチラシを取り出す。
「あなたの願いを叶えます!」という謳い文句と魔方陣の描かれたチラシだ。
「そう、それは私たちが配っているチラシなのよ。魔方陣は私たち悪魔を召喚するためのもの。最近は魔方陣を描くまでして悪魔を呼び寄せる人はいないから、こうしてチラシとして、悪魔を召喚しそうな人間に配っているのよ。お得な簡易版魔方陣。この前、私たちが使役している使い魔が人間に化けて繁華街でチラシを配っていたの。それをイッセーが手にした。そして、あの時イッセーは私を呼んだ。けど、普段なら眷属の朱乃たちが呼ばれているはずなんだけれど。よほど強い思いでも抱えているのかしら」
まぁ、前世は魔神のトップに君臨したわけだが。
「……ねぇ、イッセー。あなた悪魔になるつもりはない?」
はい?俺が疑問に思っていると先輩は懐からチェスに使う紅い駒を取り出す。
「これは
悪魔ねぇ……。
「というかそれ、俺が先輩の下僕になるってことですか?」
「そうなるわね。悪魔には階級があるの。爵位っていうのがね。私も持っているわ。これは生まれや育ちも関係するけど、成り上がりの悪魔だっている。最初はみんな素人だったけれど。まぁ、あなたの言う通り人間から悪魔に生まれ変わった者は転生させた悪魔の下僕として生きなければいけないわ。主人の方によほど問題が無ければだけど」
「……悪魔ってデメリット有るんですか?」
「天使や堕天使、教会の
「力を示せば上に昇れると?」
「そうよ」
ふむ……。
「良いですよ。弱さを乗り越えるぐらいでないと張り合いがない」
「あら、ずいぶん自信があるのね。気に入ったわ」
そう言ってリアス先輩はテーブルの上に駒を並べる。
「今、私の手元にある駒は『
「それはつまり……」
「チェスの世界ではこういう格言があるわ。女王の価値は兵士九つ分。戦車の価値は兵士の五つ分。騎士と僧侶の価値は兵士の三つ分。そんなふうに価値基準があるのだけれど、悪魔の駒においてもそれは同様。転生者においてもこれに似たような現象が適用されるの。騎士の駒を二つ使わないと転生させられない者もいれば、戦車の駒を二つ消費しないといけない者もいる。駒との相性もあるわ。二つ以上の異なる駒の役割は与えられないから、駒の使い方は慎重になるのよ。一度消費したら、二度と悪魔に駒を持たせてはくれないから」
その後、僧侶、騎士、戦車の駒を使用したが悪魔への転生はできなかった。どうも俺の潜在的な力が強すぎるらしい。兵士の駒八つでも同様だった。そこで力を抑えた上で兵士の駒八つを使うことになった。先輩の体を紅い魔力が覆う。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、兵藤一誠よ。我が『
駒が眩い紅い光を発して、俺の胸に沈んでいく。
駒が完全に俺の中に入ったのを確認して、先輩は魔力の波動を止めた。
「ふぅ、どうかしら、イッセー?」
バサバサバサッ。俺の背中から皆と同じコウモリのような翼が生える。しかし、その数は六対十二枚というかなりの数だった。皆驚いているし凄い方なのか。
「信じられない…六対十二枚なんて魔王クラスよ……」
間違いなく余程凄いことだったようだ。
「とりあえずこれからどうすれば?」
「そ、そうね。まずは悪魔社会の仕組みを勉強してもらうわ。下積みとして簡易版魔方陣のチラシ配りをしてもらうわね。それからあなたも眷属としてこの部に入ってもらうわ。私のことは部長をつけて呼んで、いい?」
むむぅ、まぁ構わんか。
「了解、リアス部長」
そして、俺の悪魔としての日々が始まった。
しばらくチラシ配りをして過ごし、ある日の放課後。
俺は旧校舎の部室の前にいた。
「入ります」
中にはすでに俺以外のメンバーがいた。ふむ、俺が最後か。室内は暗く、窓に暗幕がかけられていて完全に光をシャットアウトしている。床に点々としているロウソクの灯りだけか。
「来たわね。朱乃」
俺を確認した部長が朱乃さんに指示を送る。
「はい、部長。イッセー君。魔方陣の中央へ来てください……♡」
頬を朱に染めて手招きする朱乃さん。俺は魔方陣の中央に立つ。ふむ、仕事かな?
「イッセー、あなたのチラシ配りも終わり。よく頑張ったわね」
笑顔の部長。部長の笑顔は綺麗だね。
「改めて、あなたにも、悪魔としての仕事を本格的に始動してもらうわ」
「つまり、契約取りですね」
「ええ、そうよ。もちろん、初めてだから、レベルの低い契約内容からだけれど。小猫に予約契約が二件入ってしまったの。両方行くのは難しいから、片方はあなたに任せるわ」
「……よろしくお願いします」とペコリと頭を下げる小猫ちゃん。代わりでもいいさ。
「小猫ちゃんの代わりに頑張るさ。任せて(なでなで)」
撫でられて顔を赤くする小猫ちゃん。少し頭を押しつけてくる。後輩に甘えられるのは悪くない。
そして、朱乃さんが俺の刻印を魔方陣に読み込ませた。
この部室の床に書き込まれた魔方陣は「グレモリー」を表すものだそうだ。つまり、召喚する者、契約を結びたい者にとって、これが俺たちを表す記号になる。
魔力の発動もこの魔方陣を絡めたものになるようだ。
木場たちの体にはこの魔方陣が大中各所に書き込まれており、魔力の発動と共に機能しだす。と説明された。
俺の体にも書き込むかどうかという話になったが、いずれということにした。ただ依頼者のもとへ瞬間移動するための魔方陣を手のひらに書き込まれた。契約が終わるとこの部屋に戻してくれるという。
「朱乃、準備はいい?」
「はい、部長」朱乃さんが魔方陣の中央から身を引く。
「さあ、中央に立って」
促され、俺は魔方陣の中央に立つ。すると、一層強く魔方陣が青く光る。この魔方陣に触れていると、力が溢れてくるようだ。まぁ、抑えているが。これが眷属の特典というものか。
「魔方陣が依頼者に反応しているわ。これからその場所へ飛ぶの。到着後のマニュアルも大丈夫よね?」
「もちろん」
「いい返事ね。じゃあ、行ってきなさい!」
そして魔方陣の光が俺を包み……
「あ、あれ?小猫ちゃんじゃないの?」
周囲の感知をすると、ここはアパートの一室だった。俺の前には痩せ型の不健康そうな眼鏡をかけた男性がいた。
「すいません、あの子、人気らしいので。というかかわいい系の担当らしくて」
チラシに願いを込める時、指名したい悪魔の名を呼べば呼び寄せることができると説明を受けた。手が回らないときは担当者以外で手の空いている悪魔が訪れることもあるわけだ。…おや、あれは……。
「これ、ドラグ・ソボールですよね。中々の名作で自分も好んでいましたよ。フルコンプですか。凄いですね」
「甘いね!ドラグ・ソボール直撃世代をなめるなよ!」
……ふむ。両腕を構え魔力の波動を集める。
「ドラゴン波!(バシューン!) 」
人体に影響のない波動を放つ。それを見て森沢さんは号泣していた。そして、本棚からドラグ・ソボール一巻を取り出してきた。俺の手を取ると、熱い握手をしてくる。
「感動したっ!語ろうかッッ‼」
言葉はいらないだろう。
「ええ、語りましょう!」
長く熱い夜が始まる。
そしてその後、俺はドラグ・ソボール談義相手として友好を深め、素晴らしいドラゴン波を見たとの事と熱く語り合う仲間になってくれたということで対価にドラグ・ソボールの限定版DVDボックスを頂いた。
調べるとプレミアがついて十万ほどの値がついていた。
部室に戻る。
「凄いわ、イッセー!初契約成功でかなり高評価よ!」
部長はかなり喜んでいた。朱乃さんが……。
「あぁん♡イッセー君凄いですわぁ~♡もう本当に大好き~♡チュー♡チュッ♡チュッ♡チュパッ♡好き好き好きぃ~♡チュー♡」
俺にベッタリ過ぎる。何度も唇を重ね合わされる。まあ嫌ではないけど。俺としてはフェロモンのお陰で木場や小猫ちゃんに引かれてないのが幸い。
「ちょっと朱乃!ベタベタし過ぎよ!」
部長は何やら憤慨していたが。情愛の深いグレモリーに生まれた悪魔としては思うところがあるのかね。
そんな感じで初契約を終えたのだった。
十二月二十日、イッセーの悪魔の翼に関して五対十枚のところを六対十二枚に変えました。